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冬馬君は平和な日々を取り戻し……

冬馬君は再び男子会をする

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 翌日、いつも通り綾と電車で会ったのだが……。

「綾?」

「な、なにかな!?」

「いや、目が合わないのだが……」

「そ、そんなことないのです……」

「いや……まあ、いいけど」

「ご、ごめんなさい……」

 ……うーむ、挙動不審になっているな……。
 やっぱ……俺が原因か。
 ちょっと性急すぎたかな?

 その後、電車を降りても綾はそのままだった。
 うーん……綾の気持ちは大事にしたいしな、一応確認しとくか。

「綾、明後日やめとくか?」

「え……?」

「無理しなくて良いからな。綾を困らせることは俺の本意じゃない」

「あっ、でも……明後日冬馬君の家行ったら……な、なにかするの……?」

 ゴハッ!?う、上目遣いは反則だろ!?
 グォォォ!!!おさまれ!俺の中のナニカよ!

「その……なんだ、何もしない自信はないが……綾が嫌がることはしないと約束する」

「と、冬馬君……えっと、あの……明後日行かせていただきます……」

「お、おう」

 アレ?これはオッケーってこと?
 うん?ダメだ……経験値がなさすぎる……。
 これは、また相談をしなくてはな。

 結局、その後は会話もせずに学校の教室まで行くのだった……。
 ただ不思議と気まずいことはなく、少しむず痒い感じであったと思う。



 その後、午前中の授業を挟んだことで、変な空気は解消された。

「文化祭の準備もそろそろ始まるね~」

「そうだな……バイトも年末までは少ないし、準備に専念するかね」

「去年はどうしてたの?」

「……覚えてない。一応最低限の手伝いはしたが、文化祭自体にも出てないしな」

「えぇー!?そうだったんだ……でも、そうだよね」

「だから今回は楽しみだ。綾という、可愛い彼女がいるからな」

「ふえっ?……わ、私もです……カッコいい彼氏さんです……」

「綾……俺と文化祭デートをしてくれませんか?」

「は、はぃ……喜んで……」

「おい?俺いるからな?砂糖ドバドバはほどほどにな?」

「あれ?真兄いたの?」

「はぅ……わ、忘れてました……」

「……うん、俺お腹いっぱいだわ。やれやれ、俺の春はいつくるのかね?」

「いや……とりあえず、タバコをやめればいいんじゃない?」

「それな!最近みんな嫌がるからなぁ……まあ、いいか。まだ焦るような歳でもないし」

 ……ここで、黒野はどうしたの?とか聞けないしな。



 その後放課後を迎えると、綾は森川と黒野と帰っていった。

「さて、俺も帰るとするか」

 学校の出口に向かうと、皆が揃っていた。

「アキ、智也、剛真……ハハ……懐かしい感じだな」

「冬馬が最後ですね。確かに……2年ぶりですね」

「ガハハ!懐かしいな!」

「相変わらず、うるせー奴……だが、感慨深いものがあるな」

「だな……よし、じゃあ行くとするか」

 全員で帰りながら、空白の時間を埋めるように、それぞれの話をするのだった。




「お邪魔します」

「失礼いたす!」

「邪魔するぜー」

「おう、いらっしゃい。さて、アキと智也は上に行っててくれ。剛真を挨拶させるから」

 俺は剛真を連れ、和室に入る。

「……御無沙汰しております、冬馬の母上殿。貴方の優しさに俺は救われました。ガタイも大きく見た目もこんな俺を、貴方は皆と変わらずに接してきれたこと、今でも感謝しております。冬馬は相変わらず、筋の通った良い漢です。これからも仲良くさせて頂きたいと思います。母上殿にも、またご挨拶に伺います」

「……そういや、そうだったな。うちの母さんは怖がらなかったな」

「ああ、そうだ。大体友達の家に行くと、その家族は怖がってしまった。だが、ここは居心地が良かった。惜しい方を亡くしたものだ……」

「ありがとな、剛真……さて、行くか」

 お茶菓子を用意して、俺の部屋に入った。

 そして……恋愛相談の始まりである。

「さて、恋愛初心者の諸君。この俺に相談があるのかな?」

「ぐっ!?」

「ウムゥ……」

「こればかりは仕方がないですね……」

「冬馬、今日はそういう会でもあるんだろ?」

「まあ、そうだな。まずは、智也。飛鳥とはどうなったんだ?」

「こ、告白をして付き合うことに……ですが、デートしても変わらないというか……」

「あぁー……付き合いが長いとそういう弊害があるかもな。よし、俺が伝授を授ける。いいか……」

 智也はアキの話を一生懸命に聞いている。

「さて、俺は剛真か。一応先輩ではあるし。森川とはどうなったんだ?」

「うむ……あの後、勇気を出してデートに誘ったのだ……」

「おっ!?えらいぞ!それでこそ漢だ!どこに行くんだ?」

「それが……どうしたら良いのだ?俺はファッションも知らんし、若者の遊びも知らん……」

「……なるほど……お前がかっこよく見える方がいいよな。それでいてデートになって会話にも困らない……ボーリングならいけるんじゃないか?」

「むっ?確かにハイスコアは250だし、デートっぽくもある……冬馬!感謝する!」

「近い!近いから!男のドアップとかいらんわ!」

「ガハハ!すまんな!だがスッキリしたぞ!」

「なら良かったよ」

 その後も、何を話していいかとかの相談を受ける。

 すると……。

「冬馬、今度はお前の相談に乗る。智也と剛真とは違うからな」

「では、俺は智也と話すとしよう。あやつの意見も聞きたいしな。アキの意見は俺には早すぎる気もするしな」

 そう言い、剛真は智也と話し出した。

「さて……なんでも聞いてくれ。お前の進展が遅れたのは、俺にも責任があるからな」

「まあ、否定はできない。あのな……明日、綾を家に呼ぶんだが……」

「なるほど……いよいよか?」

「いや、それはまだわからない……綾の気持ちが最優先だし。ただ、最後までいかなくとも、少しくらいは進みたいとは思う……」

「まあ、それはそうだな。むしろ、お前は偉いよ。よく耐えてると思う。俺に言えるのは……相手のアレが濡れているからといって、準備万端ではないということかな。当たり前だが、そういうビデオはあてにならないからな?」

「ん?そうなのか?だが……どこで判断するんだ?」

「うーむ、難しい質問だな。ただ、一度痛いと思われると……中々難しい。身体が強張るからな。とにかくリラックスさせることと、その前に相手の気持ちを高めることだ。焦って先走るなよ?ダメだからな?そして……どんなに準備しても失敗するときは失敗する」

「相手を思いやって行動しろということだな?」

「そうだ、前にも言ったな。まあ、安心しろ。失敗することはよくあることだ。大事なのは、その後だ。わかってるな?」

「ああ、嫌な顔や残念な顔をしないこと……」

「そうだ。綾ちゃんだって、好きでそうなるわけじゃないはずだ」

「よし……!サンキュー、アキ。整理がついた気がする」

「これで少しは恩が返せたかね……」

 その後再び4人で会話し、男子高校生らしい話をするのだった……。
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