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青年期~前編~
戦闘
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奴らは……何者だ?
いや……バカか、俺は。
今は、そんなことを考えてる場合ではない!
「ガロン殿! ロナードを守ってください!」
「あん? しゃあねえ!」
「アスナ! 俺の背中は任せる!」
「あいさー!」
「ロナード! 時間を稼ぐ!」
「わかった!」
俺は抜刀して、刀に火を纏わせる。
そして、好き勝手している奴らに突撃し……。
「ヒャハハ!」
「クズめ」
馬ごと、バターのように斬り裂く!
「ギァァアァ!?」
「貴様ぁぁ!!」
「させませんよ!」
「ゲホッ!?」
俺の素早い動きに、アスナはしっかりついてくる。
訓練の成果もあるだろうが、元々の才能もあるのだろう。
カグラとは違った意味でやりやすい。
「おい! こいつだ! 銀髪のガキだっ!
「報酬は頂いたぜっ!」
「馬鹿言うな! 俺がやる!」
(どうやら、盗賊の類か? 装備や格好もバラバラだ。そして、狙いは俺? いや、都合がいい……俺に群がってくるなら)
「アスナ! 無法者のようだっ! 俺が一気にやる! 護衛を任せる!」
「了解です!」
俺は刀を鞘にしまい、精神統一をする。
……市街地に被害が出ないように、範囲を狭めて……。
尚且つ、奴らを焼き尽くす威力を……!
「アスナ! 俺の後ろに!」
「はいっ!」
アスナが、俺の後ろに来ると同時に……。
「しねぇ!」
「俺が先だっ!」
「後ろにはロナードもいるぜ!」
(ロナードも狙いか……俺とロナードを消したい人間がいる?)
「まあ、良い……炎の波よ、敵を飲み込め——フレイムウェイブ!」
威力調整をした炎の波は……。
「ギャァァァァ!」
「ァァァ!」
「ヒイィィィ!?」
接近してきた奴らを飲み込んでいく。
そして馬で駆けてきている奴らは……もう止まることができない。
自動的に、俺の魔法の餌食となっていく。
「くっ……」
「平気ですかー?」
「ああ……こればっかりは、いつになっても慣れそうにないな」
「そうですねー……人が焼ける匂いってきついですよね」
「だが、これである程度一網打尽に出来たな」
「後ろの方にいる人は、まだ辛うじて生きてますね。一人くらい捕まえておきます?」
「ああ、ならず者なら、命の危険が迫れば口を割る……そうもいかないか」
炎の波が去った後……。
二人の男が、スッと立ち上がり……生きている者を槍で突き刺す。
「とっさにカスどもを盾にしましたが……なるほど、これは中々ですね」
「チッ! めんどくせえ」
身長180程度で、引き締まった身体の男だ。
顔は能面みたいに、無表情のまま……なまじ顔が精悍なだけに気味が悪い。
もう片方は、それを超える大きさと肉体の持ち主で、厳つい顔をしている。
「アスナ!」
「わかってます! 相性が悪いですね! 交代します!」
アスナが後方に下がり……すぐに、ガロン殿が来る。
どうやら、ロナードが先に手配してくれたみたいだな。
「アレス、きたぜ。んで、俺の相手はアレか? へっ、良いぜ」
「なんだ?あいつは? 情報にねえ奴だ」
「お前の相手をしてやるよ。ほら、かかってきな」
「……チッ、計算が狂うぜ」
にらみ合ったまま、二人はその場から離れていく。
俺は目の前のこいつから視線を逸らさない——いや、逸らせない。
「一応聞くが……何者だ?」
「答えるとでも?」
「いいや」
「では、無駄ですね」
「そのようで」
居合いの構えにて、奴と対峙する。
奴は槍を構え、静かに佇む。
(隙がない……構えといい、盗賊の類じゃないな)
「ふむ……らちがあかないですね——」
(くる!)
