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少年期~後編~

成長の証

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 ゴブリン、ゴブリンジェネラル、オーク、オークメイジが大量に出現する。

 まずは、穴をあける必要がある。

 集大成ということは、セレナとの鍛錬も見せる時。

 さて、やってみるとしよう。

「セレナ! 俺に合わせろ!」

 魔力を高め、起動段階に入る。

「はいっ!」

「一!」

「二!」

「「 ファイアートルネード!!」」

 俺の炎と、セレナの風が混ざり合う。
 それが、魔物たちを飲み込んでいく。

「グギャー!?」

「グォォー!?」

 高位魔法使いのみが使用出来る合成魔法だ。
 魔力コントロールが難しいので、よっぽど息が合わないと不可能でもある。

「カグラ!」

「行きますっ!」

 止むと同時に、俺とカグラは敵陣に突撃をする。

 ……なのだが、俺はいらなかったかな?

 先手必勝でかました効果もあるだろうけど……。

「これは、相手が可哀想になってくるな」

「グギャ!」

「効かないのだっ! 邪魔だっ!」

 盾、または鎧にて、攻撃を弾く。
 そして大剣により一撃で、敵を粉砕する。

「コハァ!?」

「ゲゲゲ!?」

 時には盾で敵を押しつぶし、両手が塞がっていれば、頭突きをかます。
 俺が何をするわけでもなく、敵が減っていく。

「あはははっ! もっとかかってくるのだっ!」

 ……恐ろしい子だ。
 が、少し危うい感じもある。
 強すぎるが故か、高揚を抑えきれていない。
 これは、俺がどうにかしなくてはいけないか。

「セレナ! 俺達の周りの敵に魔法を!」

「はいっ! ……切り刻め! ウインドスラッシュ!」

 風の刃がいくつも出現し、敵の手足を斬りとばす!

「ゴバァァ!?」

「ァァァ!?」

 敵が転げ回っている今がチャンスだ。

「おい」

 刀の鞘でカグラの頭を叩く。

「痛っー!? な、何をするのですかっ!?」

「周りを見ろ」

「へっ? ……あ、あれ?」

 俺達の周りには魔物が溢れかえっていた。 

「一人で突っ走るなと言ったよな?」

「ご、ごめんなさいなのだ……うぅー」

「頼りになる婚約者が、ここにいるんだが?」

「……自画自賛ですか?」

「間違ってるか?」

「いいえっ! えへへ、婚約者……」

「わかったなら、しっかりと周りを見ること。良いな?」

「はいっ!」

「クク……娘は、良き相手に巡り会えましたな」

 クロイス殿がいつの間にか、側に来ていた。

「ち、父上!?」

「これは、クロイス殿」

「様子を見て、私が説教をしようかと思いましたが……必要ありませんでしたな」

「あぅぅ……」

「カグラ、お前が諌められてどうする? その方が、お前の愛する人であり、掛け替えのない主君なのだろう? ブリューナグ家の者として、もっとしっかりせんか」

「は、はぃ……」

「クロイス殿、その辺で。良いんですよ、俺はそんなところも好きですから」

「ひゃい!?」

「くははっ! こいつは1本取られましたなっ! では、私は戻るとしましょう」

 そう言い、去っていく。

「カグラ」

「す、好きって言われたのだ……えっ? なんなのだ、この気持ち……?」

 仕方ないので、再び鞘で殴る。

「あいたっ!?」

「さあ、行くぞ。まだ試験は終わっていない」

「うぅー……アレス様はずるいのだぁ」

 今度は俺が前に出て、敵を斬り捨てる。

 ある程度すると、ゴブリンジェネラルが出てくる。
   数年前には苦戦した相手だが……。
 
「ゴァァァ!」

「遅い」

 迫る爪を上段から斬り落とす。

「ゴァ!?」

「消えろ」

 すぐに切り返し、逆袈裟にて首を飛ばす。
 よし、刀身が以前よりあるから楽に斬れる。

「す、スマートなのだ」

「カグラと違って、俺には体力がないからね」

「えっと……褒められてる?」

「ああ、もちろんだ」

「なら良いのだっ!」

「フッ、可愛い奴」

「な、なんでなのだっ!?」

 カグラを前に行かせないように、敵に囲まれないように動き続ける。

「カグラちゃん! アレス様! 下がって!」

「ああ!」

「了解なのだっ!」
 
 俺たちが下がったタイミングで……。

「全てを飲み込め——タイダルウェーブ!」

 大津波に魔物たちがのまれていく……。
 それでも生き残った魔物は……。

「シッ!」

「ギャ!?」

「ブホッ!?」

 連続した突きにより、オルガが仕留めていく。
 それも、全て急所を突いて。
 これは……また腕が上がったな。

「拙者も!」

「待てって。いくら体力おばけでも、精度は下がってるはずだ。一度落ち着きなさい」

「むぅ……わかったのだ」

 周りを見てみると……。

「ロレンソ! 今すぐ魔法を撃て!」

 ザガンが槍を振り回して、魔物たちを倒している。
 だが、あれでは味方も近づけない。

「そんなにすぐには撃てませんよっ! それにザガン様に当たります!」

 魔法を撃つタイミングがわからず、オロオロしている。

「あぁー、めんど」

 アスナはそう言いつつ、短剣にて敵の喉元を貫いている。
 ……あいつ、本当は強いな。
 今までは手を抜いていた?
 あの家は代々諜報を担当していたはず……。
 やはり、そういう系なのか?

「ワァァー!?」

 エルバは必死に斧を振り回しているが……へっぴり腰故に、敵を仕留めきれていない。
 完全に、騎士達に助けられている。

「全然、チームワークが取れてないのだ」

「ああ、その通りだな。それぞれが勝手に動いている」

「むぅ……拙者も反省しなきゃ……」

「ああ、そうだな。だが、少しずつで良いさ。みんながいる」

「はいっ!」

 休憩を挟んで、俺たちは再び前に出る。

 そして……もうすぐたどり着くという時に、それは現れた。

「むっ! アレス様! お下がりください!」

 クロイス殿の声に、俺は素早く反応する。
    次の瞬間、瘴気が形を変え、大きいシルエットが浮かび上がる。

「グゴァァァ——!!」

 そして……俺の目の前には、体長三メートルを超えるトロールが立ちふさがっていた。

  
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