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青年期~前編~
王女様とメイドさん
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二人と合流して——いよいよ、国境を越えた。
気持ちのいい日差しを目を細め、辺りを見渡す。
そこには草原が広がっており、整備された我が国とは色々と違うようだ。
だが、それが逆に解放感を感じさせる。
「ふぅ……ひとまずといったところか」
「そうですねー。まだ、こっから街までは距離があるみたいですから」
「確か、迎えの方がいるとか……あれですかね?」
門を抜けた先で待っていると、騎兵と共に馬車がやってくる。
そして、その中から一人の少女が出てくる。
その後ろには、メイドらしき女性が付き従っている。
「お主がアレスか!?」
「へっ? はい、そうですけど……」
多分、年齢は五、六歳くらいか?
輝く金髪に、可愛らしい顔つき、そしてツインテール……テンプレだな。
「うむ! 我こそはレナ-グロリアじゃ! この国の第一王女である!」
「なるほど、王女殿下でしたか。申し遅れました、私の名はアレス-アスカロン。アスカロン 帝国の第三皇子です」
作法に則り、きちんと礼をする。
「むむ……! やりおる!」
「はい?」
「やはり、噂など当てにならんのじゃ!」
「えっと……?」
「気に入ったのじゃ! さあ! 参ろうではないか!」
よくわからないが、気に入られたらしい。
ただ、返事も聞かずに歩き出すのは如何なものかと思うが……。
王女とはいえ、使者にしては若すぎる気がするし……騙されてることはないはずだが。
「アスナ、ダインさん、行こう。あの家紋は間違いなくグロリア王家のものだ」
鷹のようなデザインをしている。
ちなみに我が国は、神器アスカロンをモチーフにしている。
「そうですねー。私の知識とも一致します。というか、あのメイドさん……同じ匂いがしますね」
「とりあえず、偽物って感じではなさそうですね」
「む……? 何をしているのじゃ!?」
ついてきてないことに気づき、彼女は後ろを振り返る。
「いえ、私だけは馬車に乗るということでよろしいか?」
「これは、我が浅慮であったのじゃ。うむ、悪いがお付きの二人は馬でついてきてくれ」
「わかりました。二人とも、そういうわけだ」
二人に俺の馬を任せて、単身馬車へと乗り込む。
さて、走り出したのは良いが……。
「うむ……」
何やら、じーっと見つめられている。
メイドさんは、黙ったままだし……。
「あの、何か?」
「い、いや! 中々に男前じゃな!」
「それは……ありがとうございます。レナ王女殿下も可愛いらしいですよ」
「えへへー……あ、当たり前なのじゃ!」
どうやら、ませた子みたいだけど、子供らしい一面もあるようだ。
「まずは、隣の方を紹介してもらえますか?」
なんというか、覇気がないというか……。
さっきから眠たそうにしている。
「エミリア……エミリア……エミリア!」
「……呼びました?」
「ずっと呼んでるのじゃ!」
「お嬢様は今日も元気ですね」
「そうじゃない! 自己紹介するのじゃ!」
「私は眠いので、お嬢様が代わりにお願いします」
そう言い……寝息をたて始めた。
えっ? マジで? 護衛とかじゃないの?
あと、一応……俺たち皇族と王族なんだけど?
「むぅ~! 相変わらずお主という奴は! 仕方ない、我が説明しよう」
良いんだ、それで……。
うん、よくわからない主従関係だな。
「はい、お願いします。あと、何故王女殿下が迎えにきたのかも」
「うっ……うむ、もちろんじゃ。こやつはエミリアといい、私の護衛兼お世話係なのじゃ。このような感じではあるが、仕事は出来るので大目に見ている」
「確かに……隙がないですね」
一見隙だらけに見えるが……実際には、隙がない。
アスナの言う通り、そっち系の人ということだろう。
「それがわかるお主も、只者ではないのう。して、何故我が来たかというと……暇だったのじゃ」
「はい?」
「我は王女なのでやることがないのじゃ! 唯一の王女だからって過保護過ぎるのじゃ! そんなのつまらないのじゃ!」
ふむ……詳しい理由はわからないが、その気持ちはわかる。
俺も、自由に動ける身分ではなかったからな。
「そうですよね、城に篭ってばかりでは退屈ですよね」
「おおっ! わかってくれるのか!?」
「ええ、私も自由には動けない時期がありましたから」
「うむうむ、話のわかる殿方でよかったのじゃ」
「ただ……黙って行動しているのわけではないでしょうね?」
それだったら話は別だ。
後々問題になるし、皆が心配するだろう。
「うっ……も、もちろんじゃ」
「怪しいですね」
「アレス様、ご安心ください。とある方から許可を得ています。後々、問題になることは御座いません。ただ、お嬢様が叱られるだけですので」
「ふえっ!? わたし叱られるの!?」
あわあわして、言葉遣いが変わった。
こっちが素なのか? まあ、子供らしくて良いけどね。
「それはもちろんです」
「でもでも! エミリアも謝ってくれるよね!?」
「いえ、私には関係ないので。逆らうことのできない私は、お嬢様に無理矢理連れてこられたということで」
「そ、そんな……裏切り者めっ!」
