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最終章
結衣との対話
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家に入ると……キッチン周りで動いている結衣を発見する。
「あっ! お帰りなさい!」
「ああ、ただいま。おっ、良い匂いだな……」
「今日はカレーにしようかと」
「良いね」
「ふふ、腕によりをかけるんだから」
「お姉ちゃん! お腹すいた!」
「我もなのじゃ!」
「あら、まだダメよ。もう少し待っててね」
……すっかり仲良くなって。
結衣は俺の家に住むことになった。
みんな、快く受け入れてくれて……。
「おっ、カレーか。結衣ちゃんの作るのは美味いからなぁ」
「ふふ、そうね。すっかり場所を取られちゃって」
「ご、ごめんなさい」
「ううん、良いのよ。アレスにとって妹のような女の子なら、私にとっても娘みたいなものだもの」
「そうそう、エリカとも遊んでくれるしな」
……このまま、ここで暮らすのも一つの手なのではと思わなかったといえば嘘になる。
俺とて、結衣と会えなくなるのは寂しい。
しかし……おじさんとおばさんは心配して待っているはずだ。
「おい、俺を無視するな」
「おっ、いたのか……中村君」
勇者である中村君も何とか真面になり、今ではセレナの両親に用意した離れに住んでもらっている。
「ちっ……おい、話は終わったのか?」
「……ああ、待たせてしまったな。君にとっては辛い時間だったのに、よく耐えてくれた」
「……俺だって悪いことした自覚はある……」
幸いにも、彼は人を殺さずに済んだが……沢山の人々に怪我を負わした。
そのことを、今では後悔しているようだ。
故に、この1ヶ月は謝りに行ったり……。
早く帰りたいだろうに、大人しく待っていてくれた。
「そうか……大丈夫だ、君達を平和な国に返してみせる」
「あ、ああ……」
「……アレス君、いよいよなのね?」
「ああ、結衣……元の世界に帰るために、龍神に会いにいく」
「……うん、わかった」
俺の言葉に、全員が静かになる。
しかし、泣き出す者はいない。
もう、最初からわかっていたことだ。
そして、その時が来たら……笑顔でお別れしようって約束したから。
「お兄ちゃん……今日、一緒に寝ても良い?」
「わ、我もじゃ!」
「ああ、もちろんだ……結衣も寝るか?」
「……寝るって言ったらどうするのかしら? ねえ、奥様方?」
俺が振り返ると……。
「むぅ……まだ、拙者もしたことないのに」
「あはは……わたしもまだだなー」
「私もまだですね~」
「……はい、ごめんなさい」
「ふふ……ちゃんと幸せにしてあげなきゃね?」
「ああ、もちろんだ」
こうして、寂しくも暖かい時間が過ぎていく……。
「あっ! お帰りなさい!」
「ああ、ただいま。おっ、良い匂いだな……」
「今日はカレーにしようかと」
「良いね」
「ふふ、腕によりをかけるんだから」
「お姉ちゃん! お腹すいた!」
「我もなのじゃ!」
「あら、まだダメよ。もう少し待っててね」
……すっかり仲良くなって。
結衣は俺の家に住むことになった。
みんな、快く受け入れてくれて……。
「おっ、カレーか。結衣ちゃんの作るのは美味いからなぁ」
「ふふ、そうね。すっかり場所を取られちゃって」
「ご、ごめんなさい」
「ううん、良いのよ。アレスにとって妹のような女の子なら、私にとっても娘みたいなものだもの」
「そうそう、エリカとも遊んでくれるしな」
……このまま、ここで暮らすのも一つの手なのではと思わなかったといえば嘘になる。
俺とて、結衣と会えなくなるのは寂しい。
しかし……おじさんとおばさんは心配して待っているはずだ。
「おい、俺を無視するな」
「おっ、いたのか……中村君」
勇者である中村君も何とか真面になり、今ではセレナの両親に用意した離れに住んでもらっている。
「ちっ……おい、話は終わったのか?」
「……ああ、待たせてしまったな。君にとっては辛い時間だったのに、よく耐えてくれた」
「……俺だって悪いことした自覚はある……」
幸いにも、彼は人を殺さずに済んだが……沢山の人々に怪我を負わした。
そのことを、今では後悔しているようだ。
故に、この1ヶ月は謝りに行ったり……。
早く帰りたいだろうに、大人しく待っていてくれた。
「そうか……大丈夫だ、君達を平和な国に返してみせる」
「あ、ああ……」
「……アレス君、いよいよなのね?」
「ああ、結衣……元の世界に帰るために、龍神に会いにいく」
「……うん、わかった」
俺の言葉に、全員が静かになる。
しかし、泣き出す者はいない。
もう、最初からわかっていたことだ。
そして、その時が来たら……笑顔でお別れしようって約束したから。
「お兄ちゃん……今日、一緒に寝ても良い?」
「わ、我もじゃ!」
「ああ、もちろんだ……結衣も寝るか?」
「……寝るって言ったらどうするのかしら? ねえ、奥様方?」
俺が振り返ると……。
「むぅ……まだ、拙者もしたことないのに」
「あはは……わたしもまだだなー」
「私もまだですね~」
「……はい、ごめんなさい」
「ふふ……ちゃんと幸せにしてあげなきゃね?」
「ああ、もちろんだ」
こうして、寂しくも暖かい時間が過ぎていく……。
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