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最終章

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その日の夜は盛大な歓待を受ける。

飲めや歌えや踊れと……ひと時の平和を喜ぶように。

「アレス様、隣よろしいか?」

「ええ、クロイス殿」

「失礼……さて、この後の予定を聞かせていただきたいかと」

「明日の朝には結界の方へ行こうと思います」

「そうですか……もう少しゆっくりしていっても良いのでは?」

「それも考えたんですけどね……居心地が良すぎるので」

「ははっ! これは嬉しいお言葉ですな!」

「それに、早く元の世界に返してあげたいですから」

俺の視線の先では、カグラ達と楽しそうに話している結衣と、若い女の子に質問されてデレデレしてる中村君がいる。
今は帰れるという安心から落ち着いているが、それがいつまで続くかはわからない。
何より、向こうの世界では時間がどれだけ経っているかもわからない。
一刻も早く、元の世界に返してあげなくては。

「そうでしたな……勇者と聖女と魔王……邪神と女神……長きに渡る因縁が終わったのですね。私は、本来の主人である方を封印していたとは……情けない」

「仕方ないですよ。そういう風に作られた世界だったのですから」

「私は詳しいことはわからないのですが……邪神ではなく龍神ということですよね?」

「ええ、そうですね」

「そして、アレス様は龍神の使徒という」

「はい、そういう扱いであってますね」

「ならば……我々のすることは決まりましたな」

「クロイス殿?」

すると、クロイス殿が立ち上がり……。

「皆の者! 歓談のところすまない!」

皆が静まり、クロイス殿に視線が集まる。

「今、ひと時の平和が訪れた! しかし! これからは新たな問題も起きるであろう! 我々は結界から出る魔物から人々を守る使命を持ってきたブリューナグ家! しかし! それも女神と龍神の戦いによって終わりを告げた!」

皆がそれぞれ、真面目な顔をして頷く。
そこで息を吸い……。

「これからは新たな目標を立てなくてはいけない! 無論、この国を良くしていこうという気持ちもある! しかし! 私は……龍神様の城を守っていきたいと思う! アレス様が使徒である龍神様を守る! そして、アレス様が帰ってこれる場所を守り続けると……どうだろうか!?」

「「「おおっー!!」」」

クロイス家の人々が一斉に声を上げる。

「クロイス殿……」

「というわけなので、我が家はいつでも貴方様の帰りをお待ちしておりますから」

……ここにも、俺の帰る場所がある。

ロナードも困ったらグロリア王国へ来いと。

ヒルダ姉さんも、いつでも来なさいと!

オルガも皇都に居づらかったら我が領地にと。

……ありがたいな。

これで、心置きなく旅に出ることができそうだ。
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