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最終章

覚悟

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俺は魔刀ダーインスレイブを、ライルは神槍アスカロンを構える。

それそれ相反する武器と考えの持ち主……不思議な巡り合わせだ。

「我が前に神器が二つか……クク、面白い——ゆくぞ?」

「っ——!? 兄上! 右!」

「わかってる!俺に指図するな!」

刺突の状態で剣を構え、真っ直ぐに突っ込んでくるターレスを避ける。

「良い動きだ——次はもっと早く行くぞ?」

その言葉通り、刺突の構えのまま縦横無尽に駆け回る!

「くっ!? 目で追えん!」

「速いな……!」

「ぐあっ!?」

避けきれなかったのか、腕から血が流れている!

「兄上!?」

「俺の心配をするな!」

「兄上! 相手は女神の力を手にしてる! 目で追うのは無理だ!」

「ちっ! どうしろというのだ!?」

「俺なら見えます、いや俺の相棒が——クロス!」

(あいさ! 右斜め上!)

「黒炎刃!!」

クロスのいう方向に黒炎を纏った斬撃を放つ!

「くっ!?」

防御したことで、スピードが失われ……姿を現す。

「今です! 貴方自身の呪縛を今ここで解き放ってください!」

「オ——オオォォォ! ターレスゥゥゥ!!  貫けアスカロン!」

血を流しながらも、伸びたアスカロンがターレスに迫る!

「甘いわっ!」

「甘いのは——貴様だ!」

先程の斬撃から溢れた黒炎が、ターレスにまとわりつく。
威力こそないが、足止め程度にはなる。

「なっ——グァァァァァァ!?」

アスカロンに身体ごと持っていかれ、柱に当たり……瓦礫に埋まる。

「や、やったか?」

「兄上、そんな簡単にいったら……とっくに誰かが殺しています」

(パパッ! 何か——)

その言葉に危機感を感じた俺は——兄上を突き飛ばす!

「な、何を……!?」
「くっ!?」

たった今、兄上がいた場所を斬撃が通った。
やはり、女神の力を使えるのか。

「クク、馬鹿め。私は女神の力を手に入れたのだぞ? いくら女神本人ではないとはいえ、その神器であるアスカロンが大して効くわけがあるまい? 」

「く、くそ……! やはり俺では戦力にならんか……!」

確かに相性が悪い。
相手にアスカロンは効かないようだ。
だが、俺としては十分だ。

「いえ、皇帝としての気概を見せて頂きました。ターレスに対して殺意を持って挑んだ、それは賞賛に値します」

「アレス……」

「この戦いが終わった後、それが貴方の仕事です」

「このまま見届けていろと?」

「いえ、しっかり働いてもらいますよ。カグラを手伝って勇者を抑えてください。出来れば死なせたくないので」

「チッ、お前に命令されるとは……わかった」

アスカロンを拾い、カグラの方へ向かっていく。

「とことん甘いな」

「なんのことだか。お前を殺すのは俺の役目なだけだ」

みなの気概は見た。

ならば、今度は俺の番だ。
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