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最終章

真実の一端

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 とある世界に神が二体。

 片方は表の世界の神、片方は裏の世界の神。

 それぞれ主神より任され、世界を見守っていた。

 しかし、とある時……表の世界の神に異変が起きる。

 神とは人々の信仰によって成り立っている。

 自分の存在を保つ術であり、力の源でもある。

 人々の信仰が薄れ、次第に力を失っていった。

 表の神は焦った……このままでは、いずれ消えゆくと。

 神である自分が消え去るなど、耐えられないと思ったのだろう。

 そして、裏の世界の神を頼ることにする。

 裏の世界の神は、まだまだ力を持っていたからだ。

 それこそ、現世に干渉できるほどに人々の信仰を持っていた。

 表の神はそこに目をつけた。

 表の世界では文明が発達し、今更力を取り戻すことは不可能だった。

 故に、裏の世界の一部を借りて、そこで信仰を募ると。

 いずれは回復し、元の世界に帰ると。

 裏の神は承諾し、一つの大陸を与えることにする。





「……それが、この大陸だと?」

「おそらくな。だから、この世界にはまだまだ大陸があるはずだ」

「どうして、お前は知っている?」

「全てを知ってはいない。ただ、私の一族は……ここではない世界の者の末裔だ。故に、代々受け継がれてる情報はある。それらを繋ぎ合わせれば……そこまで間違ってはないはずだ」

 ……ここではない世界?
 信仰が薄れる……文明が発達……そういうことか?
 表の世界というのは、前世の俺が元々いた世界のことか?
 そして、今世の俺がいる世界こそが……裏の世界。

「二つの世界は何らかの繋がりを持っている。故に、世界の壁を越えることが可能?」

「さすがに理解が早い。転生する前は、あちらの世界にいたのだろう?」

「知っているのか」

「無論だ。それを知った時から——私は決めた」

「なに?」

「いや、なんでもない……どんな世界だ?」

「なんてことないさ。人々は醜い争いをしてるし、善なる者は損をする。上に立つ者は腐り、下にいる者達は搾取される」

「どこの世界も同じということか」

「ああ——勇気ある者が立ち上がって歴史を作ることもな」

 あの世界とて、今は停滞しているが……。
 昔からそうだったわけじゃない。
 一部の勇敢なる人たちが、今の歴史を作り出した。
 だから、今日の俺たちがいた。
 そのことに感謝せず、のうのうと生きているやつが多いがな。

「なるほど……私が悪で、お前が善か」

「いや、どっちでも良い。それを決めるのは……俺たちじゃない」

「クク……そうだな」

「ただ言えることは、俺は善なる者ではない。俺は自分が生き残るために戦う。大事な人たちと、この先を生きていくために戦う……そんな自己中な人間だ」

 女神に従って生きている方が幸せだったという者もいるだろう。

 ただ流されるままに生きること……それを否定はしない。

 だが、俺は……自分の意思で生きたい。

 魔王であり邪神の使徒と呼ばれる俺は、今のこの世界においてはいてはいけない存在。

 ならば……この世界の理が、俺を否定するというなら……その理を覆すまでだ!
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