155 / 185
それぞれの未来へ
年末は忙しい
しおりを挟む
翌日からは、大忙しだった。
まずは、家の大掃除から始まり……。
年末ということで、ほぼフルタイムでバイトに行くことになり……。
あっという間に、年末を迎える。
そんな中、ノーゲスのままバイトをしていると……。
六時前に、店のドアが開く。
「いらっしゃいませ! ……あれ?」
「おっ、いたいた」
「あら~、冬馬君、こんばんは」
「えっ? 真兄に、弥生さん?」
「おう、暇そうだな?」
「まあ、年末だからね」
みんな家にいるか、誰かと過ごしているだろうし。
「それにしても、初めて来たよね? どうしたの?」
「いや、まあ……正式に付き合うことになってな……その、アレだ……結婚を前提にってやつだ」
「おおっ!? ほんと!? 」
(そうか……良かった。こんなに嬉しい知らせはない)
「それで、今年中に知らせようかと思ってな」
「今日も綾ちゃんがバイトしてて、冬馬君は夜までバイトって聞いたのよ」
「なるほど、そういうことですか」
「冬馬、まずは座ったもらったらどうだ?」
見かねた友野さんが声をかけ、奥の席に案内する。
「お前も、こんな年末までバイトで偉いな」
「いや、その予定はなかったんだけど……」
「ふふ、綾ちゃんから聞いたわよ。店長さんの奥さんが、つわりをしてて、代わりに働いてるのよね?」
「なるほど、なおさら偉いな」
「いや、よくお世話になってるからさ。あと、来年からは中々バイト出来ないし」
「そうか……お前も、もうすぐ高校三年になるか」
「ふふ、早いわね。あんなに小さかったのに。おばさんになるわね」
「何を言うのですか! まだまだお若いです!」
「ふふ……真司さん、ありがとう」
(……うん、上手くいってるみたいで良かった。紹介した手前、ずっと気にはなっていたし)
「じゃあ、メニュー決まったらよんでください。ちなみに、今日は俺の奢りなんで、好きなものを頼んでください」
「そんな、悪いわ」
「いや、弥生さん。ここは、冬馬の男気を買いましょう」
「そういうことです」
「あら……良いわね、男の子って。じゃあ、ご馳走になるわね」
その後、二人に食事を持っていき……。
「聞いて良いかわからないけど……結婚の挨拶ってどうした?」
(俺も、人ごとではないからなぁ)
「うん? まあ、一発ぶん殴られたぜ」
「もう、お父さんったら。ごめんなさいね、真司さん」
「い、良いんですよ! こんな可愛いお嫁さんをもらうんですから! トラックに轢かれるくらいはできます!」
「ふふ、困りますよ。怪我しちゃったら悲しいですからね?」
「は、はいっ!」
(完全に掌の上って感じだな……でも、幸せそうだからいいのか)
「私もご挨拶に行ったわよ~。お母さんと、妹さんに」
「へぇ? ……母親とは、会ってるの?」
「まあ……ちょくちょくな。まさか、泣かれるとは思ってなかったが」
「お母さん、ずっと後悔していらしたみたいで……私に、よろしくお願いしますって」
「けっ……調子のいいこと言いやがって」
そう言いながらも……どこか晴れやかな表情を浮かべている。
「そっか……良かったね、真兄。弟として、嬉しいよ」
「おうよ。だから、挨拶に来たんだよ」
「じゃあ、冬馬君は私の弟ね。ふふ~嬉しいわぁ」
「あ、いえ、まあ……あねさんと呼ばせていただきます」
「おい? 俺は一般人だぞ?」
「ふふ、それも素敵やわぁ」
「ゴハッ……!」
機嫌が良い時に出る京都弁に、真兄がノックアウトされた。
……二人とも、お幸せに。
その後、食事を済ませ、二人は帰っていった。
そして八時に店を閉め、俺も上がりの時間になる。
「冬馬君、お疲れ様。ごめんね、年末まで働いてもらって……」
「すまんな、お前しか頼れる奴がいなくてな」
「いえ、気にしないで良いですよ。友野さんに頼られるなんて、これほど嬉しいことはないですし」
「あれ? 僕は?」
「はいはい、嬉しいですよ」
「扱いが雑だよっ!」
「まあ、いいじゃないですか。では、帰りますね。今年もお世話になりました、良いお年を」
「うん、こちらこそお世話になりました。冬馬君も良いお年を」
