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青年期~前編~
真実はどこに?
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調べ物をしつつ、レナを鍛え……。
己自身の鍛錬も欠かさずやり、アスナと稽古もして……。
時には魔物退治に行き……ロナードを手助けする。
そんな日々を過ごし……いよいよ、一年が過ぎようとしていた。
そして、今日はロナードの部屋にて話し合いをする。
「さて、いよいよ今週末には旅立つが……成果は得られたか?」
「ええ、ありがとうございました」
「なに、礼を言うのは俺の方だ。おかげで、無事に王位を継承することができた」
「俺はただ、父上に手紙を送っただけですよ。ロナードが信頼に値する男だと」
俺が父上に手紙を送ったことで、皇帝陛下からロナード宛に手紙が届いたらしい。
まあ、要約すると……王位を祝う言葉が書いてあったと。
これがわかりやすく、反対する貴族達を黙らせた。
我が国としては、もうロナードを王だと認識してますよって意味だからだ。
「それはお主が皇帝に信頼されているからこそだ。ただの息子としてではなく、一人の男として……俺も、そう思ってもらえたのだろうか」
「そうだと嬉しいですね……それは、ロナードの中にしかないかと」
「ふっ、それもそうだ。俺は、俺の思う理想に進んでいくだけだ」
そこで、俺は一つ咳払いをする。
「成果の話ですが、邪神のことや魔族のこと、女神についても、我が国とは違った見解があって興味深かったですね」
「ふむ……まあ、詳しい話は聞くまい。今回のはお主への褒美であって、俺がアスカロン帝国の禁書内容を知ることは許されない」
「ええ、助かります。ただ、これだけは話そうかと思ってまして……」
「なに? ……どんな内容だ?」
俺は色々調べていくうちに、国の成り立ちから疑問が湧いてきた。
それに、どうして俺やロナードが狙われるのかを……。
「まずは、ここの初代についての詳しい情報がなかったです。そして、それは我が国も同じです」
「ふむ……しかし、何千年も前のことだ。それも、無理はあるまい?」
「ええ、そう思います。まあ、それは答えがないので置いときます。俺が思ったのは……我が国やこの国の王位は、何者かによって操作されてきたのでは……ということです」
「……すまん、詳しく説明してくれるか?」
「まずは各国の重鎮に、教会……かはわからないですが、スパイがいましたね?」
「ああ、そうだな」
「ですが、今だけですかね? もっと前からもいたとしたら?」
「そう思う理由はなんだ?」
「王位を継ぐ者が、それに相応しくない人がいたり……もしくは、その予定がなかった人がなる場合もあったので」
俺がこう思ったのは、父上の話を聞いたからだ。
基盤が出来ていた二人の兄がいて、本来なら継ぐはずもなかったと。
いきなり皇帝となり、力もなくて大変だったと。
「なるほど、それが俺とお主が狙われた理由に繋がるか。俺やお主が王位を継ぐと困る連中……教会か?」
「ええ、そう思います。ここからは推測になりますが……奴らは信奉者を集めたいはず」
「つまり、ろくでもない男を王位につけて、民の不安をあおぎ……ありえるな」
「国が不安定になれば、女神の信奉者もとい——教会への依存度が高まります」
「そうか……今までも、そうやって殺されてきたかもしれないか」
「あくまでも、推測でしかありませんが……」
「いや、貴重な話だった。俺の方でも、考えておこう」
その帰り道……。
「ロナードには言わなかったが……」
(そもそも、きちんと……王位や皇位を継承してきたのか?何処かで、良いように作り変えられていないか? 誰かにとって、都合が良いように)
「もしかしたら、フラムベルク家が言っていることと関係が?」
(それで、本来皇位継承をするのが自分たちだと……)
「いや、流石に話が飛躍しすぎか……」
その後、大使館に戻ると……。
「師匠! お帰りなさい!」
「ああ、ただいま。どうだ? 調子は?」
「うむっ! ゴーレムを動かせるようになったのじゃ!」
(……レナも、随分と元気になったな。俺の国に行くことも、受け入れてたし……もちろん一番の理由は、ロナードの足手まといになりたくないからだけどね)
「レナ、もう一度聞くけど……良いんだな?」
「お兄様の足かせにはなりたくないのじゃ……」
「わかった。なら、俺が責任持ってお前を鍛えよう。そして、いつの日かロナードを助けてあげると良い」
「は、はいっ! よろしくお願いします!」
「クク、随分と素直になって……」
「あぅぅ……」
すると、向こうからアスナとダインさんがやってくる。
「あらー、カグラさんに報告ですねー」
「おい? そういうアレではなくない?」
「またまたー、私も側室になりますし、どんどん増えていきますねー」
「えっ!? そうだったのですか!?」
「違うからっ! ダインさんが信じちゃうからっ!」
「むぅ……既成事実は失敗しますし、外堀を埋めるのも失敗ですか」
……最近、やたら迫ってくると思ったら。
俺とて思春期の男だ、興味がないわけじゃないが……。
