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最終章
戦闘開始
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それから、数時間後……。
あえて放棄した国境の関所を抜けて、軍隊がやってくる。
「……来たか」
「では、アレス殿。手はず通りに——手心を加えてはいけませんぞ? 皇国の兵士達もいますが、それは女神の使徒です。そして、貴方を殺しに来た者達です」
「ええ、わかっています。ですが、最後通達は出させてもらいます」
「……まあ、いいでしょう。それこそが、貴方の良さというものですから」
「感謝します」
俺は、丘の上から敵を見下ろす。
そこには、敵の軍勢が見える。
「我が名はアレス! 女神を騙る者を成敗する者! 諸君! よくよく考えて欲しい! 女神が万能だというのなら、何故世界はこんなにも不平等かと! 俺が魔王というのなら、何故魔物を使役できないのかと! 俺の狙いは女神のみ——命が惜しい者はここから去るがいい!!」
「ひひっ! 無駄ですよぉぉ! ここにいるのは女神の神託を受けた者達! さあ! 皆さん! 魔王アレス殺しなさい!」
アレは……聖騎士ハロルドか。
ふむ……何やら様子が違うが。
「主人殿! あれを!」
「カグラ? どうし……そうか」
向かってくる彼らには、表情がなかった。
まるで——屍のように。
「アレス様、ああなってしまっては……」
「……わかってる」
俺が甘かったか……ここにいる以上、相手は俺を殺す気で来ている。
だが、割り切れない自分がいる。
親しくはないが、中には見知った顔もいたからだ。
「ひひっ! さあ——いきなさい!」
『ゲガァァァァ!!』
兵士達が、一斉に動き出す!
「……セレナは、ここから魔法で援護をしてくれ!」
「はい!」
「アスナ! セレナを頼む!」
「はいはい~」
アスナとセレナには、ここで待機してもらおう。
「それで、主人殿。我々はどうするのだ?」
「俺が一発かます。その後に、姉上と共に突撃を」
「ふふ、初めてね。アレスと一緒に戦うなんて」
「ヒルダ姉様、よろしくお願いいたします」
「その後に、俺も続きます。オルガ、背中を預けるぞ?」
「はい! 僕はずっと……この時を待っていました」
それぞれに確認をして……準備を始める。
(クロス、いけるな?)
(うん! 今度は、僕が助ける番だね!)
(ああ、よろしく頼む)
俺の魔力によって、クロスは成長した。
しかし、成体になり日にちが経ち……。
もう、俺の魔力がなくても平気だと。
逆に、俺に魔力を供給してくれると。
「それならば、魔力切れを恐れなくて良い——せめて、苦しまぬように」
今の俺なら、超級魔法も扱えるはず。
さらに、俺のオリジナル魔法を加えれば……。
「地獄の業火よ! 眼前の敵を討ち滅ぼせ——黒炎!」
眼下に広がる敵に向かい、空から黒炎が降り注ぐ!
「ァァァ!?」
「ギャァァぁが!?」
敵が燃え……消し炭となる。
「皆の者! 何をぼさっとしている! アレス殿によって敵の陣形が崩れたぞ! あの方がいれば恐れることはない! 私に続けェェ——!!」
『ウ……ウォォォ!!』
それまで気味の悪い兵士にに萎縮していた兵士達が雄叫びをあげる。
「カグラ! 私達も行くわよ!」
「はっ! お供させて頂きます!」
二人が、坂道を駆け下りていく。
俺は、小さい状態のクロスを影から出し……。
「クロス、ここで待機だ。敵の位置を俺に教えてくれ。そして万が一の時は、その力を貸してくれ」
「キュイ! (うん!)」
「ふぅ……さて、この刀を使う時が来たか」
「キュイ! (気をつけてね! 訓練したけど、それは本来人に扱えるモノじゃないから!)
「ああ、わかっている。己が飲まれないようにだな」
俺は意を決して、神殺しの魔刀——ダーインスレイブを抜く。
「くっ……!」
刀から禍々しいオーラが溢れ出す!