「世話になったな。来年もまたよろしく頼む」
「ええ、では失礼します」
急いで家に帰り……。
「お兄、お帰り!」
「おう、ただいま」
「冬馬、間に合うのか?」
「多分……まあ、急がないとね。二人とも、悪いが……」
「もう! 平気だって! お父さんの面倒は見るから!」
「まあ、そういうわけだ。お前は楽しんでこい。相手のご家族によろしくな」
「ああ、わかった。じゃあ、準備をするわ」
軽く飯を食って、風呂に入り、着替えを持ったら……。
「げっ、もう十時過ぎたか。麻里奈、親父、行ってくる!」
「気をつけてねー! 綾ちゃんによろしくねっ!」
「事故に遭うなよー!?」
「ああ、わかってる。じゃあ、良いお年を!」
家を出て、バイクに乗って……。
綾の家の前に到着する。
すると……すぐに綾が玄関から出てくる。
「と、冬馬君、いらっしゃい」
「お、おう……今日は世話になる」
そう……今日は、綾の家にお泊りすることになっていた。
(ていうか……ピンク色のパジャマか……可愛いな、おい)
まずは、家の大掃除から始まり……。
年末ということで、ほぼフルタイムでバイトに行くことになり……。
あっという間に、年末を迎える。
そんな中、ノーゲスのままバイトをしていると……。
六時前に、店のドアが開く。
「いらっしゃいませ! ……あれ?」
「おっ、いたいた」
「あら~、冬馬君、こんばんは」
「えっ? 真兄に、弥生さん?」
「おう、暇そうだな?」
「まあ、年末だからね」
みんな家にいるか、誰かと過ごしているだろうし。
「それにしても、初めて来たよね? どうしたの?」
「いや、まあ……正式に付き合うことになってな……その、アレだ……結婚を前提にってやつだ」
「おおっ!? ほんと!? 」
(そうか……良かった。こんなに嬉しい知らせはない)
「それで、今年中に知らせようかと思ってな」
「今日も綾ちゃんがバイトしてて、冬馬君は夜までバイトって聞いたのよ」
「なるほど、そういうことですか」
「冬馬、まずは座ったもらったらどうだ?」
見かねた友野さんが声をかけ、奥の席に案内する。
「お前も、こんな年末までバイトで偉いな」
「いや、その予定はなかったんだけど……」
「ふふ、綾ちゃんから聞いたわよ。店長さんの奥さんが、つわりをしてて、代わりに働いてるのよね?」
「なるほど、なおさら偉いな」
「いや、よくお世話になってるからさ。あと、来年からは中々バイト出来ないし」
「そうか……お前も、もうすぐ高校三年になるか」
「ふふ、早いわね。あんなに小さかったのに。おばさんになるわね」
「何を言うのですか! まだまだお若いです!」
「ふふ……真司さん、ありがとう」
(……うん、上手くいってるみたいで良かった。紹介した手前、ずっと気にはなっていたし)
「じゃあ、メニュー決まったらよんでください。ちなみに、今日は俺の奢りなんで、好きなものを頼んでください」
「そんな、悪いわ」
「いや、弥生さん。ここは、冬馬の男気を買いましょう」
「そういうことです」
「あら……良いわね、男の子って。じゃあ、ご馳走になるわね」
その後、二人に食事を持っていき……。
「聞いて良いかわからないけど……結婚の挨拶ってどうした?」
(俺も、人ごとではないからなぁ)
「うん? まあ、一発ぶん殴られたぜ」
「もう、お父さんったら。ごめんなさいね、真司さん」
「い、良いんですよ! こんな可愛いお嫁さんをもらうんですから! トラックに轢かれるくらいはできます!」
「ふふ、困りますよ。怪我しちゃったら悲しいですからね?」
「は、はいっ!」
(完全に掌の上って感じだな……でも、幸せそうだからいいのか)
「私もご挨拶に行ったわよ~。お母さんと、妹さんに」
「へぇ? ……母親とは、会ってるの?」
「まあ……ちょくちょくな。まさか、泣かれるとは思ってなかったが」
「お母さん、ずっと後悔していらしたみたいで……私に、よろしくお願いしますって」
「けっ……調子のいいこと言いやがって」
そう言いながらも……どこか晴れやかな表情を浮かべている。
