上 下
173 / 257
最終章

状況整理

しおりを挟む
翌日の朝……。

「むにゃ……えへへ」

「あらまあ……妊婦さんとは思えない顔つきな事」

隣で眠るヒルダ姉さんの顔は、だらしなくなっていた。
まるで、少女のような。

「ヒルダ姉さん、起きてください」

「ううん……あれ? アレス? もう、仕方ないわね、いつまでも甘えん坊なんだから……」

「ちょっ!? くっつかないでください!」

妊婦さんだから、力づくで振り払うわけにもいかない!

「主人殿~楽しそうですね?」

いつの間か、ベットの横にアスナが立っていた。

「いつの間に……いや、なんとかしてくれ!」

「ハイハイ、わかりましたよー。ほんと、この方には弱いんですね?」

そう言い、姉さんを俺から引き剥がす。

「むにやぁ……」

「……否定はできない。俺の恩人だからな」

「少し嫉妬しちゃいますよねー?」

その視線の先には……カグラとセレナがいた。

「いや、拙者はなんとも。というか……なぁ?」

「そうだよね、私達は慣れてるし」

「なるほど、そうでしたね~」





その後、姉上が起きて……。

食事をした後、全員集まって今後について話し合うことになる。

「私とアレス様で、話を進めさせてもらおう」

「はい、それでお願いします」

先程説得して、何とか敬語を使わないようにしてもらった。
今の俺は反逆者扱いだし、何より使用人達がいちいち驚くから面倒だ。
多分、敬語を使うような人ではないのだろうな。

「ふむ。先程、アスカロン帝国と教会より連盟で通達があった。邪神の使徒、魔王アレスを引き渡せと」

「そうですか……それは皇帝からですか?」

「いや、正確には……女神と名乗るヘイゼル皇子からだ。私の手の者の情報によれば、ラグナ殿は生きているが……身動きが取れない状態らしい。護衛についているのはゼトとコルンという者だそうだ」

「よ、良かったぁ……!」

「お母様!」

その言葉に、母上とエリカが抱き合う。
そうか……生きててくれたか。
あの二人が付いているなら一安心だ。

「ライル兄上はどうしていますか?」

「どうやら、暫定的に皇帝になったらしい。しかし、ターレスや大臣達には勝てまい」

ゼトさんやコルンさんは、父上の護衛で動けないか。
そうなると、兄上には味方が少ない。
本来なら、こんな時のために俺がいたのだが……。

「何より、女神を名乗るモノがいるのが大きいですね」

「うむ、大義名分がある。もちろん、偽りのな」

「では、どうすれば良いか……味方を増やすしかないですね」

「うむ、そうなる。我が家だけでは抑えることは不可能だ。故に、今日まで耐え忍んできた」

オルガの実家は動けない。
位置的にアスカロンを通らないといけないし、領地を守るのに精一杯だろう。

ブリューナグ家は、どうだろうか?

当主はともかく、民が味方してくれるかどうか……。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!

ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。 その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。 ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。 それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。 そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。 ※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~

hisa
ファンタジー
 受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。  自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。  戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?  教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!! ※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく! ※第5章に突入しました。 ※小説家になろう96万PV突破! ※カクヨム68万PV突破! ※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました

~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます

無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。

その聖女は身分を捨てた

メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。 その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。 そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。 魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。 こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。 これは、平和を取り戻した後のお話である。

ペットたちと一緒に異世界へ転生!?魔法を覚えて、皆とのんびり過ごしたい。

千晶もーこ
ファンタジー
疲労で亡くなってしまった和菓。 気付いたら、異世界に転生していた。 なんと、そこには前世で飼っていた犬、猫、インコもいた!? 物語のような魔法も覚えたいけど、一番は皆で楽しくのんびり過ごすのが目標です! ※この話は小説家になろう様へも掲載しています

処理中です...