上 下
236 / 257
最終章

龍神

しおりを挟む
ぁぁぁ?

ぁぁぁァァァ!?

苦しいぃ……身体が焼ける……!

ここはどこだ!?

俺は何だ? 俺は誰だ?

「アレス様!」
「ご主人様~!」
「主人殿!」
「主君よ!」

……何か聞こえる?

誰かの声が……。

アレス? それは誰だ?

すると……あれほど苦しかったのが和らいでいく……。

「……俺か」

「ほう? 耐えたか」

「……ああ、何とかな」

「龍神をまとったか。漆黒の鎧、漆黒の翼、漆黒の尻尾、頭には銀の角、そして髪も漆黒か……何より、|《随分と無茶をする》。己の体を作り変えたな? 見た目が二十代くらいになったぞ? それどころか、顔つきが変わったくらいだ」

そうだ……あの龍神との会話で、俺の体は成熟してないと言われた。
故に、意識した……耐えられる身体にまで成長しろと。
たとえ、この戦いで朽ちようとも……奴を殺せなければ、どっちしろ明日はない。

「仕方ない。お前を倒すためにはな。俺の大事な人達を殺そうとするお前を生かしてはおけない」

「クク、違いない。さて、そろそろ御託はいいか。お互い、長くは保たないだろう——死合うぞ!」

そう言い、俺の視界から消える!

「すぅ——ハァァァァ!」

右方向に裏拳を打つ!

すると、上の二本腕でガードしている。
どうやら、パワーは俺のが上のようだ。

「フハハッ! 見えてるか!」

「無論だ!」

「そうでなくては! だが、私の腕は四本ある!」

下の腕が動き出すが……。

「問題ない!」

俺の尻尾が自動で動き、ターレスの下の両腕に巻きつく。

「なに!?」

「やれ!」

その言葉に応え、尻尾が動き——ターレスを地面に叩きつける!

「グヌゥ!!」

「死ね」

空いている両手に力を込めて……。

「させるかァァァ!」

「チッ!?」

上の両腕から光線を放たれ、俺は咄嗟に後ろに飛ぶ!

「クク、ちょっと焦りすぎではないか? もう少し楽しもうぞ」

「勝手に楽しんでろ。俺は一刻も早く貴様を殺す」

やはり、四本腕が厄介だな。
片方を封じても、もう片方が仕掛けてくる。

「まあ、そう言うでない——次はこうしよう」

上空に、数えきれないほどの光の槍が出現する。

「良いだろう——こい」

「フハハッ! どうするか見ものだな!」

それらが、俺に対して一斉に降り注ぐ!

「龍の門よひらけ! 龍の咆哮ドラグキャノン!」

胸の部分にある龍の口が開いて、レーザーが放たれる!

それらが、光の槍を打ち消していく。

「……何と、全部打ち消されるとは」

「どうした? 次はこちらからいくぞ」

ようやく、この身体にも慣れてきた。

本番はこれからで、ここからが勝負どころだ。


しおりを挟む
感想 44

あなたにおすすめの小説

アラサー独身の俺が義妹を預かることになった件~俺と義妹が本当の家族になるまで~

おとら@ 書籍発売中
ライト文芸
ある日、小さいながらも飲食店を経営する俺に連絡が入る。 従兄弟であり、俺の育ての親でもある兄貴から、転勤するから二人の娘を預かってくれと。 これは一度家族になることから逃げ出した男が、義妹と過ごしていくうちに、再び家族になるまでの軌跡である。

底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜

ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
 学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。  運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。  憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。  異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。

外れスキル?だが最強だ ~不人気な土属性でも地球の知識で無双する~

海道一人
ファンタジー
俺は地球という異世界に転移し、六年後に元の世界へと戻ってきた。 地球は魔法が使えないかわりに科学という知識が発展していた。 俺が元の世界に戻ってきた時に身につけた特殊スキルはよりにもよって一番不人気の土属性だった。 だけど悔しくはない。 何故なら地球にいた六年間の間に身につけた知識がある。 そしてあらゆる物質を操れる土属性こそが最強だと知っているからだ。 ひょんなことから小さな村を襲ってきた山賊を土属性の力と地球の知識で討伐した俺はフィルド王国の調査隊長をしているアマーリアという女騎士と知り合うことになった。 アマーリアの協力もあってフィルド王国の首都ゴルドで暮らせるようになった俺は王国の陰で蠢く陰謀に巻き込まれていく。 フィルド王国を守るための俺の戦いが始まろうとしていた。 ※この小説は小説家になろうとカクヨムにも投稿しています

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

スキル【僕だけの農場】はチートでした~辺境領地を世界で一番住みやすい国にします~

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
旧題:スキル【僕だけの農場】はチートでした なのでお父様の領地を改造していきます!! 僕は異世界転生してしまう 大好きな農場ゲームで、やっと大好きな女の子と結婚まで行ったら過労で死んでしまった 仕事とゲームで過労になってしまったようだ とても可哀そうだと神様が僕だけの農場というスキル、チートを授けてくれた 転生先は貴族と恵まれていると思ったら砂漠と海の領地で作物も育たないダメな領地だった 住民はとてもいい人達で両親もいい人、僕はこの領地をチートの力で一番にしてみせる ◇ HOTランキング一位獲得! 皆さま本当にありがとうございます! 無事に書籍化となり絶賛発売中です よかったら手に取っていただけると嬉しいです これからも日々勉強していきたいと思います ◇ 僕だけの農場二巻発売ということで少しだけウィンたちが前へと進むこととなりました 毎日投稿とはいきませんが少しずつ進んでいきます

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

処理中です...