「スゥ——はっ!」
己の魔力で、暴れ出そうとするそれを押さえつける!
「よし……オルガ、遅れるなよ?」
「御意」
俺達も敵をめがけて、坂道を駆け下りていく!
「ギャハハ!」
「邪魔だ」
「かはっ?」
聖騎士の鎧を着た男を、一刀の元に切り伏せる。
「せいっ!」
「ゴフッ……」
俺の死角から狙ってきた相手に、オルガの槍が突き刺さる!
「良い腕だ!」
「アレス様こそ!」
(クロス! ハロルドはどこだ!?)
(そこから右斜め上だよ!)
「よし、このまま大将のところに向かうぞ」
「はっ!」
敵を始末しつつ、前に進んでいくと……。
「いたな」
「チッ! 役立たず共め!」
「オルガ、俺の周りに敵を近づけさせるな」
「御意」
俺は刀を構え、ハロルドと対峙する。
「ひひっ! また会えましたねぇ!」
「俺は会いたくなかったがな」
「まあ、そう言わずに——私の新しい力を見せくださいよぉぉ!」
っ!! 速い!
ギリギリのところで剣を避ける!
「……こんなに速かったか?」
「チィ! まだ体が慣れていませんねぇ……このままでは少しまずいですかね……私も役立たずの烙印は押されたくないですし」
「何を言っている?」
「ギレン!」
「団長! どうしたので?」
例のお付きの聖騎士が、こちらにやってくる。
なるほど、二対一というわけか。
「アレス様! 僕が相手します!」
「オルガ、助かる」
しかし、次の瞬間——奴が、ギレンの口になにかを押し込んだ!
「がかっ!? な、なにを……!」
「なに、ちょっとした薬てすよ——女神様特製のね」
「ひがっ……! ぁきやぁきやぁきやゃあ!?」
ベコベコ! と気味の悪い音を立てて……姿が変貌していく。
その姿は……まさしく、天使と呼ぶに相応しい姿だった。
あえて放棄した国境の関所を抜けて、軍隊がやってくる。
「……来たか」
「では、アレス殿。手はず通りに——手心を加えてはいけませんぞ? 皇国の兵士達もいますが、それは女神の使徒です。そして、貴方を殺しに来た者達です」
「ええ、わかっています。ですが、最後通達は出させてもらいます」
「……まあ、いいでしょう。それこそが、貴方の良さというものですから」
「感謝します」
俺は、丘の上から敵を見下ろす。
そこには、敵の軍勢が見える。
「我が名はアレス! 女神を騙る者を成敗する者! 諸君! よくよく考えて欲しい! 女神が万能だというのなら、何故世界はこんなにも不平等かと! 俺が魔王というのなら、何故魔物を使役できないのかと! 俺の狙いは女神のみ——命が惜しい者はここから去るがいい!!」
「ひひっ! 無駄ですよぉぉ! ここにいるのは女神の神託を受けた者達! さあ! 皆さん! 魔王アレス殺しなさい!」
アレは……聖騎士ハロルドか。
ふむ……何やら様子が違うが。
「主人殿! あれを!」
「カグラ? どうし……そうか」
向かってくる彼らには、表情がなかった。
まるで——屍のように。
「アレス様、ああなってしまっては……」
「……わかってる」
俺が甘かったか……ここにいる以上、相手は俺を殺す気で来ている。
だが、割り切れない自分がいる。
親しくはないが、中には見知った顔もいたからだ。
「ひひっ! さあ——いきなさい!」
『ゲガァァァァ!!』
兵士達が、一斉に動き出す!
「……セレナは、ここから魔法で援護をしてくれ!」
「はい!」
「アスナ! セレナを頼む!」
「はいはい~」
アスナとセレナには、ここで待機してもらおう。
「それで、主人殿。我々はどうするのだ?」
「俺が一発かます。その後に、姉上と共に突撃を」
「ふふ、初めてね。アレスと一緒に戦うなんて」
「ヒルダ姉様、よろしくお願いいたします」
「その後に、俺も続きます。オルガ、背中を預けるぞ?」
「はい! 僕はずっと……この時を待っていました」
それぞれに確認をして……準備を始める。
(クロス、いけるな?)
