9 / 257
少年期~前編~
母上は早くも姑気分のようだ
しおりを挟む
校門を出ると、カイゼルが馬車を引き待っていた。
「カイゼル、ありがとう。さあ、2人共乗って」
「い、いいのかな?こんな豪華なの……」
「どうした?セレナ。そなたが乗らないと、拙者が乗れないぞ?」
「ご、ごめんね。お、お邪魔します」
「うむ、拙者も失礼する」
3人を乗せ、馬車は動き出す。
「うわー……馬車なんて初めてです!」
「なら、良かったよ。また乗りたかったら言いなよ」
「え!?い、良いんですか?」
「うん、友達を乗せるのに理由はいらないでしょ?」
「わ、私が皇子様の友達……?」
「うん、嫌かな?」
「そんなことないです!嬉しいです!」
「うむ!これで、3人で友達だな!」
そのまま馬車は進み、家の前到着する。
「ただいまー!」
「アレスー?帰ってきたのね……あらあら!まあまあ!!」
「アレス様、お帰りなさいませ……これは、これは……」
2人共、ニヤニヤしている。
「こ、こんにちは!セレナといいます!」
「拙者はカグラと申します。王妃様、よろしくお願い申し上げます」
「まあ!そんなこと言われたの初めてだわ!」
「母上、カグラは……」
「アレス、わかっているわよ。嫌味で言っていないことは。それにしても……隅に置けないわね?入学式でいきなり2人も女の子を連れてくるなんて……」
「さすがはアレス様ですね。将来が心配ですけど……」
2人共、そういう目で見ているのか……。
……俺からしたら、ただの子供だしな。
普通の友達感覚だし。
お昼ご飯がまだなので、皆で食事をとることにする。
「わ、私までご一緒でいいんですか……?」
セレナは平民だしな……普通は、あり得ないからな。
「いいのよ、気にしないで。お食事は多い方が楽しいわ」
「セレナちゃん、気持ちはよくわかりますよ。私もそうでしたから……でも、この方達はその方がお喜びになるかと。もちろん、他の貴族の方にはしてはいけませんよ?」
「そ、そうなんですね。わ、わかりました!気をつけます!」
「ほら、これ美味しいよ?食べてごらん」
「え?……うわぁー!ホントだ!美味しい!」
「良かった、笑ってくれた。緊張でガチガチだったからね」
「ふえ?は、はぃ……」
「これは、我が息子ながら心配だわ……まあ、アレスなら女の子を泣かすようなことはしないと思うけど……」
「アレス様!拙者はどれを食べたら良いですか!?」
「カグラはね、これかな?」
「……美味!何より楽しいな!うちでは、静かでつまらないのだ!」
まあ、普通のマナーならそうだろうな。
だが、うちは食事は楽しく美味しくがモットーだからな。
「ムムム……これは、どちらがお嫁さんかしら?それとも両方?アレスの器量なら、問題はないけれど……うーん、複雑だわ………」
いや、気が早いから!
まだ、8歳だから!
その後、食事を済ませると、カイゼルがやってくる。
「アレス様、稽古の時間です」
「アレス様?今日もやるのですか?お客様がいますが……」
「うん、やるよ。カグラ、セレナごめんね。これサボると、取り戻すのに3日かかるんだ」
この後は魔法の稽古もあるし、勉強をしなきゃだからな。
聖痕がないことは仕方ないが、それ以外で馬鹿にされないように……。
母上が肩身狭い思いをしないように……!
「拙者も見ていいだろうか!?」
「わ、私も!」
「うん?いいけど、結構激しいよ?」
「それなら、尚更のこと!」
「私も!」
そのまま皆で、庭に移動する。
そして模擬剣を持ち、カイゼルと対峙する。
「まあ、なら良いけど……カイゼル?」
「私も問題ありません……が、手心は加えませんぞ?」
「そんなことしたら……一生恨むよ……!」
「それでこそ、アレス様です。では、いざ!!」
「ハァ!!」
俺はカイゼルを攻める!
カンカンカン!!と庭に音が響き渡る。
「甘い!腰が入っていません!もっと身体全体で振るうのです!」
「わかった!……こうか!」
「そうです!身体が小さくともその威力があれば、魔力を込めずともゴブリン程度なら斬れます!」
「ハァ!!」
「攻めはよしとしましょう。では、こちらから行きますぞ?」
「どんとこい!」
「セィ!」
その攻撃は、子供にやるには苛烈すぎるものだった。
防御しきれるわけがなく、身体中に痛みがはしる……!
「どうしました!?もう、終わりにいたしますか!?」
「いや!まただ!まだ、やれる!」
「よろしい!それでこそです!」
そして10分ほど耐え抜き、ようやく攻撃がやむ。
俺は立っていられず、庭に仰向けの状態になる。
「ハァ……ヒィ……フゥ……ヘェ……ホォー」
別に、バイキン○○のマネじゃないからね?
ただ、疲れただけですよー。
「まあ、良いでしょう。では、これで」
「ありがとうございました!」
カイゼルは涼しい顔で去っていく。
クソー、いつか顔色変えてやる!
