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最終章

結衣視点

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 ……どうしたら良いの?

 ……どうしたらよかったの?

 あいつから……確かに和馬さんを感じる。

 姿や形は違うけど、あの目……私が好きだった目。

 ……和馬さんなの? やっぱり嘘なの? わかんないよぉ……。



「おい、しっかりしろって」

「うるさいわね……あんたこそ、よく平気ね? 腕を斬られたのに」

 あの時は驚いた。
 腕を斬られたこともそうだけど、その後に再生したことも。
 私は……その覚悟があったのかな?

「そりゃ、痛かったぜ? でも、これで証明されたじゃんか。斬られても平気だって」

「それはそうだけど……」

「へへ、俺はやるぜ」

 ……おかしい。

 中村は楽観的とはいえ、ここまでじゃなかったはず。

 そもそも……私もおかしい。

 

 それに、必要以上に憎しみに囚われてるような気が……。

「おお……この気配は……」

「教皇さん?」

「おお、何か飛んできたぜ」

「えっ?」

 次の瞬間——目の前に光が現れる。

「おお! マリア様!」

「教皇よ、ご苦労だったわ。どう?」

「も、申し訳ございません! 未だ魔王を討つには至らず……天使はやられ、聖女様と勇者様も未だ覚醒をしておりませんので……」

 覚醒? 何のことだろう?

「いえ、気にしなくて良いですよ。天使は所詮時間稼ぎのようなものですから。覚醒してませんか……なるほど、勇者様は近いですが……聖女様は……やはり……ダメダッタカ」

「えっ?」

 最後、なんて言ったの?

 すごく低くて、恐ろしい声が聞こえてきたけど……。

「まあ、いいでしょう。ハロルド」

「はっ、ここに」

「貴方はいいですね……実に私好みの使徒です」

「あ、ありがとうございます!」

「ナンバーズも、残りは貴方だけですか……役立たずばかりです」

 えっ? あんなにいたのに?

 いつのまにやられちゃったんだろう?

 どうしよう……頭が上手く働かない。

 私って……こんなだったっけ?

 もっと、冷静にならないといけない気がする。

「……まずいですね。来て正解だったわ……憎しみの力が揺らいでる」

「あの……? さっきからどうしたんですか?」

「力を使うので、この手は使いたくありませんでしたが仕方ありません——」

 次の瞬間——私の体が動かなくなる。

 っ!! 声も出ない!?

「憎しみゆえに、意識を持っていた方が良いと判断しましたが……ここからは邪魔ですね」

 ……意識が消えていく……。

 何も考えられなく……なってくる。

 そして……私の意識は暗い海の底に沈んでいった……。
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