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青年期~後編~

懐かしき日々

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 ……うん? 何か柔らかいものが……。

「むにゃ……」
「セレナ? ……なぜ?」

 目を開けると目の前にはセレナがいる。
 呼吸をするたびに、年に似合わない立派なモノが上下する。

(大人っぽくなってきて……色々な意味で。こりゃ、和馬の意識がなかったら手を出していたかもしれない)

 俺はふと背中からも何かを感じ……寝返りをうつと……。

「すやぁ……」
「……カグラまで」

(こっちは、顔は完全に完成しきってるな……整った綺麗な顔をしている。それでも、寝顔なんかは愛嬌があって可愛いな……本人は気にしてたけど、アレもきちんと成長しているしね)

「困ったなぁ……身動きが取れない」

(動いたら色々と触れてしまうし……そうしたら、流石の俺もまずい)






 結局、二人が起きるまで待ち……。

 たった今、何故か俺の部屋で正座をしています。

 とりあえず、俺は飯も食わずに朝まで寝ていたことはわかったが……。

「あぅぅ……恥ずかしよぉ~」
「はぅ……恥ずかしいのだ」
「さて……説明をしてもらえるか?」
「えっと……アレス様が起きなくて……」
「そしたら、アスナが添い寝をしようとしたのだ!」
「ですから、私達がお守りしようと思って……」
「なるほど……まあ、良く潜り込もうとしてきたからなぁ」
「「アレス様??」」

 二人の冷たい視線が、俺に突き刺さる。

「い、いや! 誓って手は出してないからね!?」
「ほっ……さ、最初は私かカグラちゃんですからね!」
「拙者は、その……はぃ……」
「もう! カグラちゃん! しっかりして!」
「ははっ! セレナは変わったなぁ。昔は、あんなにおどおどしてたのにね」
「はっ……い、嫌ですか?」
「いいや、良いと思うよ。ハキハキしてて、自立した女性って感じでカッコいいよ」

(そうだよなぁ。見た目だけでなく、中身も成長するよな。すでに城で働いているわけだし)

「ほっ……良かったぁ~。わたし、カッコいい女性になりたいんです! だから、どんどん頼ってくださいね!?」
「クク……ああ、そうさせてもらうよ。それにしても……カグラ?」

 ずっとモジモジしているカグラに近づくと……。

「「ひゃい!?」
「何を驚いている?」
「か、かっこいいのだ……」
「はい?」
「うぅー……」

(……俯いてしまった。カグラが女の子になってる……何というか、新鮮だなぁ)

 どうやら、それぞれ方向性は違うが……色々と変化したようだ。

 そのあとに、軽く説明を受ける。
 セレナは、基本的には両親がいる離れに。
 カグラとアスナは、これからうちに住むことになったらしい。
 幸い、部屋は余っているので問題はない。
 ちなみに、レナはエリカと同じ部屋に住むことになったと。




 そのまま話していると……窓から人が入ってくる。

「はいはーい! おはよーございます!」
「やあ、アスナ。どうでも良いが、窓から入るんじゃない」
「ふふ~良いじゃないですか。私と御主人様の仲ですし」
「むぅ~! 気安いですよ! わたしは、まだ認めてませんからね!」
「御主人様……ずるいのだ! 拙者の方が、ずっと前から仕えたいと思ってたのに! 決めたのだ! 今日から拙者も主人殿と呼ばせて頂くのだ!」

 女子三人寄らば姦しいとは言ったものだ……だが、不思議と悪い気はしない。
 ハーレムモノの主人公には、感情移入出来ないタイプだったんだが……。
 改めて……やはり、俺は和馬ではないということだな。

(今の俺を結衣が見たら……幻滅するんだろうなぁ。俺自身も、変化に戸惑うくらいだし)










 その後、朝食を食べて……。

 レナとエリカと遊んだら……。

 久々の稽古である。



 庭にて、カイゼルと対峙する。

「ふむ……良き構えです。隙が減りましたね」
「まあね。俺も遊んでいたわけじゃ——」

 自然体で言葉を発しつつ、予備動作なしで一気に距離を詰める。

「むっ!?」

 剣を振るうが、受け止められる……。

「けど……いくよ!」

 体重を乗せて、連続した剣技をお見舞いする!

「くっ!? こ、これは……!」

 すぐにカイゼルの防御が追いつかなくなり……。

「どうかな?」

 俺は膝をついたカイゼルに剣を向ける。

「……参りました。もう、私では相手にならないですな」
「まあ、そう言わないでよ。カイゼルには、もっと働いてもらわないとね」
「これはこれは……手厳しいお方だ。先帝を思い出しますな……あの方も、ゆっくりしなよと言いながら、私に無茶な命令をしたものです」
「本当はそうさせてあげたかったんだけど……どうも、色々ときな臭くてね。そうも言っていられないんだ」
「ええ、わかっております」

 すると……。

「拙者も!」
「ああ、良いよ」

 再び剣を構えて……。

「ハァ!」
「くっ!?」

 カグラが剣を振るうだけで……暴風が吹く!

「でも……」

 剣を斜めにして受け止めて、、カグラのパワーを逃がす。

「ふふ……流石なのだ」
「そっちこそ……相変わらずの力だね」
「まだまだです!」

 次々と剣撃が襲ってるが……それを避けつつ、小手を叩き込む!

「どう……まじか」

 以前なら、これで剣を手放していたが……。

「ふふふ、痛くも痒くもないのだ」
「まいったね、これは……」

 どうやら、とてつもない肉体強化が成されている。
 もはや、魔力なしでは傷一つつけられないか。

「でも、相変わらずアレス様は上手いのだ。ちっとも、当たらない」
「まあ、俺は食らわないことが前提だから。カグラは食らっても前へって感じかな」
「はいっ! 拙者の役目は主人殿をお守りすることですから!」

(……そうか。じゃあ、それに値する男にならないとね)

 いやはや……これは負けてられないや。

 何より……懐かしくて、心が温かくなる。

 なんか……帰ってきたんだなぁって思うよね。
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