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少年期~前編~

邪神と女神と異世界召喚について

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 さて、入学式も終わり、次の日を迎える。

 今日から、いよいよ授業の開始である。

 馬車に乗り、学校へ向かう。

「カイゼル、ありがとう」

「いえ、では」

 うーん、相変わらず必要以上の会話はしないなぁ……。
 まあ、楽は楽なんだけどね。

「ア、アレス様!お、おはようございましゅ!……あぅぅ……!」

「おはよう、セレナ。何で、緊張しているの?」

「ゆ、夢じゃない……!良かったぁ……!」

「ん?どういうこと?」

「昨日、帰ってお父さんとお母さんに話したら、そんなことあるわけないって……。勘違いして、無礼を働かないようにって……」

 ……ああ、なんとなくわかった。
 貴族が、平民をからかって遊んでると思われたかな?
 これは、そのうち挨拶に行くべきかもな。

「まあ、気にしないでいいよ。そのうち挨拶に行くね」

「え?ア、アレス様が!?」

「うん、ダメかな?友達の家に行ってみたいんだけど……」

 それも嘘じゃないけど、平民の暮らしを知っておきたいし。

「だ、ダメじゃないです!嬉しいです!」

「私も行くのだ!」

「おっ、カグラ。おはよう」

「アレス様、おはようございます!」

「カ、カグラちゃんも?」

「ダメか!?拙者も、友達の家行きたいぞ!」

「ううん!嬉しい!良いよ!」

 こうしてみると、カグラもやはり子供だな。
 うんうん、子供は子供らしくが一番だ。
 ……え?俺?俺も子供らしくしてますよ。

 最近では、意識が一体化してきて、アレスと和馬の境目がわからないくらいだ。
 ……ただ、叔父さん夫婦と、結衣のことだけは忘れないだろう……。
 今でも、たまに夢に見るしな……俺が死んだことに、結衣は責任を感じているだろうな。
 気にせずに、元気でいてくれると良いが……。

「アレス様!遅刻しちゃいますよ!」

「アレス様!行きましょう!」

「わかったから!2人共!だから、引っ張らないでー!」

 教室に入り、席に着く。
 すぐに、先生がやってきた。

「はいはーい!皆さん、おはようございます!」

 皆が、返事をする。

「はい!良いお返事です!今日から授業を始めますね。では、早速やっていきましょう」

 どうやら、点呼とかはないようだ。
 まあ、八人しかいないからか。
 そして、授業が始まる。

 まずは、この
 この大陸は女神マリアの結界により、守られている。
 そして、邪神であるバハムートが、この大陸にある魔界に封印されているらしい。
 結界の外には、バハムートの封印を解こうとして、邪悪なドラゴン達がいるらしい。
 女神マリアは邪神を封印した上で結界をはり、そいつらが来れないようにしていると。

「はい!ここまでいいですかー?質問ある人ー?」

「はい、先生」

「はい、アレス君。なんですか?」

「では、外の世界には大陸はないのですか?」

「良い質問です!外の世界には大陸があるとされています。しかし、そこは女神の加護がない闇黒の世界。凶悪な魔物が徘徊し、醜い獣人や悪魔のような魔族、人間を敵視する種族がたくさんいるとされています。女神様が守ってくれているからこそ、私達は平和に暮らすことができているのです。みんなも、感謝するように」

 ……魔族や獣人がいるのか。
 会ってみたいが、そういうわけにいかないようだ。
 ……女神か……俺は何故転生したんだろうか?
 そいつが転生をさせたのか?
 ……うーん、ずっと考えてはいるが……わからない。

「先生!」

「はい、カグラさん!」

「ですが、この大陸にも魔物はいますよ!」

「うーん、これまた良い質問です!女神様は邪神の封印をなさってくれています。その封印から抜け出そうと、邪神は力の限り暴れてるそうです。女神様も必死に抑えてはいますが、その際に漏れた瘴気より魔物が生まれるとされています。我々を守るために、女神様は頑張ってくれています。そしてみんなの応援や祈りが女神様に力を与えます。なので、皆も応援しようね!」

「へえー!頑張って!」

「すげー!」

「女神様に感謝だな!」

 ……女神信仰の大陸なんだよな。
 女神が正義!女神に感謝!女神のいうことは絶対!って感じだ。
 うーん……前世の記憶がある俺からしたら、こればかりは慣れないなぁ。

「では、次は異世界召喚についてですね。女神様の封印が弱まる時が、100年に一度あるそうです。その隙をつき、邪神が自身の分身である魔王を顕現させます。その魔王を倒すために、女神様は我々に希望を残されました。それこそが異世界召喚ですね。教会のみが神託を受け、術式を行うことで異世界人の勇者や聖女が召喚されます。その聖女や勇者と共に、各国から腕利きが集まり討伐に向かいます。そして役目を終えた二人は、元の世界へと帰るのです」

 ……随分身勝手な女神だな。
 勝手に呼んで、勝手に帰すのか……。
 呼ばれた方はたまったもんじゃないな……。
 だが、女神を否定しようものなら……異端者扱いを受けるから、何も言えないが。

「先生!」

「はい、アレス君!」

「生まれ変わりや転生といった概念はないのですか?」

「概念……難しい言葉を知っているのね!さすがね!そういったものは無いようですね。もちろん、仮になったとしても記憶はないので知るよしもないですけど」

「そうですか……ありがとうございます」

「ううん!良いのよ!そういう些細な疑問が大事なことなの!皆も何かあれば、どんどん質問してね!先生頑張っちゃうんだから!」

 ……とりあえず、良い先生で良かったな。
 多少子供扱いされ……そういや、子供だった……。


 ……転生や生まれ変わりはない……か。
 だが、俺は記憶がある……まさか、勘違いとか……?
 いや、そんなはずはない!薄れてきてはいるが、それだけは確かだ。

 ……考えても仕方ないことはわかってる。

 フゥ……とりあえずは、誰にも言わないでおこう。
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