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冬馬君は遅れたものを取り戻す

冬馬君はモテモテ?

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 ……これはどういう状況だ……?

「おい、綾。どうなっている?」

「ハハ……なんか、暁人君が私に冬馬君の予定を聞いてきて……今日はまだ予定ないよって言ったら、じゃあ誘っても良いかって……そしたら智君が来て、剛真君も来て……それを見た博君達が、冬馬君が空いてるなら俺たちが誘うってなって……」

「……カオスか。なんでか知らんが、中学の時もこんなことあったなぁ」

「ふふ、冬馬君モテモテだね?」

「嬉しくねぇ……野郎共にモテモテとか……」

「むぅ~……女の子にモテたいのですか?」

「いえ、綾にモテたいです」

「そ、それならいいのです……じゃ、じゃあ……モテモテだね?」

「それは最高だな」

「えへへ~……あっ——!止めないと!」

「もうよくね?このまま2人で帰らないか?そんで、俺はイチャイチャしたい」

「はぅ……す、ストレートすぎるよぉ~……そんなに嬉しかったのかな……?」

「なんの話だ?」

「あっ——あ、あのね……麻里奈ちゃんがこれを送ってきて……」

 そのスマホのビデオ動画には、俺が映っていた。
 そして、綾から貰った財布を眺めてニヤニヤしている……。
 さらには幸せだとか言っているな……無意識だな。

「なるほど……あいつこんなの撮ってたのか」

「わ、私、これみて嬉しくて……冬馬君が、わ、私が彼女で世界一の幸せ者だって……」

「当たり前だろ、こんなに可愛い彼女がいるんだから。この俺以上に幸せな男など地球上に存在しない」

「そ、それは言い過ぎかも……でも、嬉しい……」

「うん、帰ろう。そして、俺は綾を抱きしめるのだ」

「ダメだよ!?みんな待ってるんだから!あと、口調も変だよ!?」

「ダメか……ちぃ!やつらめ……良いだろう、相手をしてやろう。この俺と綾のイチャイチャを邪魔する奴は……許さん!!」

「え?と、冬馬君……?」

 俺は、ドアを勢いよく開ける!

「おっ!冬馬!」

「やれやれ、ようやく来ましたか」

「ガハハ!待っておったぞ!」

「あれ?なんか怒ってない?」

「目つき怖くね?」

「ぼ、僕は帰ろっかなー……」

「お前らぁ——!!ウルセェ——!!めんどくせぇ!!まとめて相手してやるから答えろや!!俺は綾とイチャイチャするんだよぉ——!!」

「「「「「「は、はい!!!!!!」」」」」」

 俺の気迫に6人の声が重なった。

「ハハ……冬馬君のテンションがおかしいなぁ……」

「綾、どうせアンタが何かしたんでしょ~?」

「私もそう思うわ」

「べ、別に……少しサプライズでプレゼントしただけなんだけどなぁ……」

「それは……ああなるわな~」

「愚問ね……」

「はい!アキ!何の用だ!?」

「俺か?いやー、女の子遊び控えたら暇でさー」

「はい!次!剛真!」「酷くね!?」

「お、俺はだな……むぅ……」

「はいはい!森川とのことね!森川!こいつがデートしたいってよ!」

「なっ、なぬぅ!?何をいうか!」

「へ?そ、そうなん?べ、別に……してあげてもいーし……」

「森川さん……いいのか?」

「で、デートだけだし!それだけだし!」

「ああ!十分だ!ありがとう!」

「はい!解決!次、ヘタレ智!」

「へ、ヘタレ……いや、返す言葉もありませんね……そうなのですよ。僕は、一体どうしたら良いですかね?」

「ウルセェ——!さっさとキスして来いや!好きな女の子を待たせるんじゃねえ!」

「ま、待っている……?飛鳥がですか……?」

「それくらい気づけや!あいつは俺の大事なダチではあるんだ!泣かせたら承知しねえぞ!?」

「わ、わかりました……!やってみます……!」

「はい!解決!博……はアレか?」

 黒野とのダブルデートプランだよなぁ。
 ただ、今の黒野は真兄とのお出掛けで頭いっぱいだからな……。

「まあ、そうだね……」

「実はな……うん、もう少しだけ待ってくれ。来週には計画を立てるから」

「……オッケー、わかったよ。ごめんね、急かしたみたいでさ」

「いや、気持ちはわかる。安心しろ、俺は約束は守る男だ」

「じゃあ、待ってるよ」

「はい!次!マサ!」

「お、おう!俺だけ遊んでないぞ!?」

「悪かった!だが、今日はすまんがダメだ!明日も部活は休みだな!?」

「ああ!文化祭十日前になってるからな!」

「じゃあ、明日の金曜日に遊ぶぞ!何か考えておいてくれ!」

「おっしゃー!わかったぜ!」

「はい!啓介!どうした!?」

「い、いや、僕はいいよ……そ、そのノリってやつをやってみたくて……」

「良い傾向だと思う。遠慮なくやっていけ。失敗を恐れてはいけない。それを笑う奴がいたら俺がぶっ飛ばす!」

「と、冬馬君……うん!ありがとう!」

「はい!解決!綾!帰るぞ!」

「え?い、良いのかな……?」

「いいんじゃない?多少強引だけど、見事な解決方法ね」

「なんだよー、俺だけ無視かよー」

「アキ!来週の月曜日遊ぶぞ!」

「……しょ、しようがねえな」

 ……よし、これにて解決!

 俺は綾を連れて、学校を出るのだった……。


「よ、よかったのかな?」

「ああ、むしろあれでいいはずだ。発破をかける意味合いでな」

「た、確かに……一気に解決したよね……」

「多少手荒なのは認めるが、ああでもしないと進展しないしな」

「あっ——やっぱり……一応、考えてたんだね?」

「まあ……なんだかんだいって、大事な友達だしな」

「えへへ~、冬馬君のそういうところ好き!」

「……おい?言っておくが、さっきのも嘘じゃないからな?」

「え……?あっ——そ、それって……?」

 俺は人がいないのを確認して、そっと口づけをする。

「んっ………も、もぅ……」

「仕方ないので、今日はこれで我慢する」

「はぅぅ……」

 俺は綾の照れ顔に満足しつつ、家に帰るのだった……。
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