どうやら、愉快な方達のようだ。
皇族である俺に対する態度とか、少し生意気なところは気になるけど……。
概ね、良い子だと思って良いだろう。
その後、馬車は走り続け……。
「アレス! 着いたのじゃ!」
外の景色をのぞいて見ると……。
「随分と立派な外壁ですね」
ビルの高さほどの壁が都市全体を覆っているようだ。
「うむ! 一応王都であるからなっ! さあ、行くのじゃ!」
そのまま検査を受けることもなく、いわゆる貴族専門の門をくぐっていく。
どうやら、本当に王女様らしいな。
なにせ、兵士達が片膝をついて下を向いている。
「本当に王女様だったのですね」
「な、なに!? 疑っておったのか!?」
「いや、私は見たことがないので。ちなみに、私だとわかったのは何故ですか?」
「確かに、我は他国にはあまり知られていないのじゃ。だが、そちは違う。おそらく、どの国でも有名だろうと思う」
「それは初耳ですね」
「女と見間違うかのような綺麗な容姿。輝く銀髪を持ち、剣を持てば華麗に舞い、魔法を唱えれば全てを焼き尽くす。何より、礼儀を重んじると」
「……はい?」
「なんじゃ、知らんのか?」
「え、ええ……なにせ、色々と制限のある生活をしているので」
おそらく民や兵士、または俺の耳に入らないように大臣達が手配したのだろうな。
「ふむ……まあ、良いのじゃ。後々、話を聞くとしよう」
その後、街の中を眺めていると……とあることに気づく。
俺の国であるアスカロン帝国は、おそらくヨーロッパ式の街並みだ。
一部を除いて、高さや大きさが同じような家が綺麗に並んでいて、道幅も広い。
そしてノスタルジアは、オルガの実家付近からいって、おそらく和風だ。
木材建築が多く、デザインは多種多様なイメージだ。
教会には行ったことがないからわからない。
しかし、このグロリア王国の街並みは……。
「アメリカの郊外に近い……?」
家と家の間が空いていて、全体的に大きい建物がある。
以前、出張で行ったことがあるから覚えている。
……やはり、この世界はおかしい。
前の世界と似ている部分がありすぎる。
やはり、迷い人達が伝えたのか?
だとしたら……いつからいた?
そして、現地の人間はどうして受け入れた?。
……この国で、少しは謎が解けると良いが。
気持ちのいい日差しを目を細め、辺りを見渡す。
そこには草原が広がっており、整備された我が国とは色々と違うようだ。
だが、それが逆に解放感を感じさせる。
「ふぅ……ひとまずといったところか」
「そうですねー。まだ、こっから街までは距離があるみたいですから」
「確か、迎えの方がいるとか……あれですかね?」
門を抜けた先で待っていると、騎兵と共に馬車がやってくる。
そして、その中から一人の少女が出てくる。
その後ろには、メイドらしき女性が付き従っている。
「お主がアレスか!?」
「へっ? はい、そうですけど……」
多分、年齢は五、六歳くらいか?
輝く金髪に、可愛らしい顔つき、そしてツインテール……テンプレだな。
「うむ! 我こそはレナ-グロリアじゃ! この国の第一王女である!」
「なるほど、王女殿下でしたか。申し遅れました、私の名はアレス-アスカロン。アスカロン 帝国の第三皇子です」
作法に則り、きちんと礼をする。
「むむ……! やりおる!」
「はい?」
「やはり、噂など当てにならんのじゃ!」
「えっと……?」
「気に入ったのじゃ! さあ! 参ろうではないか!」
よくわからないが、気に入られたらしい。
ただ、返事も聞かずに歩き出すのは如何なものかと思うが……。
王女とはいえ、使者にしては若すぎる気がするし……騙されてることはないはずだが。
「アスナ、ダインさん、行こう。あの家紋は間違いなくグロリア王家のものだ」
鷹のようなデザインをしている。
ちなみに我が国は、神器アスカロンをモチーフにしている。
「そうですねー。私の知識とも一致します。というか、あのメイドさん……同じ匂いがしますね」
「とりあえず、偽物って感じではなさそうですね」
「む……? 何をしているのじゃ!?」
ついてきてないことに気づき、彼女は後ろを振り返る。
「いえ、私だけは馬車に乗るということでよろしいか?」
「これは、我が浅慮であったのじゃ。うむ、悪いがお付きの二人は馬でついてきてくれ」
「わかりました。二人とも、そういうわけだ」
二人に俺の馬を任せて、単身馬車へと乗り込む。
さて、走り出したのは良いが……。
「うむ……」
何やら、じーっと見つめられている。
メイドさんは、黙ったままだし……。
「あの、何か?」
「い、いや! 中々に男前じゃな!」
「それは……ありがとうございます。レナ王女殿下も可愛いらしいですよ」
「えへへー……あ、当たり前なのじゃ!」
どうやら、ませた子みたいだけど、子供らしい一面もあるようだ。
「まずは、隣の方を紹介してもらえますか?」
なんというか、覇気がないというか……。
さっきから眠たそうにしている。
「エミリア……エミリア……エミリア!」
「……呼びました?」
「ずっと呼んでるのじゃ!」
「お嬢様は今日も元気ですね」
「そうじゃない! 自己紹介するのじゃ!」
「私は眠いので、お嬢様が代わりにお願いします」
そう言い……寝息をたて始めた。
えっ? マジで? 護衛とかじゃないの?