「くっ!?」
「ほう?」
気がついた時には、目の前に槍が来ていた!
連続して槍が繰り出されるのを、身体をひねり躱すが……手が出ない!
「ならば……!」
「むっ!?」
身体から炎を燃やして、相手にぶつける!
「これはこれは……この服があっても熱いとは」
「……随分と良いものを着てるな」
見た目はただの服だが、燃えていない。
「そちらこそ……ふむ、奴がやられるわけですね」
「……なるほどな」
(この二人は、教会の者だろう。ならず者の中に潜んで、俺達をひっそりと始末するつもりだったということか)
「ふふ、察しも良いと……腕も悪くない。魔法は一流に近い……計算外のこともありましたし……ギレン! 退きますよ!」
「させるか! ファイアースネーク!」
「シッ!」
(槍の一振りでかき消した!?)
「ならば……燃え尽きろ——クリムゾン」
「くっ!?」
相手を蒼い炎が包み込む……流石に上級魔法なら。
「ゼァ!」
「……光ってる?」
光が奴を包み込み、俺の炎が弾かれる。
「ま、まさか、これを使わされるとは……なめてましたね」
そして奴は武器をしまい、両手で身体を守っていた。
(——今なら!)
抜刀の構えから瞬時に接近し——
「甘いですよ——聖光気!!」
奴の腕が一層光り輝くが——全ての力を込めて。
「火龍一閃」
「なぁ——!?」
「団長!?」
俺の放った居合いは——奴の右腕を切断した。
「セァ!」
「ぐはっ! ……なに?」
右腕を切断されつつも、俺に蹴りを入れてきただと?
「退きますよ!」
「おうよっ!」
「ま、待て!」
奴は一瞬だけ振り返り……。
「素晴らしい威力ですね。敬意を表して、名前だけ教えましょう。ハロルドと申します——以後お見知りおきを」
そして、二人は見えなくなっていく……。
この戦いで仕留められなかったのは……手痛いかもしれない。
いや……バカか、俺は。
今は、そんなことを考えてる場合ではない!
「ガロン殿! ロナードを守ってください!」
「あん? しゃあねえ!」
「アスナ! 俺の背中は任せる!」
「あいさー!」
「ロナード! 時間を稼ぐ!」
「わかった!」
俺は抜刀して、刀に火を纏わせる。
そして、好き勝手している奴らに突撃し……。
「ヒャハハ!」
「クズめ」
馬ごと、バターのように斬り裂く!
「ギァァアァ!?」
「貴様ぁぁ!!」
「させませんよ!」
「ゲホッ!?」
俺の素早い動きに、アスナはしっかりついてくる。
訓練の成果もあるだろうが、元々の才能もあるのだろう。
カグラとは違った意味でやりやすい。
「おい! こいつだ! 銀髪のガキだっ!
「報酬は頂いたぜっ!」
「馬鹿言うな! 俺がやる!」
(どうやら、盗賊の類か? 装備や格好もバラバラだ。そして、狙いは俺? いや、都合がいい……俺に群がってくるなら)
「アスナ! 無法者のようだっ! 俺が一気にやる! 護衛を任せる!」
「了解です!」
俺は刀を鞘にしまい、精神統一をする。
……市街地に被害が出ないように、範囲を狭めて……。
尚且つ、奴らを焼き尽くす威力を……!
「アスナ! 俺の後ろに!」
「はいっ!」
アスナが、俺の後ろに来ると同時に……。
「しねぇ!」
「俺が先だっ!」
「後ろにはロナードもいるぜ!」
(ロナードも狙いか……俺とロナードを消したい人間がいる?)
