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最終章

龍神との対話

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この暗闇は……いつものか?

「……クロス?」

「いや、我は龍神だ」

「クロスはどうなったんだ?」

「あやつは我の仮初めの器。お主に力を授ける為に生み出した存在」

「そんな……もう会えないのか?」

正直言って、過ごした時間はそんなにはない。
でも、ずっと身体の中で感じていた。
むしろ、これからだってのに。

「クク、安心するがいい。我が消えるのちに新しい身体を授けるつもりだ。龍神としての強さはないが……」

「それでも良い。あいつは、俺の大事な友達だ」

「……ああ、そうだな。我としても息子のようなものだ……感謝する」

「……あっ! そうだっ! 結衣を元の世界に返すにはどうしたらいい!?」

一応、自分で考えていた方法はある。
教会なり、広い世界なりを探し回るつもりだった。
だが、おそらく龍神に会えば解決すると思っていた。

「我が封印の地に来るがいい。そこで我の力をもって送り返そうぞ」

「ほっ……ありがとう」

「いや、元はと言えば我の失態だ」

「ついでに聞きたい……なぜ、俺だったのか。聖女である結衣を説得するためか?」

「それもある。しかし、適性がないと無理だ。お主には、我が使徒の血が流れている」

「……ん?」

「以前言ったが、我は女神を元の世界に返すときにしくじった。しかし、その際に幾人かの使徒を女神のいた世界に送った。その者の血を引く者を使徒として呼び出してきた」

「なるほど……」

「今回はある意味で運が良かった。聖女に近い存在のお主がいたことが。その可能性など、何千年に一度くらいだ」

「それは……?」

「お主が死ぬ際に、魂の一部を聖女に残してきた。故に、聖女やお主はお互いに夢を見るという形で、それぞれの状況を知ることができた。そうすれば、少なくともお主は聖女を救おうとするであろう? 我は、この連鎖を断ち切りたかった……この機会を逃すと、もうなかったであろうな」

「つまり……和馬の魂が、俺と結衣に分かれているということか?」

「ああ、それで合っている」

ずっと疑問に思っていたことが……謎が解けたな。
結衣が俺の夢を見ること、俺が結衣の夢を見ることの意味が。
そして、その理由が。

「えっと……ややこしくなってきたが……ひとまず、その封印の地に行けばいいんだな?」

「うむ。彼の地にて我は待っている……どうやら、時間がきたようだ」

暗闇だった世界に光がさしてくる。

「じゃあ、すぐにても会いに行くよ」

「ああ、楽しみに……待って……いる」

そして、龍神の気配が消える。

それと同時に、俺の意識が覚醒へと向かっていく。
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