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最終章

空中戦

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 ……しかし、このままではまずいか。

 こいつがその気なら、いつでも皇都を破壊できるということだ。

 統治する気もなく、この大陸の結界を破壊出来れば良いのだから。

 何より……もう、この場所も保たない。

「全員避難しろ! 城が保たない!」

「あ、アレス様は!?」

「俺は奴を連れていく!」

 俺自身、本気を出すと皆を巻き込んでしまう。

 故に、翼に意識し、羽を広げる。

「はあっ!」

「ぬっ!? 速い!」

 そのまま奴に体当たりをして、空へと引き上げる!

「ほほう? 空中戦か、良いだろう!」

「皆! 巻き添えを食わないように! 」





 そのまま皇都を離れ……空の上で対峙する。

「クク、相変わらず甘い奴だ。民や仲間のことを気にかけているとは。何もかも手に入れ守ろうとは……お主の方がよほど傲慢にみえるが」

「俺はそれで良い。もう二度と大切な人を悲しませたくない」

「では、私が悲しみを味あわせてやろう——お主を殺すことで!!」

 奴が剣を構える。

「それは……それが女神を吸収したという剣か?」

 俺のは東洋の刀ベース、奴のは西洋の剣がベースだ。

「そうだ、私のは神の力を吸い取る剣だ。貴様のは殺す剣……さて、どうなるか」

 俺も刀を構えて……。

「すぅ……」

「フハハッ! こい! アレスよ!」

 まずは上の二本の腕が邪魔だ!
 一気に距離を詰め——下段から居合斬りをかます!

「滅せよ! 黒炎刃!」

「グヌゥ!?」

 奴は避けきれずに、二本の腕が炭化する!

「これで再生はできないな」

「グヌゥ……速さはやはり、お主のが上か」

「それもある。しかし四本あるということは、それだけ隙も多いということだ」

 本来の人間は四本腕ではない。
 四本を操るということは、本来の動きが出来ないということにもなる。

「ふむ……では、私がカイゼルより強いということを見せてやろう」

「……なに?」

「どうする? このまま剣を交えるか?」

「……いいだろう、聞き捨てならないことを言ったからな」

「ふんっ!」

「セアッ!」

 接近した状態で剣を交える!
 上下、右左と、刀と剣が撃ち合う!

「さすがだっ! 私についてこれるとは!」

「ちぃ! 満更でもないか!」

 俺の剣が柔なら、奴は剛だ。
 一発一発が重たく、腕に痺れが来る。
 ……カイゼルに近い剣技だ。

「奴とは歳が近い故に、師が同じだ。直接戦ったことはないが、若かりし頃共に戦場を駆けたことはある」

「……ならば、俺が証明するしかないか」

「やってみるがいい!」

「黒炎よ! まとえ!」

「光よ! まとえ!」

 光の剣と、闇の刀が激しく交差する!

 ……もってくれよ! 俺の身体よ!
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