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冬馬君は遅れたものを取り戻す
祭りの後の話
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文化祭の翌日、いつもの時間に駅へと到着する。
「あっ——冬馬君、おはよう」
「おう、おはよう。どうだった?」
「うん、後はお母さんがやるから気にしなくて良いって」
「そうか。まあ、専門家でもあるからな」
「こ、怖かったよ~! お母さんが、必ず後悔させてやるって……」
「うわー、そりゃ怖いわ。そういや、親父さんには? あと誠也は?」
「言わないでおこうって。心配するだろうし、もう終わったことでもあるからって」
「そっか……まあ、話し合って決めたら俺から言うことはないな」
「あっ、お母さんが冬馬君の予定を聞いてって……」
「ん?」
「是非、お礼がしたいって……」
「「いらんわ、そんなもん」」
「………おい?」
「えへへー、言うと思ったもん」
「まいったな……」
まあ、綾が楽しそうだから良いか。
電車を降りて、いつものように学校へ歩いていく。
「そういや、今更だが……」
「なぁに?」
「いや、一度も怖いって言ってなかったよな?」
不安そうではあったが。
「ふえっ? ……ふふ、意外と鈍いところもあるんだね?」
「あん?」
「そんなの——冬馬君がいたからに決まってるよ」
そう言い、目が眩むような笑顔を見せてくる。
俺の脳内を刺激し、頭がクラクラしてくる……。
「そ、そうか」
「おや? 照れてますねー?」
「はいはい、照れてますよー」
全く……敵わんぜ。
学校に到着すると……。
「冬馬——!!」
「ウルセェ——!」
「いや、お前も煩いから」
「ったく、どうした?」
アキと剛真という珍しい組み合わせだ。
「いや、たまたま一緒になってな。冬馬に話があってよ。剛真、お前からで良いぜ」
「あっ、もしかして……」
「ん?」
「ううん、どうぞ」
「ゴホン!……愛子さんとお付き合いをすることになった」
「「はい??」」
俺とアキの声が重なる。
「う、うむ! 俺とてよくわからないのだが……後夜祭の後、家まで送ってくれと言われて……告白されてしまったのだっ!」
「「………まじか」」
「まじだ」
「ププッ! へんな三人! そっかぁ……あの後言えたんだ」
「いや、俺たちからしたらなぁ?」
「衝撃だよ! 事件だよ! かぁー! どいつもこいつも!」
「で、それを報告に?」
「う、うむ! 元はと言えば冬馬のおかげだからな。知り合ったのも、その先のアドバイスも……感謝する」
「そんなのお前が頑張ったからだよ。俺は何もしていない。ほら、頭を上げろって」
「ふっ、相変わらずの男よ。それでこそ、俺が認める数少ない男だ」
「ちなみに俺は?」
「答えた方がいいか?」
「いや、やめておく……ハァ、俺も彼女作るかね」
……小百合に聞いてみるか?
まだ確信はないが……。
そして、剛真はそれだけいうと走っていった。
「で、お前は?」
「ほら、行こうぜ。主役2人の登場だ」
「あん?」
「あっ——冬馬君! いこ!」
「おい、引っ張るなって!」
綾に連れていかれ……下駄箱の先を見ると。
「あっ、忘れてた」
「お前って奴は……まあ、目的は果たしてるもんな」
「わぁ……! 冬馬君、おめでとう!」
「おう、ありがとな」
そこにはミスターコンテスト優勝者として、俺のポスターが真ん中に貼られていた。
すこし、いや、かなり恥ずかしいが……これで、煩い奴も減るだろう。
「冬馬君! すごいねっ! ぶっちぎりだよ~!」
「やれやれ、参ったぜ。二位の俺より1.5倍かよ」
すると森川と黒野もやってくる。
「凄いじゃん!」
「まさかと思ったけど。綾、良かったわね?」
「うんっ! あっ——愛子っ! もう! すぐに言ってよ~!」
「そうよ。私だって、今さっき知ったんだから」
「いや~少し気恥ずかしかったというかー余韻に浸ってたというか……」
そのまま三人で話しているので、俺はそっと離れる。
すると……。
「あら、来たのね」
「おう、小百合」
「げげっ!」
「相変わらずアキは失礼ね。こんな美少女が現れたっていうのに」
「自分で言うなっ!」
「貴方だって自分でイケメンとか言ってるじゃない。ププッ……負けてるけどね」
「ぐぬぬ……!」
相変わらず、こいつらは仲が良いんだか悪いんだか。
小百合の件は、俺の気のせいだったか?