(うん! 今度は、僕が助ける番だね!)
(ああ、よろしく頼む)
俺の魔力によって、クロスは成長した。
しかし、成体になり日にちが経ち……。
もう、俺の魔力がなくても平気だと。
逆に、俺に魔力を供給してくれると。
「それならば、魔力切れを恐れなくて良い——せめて、苦しまぬように」
今の俺なら、超級魔法も扱えるはず。
さらに、俺のオリジナル魔法を加えれば……。
「地獄の業火よ! 眼前の敵を討ち滅ぼせ——黒炎!」
眼下に広がる敵に向かい、空から黒炎が降り注ぐ!
「ァァァ!?」
「ギャァァぁが!?」
敵が燃え……消し炭となる。
「皆の者! 何をぼさっとしている! アレス殿によって敵の陣形が崩れたぞ! あの方がいれば恐れることはない! 私に続けェェ——!!」
『ウ……ウォォォ!!』
それまで気味の悪い兵士にに萎縮していた兵士達が雄叫びをあげる。
「カグラ! 私達も行くわよ!」
「はっ! お供させて頂きます!」
二人が、坂道を駆け下りていく。
俺は、小さい状態のクロスを影から出し……。
「クロス、ここで待機だ。敵の位置を俺に教えてくれ。そして万が一の時は、その力を貸してくれ」
「キュイ! (うん!)」
「ふぅ……さて、この刀を使う時が来たか」
「キュイ! (気をつけてね! 訓練したけど、それは本来人に扱えるモノじゃないから!)
「ああ、わかっている。己が飲まれないようにだな」
俺は意を決して、神殺しの魔刀——ダーインスレイブを抜く。
「くっ……!」
刀から禍々しいオーラが溢れ出す!
「スゥ——はっ!」
己の魔力で、暴れ出そうとするそれを押さえつける!
「よし……オルガ、遅れるなよ?」
「御意」
俺達も敵をめがけて、坂道を駆け下りていく!
「ギャハハ!」
「邪魔だ」
「かはっ?」
聖騎士の鎧を着た男を、一刀の元に切り伏せる。
「せいっ!」
「ゴフッ……」
俺の死角から狙ってきた相手に、オルガの槍が突き刺さる!
「良い腕だ!」
「アレス様こそ!」
(クロス! ハロルドはどこだ!?)
(そこから右斜め上だよ!)
「よし、このまま大将のところに向かうぞ」
「はっ!」
敵を始末しつつ、前に進んでいくと……。
「いたな」
「チッ! 役立たず共め!」
「オルガ、俺の周りに敵を近づけさせるな」
「御意」
俺は刀を構え、ハロルドと対峙する。
「ひひっ! また会えましたねぇ!」
「俺は会いたくなかったがな」
「まあ、そう言わずに——私の新しい力を見せくださいよぉぉ!」
っ!! 速い!
ギリギリのところで剣を避ける!
「……こんなに速かったか?」
「チィ! まだ体が慣れていませんねぇ……このままでは少しまずいですかね……私も役立たずの烙印は押されたくないですし」
「何を言っている?」
「ギレン!」
「団長! どうしたので?」
例のお付きの聖騎士が、こちらにやってくる。
なるほど、二対一というわけか。
「アレス様! 僕が相手します!」
「オルガ、助かる」
しかし、次の瞬間——奴が、ギレンの口になにかを押し込んだ!
「がかっ!? な、なにを……!」
「なに、ちょっとした薬てすよ——女神様特製のね」
「ひがっ……! ぁきやぁきやぁきやゃあ!?」
ベコベコ! と気味の悪い音を立てて……姿が変貌していく。
その姿は……まさしく、天使と呼ぶに相応しい姿だった。
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