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それぞれの未来へ
結末
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話を終えた後、綾はすぐに家へと戻っていった。
少し、いや……かなり名残惜しいが。
どうやら、お母さんの送り迎えで来てたらしい。
明後日には飛行機で帰ってしまうので、すぐに帰ってお父さんに話すようだ。
今日明日は、家族で過ごすというので、それを邪魔するわけにもいかないしな。
その日の夜、俺は親父に説明する。
「なるほど……留学か、寂しくなるな」
「ああ、でも良いんだ。帰ってきたら、いっぱい時間を過ごすからさ」
「そうだな……生きてさえいれば、いくらでも過ごせる。それで、俺は何をすれば良い?」
「これに許可が欲しい」
「これは……なるほど、今すぐにするのか?」
「ううん、それは相手ありきのことだから。俺の意思を示すだけ。もちろん、そうなれればいけどね」
俺はあることを親父にお願いする。
これは俺のわがままであり、綾にはまだ言っていない。
「そうか……いや、それくらいなら良い。その日は土曜日だしな、その時に俺に電話すると良い」
「親父、ありがとう」
「なに、気にするな。可愛い息子に頼られるのは父親の喜びだからな。お前も、そのうちわかるさ」
「そっか……俺も親父みたいに立派になれるように頑張るよ」
「お、おう……どうした?」
「いや、俺はつくづくガキなんだと自覚しただけ。親父は俺たち二人を男手ひとつで育ててくれた。お金も稼ぎ、俺たちの世話もして……すげえなって思ってる」
「それがわかっただけ、お前も少しは大人になったということだ。本当に、良い子に出会ったな?」
「ああ、そう思う。親父が、母さんに出会ったようにな?」
「おっ、言うじゃないか。でも、その通りだ。そう思える相手と出会えるなんて、一生のうちあるかないかだ。大事にするんだぞ?」
「ああ、もちろんだよ」
そして、親父さんが帰国する日の午前中……。
俺は呼ばれたので、再び綾の家に向かう。
「と、冬馬君、 いらっしゃい」
「ああ、お邪魔します。あれから連絡なかったが、平気だったか?」
「う、うん、それも含めて話になると思う」
「わかった。じゃあ……行くとしよう」
リビングに入ると、お父さんが席についている。
ソファーには玲奈さんと誠也が座っているが……どうやら見守る方向らしい。
「来たか……座りたまえ」
「はい、失礼します」
「と、隣座るね」
俺たちは、親父さんの対面に座る。
「それで、話はしたのか?」
「ううん、詳しくはしてないよ」
「そうか……じゃあ、まずはこっちの話を聞いてもらえるか?」
「ええ、もちろんです」
「では……まずは、明日私一人で帰国する。そして、転校手続きや留学手続きをして、四月前には家族を呼ぶつもりだ。幸い、あちらでも四月始まりの学校はある」
「お父さんね、ひとまず留学することについては許してくれたの」
「そっか、良かったな。もちろん、俺も嬉しい」
「それでだ、その後のことは……まあ、ひとまず許可はした。だが、心配だ。この広い家に若い娘が一人暮らしなんて……」
「お、お父さん、平気だよ」
「いや、平気じゃない」
「へっ?」
「なに?」
「話を割ってすみません。では、俺の話も聞いてもらって良いですか?」
「あ、ああ」
「う、うん」
俺は深呼吸をして……あるものを差し出す。
「こ、これは……」
「と、冬馬君……こ、婚姻届?」
そこには俺の名前と、未成年であるので親父の名前が書いてある。
「はい」
「結婚など認めないぞ?」
「ええ、わかってます。なので、俺の覚悟だと思ってください。父親の許可も得ています」
「冬馬君……」
「なるほど……」
「そして……貴方が良いと思ったなら、綾に渡してあげてください」
「綾に振られるとか考えないのか? あっちで、君よりも良い男に会うとか」
「お父さん!」
「はは……そうなったら、俺がそれまでの男だったってことですね。大丈夫です、綾は俺にベタ惚れしてますから……多分」
「べ、ベタ惚れです……あぅぅ」
「……いや、しかし……ふむ」
お父さんは、何やら考え込んでいる様子だ。
俺は大人しく、答えを待つことにする。
そして、数分後……。
「わかった。妻にも、君以外の良い男など綾に現れないと言われてしまったしな」