「アレス様!凄いな!あんなに強いのですね!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「うん、大丈夫だよ。いつものことだから。でも、心配してくれてありがとね」
「わ、私回復魔法使えます!」
「え?そうなの?なるほど、だからか……」
今の学園で平民がSクラスだから、何かあるとは思ったけど……。
回復魔法は貴重な才能だ。
聖女が使えるという光魔法を除けば、水属性に高い適正のある者しか使えないからだ。
「えっと……かの者の傷を癒したまえ、ヒール!」
身体が温かいものに包まれる……すげぇ気持ち良いな、これ。
そして、痛みが引いていく……。
「お、痛くない!ありがとう、セレナ!」
「エヘヘ、良かったです。お役に立てて……」
「凄いな!セレナ!私は強化しか使えん!」
……カグラは、まんまだな。
「うーん……とりあえず、セレナちゃんが一歩リードかしら?でも、平民の子だし大変よね。うん!姑として、私が力になってあげないと!」
……だから母上……気が早いから。
どうやら、もう姑気分のようだ。
「カイゼル、ありがとう。さあ、2人共乗って」
「い、いいのかな?こんな豪華なの……」
「どうした?セレナ。そなたが乗らないと、拙者が乗れないぞ?」
「ご、ごめんね。お、お邪魔します」
「うむ、拙者も失礼する」
3人を乗せ、馬車は動き出す。
「うわー……馬車なんて初めてです!」
「なら、良かったよ。また乗りたかったら言いなよ」
「え!?い、良いんですか?」
「うん、友達を乗せるのに理由はいらないでしょ?」
「わ、私が皇子様の友達……?」
「うん、嫌かな?」
「そんなことないです!嬉しいです!」
「うむ!これで、3人で友達だな!」
そのまま馬車は進み、家の前到着する。
「ただいまー!」
「アレスー?帰ってきたのね……あらあら!まあまあ!!」
「アレス様、お帰りなさいませ……これは、これは……」
2人共、ニヤニヤしている。
「こ、こんにちは!セレナといいます!」
「拙者はカグラと申します。王妃様、よろしくお願い申し上げます」
「まあ!そんなこと言われたの初めてだわ!」
「母上、カグラは……」
「アレス、わかっているわよ。嫌味で言っていないことは。それにしても……隅に置けないわね?入学式でいきなり2人も女の子を連れてくるなんて……」
「さすがはアレス様ですね。将来が心配ですけど……」
2人共、そういう目で見ているのか……。
……俺からしたら、ただの子供だしな。
普通の友達感覚だし。
お昼ご飯がまだなので、皆で食事をとることにする。
「わ、私までご一緒でいいんですか……?」
セレナは平民だしな……普通は、あり得ないからな。
「いいのよ、気にしないで。お食事は多い方が楽しいわ」
「セレナちゃん、気持ちはよくわかりますよ。私もそうでしたから……でも、この方達はその方がお喜びになるかと。もちろん、他の貴族の方にはしてはいけませんよ?」
「そ、そうなんですね。わ、わかりました!気をつけます!」
「ほら、これ美味しいよ?食べてごらん」
「え?……うわぁー!ホントだ!美味しい!」
「良かった、笑ってくれた。緊張でガチガチだったからね」
「ふえ?は、はぃ……」
「これは、我が息子ながら心配だわ……まあ、アレスなら女の子を泣かすようなことはしないと思うけど……」
「アレス様!拙者はどれを食べたら良いですか!?」
「カグラはね、これかな?」
「……美味!何より楽しいな!うちでは、静かでつまらないのだ!」
まあ、普通のマナーならそうだろうな。
だが、うちは食事は楽しく美味しくがモットーだからな。
「ムムム……これは、どちらがお嫁さんかしら?それとも両方?アレスの器量なら、問題はないけれど……うーん、複雑だわ………」
いや、気が早いから!
まだ、8歳だから!
その後、食事を済ませると、カイゼルがやってくる。
「アレス様、稽古の時間です」
「アレス様?今日もやるのですか?お客様がいますが……」
「うん、やるよ。カグラ、セレナごめんね。これサボると、取り戻すのに3日かかるんだ」
この後は魔法の稽古もあるし、勉強をしなきゃだからな。
聖痕がないことは仕方ないが、それ以外で馬鹿にされないように……。
母上が肩身狭い思いをしないように……!
「拙者も見ていいだろうか!?」
「わ、私も!」
「うん?いいけど、結構激しいよ?」
「それなら、尚更のこと!」
「私も!」
そのまま皆で、庭に移動する。
そして模擬剣を持ち、カイゼルと対峙する。
「まあ、なら良いけど……カイゼル?」
「私も問題ありません……が、手心は加えませんぞ?」
「そんなことしたら……一生恨むよ……!」
「それでこそ、アレス様です。では、いざ!!」
「ハァ!!」
俺はカイゼルを攻める!