「そっか……良かったね、真兄。弟として、嬉しいよ」
「おうよ。だから、挨拶に来たんだよ」
「じゃあ、冬馬君は私の弟ね。ふふ~嬉しいわぁ」
「あ、いえ、まあ……あねさんと呼ばせていただきます」
「おい? 俺は一般人だぞ?」
「ふふ、それも素敵やわぁ」
「ゴハッ……!」
機嫌が良い時に出る京都弁に、真兄がノックアウトされた。
……二人とも、お幸せに。
その後、食事を済ませ、二人は帰っていった。
そして八時に店を閉め、俺も上がりの時間になる。
「冬馬君、お疲れ様。ごめんね、年末まで働いてもらって……」
「すまんな、お前しか頼れる奴がいなくてな」
「いえ、気にしないで良いですよ。友野さんに頼られるなんて、これほど嬉しいことはないですし」
「あれ? 僕は?」
「はいはい、嬉しいですよ」
「扱いが雑だよっ!」
「まあ、いいじゃないですか。では、帰りますね。今年もお世話になりました、良いお年を」
「うん、こちらこそお世話になりました。冬馬君も良いお年を」
「世話になったな。来年もまたよろしく頼む」
「ええ、では失礼します」
急いで家に帰り……。
「お兄、お帰り!」
「おう、ただいま」
「冬馬、間に合うのか?」
「多分……まあ、急がないとね。二人とも、悪いが……」
「もう! 平気だって! お父さんの面倒は見るから!」
「まあ、そういうわけだ。お前は楽しんでこい。相手のご家族によろしくな」
「ああ、わかった。じゃあ、準備をするわ」
軽く飯を食って、風呂に入り、着替えを持ったら……。
「げっ、もう十時過ぎたか。麻里奈、親父、行ってくる!」
「気をつけてねー! 綾ちゃんによろしくねっ!」
「事故に遭うなよー!?」
「ああ、わかってる。じゃあ、良いお年を!」
家を出て、バイクに乗って……。
綾の家の前に到着する。
すると……すぐに綾が玄関から出てくる。
「と、冬馬君、いらっしゃい」
「お、おう……今日は世話になる」
そう……今日は、綾の家にお泊りすることになっていた。
(ていうか……ピンク色のパジャマか……可愛いな、おい)
2
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説

どうしてもモテない俺に天使が降りてきた件について
塀流 通留
青春
ラブコメな青春に憧れる高校生――茂手太陽(もて たいよう)。
好きな女の子と過ごす楽しい青春を送るため、彼はひたすら努力を繰り返したのだが――モテなかった。
それはもうモテなかった。
何をどうやってもモテなかった。
呪われてるんじゃないかというくらいモテなかった。
そんな青春負け組説濃厚な彼の元に、ボクッ娘美少女天使が現れて――
モテない高校生とボクッ娘天使が送る青春ラブコメ……に見せかけた何か!?
最後の最後のどんでん返しであなたは知るだろう。
これはラブコメじゃない!――と
<追記>
本作品は私がデビュー前に書いた新人賞投稿策を改訂したものです。


隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。

自称未来の妻なヤンデレ転校生に振り回された挙句、最終的に責任を取らされる話
水島紗鳥
青春
成績優秀でスポーツ万能な男子高校生の黒月拓馬は、学校では常に1人だった。
そんなハイスペックぼっちな拓馬の前に未来の妻を自称する日英ハーフの美少女転校生、十六夜アリスが現れた事で平穏だった日常生活が激変する。
凄まじくヤンデレなアリスは拓馬を自分だけの物にするためにありとあらゆる手段を取り、どんどん外堀を埋めていく。
「なあ、サインと判子欲しいって渡された紙が記入済婚姻届なのは気のせいか?」
「気にしない気にしない」
「いや、気にするに決まってるだろ」
ヤンデレなアリスから完全にロックオンされてしまった拓馬の運命はいかに……?(なお、もう一生逃げられない模様)
表紙はイラストレーターの谷川犬兎様に描いていただきました。
小説投稿サイトでの利用許可を頂いております。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる