上 下
205 / 257
最終章

ターレス視点

しおりを挟む
……呆気ない。

もう少し、苦戦するかと思いきや……。

「やはり、驕っていたか。自分を殺す術を、私が持っていないと。バカな話だ……アレスが神を殺す刀を持っていた以上、その可能性を考えるべきだ」

「そうですね、少なくともターレス様なら考えますね」

「レイスか……」

「身体はどうですか? 見た目からは異常は見受けられませんが……」

「ふむ……」

私が、奴らの家族を人質にとって作らせた神殺しの剣……。

アレスのとは少し違う。

この剣は殺すというより、力を吸い取るように作らせた。

いや、正確には封印すると言った方が正しいか?

女神の力を閉じ込め、己の物とするために。

皮肉なものだ……邪神を封印してきた奴が、今度は自分が封印されるとはな。

「今のところ、問題はない」

「それは良かったです。して、この後は如何いたしますか?」

「おそらく、アレスの奴がすぐにでも来るだろう。その前に、舞台を整えるとしよう。聞くまでもないが——準備は出来ているな?」

「もちろんでございます」

「では、向かうとしよう」

「アスカロンは如何しますか?」

視線の先には、地に落ちたアスカロンがある。
光は収まり、ただの槍と化している。

「放っておけ。というより、誰も触れることができん」

「そうですね、聖痕がないといけませんし……畏まりました。では、ゲーム開始ですね?」

「ああ、まずはアレスが来る前に皇都を制圧できるかどうかだ」





その後、用意していた兵士達を率いて……皇都に突撃を仕掛ける。

手筈は整っていたので、あっさりと門が開かれる。

「行け! 勇敢なるゲイボルク家の者よ! 今こそ、我々が立ち上がる時!」

『ウオオオオ!!』

こいつらは、私のいうことを聞く人形だ。
女神の血を薄めに薄めた薬を、こいつらには与えている。
バケモノにもならないし、強さもそこまでではないが……。
自我が薄くなり、ただ薬が欲しいだけの操り人形となる。

「よくやってくれたな、エルバよ」

「は、はい」

「お主は賢い。ザガンを見限り、こうして私に恩を売ってきた」

こやつの一族は、代々ゲイボルク家に仕えている。

ザガンにつくように言っておいたが、自らアレはダメですと進言してきた。

そして一族で私が与えた女神の血を研究し、今回の薬を開発した。

「い、いえ」

「クク、誇って良い。お主は実現のためにザガンを使ったのだから」

薬の開発のために、ザガンに薬を手渡したのはこやつだ。

それは、私が仕組んだことではない。

さて…アレスよ、早くしないとお前の大事な者を奪ってしまうぞ?
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。 その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。 ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。 それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。 そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。 ※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

その聖女は身分を捨てた

メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。 その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。 そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。 魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。 こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。 これは、平和を取り戻した後のお話である。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

処理中です...