「まあ、良い……炎の波よ、敵を飲み込め——フレイムウェイブ!」
威力調整をした炎の波は……。
「ギャァァァァ!」
「ァァァ!」
「ヒイィィィ!?」
接近してきた奴らを飲み込んでいく。
そして馬で駆けてきている奴らは……もう止まることができない。
自動的に、俺の魔法の餌食となっていく。
「くっ……」
「平気ですかー?」
「ああ……こればっかりは、いつになっても慣れそうにないな」
「そうですねー……人が焼ける匂いってきついですよね」
「だが、これである程度一網打尽に出来たな」
「後ろの方にいる人は、まだ辛うじて生きてますね。一人くらい捕まえておきます?」
「ああ、ならず者なら、命の危険が迫れば口を割る……そうもいかないか」
炎の波が去った後……。
二人の男が、スッと立ち上がり……生きている者を槍で突き刺す。
「とっさにカスどもを盾にしましたが……なるほど、これは中々ですね」
「チッ! めんどくせえ」
身長180程度で、引き締まった身体の男だ。
顔は能面みたいに、無表情のまま……なまじ顔が精悍なだけに気味が悪い。
もう片方は、それを超える大きさと肉体の持ち主で、厳つい顔をしている。
「アスナ!」
「わかってます! 相性が悪いですね! 交代します!」
アスナが後方に下がり……すぐに、ガロン殿が来る。
どうやら、ロナードが先に手配してくれたみたいだな。
「アレス、きたぜ。んで、俺の相手はアレか? へっ、良いぜ」
「なんだ?あいつは? 情報にねえ奴だ」
「お前の相手をしてやるよ。ほら、かかってきな」
「……チッ、計算が狂うぜ」
にらみ合ったまま、二人はその場から離れていく。
俺は目の前のこいつから視線を逸らさない——いや、逸らせない。
「一応聞くが……何者だ?」
「答えるとでも?」
「いいや」
「では、無駄ですね」
「そのようで」
居合いの構えにて、奴と対峙する。
奴は槍を構え、静かに佇む。
(隙がない……構えといい、盗賊の類じゃないな)
「ふむ……らちがあかないですね——」
(くる!)
「くっ!?」
「ほう?」
気がついた時には、目の前に槍が来ていた!
連続して槍が繰り出されるのを、身体をひねり躱すが……手が出ない!
「ならば……!」
「むっ!?」
身体から炎を燃やして、相手にぶつける!
「これはこれは……この服があっても熱いとは」
「……随分と良いものを着てるな」
見た目はただの服だが、燃えていない。
「そちらこそ……ふむ、奴がやられるわけですね」
「……なるほどな」
(この二人は、教会の者だろう。ならず者の中に潜んで、俺達をひっそりと始末するつもりだったということか)
「ふふ、察しも良いと……腕も悪くない。魔法は一流に近い……計算外のこともありましたし……ギレン! 退きますよ!」
「させるか! ファイアースネーク!」
「シッ!」
(槍の一振りでかき消した!?)
「ならば……燃え尽きろ——クリムゾン」
「くっ!?」
相手を蒼い炎が包み込む……流石に上級魔法なら。
「ゼァ!」
「……光ってる?」
光が奴を包み込み、俺の炎が弾かれる。
「ま、まさか、これを使わされるとは……なめてましたね」
そして奴は武器をしまい、両手で身体を守っていた。
(——今なら!)
抜刀の構えから瞬時に接近し——
「甘いですよ——聖光気!!」
奴の腕が一層光り輝くが——全ての力を込めて。
「火龍一閃」
「なぁ——!?」
「団長!?」
俺の放った居合いは——奴の右腕を切断した。
「セァ!」
「ぐはっ! ……なに?」
右腕を切断されつつも、俺に蹴りを入れてきただと?
「退きますよ!」
「おうよっ!」
「ま、待て!」
奴は一瞬だけ振り返り……。
「素晴らしい威力ですね。敬意を表して、名前だけ教えましょう。ハロルドと申します——以後お見知りおきを」
そして、二人は見えなくなっていく……。
この戦いで仕留められなかったのは……手痛いかもしれない。
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