カンカンカン!!と庭に音が響き渡る。
「甘い!腰が入っていません!もっと身体全体で振るうのです!」
「わかった!……こうか!」
「そうです!身体が小さくともその威力があれば、魔力を込めずともゴブリン程度なら斬れます!」
「ハァ!!」
「攻めはよしとしましょう。では、こちらから行きますぞ?」
「どんとこい!」
「セィ!」
その攻撃は、子供にやるには苛烈すぎるものだった。
防御しきれるわけがなく、身体中に痛みがはしる……!
「どうしました!?もう、終わりにいたしますか!?」
「いや!まただ!まだ、やれる!」
「よろしい!それでこそです!」
そして10分ほど耐え抜き、ようやく攻撃がやむ。
俺は立っていられず、庭に仰向けの状態になる。
「ハァ……ヒィ……フゥ……ヘェ……ホォー」
別に、バイキン○○のマネじゃないからね?
ただ、疲れただけですよー。
「まあ、良いでしょう。では、これで」
「ありがとうございました!」
カイゼルは涼しい顔で去っていく。
クソー、いつか顔色変えてやる!
「アレス様!凄いな!あんなに強いのですね!」
「だ、大丈夫ですか!?」
「うん、大丈夫だよ。いつものことだから。でも、心配してくれてありがとね」
「わ、私回復魔法使えます!」
「え?そうなの?なるほど、だからか……」
今の学園で平民がSクラスだから、何かあるとは思ったけど……。
回復魔法は貴重な才能だ。
聖女が使えるという光魔法を除けば、水属性に高い適正のある者しか使えないからだ。
「えっと……かの者の傷を癒したまえ、ヒール!」
身体が温かいものに包まれる……すげぇ気持ち良いな、これ。
そして、痛みが引いていく……。
「お、痛くない!ありがとう、セレナ!」
「エヘヘ、良かったです。お役に立てて……」
「凄いな!セレナ!私は強化しか使えん!」
……カグラは、まんまだな。
「うーん……とりあえず、セレナちゃんが一歩リードかしら?でも、平民の子だし大変よね。うん!姑として、私が力になってあげないと!」
……だから母上……気が早いから。
どうやら、もう姑気分のようだ。
28
お気に入りに追加
2,747
あなたにおすすめの小説
この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました
okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。
貴方がLv1から2に上がるまでに必要な経験値は【6億4873万5213】だと宣言されたけどレベル1の状態でも実は最強な村娘!!
ルシェ(Twitter名はカイトGT)
ファンタジー
この世界の勇者達に道案内をして欲しいと言われ素直に従う村娘のケロナ。
その道中で【戦闘レベル】なる物の存在を知った彼女は教会でレベルアップに必要な経験値量を言われて唖然とする。
ケロナがたった1レベル上昇する為に必要な経験値は...なんと億越えだったのだ!!。
それを勇者パーティの面々に鼻で笑われてしまうケロナだったが彼女はめげない!!。
そもそも今の彼女は村娘で戦う必要がないから安心だよね?。
※1話1話が物凄く短く500文字から1000文字程度で書かせていただくつもりです。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
転生受験生の教科書チート生活 ~その知識、学校で習いましたよ?~
hisa
ファンタジー
受験生の少年が、大学受験前にいきなり異世界に転生してしまった。
自称天使に与えられたチートは、社会に出たら役に立たないことで定評のある、学校の教科書。
戦争で下級貴族に成り上がった脳筋親父の英才教育をくぐり抜けて、少年は知識チートで生きていけるのか?
教科書の力で、目指せ異世界成り上がり!!
※なろうとカクヨムにそれぞれ別のスピンオフがあるのでそちらもよろしく!
※第5章に突入しました。
※小説家になろう96万PV突破!
※カクヨム68万PV突破!
※令和4年10月2日タイトルを『転生した受験生の異世界成り上がり 〜生まれは脳筋な下級貴族家ですが、教科書の知識だけで成り上がってやります〜』から変更しました
転生したら唯一の魔法陣継承者になりました。この不便な世界を改革します。
蒼井美紗
ファンタジー
魔物に襲われた記憶を最後に、何故か別の世界へ生まれ変わっていた主人公。この世界でも楽しく生きようと覚悟を決めたけど……何この世界、前の世界と比べ物にならないほど酷い環境なんだけど。俺って公爵家嫡男だよね……前の世界の平民より酷い生活だ。
俺の前世の知識があれば、滅亡するんじゃないかと心配になるほどのこの国を救うことが出来る。魔法陣魔法を広めれば、多くの人の命を救うことが出来る……それならやるしかない!
魔法陣魔法と前世の知識を駆使して、この国の救世主となる主人公のお話です。
※カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。
~クラス召喚~ 経験豊富な俺は1人で歩みます
無味無臭
ファンタジー
久しぶりに異世界転生を体験した。だけど周りはビギナーばかり。これでは俺が巻き込まれて死んでしまう。自称プロフェッショナルな俺はそれがイヤで他の奴と離れて生活を送る事にした。天使には魔王を討伐しろ言われたけど、それは面倒なので止めておきます。私はゆっくりのんびり異世界生活を送りたいのです。たまには自分の好きな人生をお願いします。
その聖女は身分を捨てた
メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる