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最終章

助っ人参戦

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その姿を確認した瞬間、俺は奥の手を使うのをやめる。

姉さんがいるなら問題ない。

あの程度のバケモノに負けるような人ではないから。




「ヒルダ姉さん!」
「アレス! 任せなさい! すぐに——」
「ガァァァァァァァア!」
「片付けるわ!!」
「ギャァアァァァ!?」

後ろで、断末魔の声が響き渡る。
あのバケモノ……場所から言って、おそらくエルバか。
瓦礫の山に飲まれ死んだかと思ったが……最後に自分に女神の血を注入したか。
いや、レイスが指示したということは、すでに打たれていたか。

「おのれ……ここでヒルダお嬢様ですか。まさか、ターレス様に直接刃向かうとは」
「どうやら、想定外のようだな……まあ、俺たちもだが」

すると、奴がターレスの元に下がる。
同時に、姉さんが俺の隣にやってくる。

「ターレス様……やはり、失敗だったのでは?」
「ヒルダを嫁にやったことか? それとも……すぐに殺さなかったことか?」
「両方です」
「ふむ……女ゆえに使い道があったからな。真の皇家の血と女神の血……その子孫は使えるしな」

……こいつら、自分たちの身内だろうが……!
思わず拳を握りすぎて、血が流れる。

「アレス、ありがとう。でも良いのよ、私には貴方達がいるわ」
「姉さん……」
「お爺……いえ、ターレス。そしてレイス。身内として、貴方達を……」
「いえ、ヒルダ姉さんは下がってください」
「ちょっと!?」

助けに来てくれたことは嬉しいし、素直に助かった。
だが、他に優先してほしいことがある。

「姉さんには、アスナを助けて欲しいんです。サスケ殿が操られているのです」
「……師匠が……そうだったわね。でも、この二人相手では……」
「平気です——いざとなれば奥の手を使うので」
「そう……わかったわ! 無茶するじゃないわよ!」
「それはこっちのセリフです」

その場から離脱し、姉さんがアスナの方へ向かっていく。

「クク、相変わらず甘い男だ。身内殺しをさせたくなかったか?」
「姉さんの覚悟はわかってる。今更、それを止めることなどしないさ」
「ほう? では、何故だ? 言っておくが、そろそろ退屈になったから——私も動くぞ?」
「問題ない。これで、二対二になる」

俺は先ほど、クロスによる信号を受けた。

ヒルダ姉さんが通ってきた道に、父上達がいたなら……来るかもしれないから。

そして、予想通りに……。

(パパ! くるよ!)

「アレス様! 近衛騎士ゼト参りました!」
「ァァァァ! クソッ! やってやるよ!」

扉の向こうからやってきたのは、最強の助っ人だった。
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