「えっ?」
「娘を不幸にするつもりなのかとも……私とて、そんなことは望んでいない」
「お、お父さん……」
「そ、それでは……」
「綾が一年間頑張ったあかつきには……これを渡すと約束しよう。そして、結婚も……け、結婚を……許可する」
綾のお父さんは、絞り出すように声を出している。
そこには俺には計り知れない葛藤があったと思う……。
「あ、ありがとうございます!」
「お父さん! ありがとう!」
「ま、まだ認めていないからな!」
「ええ、わかっています。それでですね、もう一つありまして……流石にこのご時世に、綾みたいな女の子が一人暮らしは心配だと思うので……俺の家で暮らさせても良いでしょうか?」
「と、冬馬君?」
「すまんな、綾。これは、俺のわがままだ」
「……そっか。ううん、すっごく嬉しい」
「ご家族の許可は?」
「少し待ってください……親父? ああ、今変わる。親父が話をしたいそうです」
俺はスマホを渡す。
「あ、ああ……初めまして……ええ、お話は聞きまして……ですが、ご迷惑では? ……そうですか、ええ、確かに安心ではあります」
その後も、いくつかの質問をして……電話を返される。
『冬馬、ひとまず許可は出たぞ』
「親父、ありがとう」
『何、麻里奈も横で喜んでるさ』
『お兄ー! しっかりやんなよー!』
「おう、ありがとな麻里奈」
そこで通話が切れる。
「なるほど……そのための婚姻届か?」
「ええ、それもあります。結婚している男女なら、同居しててもおかしくはないでしょうし、未成年ということで親が同居もおかしくありません。何より、貴方や玲奈さんも安心できますし、俺も安心できます」
「……ハハッ! 玲奈、君のいう通りだった」
「ねっ? 言ったでしょ? 普通じゃないって」
「ああ、まさか高校生でここまで言う奴がいるなんてな……ひとまず、君の存在は認めよう。私は今日旅立つが、四月まで綾をよろしく頼む」
「は、はいっ! ありがとうございます!」
「ただし! ……手を出したらわかってるな?」
「も、もう! お父さん!」
「大丈夫です。楽しみは後にとっておきます」
「はぅ……」
「い、いうじゃないか」
こうして……何とか認めてもらうことが出来た。
あとは……俺も綾に負けないように頑張らないとな。
少し、いや……かなり名残惜しいが。
どうやら、お母さんの送り迎えで来てたらしい。
明後日には飛行機で帰ってしまうので、すぐに帰ってお父さんに話すようだ。
今日明日は、家族で過ごすというので、それを邪魔するわけにもいかないしな。
その日の夜、俺は親父に説明する。
「なるほど……留学か、寂しくなるな」
「ああ、でも良いんだ。帰ってきたら、いっぱい時間を過ごすからさ」
「そうだな……生きてさえいれば、いくらでも過ごせる。それで、俺は何をすれば良い?」
「これに許可が欲しい」
「これは……なるほど、今すぐにするのか?」
「ううん、それは相手ありきのことだから。俺の意思を示すだけ。もちろん、そうなれればいけどね」
俺はあることを親父にお願いする。
これは俺のわがままであり、綾にはまだ言っていない。
「そうか……いや、それくらいなら良い。その日は土曜日だしな、その時に俺に電話すると良い」
「親父、ありがとう」
「なに、気にするな。可愛い息子に頼られるのは父親の喜びだからな。お前も、そのうちわかるさ」
「そっか……俺も親父みたいに立派になれるように頑張るよ」
「お、おう……どうした?」
「いや、俺はつくづくガキなんだと自覚しただけ。親父は俺たち二人を男手ひとつで育ててくれた。お金も稼ぎ、俺たちの世話もして……すげえなって思ってる」
「それがわかっただけ、お前も少しは大人になったということだ。本当に、良い子に出会ったな?」
「ああ、そう思う。親父が、母さんに出会ったようにな?」
「おっ、言うじゃないか。でも、その通りだ。そう思える相手と出会えるなんて、一生のうちあるかないかだ。大事にするんだぞ?」
「ああ、もちろんだよ」
そして、親父さんが帰国する日の午前中……。
俺は呼ばれたので、再び綾の家に向かう。
「と、冬馬君、 いらっしゃい」
「ああ、お邪魔します。あれから連絡なかったが、平気だったか?」
「う、うん、それも含めて話になると思う」
「わかった。じゃあ……行くとしよう」
リビングに入ると、お父さんが席についている。
