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最終章

結衣視点

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 ……結局、夢じゃなかった。

 翌日になって眼を覚ましたけど……。

「昨日も説明されたけど、ここは現実の世界じゃない」

 外から見える景色、魔法という不可思議な現象。

「お父さん、お母さん……心配してるだろうなぁ」

 早く帰りたい……でも、今は帰れないのよね。

 その、魔王という者を倒して、邪神を封印するまでは。

 私は昨日の会話を思い出す……。





 ◇

 部屋に案内され、少し休憩した後……また、部屋から連れ出された。

 そして、例のお爺さんと騎士達がいる部屋に通される。

「聖女様、お気分は如何ですかな?」

「……良くはないです」

「お、おい」

「何よ? アンタはいいの?」

「いや……ワクワクするっていうか、運命を感じるじゃん?」

「はい?」

 えっ? もしかして、私との運命ってこと?
 ……勘弁してほしい。

「ほほ、仲がよろしいですな」

 ……どこ見て言ってるのかしら?
 でも、たしかに……今は、この人達に従うしかないよね。
 本当なら泣き叫んでいるところだけど……。
 あの時より——和馬さんが死んだことより、辛かったことなんかないから。

「それで、私達はなんで呼ばれたんですか?」

「そうですな、まずはご説明をいたします。昨日申しました通り、この世界は異世界と呼ばれる存在だと思ってください。このように——」

「わっ!?」

「おおっ!!」

 お爺さんの横にいる人が……手から火を出した!

「魔法と呼ばれるものや、魔物と呼ばれる存在もおります」

「すげぇ! 俺にも使えますか!?」

「ほほ、もちろんですとも。これなんかより、もっと強い魔法が使えます。貴方様は勇者なのですから。そして、聖女様にも……」

「うしっ!」

 ……ほんと、わかってるのかしら?
 つまりは、だって……多分、そういうことでしょ?

「私達は、何をすれば良いのですか? その魔物と戦うのですか? どうすれば——元の世界に帰れますか?」

「ふむ、冷静な判断ですな。ええ、きちんとご説明いたします。魔物と戦うのはもちろんのことです。魔物とは、邪神の使徒ですから。そして、魔王の僕でもある。お二人には、魔王を倒してもらい……最終的に邪神を封印して頂きたいと思います」

「うぉぉ! それっぽい話だな!」

 うるさいわね……いいや、放っておこう。

「どうして、私達が?」

「女神様より召喚されし者だからです。正確には、女神の加護を受けております。邪神を封印するには、その加護が必要なのです」

「な、なるほど……よくわかりませんが、その封印をすれば……帰れますか?」

「ええ、もちろんです。お役目を果たしたことにより、帰れるはずでございます。詳しくは、いずれ女神様よりお伝えする予定でございます」

「えっ? い、いるんですか?」

「ええ、器に憑依し、顕現なされます。今は他国にいる皇子に憑依しております。お二人が生活に慣れたのち、ご案内いたしますね」

「……わかりました」

 隣でテンション上がっている中村君は放っておくとして……。

 元の世界に帰るには、使命とやらを果たさないといけないってことだよね。

 私の命は和馬さんに頂いた……こんなところで、死ぬわけにはいかない。

 必ず、元の世界に帰ってみせる。
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