あと、一応……俺たち皇族と王族なんだけど?
「むぅ~! 相変わらずお主という奴は! 仕方ない、我が説明しよう」
良いんだ、それで……。
うん、よくわからない主従関係だな。
「はい、お願いします。あと、何故王女殿下が迎えにきたのかも」
「うっ……うむ、もちろんじゃ。こやつはエミリアといい、私の護衛兼お世話係なのじゃ。このような感じではあるが、仕事は出来るので大目に見ている」
「確かに……隙がないですね」
一見隙だらけに見えるが……実際には、隙がない。
アスナの言う通り、そっち系の人ということだろう。
「それがわかるお主も、只者ではないのう。して、何故我が来たかというと……暇だったのじゃ」
「はい?」
「我は王女なのでやることがないのじゃ! 唯一の王女だからって過保護過ぎるのじゃ! そんなのつまらないのじゃ!」
ふむ……詳しい理由はわからないが、その気持ちはわかる。
俺も、自由に動ける身分ではなかったからな。
「そうですよね、城に篭ってばかりでは退屈ですよね」
「おおっ! わかってくれるのか!?」
「ええ、私も自由には動けない時期がありましたから」
「うむうむ、話のわかる殿方でよかったのじゃ」
「ただ……黙って行動しているのわけではないでしょうね?」
それだったら話は別だ。
後々問題になるし、皆が心配するだろう。
「うっ……も、もちろんじゃ」
「怪しいですね」
「アレス様、ご安心ください。とある方から許可を得ています。後々、問題になることは御座いません。ただ、お嬢様が叱られるだけですので」
「ふえっ!? わたし叱られるの!?」
あわあわして、言葉遣いが変わった。
こっちが素なのか? まあ、子供らしくて良いけどね。
「それはもちろんです」
「でもでも! エミリアも謝ってくれるよね!?」
「いえ、私には関係ないので。逆らうことのできない私は、お嬢様に無理矢理連れてこられたということで」
「そ、そんな……裏切り者めっ!」
どうやら、愉快な方達のようだ。
皇族である俺に対する態度とか、少し生意気なところは気になるけど……。
概ね、良い子だと思って良いだろう。
その後、馬車は走り続け……。
「アレス! 着いたのじゃ!」
外の景色をのぞいて見ると……。
「随分と立派な外壁ですね」
ビルの高さほどの壁が都市全体を覆っているようだ。
「うむ! 一応王都であるからなっ! さあ、行くのじゃ!」
そのまま検査を受けることもなく、いわゆる貴族専門の門をくぐっていく。
どうやら、本当に王女様らしいな。
なにせ、兵士達が片膝をついて下を向いている。
「本当に王女様だったのですね」
「な、なに!? 疑っておったのか!?」
「いや、私は見たことがないので。ちなみに、私だとわかったのは何故ですか?」
「確かに、我は他国にはあまり知られていないのじゃ。だが、そちは違う。おそらく、どの国でも有名だろうと思う」
「それは初耳ですね」
「女と見間違うかのような綺麗な容姿。輝く銀髪を持ち、剣を持てば華麗に舞い、魔法を唱えれば全てを焼き尽くす。何より、礼儀を重んじると」
「……はい?」
「なんじゃ、知らんのか?」
「え、ええ……なにせ、色々と制限のある生活をしているので」
おそらく民や兵士、または俺の耳に入らないように大臣達が手配したのだろうな。
「ふむ……まあ、良いのじゃ。後々、話を聞くとしよう」
その後、街の中を眺めていると……とあることに気づく。
俺の国であるアスカロン帝国は、おそらくヨーロッパ式の街並みだ。
一部を除いて、高さや大きさが同じような家が綺麗に並んでいて、道幅も広い。
そしてノスタルジアは、オルガの実家付近からいって、おそらく和風だ。
木材建築が多く、デザインは多種多様なイメージだ。
教会には行ったことがないからわからない。
しかし、このグロリア王国の街並みは……。
「アメリカの郊外に近い……?」
家と家の間が空いていて、全体的に大きい建物がある。
以前、出張で行ったことがあるから覚えている。
……やはり、この世界はおかしい。
前の世界と似ている部分がありすぎる。
やはり、迷い人達が伝えたのか?
だとしたら……いつからいた?
そして、現地の人間はどうして受け入れた?。
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