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少年期~後編~
変わった関係と変わらない関係
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そうだ……あの日以来、俺とヒルダ姉さんの関係は変わった。
俺の家に来ることもあるが、基本的には俺がいない時だけだし。
エリカを可愛がってくれるので、俺としては十分すぎることだ。
弟とはいえ、異性である俺と仲が良すぎてはこの世界ではよろしくないらしい。
この世界では、異母兄弟の結婚は禁忌ではないからな。
血を濃くするという意味で、そういうこともあると……。
ただ、前世の価値観がある俺からしたら、それは忌避感を感じることだ。
しかし、お互いを大事に思っていることだけは変わらない。
もちろん、それはこれからもだ。
「結局、クラス替えもなかったが……変わらなかったな」
「そうなのだっ! あいつら、私達が話しかけても無視するのだっ!」
「ごめんね、カグラちゃん。わたしのせいかも……何か理不尽なことを言われたら言い返したから」
確かに……色々言われてたなぁ。
身体を使って俺に取り入ったとか、宮廷魔道士の推薦を貰ったとか……。
アホか! そんなんで取れるようなら国が終わるっての!
いや……でも、あながちそうとも言えないか。
賄賂や不正により、国の内部が腐ってきている。
自分たちがやっているから、俺達もやっていると思ったんだろうな。
「セレナさん、それは違いますよ。どんな理由があろうとも、平民を貶めていい正当な理由などありません」
「オルガの言う通りだ。セレナ、理不尽なことには逆らって良い。悲しいことだが、そうしないと奴らはどんどんエスカレートしていくから。それでもしてくるようなら、俺が必ず守り抜く」
「はぃ……ありがとうございます……みんな、仲良くできたら良いのに」
俺はそれが無理なのを知っている……一部の人間とはそういうものだと。
平気で人を貶め、それをなんとも思わない奴らがいることを。
前の世界の経験によってな……ただ、まだ若く純粋なセレナには早いだろうな。
「そうなのだっ! ……アレス様、別にセレナだから良いんですけど……今のって、婚約者の前で言うセリフですか?」
上目遣いをしながら、カグラが俺の腕に絡みついてくる。
……うん、違和感。
いや、わかってはいる。
この世界では、少女から大人になる段階に入っていることは……。
ただ、俺の中の倫理観や価値観が合わないってだけで。
いや、それもおかしい……前世の価値観からいうと二股などあり得ない。
つまり……今の俺は、アレスと和馬がごちゃごちゃになっているのかも。
「いや……すまん、未だにピンと来ていないんだ。ただ、カグラのことも大事に思っている。それじゃダメかな?」
「い、いえっ! それなら良いのですっ!」
顔を真っ赤にするところを見ると、まだまだ子供だなぁとも思う。
「でも……まだ、婚約者ではないよね?」
確か、これから話し合いが持たれるって聞いたような……。
それとも、俺の知らないところで進んだのか?
「うぅー……そうですけど……はっ! こ、断るのですか!? い、いや、アレス様にも選ぶ権利があるのは重々承知の上で……でも、拙者はアレス様以外の人とは……」
まるで、プシューと擬音が聴こえてきそうだな。
「ふふ、大丈夫ですよ。アレス様はカグラちゃんが好きですから」
「むぅ……セレナはずるいのである。そんなに成長してっ! この胸はなんなのだ!? 拙者にも分けて欲しいのだっ!」
「キャア!? や、やめてってばっ!」
「さあオルガ、先を急ごう。紳士が見るべきではないからね」
「ええ、わかってますとも。では、まいりましょう」
俺には特殊な性癖はないので、見て見ぬ振りをする。
それにしても、セレナとカグラの距離感が近くなったよな。
そして、俺とオルガの距離感も。
学校に到着して、教室に入ると……。
いつも通り四人で固まって、俺達を睨みつけてくる。
その関係は、もはや修復不可能なレベルに達している。
リーダー格であるザガンは、第一王妃と同じ家柄だ。
俺のせいで幽閉されたことにより、完全に決裂したということだ。
「はいはーい! 皆さん、おはようございます!」
コルン先生は相変わらず小さいし、何もかも変わっていない。
「さあ、いよいよ卒業試験も近づいてきましたねっ! 皆さん、その次は本格的に進路相談ですからね。進路は決まりましたか? まだの人は考えておいてくださいねっ!」
皆がそれぞれ返事をする。
「はいっ! いい子ですねっ! では、先生はここにいるので、あとは自由にしてください」
最終学年でSクラスの俺達は、基本的に授業はない。
自習という形で、それぞれが自由に過ごすことになる。
一応、問題が起きないように教室内にいることが条件だが。
「進路か……カグラは?」
「拙者は、その、実家に帰って……花嫁修行といいますか……あぅぅ……」
「俺が悪かったよ。そうか……セレナは?」
「わたしは、宮廷魔導士に弟子入りというか、お手伝いをすることになるかと思います」
「おっ、いよいよか。オルガは?」
「僕は領地に帰って、本格的に家を継ぐ準備に入りますね。でも、まだ未定というか……姉上次第なところもあるので」
確か、放浪癖がある人だったな。
ヒルダ姉さん似た感じの人で、とつも楽しい方だった。
今は……婿探しの旅に出る!とか言ってたらしい。
「オルガが継ぐと決まったわけじゃないってことか」
「ええ、でも学ぶことは無駄にはなりませんので。アレス様はどうなさるのですか?」
「俺は……どうするんだろうね?」
「やはり、まだ決まっていないのですか?」
「むぅ……アレス様については、上の方でも揉めているそうです」
「うーん……アレス様の境遇を考えると、難しいですよね」
そうなんだよなぁー。
今日、帰ったら本格的に父上と話し合うことになっているが……。
さて、どうなることやら。
俺の家に来ることもあるが、基本的には俺がいない時だけだし。
エリカを可愛がってくれるので、俺としては十分すぎることだ。
弟とはいえ、異性である俺と仲が良すぎてはこの世界ではよろしくないらしい。
この世界では、異母兄弟の結婚は禁忌ではないからな。
血を濃くするという意味で、そういうこともあると……。
ただ、前世の価値観がある俺からしたら、それは忌避感を感じることだ。
しかし、お互いを大事に思っていることだけは変わらない。
もちろん、それはこれからもだ。
「結局、クラス替えもなかったが……変わらなかったな」
「そうなのだっ! あいつら、私達が話しかけても無視するのだっ!」
「ごめんね、カグラちゃん。わたしのせいかも……何か理不尽なことを言われたら言い返したから」
確かに……色々言われてたなぁ。
身体を使って俺に取り入ったとか、宮廷魔道士の推薦を貰ったとか……。
アホか! そんなんで取れるようなら国が終わるっての!
