192 / 257
最終章
???視点
しおりを挟む
……フフ……ようやく力が戻ってきたわ。
「ぁぁぁ……」
「俺の力が消えてくゥゥゥ……」
「し、死にたくない……俺は、なんのために……」
私の目の前には、ナンバーズと呼ばれる聖騎士がいる。
そのどれもが、これから死に行く運命にある——私の餌となって。
ナンバーズとは、私の使徒の血を強く受け継ぐモノ。
つまり、弱くなった私の力の元になる。
「教皇様はともかく、な、なんでハロルドのような若造が……」
「あら、まだ生きてたの」
私に意見をしたこいつは、確かナンバーズ1であるネイルね。
古参であり、強さも桁違いだったけど……餌になってもらった。
「お、俺は聖騎士最強の……」
「だからよ。貴方は私の血を濃く持っていたから。フフ、光栄に思いなさい。この私の力になれるのだから——信徒なら本望でしょう?」
「……俺は……」
「それに気づいているのよ——貴方が、密かに背信していることは」
「な、な……」
この男は、密かに教会を正そうとしていた。
野心を抑え、ここまで上り詰めたみたい。
他のナンバーズにも、それとなく掛け合ったりね。
「残念だったわね。教皇はともかく、私には通じないわ」
「や、やはり……女神は……女神ではなかった……邪神めぇ……」
そう言い、男は沈黙した。
「邪神ネェ……フフ、私は女神よ。でも……この世界にとってはそうではないかもしれないわね。まあいいわ、ようやく……幾千年待ち続け、力を蓄え……ようやく、あの龍神を殺せる力を……いえ、焦ってはいけないわ。仮にも、相手は龍神なのだから」
ほんとしぶとい龍神ね……上手く封印したのはいいけど、ここまで粘るなんて。
でも、結果的には悪くないかもしれない。
あいつはしびれを切らして、分体を作るという強硬手段に出た。
あの分体を殺せば、あいつの力は弱まる。
そうすれば……今の私ならいける。
「そして、弱った龍神を私が殺せば……この世界は、私の物になるわ」
だが、そのためには……力を温存する必要がある。
弱ったとはいえ、元々この世界においての神であり、私よりも強い存在だった。
「元の私の力が戻ってきて、これで五分といったところね」
確実に勝利を収めるためには、道具である勇者と聖女に役に立ってもらわないと。
使徒である魔王を殺してもらい、その分体を弱らせる。
そうすれば私の力は温存できるし、憎っくき分体を殺せる。
これだけ力が戻れば、もう姿を維持することは簡単だ。
さあ……ひとまず、魔王の顔でも見に行こうかしら。
「ぁぁぁ……」
「俺の力が消えてくゥゥゥ……」
「し、死にたくない……俺は、なんのために……」
私の目の前には、ナンバーズと呼ばれる聖騎士がいる。
そのどれもが、これから死に行く運命にある——私の餌となって。
ナンバーズとは、私の使徒の血を強く受け継ぐモノ。
つまり、弱くなった私の力の元になる。
「教皇様はともかく、な、なんでハロルドのような若造が……」
「あら、まだ生きてたの」
私に意見をしたこいつは、確かナンバーズ1であるネイルね。
古参であり、強さも桁違いだったけど……餌になってもらった。
「お、俺は聖騎士最強の……」
「だからよ。貴方は私の血を濃く持っていたから。フフ、光栄に思いなさい。この私の力になれるのだから——信徒なら本望でしょう?」
「……俺は……」
「それに気づいているのよ——貴方が、密かに背信していることは」
「な、な……」
この男は、密かに教会を正そうとしていた。
野心を抑え、ここまで上り詰めたみたい。
他のナンバーズにも、それとなく掛け合ったりね。
「残念だったわね。教皇はともかく、私には通じないわ」
「や、やはり……女神は……女神ではなかった……邪神めぇ……」
そう言い、男は沈黙した。
「邪神ネェ……フフ、私は女神よ。でも……この世界にとってはそうではないかもしれないわね。まあいいわ、ようやく……幾千年待ち続け、力を蓄え……ようやく、あの龍神を殺せる力を……いえ、焦ってはいけないわ。仮にも、相手は龍神なのだから」
ほんとしぶとい龍神ね……上手く封印したのはいいけど、ここまで粘るなんて。
でも、結果的には悪くないかもしれない。
あいつはしびれを切らして、分体を作るという強硬手段に出た。
あの分体を殺せば、あいつの力は弱まる。
そうすれば……今の私ならいける。
「そして、弱った龍神を私が殺せば……この世界は、私の物になるわ」
だが、そのためには……力を温存する必要がある。
弱ったとはいえ、元々この世界においての神であり、私よりも強い存在だった。
「元の私の力が戻ってきて、これで五分といったところね」
確実に勝利を収めるためには、道具である勇者と聖女に役に立ってもらわないと。
使徒である魔王を殺してもらい、その分体を弱らせる。
そうすれば私の力は温存できるし、憎っくき分体を殺せる。
これだけ力が戻れば、もう姿を維持することは簡単だ。
さあ……ひとまず、魔王の顔でも見に行こうかしら。
11
お気に入りに追加
2,747
あなたにおすすめの小説
貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。
その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。
ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。
それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。
そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。
※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
転生したら唯一の魔法陣継承者になりました。この不便な世界を改革します。
蒼井美紗
ファンタジー
魔物に襲われた記憶を最後に、何故か別の世界へ生まれ変わっていた主人公。この世界でも楽しく生きようと覚悟を決めたけど……何この世界、前の世界と比べ物にならないほど酷い環境なんだけど。俺って公爵家嫡男だよね……前の世界の平民より酷い生活だ。
俺の前世の知識があれば、滅亡するんじゃないかと心配になるほどのこの国を救うことが出来る。魔法陣魔法を広めれば、多くの人の命を救うことが出来る……それならやるしかない!
魔法陣魔法と前世の知識を駆使して、この国の救世主となる主人公のお話です。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
今度生まれ変わることがあれば・・・全て忘れて幸せになりたい。・・・なんて思うか!!
れもんぴーる
ファンタジー
冤罪をかけられ、家族にも婚約者にも裏切られたリュカ。
父に送り込まれた刺客に殺されてしまうが、なんと自分を陥れた兄と裏切った婚約者の一人息子として生まれ変わってしまう。5歳になり、前世の記憶を取り戻し自暴自棄になるノエルだったが、一人一人に復讐していくことを決めた。
メイドしてはまだまだなメイドちゃんがそんな悲しみを背負ったノエルの心を支えてくれます。
復讐物を書きたかったのですが、生ぬるかったかもしれません。色々突っ込みどころはありますが、おおらかな気持ちで読んでくださると嬉しいです(*´▽`*)
*なろうにも投稿しています
その聖女は身分を捨てた
メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる