静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について

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冬馬君は友達のために

冬馬君は決行日を決める

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 翌日の火曜日の昼休み、俺は他クラスを訪ねた。

 今日は、綾は森川と黒野と食べるそうだ。

 なので、1人で急いで昼飯を食べて、こちらにきたわけだ。

「おう、剛真。昨日はありがとな」

「ガハハ!気にするな!」

「今、平気か?ジュースでも奢るからよ」

「おっ!気にせんでも……いや、ちょうどいい!」

「はい?……まあ、いい。じゃあ、行こうぜ」

 2人で中庭のベンチに座りながら、コーラ缶を開けて飲む。

「プハァ!あー!炭酸が美味えな!」

「ガハハ!だな!」

「……さて、改めて礼を言う。綾と森川を守ってくれてありがとう」

「うむ、受け取ろう。して……相談なんだが……」

「うん?俺にか?」

「う、うむ……あの、森川という女子なのだが……悪い男に引っかかっているのか?」

「……まあ、そうだな。なんだ、惚れたか?」

「なぬっ!?な、何故わかったのだ!?」

「おい!揺さぶるな!馬鹿力なんだから!」

「おっと、すまん……」

「たくっ……で、何をどうしてそうなったんだ?」

「うむ……まず、初対面の女の子に怖がられなかったのだ……」

「あー、なるほど……でも、それなら綾もだろ?」

「まあ、そうなのだが……清水さんは、冬馬の友だから安心して、普通に接してくれる面もあるだろう?だが、あの森川という女の子は……本当に普通に接してくれたのだ。それに……え、笑顔が可愛いのだ……ウ、ウォォーー!!」

「だから揺さぶるな!肩が外れるわ!」

「う、うむ……でだ……俺が付き合えるとは、これっぽっちも思っていない。だが、そんな男に引っかかっているなら……手助けをしたい……!」

「剛真……だが、部活があるお前は……」

「先生と部員には説明してきた。彼女でも友達でもないが、好きな女の子が危ない目に遭うかもしれないと……なので、最悪暴力沙汰になると。そしてその場合は、部員から名前を消してくれとな……皆から励まされてしまったがな。頑張ってくださいと」

「剛真……気に入った!!それでこそだ!わかった、もしもの時は連絡する。それでいいか?」

「ああ!頼む!なんでも言ってくれ!」

 こうして、昼休みが終わった……。

 ……さて、正直言って助かる。

 剛真の力は、場合によっては俺を超える。

 作戦を立てておかなくてはな。




 そして放課後、学校の帰り道……。

「ヘェ~!?やっぱり、そうなんだ~!」

「ああ、そうらしい……やっぱり?」

「うん、なんかそうかなーって……愛子は気づいてなかったけどね。でも、愛子も良い男って褒めてたよー?友情に熱い男だって。あと、ナンパも撃退してくれたって」

「ほう?まあ、それに関してはなんとも言えんな。とりあえず、強力な助っ人ができたことは確かだ。これで、森川の守りを任せられる。俺は奴らを潰すのに専念できる……!」

「……ごめんなさい、私の都合で……」

「ふっ、気にすんな。そもそもやり方が気にくわない。女の子を傷つけるとか、男の風上にもおけない奴らだ……!さて……さっさと片付けるとするか。でないと、綾とゆっくりイチャイチャできねえじゃねえか……!あっ、めちゃくちゃ腹たってきたな……!すぐにでも行くか……?」

「ふえっ!?え?ええと……」

「よし、決めた。綾とイチャイチャするためにも、早急に奴らを潰す……!!」

「あわわっ……ど、どうしよう?凄いことされちゃうのかな……?で、でも……」

 ……よし、早急に決行日を決めよう。

 俺だってな……イチャイチャ成分が足りないんだよーー!!




 家に帰った俺は、すぐに準備をする。

「もしもし、真兄?」

『おう、冬馬か……決まったのか?』

「うん、早い方がいいかなと思って。あっちが動き出す前にね。ピンチに陥ってから救出とかは勘弁願いたいし」

「ハハハ!漫画の主人公だったら、クレームが来るところだな!そこは、森川とヒロインである清水が捕まったりして、ピンチになってからの救出劇だろ!みたいな。なんていうか、最近ではテンプレって言うんだろ?』

「いや、俺は漫画の主人公じゃないし。そもそも、それじゃ綾が怖い目にあうってことじゃんか。俺はそんなのは御免だ、テンプレなどぶち壊してやる。大体、いい加減にウンザリしてるし。俺の親友を恐喝するわ、可愛い彼女の友達を傷つけようとするわ、俺と綾のイチャイチャを邪魔するわ……あいつら、許さん……!」

『……最後の一文がなければ、カッコよかったんだが……まあ、お前らしいか。で、俺はどう動けば良い?』

「俺と綾は乗り込みます。真兄は、後から森川を連れてきてください」

『ん……?なるほど……そういう作戦か。ところで、清水を連れて行くのか?』

「迷ったんですけどね。でも気になるだろうし……森川も来るから、そのケアが必要かなと」

『流石に、お前1人だと厳しいんじゃないか?』

「いえ、剛真の助力を得ました。もちろん、アイツには極力手は出させませんけど」

『なるほどな……アイツなら百人力だな。淳に連絡したら、アジトの周りは掃除してくれるらしいから問題なさそうだな』

「あっ、そうなんだ。じゃあ……明日の夕方で平気かな?」

『ああ、俺の仕事終わり次第ってことか。明日は残る予定もないし平気だな』

「じゃあ、それでよろしくです」

『あいよ……久々に暴れるかね?』

「いや!アンタはダメだから!」

『冗談だよ……じゃあな』

 そして、通話が終わった……。

 ……いや、アレ本気だったよな……?

 うん、明日は真兄にも要注意だな。

 俺はその後も、剛真に連絡をしたり。

 綾に連絡をし、明日に備えるのだった……。









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