ソファーには玲奈さんと誠也が座っているが……どうやら見守る方向らしい。
「来たか……座りたまえ」
「はい、失礼します」
「と、隣座るね」
俺たちは、親父さんの対面に座る。
「それで、話はしたのか?」
「ううん、詳しくはしてないよ」
「そうか……じゃあ、まずはこっちの話を聞いてもらえるか?」
「ええ、もちろんです」
「では……まずは、明日私一人で帰国する。そして、転校手続きや留学手続きをして、四月前には家族を呼ぶつもりだ。幸い、あちらでも四月始まりの学校はある」
「お父さんね、ひとまず留学することについては許してくれたの」
「そっか、良かったな。もちろん、俺も嬉しい」
「それでだ、その後のことは……まあ、ひとまず許可はした。だが、心配だ。この広い家に若い娘が一人暮らしなんて……」
「お、お父さん、平気だよ」
「いや、平気じゃない」
「へっ?」
「なに?」
「話を割ってすみません。では、俺の話も聞いてもらって良いですか?」
「あ、ああ」
「う、うん」
俺は深呼吸をして……あるものを差し出す。
「こ、これは……」
「と、冬馬君……こ、婚姻届?」
そこには俺の名前と、未成年であるので親父の名前が書いてある。
「はい」
「結婚など認めないぞ?」
「ええ、わかってます。なので、俺の覚悟だと思ってください。父親の許可も得ています」
「冬馬君……」
「なるほど……」
「そして……貴方が良いと思ったなら、綾に渡してあげてください」
「綾に振られるとか考えないのか? あっちで、君よりも良い男に会うとか」
「お父さん!」
「はは……そうなったら、俺がそれまでの男だったってことですね。大丈夫です、綾は俺にベタ惚れしてますから……多分」
「べ、ベタ惚れです……あぅぅ」
「……いや、しかし……ふむ」
お父さんは、何やら考え込んでいる様子だ。
俺は大人しく、答えを待つことにする。
そして、数分後……。
「わかった。妻にも、君以外の良い男など綾に現れないと言われてしまったしな」
「えっ?」
「娘を不幸にするつもりなのかとも……私とて、そんなことは望んでいない」
「お、お父さん……」
「そ、それでは……」
「綾が一年間頑張ったあかつきには……これを渡すと約束しよう。そして、結婚も……け、結婚を……許可する」
綾のお父さんは、絞り出すように声を出している。
そこには俺には計り知れない葛藤があったと思う……。
「あ、ありがとうございます!」
「お父さん! ありがとう!」
「ま、まだ認めていないからな!」
「ええ、わかっています。それでですね、もう一つありまして……流石にこのご時世に、綾みたいな女の子が一人暮らしは心配だと思うので……俺の家で暮らさせても良いでしょうか?」
「と、冬馬君?」
「すまんな、綾。これは、俺のわがままだ」
「……そっか。ううん、すっごく嬉しい」
「ご家族の許可は?」
「少し待ってください……親父? ああ、今変わる。親父が話をしたいそうです」
俺はスマホを渡す。
「あ、ああ……初めまして……ええ、お話は聞きまして……ですが、ご迷惑では? ……そうですか、ええ、確かに安心ではあります」
その後も、いくつかの質問をして……電話を返される。
『冬馬、ひとまず許可は出たぞ』
「親父、ありがとう」
『何、麻里奈も横で喜んでるさ』
『お兄ー! しっかりやんなよー!』
「おう、ありがとな麻里奈」
そこで通話が切れる。
「なるほど……そのための婚姻届か?」
「ええ、それもあります。結婚している男女なら、同居しててもおかしくはないでしょうし、未成年ということで親が同居もおかしくありません。何より、貴方や玲奈さんも安心できますし、俺も安心できます」
「……ハハッ! 玲奈、君のいう通りだった」
「ねっ? 言ったでしょ? 普通じゃないって」
「ああ、まさか高校生でここまで言う奴がいるなんてな……ひとまず、君の存在は認めよう。私は今日旅立つが、四月まで綾をよろしく頼む」
「は、はいっ! ありがとうございます!」
「ただし! ……手を出したらわかってるな?」
「も、もう! お父さん!」
「大丈夫です。楽しみは後にとっておきます」
「はぅ……」
「い、いうじゃないか」
こうして……何とか認めてもらうことが出来た。
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