「でも、賭けは私の勝ちね?」
「くそっ! 優勝できなかったからな……!」
「おい? なにを勝手に巻き込んでいる?」
「いや、こいつが冬馬のがカッコいいしモテるって言うからよ……」
「あん?」
「ふふ、今回はお手柄だったわ。これで、何か一つ言うことを聞いてもらえるから」
「……まさか、そこまで計算していたとは」
本当になんというか、抜け目がないな。
利用された形だが……まあ、なんでもするって言ったのは俺だしな。
それに、俺にも利はあったし。
「で、何がいいんだよ?」
「それは後でのお楽しみよ。ふふ、恐怖に怯えていなさい」
「クッ! 冬馬、どうやら俺の命はここまでのようだ。ハァ……教室行くわ」
「おう、骨は拾ってやる」
「冬馬?」
「おっと……」
「全く……さて、貴方に相談があるわ。乗ってくれるのよね?」
「ん? ああ、もちろんだ」
「じゃあ、あとで連絡するわ」
「あいよ、俺にできることならやるさ」
「こんな相談、貴方にしか出来ないわよ」
そう言い、小百合も去っていった。
俺も綾と合流して、教室へと向かう。
さて……あの二人はどうなることやら。
「あっ——冬馬君、おはよう」
「おう、おはよう。どうだった?」
「うん、後はお母さんがやるから気にしなくて良いって」
「そうか。まあ、専門家でもあるからな」
「こ、怖かったよ~! お母さんが、必ず後悔させてやるって……」
「うわー、そりゃ怖いわ。そういや、親父さんには? あと誠也は?」
「言わないでおこうって。心配するだろうし、もう終わったことでもあるからって」
「そっか……まあ、話し合って決めたら俺から言うことはないな」
「あっ、お母さんが冬馬君の予定を聞いてって……」
「ん?」
「是非、お礼がしたいって……」
「「いらんわ、そんなもん」」
「………おい?」
「えへへー、言うと思ったもん」
「まいったな……」
まあ、綾が楽しそうだから良いか。
電車を降りて、いつものように学校へ歩いていく。
「そういや、今更だが……」
「なぁに?」
「いや、一度も怖いって言ってなかったよな?」
不安そうではあったが。
「ふえっ? ……ふふ、意外と鈍いところもあるんだね?」
「あん?」
「そんなの——冬馬君がいたからに決まってるよ」
そう言い、目が眩むような笑顔を見せてくる。
俺の脳内を刺激し、頭がクラクラしてくる……。
「そ、そうか」
「おや? 照れてますねー?」
「はいはい、照れてますよー」
全く……敵わんぜ。
学校に到着すると……。
「冬馬——!!」
「ウルセェ——!」
「いや、お前も煩いから」
「ったく、どうした?」
アキと剛真という珍しい組み合わせだ。
「いや、たまたま一緒になってな。冬馬に話があってよ。剛真、お前からで良いぜ」
「あっ、もしかして……」
「ん?」
「ううん、どうぞ」
「ゴホン!……愛子さんとお付き合いをすることになった」
「「はい??」」
俺とアキの声が重なる。
「う、うむ! 俺とてよくわからないのだが……後夜祭の後、家まで送ってくれと言われて……告白されてしまったのだっ!」
「「………まじか」」
「まじだ」
「ププッ! へんな三人! そっかぁ……あの後言えたんだ」
「いや、俺たちからしたらなぁ?」
「衝撃だよ! 事件だよ! かぁー! どいつもこいつも!」
「で、それを報告に?」
「う、うむ! 元はと言えば冬馬のおかげだからな。知り合ったのも、その先のアドバイスも……感謝する」
「そんなのお前が頑張ったからだよ。俺は何もしていない。ほら、頭を上げろって」
「ふっ、相変わらずの男よ。それでこそ、俺が認める数少ない男だ」
「ちなみに俺は?」
「答えた方がいいか?」
「いや、やめておく……ハァ、俺も彼女作るかね」
……小百合に聞いてみるか?
まだ確信はないが……。
そして、剛真はそれだけいうと走っていった。
「で、お前は?」
「ほら、行こうぜ。主役2人の登場だ」
「あん?」
「あっ——冬馬君! いこ!」
「おい、引っ張るなって!」
綾に連れていかれ……下駄箱の先を見ると。
「あっ、忘れてた」
「お前って奴は……まあ、目的は果たしてるもんな」
「わぁ……! 冬馬君、おめでとう!」
「おう、ありがとな」
そこにはミスターコンテスト優勝者として、俺のポスターが真ん中に貼られていた。
すこし、いや、かなり恥ずかしいが……これで、煩い奴も減るだろう。
「冬馬君! すごいねっ! ぶっちぎりだよ~!」
「やれやれ、参ったぜ。二位の俺より1.5倍かよ」
すると森川と黒野もやってくる。
「凄いじゃん!」
「まさかと思ったけど。綾、良かったわね?」
「うんっ! あっ——愛子っ! もう! すぐに言ってよ~!」
「そうよ。私だって、今さっき知ったんだから」
「いや~少し気恥ずかしかったというかー余韻に浸ってたというか……」
そのまま三人で話しているので、俺はそっと離れる。
すると……。
「あら、来たのね」
「おう、小百合」
「げげっ!」
「相変わらずアキは失礼ね。こんな美少女が現れたっていうのに」
「自分で言うなっ!」
「貴方だって自分でイケメンとか言ってるじゃない。ププッ……負けてるけどね」
「ぐぬぬ……!」
相変わらず、こいつらは仲が良いんだか悪いんだか。
小百合の件は、俺の気のせいだったか?
「でも、賭けは私の勝ちね?」
「くそっ! 優勝できなかったからな……!」
「おい? なにを勝手に巻き込んでいる?」
「いや、こいつが冬馬のがカッコいいしモテるって言うからよ……」
「あん?」
「ふふ、今回はお手柄だったわ。これで、何か一つ言うことを聞いてもらえるから」
「……まさか、そこまで計算していたとは」
本当になんというか、抜け目がないな。
利用された形だが……まあ、なんでもするって言ったのは俺だしな。
それに、俺にも利はあったし。
「で、何がいいんだよ?」
「それは後でのお楽しみよ。ふふ、恐怖に怯えていなさい」
「クッ! 冬馬、どうやら俺の命はここまでのようだ。ハァ……教室行くわ」
「おう、骨は拾ってやる」
「冬馬?」
「おっと……」
「全く……さて、貴方に相談があるわ。乗ってくれるのよね?」
「ん? ああ、もちろんだ」
「じゃあ、あとで連絡するわ」
「あいよ、俺にできることならやるさ」
「こんな相談、貴方にしか出来ないわよ」
そう言い、小百合も去っていった。
俺も綾と合流して、教室へと向かう。
さて……あの二人はどうなることやら。
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