カグラやセレナを裏切るわけにはいかないしね。
(二人とも……元気にしてるかな? )
家族のみんなや、オルガにも早く会いたいな……。
己自身の鍛錬も欠かさずやり、アスナと稽古もして……。
時には魔物退治に行き……ロナードを手助けする。
そんな日々を過ごし……いよいよ、一年が過ぎようとしていた。
そして、今日はロナードの部屋にて話し合いをする。
「さて、いよいよ今週末には旅立つが……成果は得られたか?」
「ええ、ありがとうございました」
「なに、礼を言うのは俺の方だ。おかげで、無事に王位を継承することができた」
「俺はただ、父上に手紙を送っただけですよ。ロナードが信頼に値する男だと」
俺が父上に手紙を送ったことで、皇帝陛下からロナード宛に手紙が届いたらしい。
まあ、要約すると……王位を祝う言葉が書いてあったと。
これがわかりやすく、反対する貴族達を黙らせた。
我が国としては、もうロナードを王だと認識してますよって意味だからだ。
「それはお主が皇帝に信頼されているからこそだ。ただの息子としてではなく、一人の男として……俺も、そう思ってもらえたのだろうか」
「そうだと嬉しいですね……それは、ロナードの中にしかないかと」
「ふっ、それもそうだ。俺は、俺の思う理想に進んでいくだけだ」
そこで、俺は一つ咳払いをする。
「成果の話ですが、邪神のことや魔族のこと、女神についても、我が国とは違った見解があって興味深かったですね」
「ふむ……まあ、詳しい話は聞くまい。今回のはお主への褒美であって、俺がアスカロン帝国の禁書内容を知ることは許されない」
「ええ、助かります。ただ、これだけは話そうかと思ってまして……」
「なに? ……どんな内容だ?」
俺は色々調べていくうちに、国の成り立ちから疑問が湧いてきた。
それに、どうして俺やロナードが狙われるのかを……。
「まずは、ここの初代についての詳しい情報がなかったです。そして、それは我が国も同じです」
「ふむ……しかし、何千年も前のことだ。それも、無理はあるまい?」
「ええ、そう思います。まあ、それは答えがないので置いときます。俺が思ったのは……我が国やこの国の王位は、何者かによって操作されてきたのでは……ということです」
「……すまん、詳しく説明してくれるか?」
「まずは各国の重鎮に、教会……かはわからないですが、スパイがいましたね?」
「ああ、そうだな」
「ですが、今だけですかね? もっと前からもいたとしたら?」
「そう思う理由はなんだ?」
「王位を継ぐ者が、それに相応しくない人がいたり……もしくは、その予定がなかった人がなる場合もあったので」
俺がこう思ったのは、父上の話を聞いたからだ。
基盤が出来ていた二人の兄がいて、本来なら継ぐはずもなかったと。
いきなり皇帝となり、力もなくて大変だったと。
「なるほど、それが俺とお主が狙われた理由に繋がるか。俺やお主が王位を継ぐと困る連中……教会か?」
「ええ、そう思います。ここからは推測になりますが……奴らは信奉者を集めたいはず」
「つまり、ろくでもない男を王位につけて、民の不安をあおぎ……ありえるな」
「国が不安定になれば、女神の信奉者もとい——教会への依存度が高まります」
「そうか……今までも、そうやって殺されてきたかもしれないか」
「あくまでも、推測でしかありませんが……」
「いや、貴重な話だった。俺の方でも、考えておこう」
その帰り道……。
「ロナードには言わなかったが……」
(そもそも、きちんと……王位や皇位を継承してきたのか?何処かで、良いように作り変えられていないか? 誰かにとって、都合が良いように)
「もしかしたら、フラムベルク家が言っていることと関係が?」
(それで、本来皇位継承をするのが自分たちだと……)
「いや、流石に話が飛躍しすぎか……」
その後、大使館に戻ると……。
「師匠! お帰りなさい!」
「ああ、ただいま。どうだ? 調子は?」
「うむっ! ゴーレムを動かせるようになったのじゃ!」
(……レナも、随分と元気になったな。俺の国に行くことも、受け入れてたし……もちろん一番の理由は、ロナードの足手まといになりたくないからだけどね)
「レナ、もう一度聞くけど……良いんだな?」
「お兄様の足かせにはなりたくないのじゃ……」
「わかった。なら、俺が責任持ってお前を鍛えよう。そして、いつの日かロナードを助けてあげると良い」
「は、はいっ! よろしくお願いします!」
「クク、随分と素直になって……」
「あぅぅ……」
すると、向こうからアスナとダインさんがやってくる。
「あらー、カグラさんに報告ですねー」
「おい? そういうアレではなくない?」
「またまたー、私も側室になりますし、どんどん増えていきますねー」
「えっ!? そうだったのですか!?」
「違うからっ! ダインさんが信じちゃうからっ!」
「むぅ……既成事実は失敗しますし、外堀を埋めるのも失敗ですか」
……最近、やたら迫ってくると思ったら。
俺とて思春期の男だ、興味がないわけじゃないが……。
カグラやセレナを裏切るわけにはいかないしね。
(二人とも……元気にしてるかな? )
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