いや……でも、あながちそうとも言えないか。
賄賂や不正により、国の内部が腐ってきている。
自分たちがやっているから、俺達もやっていると思ったんだろうな。
「セレナさん、それは違いますよ。どんな理由があろうとも、平民を貶めていい正当な理由などありません」
「オルガの言う通りだ。セレナ、理不尽なことには逆らって良い。悲しいことだが、そうしないと奴らはどんどんエスカレートしていくから。それでもしてくるようなら、俺が必ず守り抜く」
「はぃ……ありがとうございます……みんな、仲良くできたら良いのに」
俺はそれが無理なのを知っている……一部の人間とはそういうものだと。
平気で人を貶め、それをなんとも思わない奴らがいることを。
前の世界の経験によってな……ただ、まだ若く純粋なセレナには早いだろうな。
「そうなのだっ! ……アレス様、別にセレナだから良いんですけど……今のって、婚約者の前で言うセリフですか?」
上目遣いをしながら、カグラが俺の腕に絡みついてくる。
……うん、違和感。
いや、わかってはいる。
この世界では、少女から大人になる段階に入っていることは……。
ただ、俺の中の倫理観や価値観が合わないってだけで。
いや、それもおかしい……前世の価値観からいうと二股などあり得ない。
つまり……今の俺は、アレスと和馬がごちゃごちゃになっているのかも。
「いや……すまん、未だにピンと来ていないんだ。ただ、カグラのことも大事に思っている。それじゃダメかな?」
「い、いえっ! それなら良いのですっ!」
顔を真っ赤にするところを見ると、まだまだ子供だなぁとも思う。
「でも……まだ、婚約者ではないよね?」
確か、これから話し合いが持たれるって聞いたような……。
それとも、俺の知らないところで進んだのか?
「うぅー……そうですけど……はっ! こ、断るのですか!? い、いや、アレス様にも選ぶ権利があるのは重々承知の上で……でも、拙者はアレス様以外の人とは……」
まるで、プシューと擬音が聴こえてきそうだな。
「ふふ、大丈夫ですよ。アレス様はカグラちゃんが好きですから」
「むぅ……セレナはずるいのである。そんなに成長してっ! この胸はなんなのだ!? 拙者にも分けて欲しいのだっ!」
「キャア!? や、やめてってばっ!」
「さあオルガ、先を急ごう。紳士が見るべきではないからね」
「ええ、わかってますとも。では、まいりましょう」
俺には特殊な性癖はないので、見て見ぬ振りをする。
それにしても、セレナとカグラの距離感が近くなったよな。
そして、俺とオルガの距離感も。
学校に到着して、教室に入ると……。
いつも通り四人で固まって、俺達を睨みつけてくる。
その関係は、もはや修復不可能なレベルに達している。
リーダー格であるザガンは、第一王妃と同じ家柄だ。
俺のせいで幽閉されたことにより、完全に決裂したということだ。
「はいはーい! 皆さん、おはようございます!」
コルン先生は相変わらず小さいし、何もかも変わっていない。
「さあ、いよいよ卒業試験も近づいてきましたねっ! 皆さん、その次は本格的に進路相談ですからね。進路は決まりましたか? まだの人は考えておいてくださいねっ!」
皆がそれぞれ返事をする。
「はいっ! いい子ですねっ! では、先生はここにいるので、あとは自由にしてください」
最終学年でSクラスの俺達は、基本的に授業はない。
自習という形で、それぞれが自由に過ごすことになる。
一応、問題が起きないように教室内にいることが条件だが。
「進路か……カグラは?」
「拙者は、その、実家に帰って……花嫁修行といいますか……あぅぅ……」
「俺が悪かったよ。そうか……セレナは?」
「わたしは、宮廷魔導士に弟子入りというか、お手伝いをすることになるかと思います」
「おっ、いよいよか。オルガは?」
「僕は領地に帰って、本格的に家を継ぐ準備に入りますね。でも、まだ未定というか……姉上次第なところもあるので」
確か、放浪癖がある人だったな。
ヒルダ姉さん似た感じの人で、とつも楽しい方だった。
今は……婿探しの旅に出る!とか言ってたらしい。
「オルガが継ぐと決まったわけじゃないってことか」
「ええ、でも学ぶことは無駄にはなりませんので。アレス様はどうなさるのですか?」
「俺は……どうするんだろうね?」
「やはり、まだ決まっていないのですか?」
「むぅ……アレス様については、上の方でも揉めているそうです」
「うーん……アレス様の境遇を考えると、難しいですよね」
そうなんだよなぁー。
今日、帰ったら本格的に父上と話し合うことになっているが……。
さて、どうなることやら。
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