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冬馬君は友達のために

冬馬君は親友を信じる

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 そして、翌日の月曜日を迎えた。

 午前中の授業を受け、お昼の時間になる。

 いつものように空き教室にいると、真司さんが入ってきた。

「よう、冬馬」

「あっ、真司さん」

「先生、こんにちは!」

「おう、清水。相変わらず仲が良いことだ」

「今日は遅かったですね?」

「……まあな……さて、俺に言うことはないか?」

 ……怒った表情をしているな……。
 これは、どっかから漏れたな……。

「……誰から聞きました?淳さんですか?それとも蓮二さん?」

「なんだと?お前、アイツらに会ったのか?」

「はい?……しまったな……ミスったか」

 てっきり、その話だと思ってしまった……。
 できれば、真司さんには知られたくなかったんだが……。

「いや、その話で合っている」

「はい?……じゃあ、誰から聞きました?」

「しまった……俺としたことが……少し焦ったか」

「えっと……2人してどうしたの?」

「あー……冬馬、そんなことはどうでも良い。で、森川がタチの悪い男につかまったそうだな?」

「え、ええ、そうです……まあ、いいか。知られちゃってるなら」

「どうして俺に言わない?あそこは俺の元庭だぞ?淳に蓮二も、俺に言ってこなかったし……」

「当たり前のことじゃないですか。真司さんは、今は学校の先生なんですよ?無茶したら大変じゃないですか。クビになったり……だから、俺も言わなかったし……真兄は、聞いたら飛び出していきそうだし。俺、真兄に迷惑かけたくないから……」

「冬馬君……そうだったんだ……」

「バカヤロー!いらん気を使うな!たくっ、アイツらもだ……だが、感謝する。俺のことを考えてくれたんだな。で、これからどうするんだ?」

「とりあえず、アジトはわかりました。あとは……潰しに行くだけです。ただ、いつかはまだ決まっていませんね」

「そうか……よし、俺も付いて行こう」

「ハァ!?教師が暴力沙汰とかマズイだろ!?どっかのグレー○ティーチャーじゃないんだから!」

「もちろん、手は出さん。だが、抑止力にはなるだろう。これでも有名人だからな。俺がいれば、タイマンに持っていけるかもしれないしな」

「……確かに、助かるけど……」

「それに、彼女の顔を見てみろ?」

 俺が綾を見ると……。
 とても心配そうな瞳で、俺を見つめていた……。

「と、冬馬君……わかってたことなんだけど、喧嘩するんだよね?怪我とか心配……もちろん、私が頼んだことなんだけど……でも、怪我とかして欲しくないの……ワガママだね、私……」

「ほらな?」

「綾……わかった。では、真司さん……その時は頼みます」

「先生!お願いします!」

「おう、任せておけ。それに学校でも問題になってきている。ガラの悪い連中が帰り道にいたりするとな……明日のホームルームの時間に伝える予定だ」

 ……これはこれで良かったのかもしれない。
 しかし……一体誰から聞いたんだろうか?
 そして、先生の間でも問題になってるのか……アキみたいな被害者がいるのかもな。


 そして放課後を迎える。

「綾、今日は森川と帰るんだよな?」

「うん!ねっ?」

「そうだよ~、吉野も来んの?」

「いや、俺は野暮用があってな。ただ、綾が心配なのでボディーガードを用意した。最近、帰り道に物騒な奴らが多いようなのでな」

「ガハハ!冬馬!来たぞ!」

「あれ~、あれって柔道部の……?」

「あっ、冬馬君の友達の……」

「浜中剛真だ!よろしく頼む!」

「だからうるせえよ。女子2人がビビるだろうが」

「す、すまん……」

「ううん!平気だよ!ねっ?」

「うん、アタシも平気~。男らしくて良いんじゃない?」

「そ、そうか」

 ……おや?剛真の様子が変だな……まさかな。

「綾~?愛されてるねー?」

「もちろん、愛している」

「ひゃい!?あ、あい、あぅぅ……!」

 ……まあ、お前の護衛でもあるんだがな。




 その後剛真に任せて、俺はアキと合流する。

「おう、待たせたか?」

「いや、平気だ」

「女子達が中々離してくれなくてなー、参ったぜ」

「相変わらずだな……よし、行くか」

「良いけどよ……どこに行くんだ?」

「まあ、たまには俺が決めても良いだろ?ついてきな」

 アキを連れて、地元の駅に到着する。

「おい、冬馬……」

「ん?どうした?」

「いや……なんでもない」

 ……おそらく、この辺はマズイと思っているんだな。
 そしてアキを連れて歩いていると……ドンピシャだ……!
 あの2人がいた……!

「あれ~?暁人君じゃないですか~?」

「おっ、連れもいるじゃん!ちょっと来いよ」

「ちょっ!?こいつは関係ない!」

「はい、静かに~……バラまいちゃうよ?」

「アキ、行くぞ」

「しかし、お前はもう……」

「いいから」

「おっ、友情ですか~。お前にいたんだね~でも、これが原因でいなくなるね~」

「だな!おら、早くしろ。警察が来る前にな」

 大人しくついていき、ひと気のない場所に出る。

「ほら?お金は~?」

 ……癇に障る喋り方をする奴だな……!
 人の神経を逆なでするように話しやがる……!

「……ない」

「おい、次会う時までに持っておけと言ったよな?」

「ねえ、君~……知ってる?こいつ、人の女を寝取ってたんだよ~。それも無理矢理にね!」

「ち、ちが」

「馬鹿か?お前ら。俺の親友がそんなことをするわけがないだろうが……!」

「冬馬……また、お前はそう言ってくれるのか……」

「……雰囲気が変わったね」

「あん?どういうことだ?」

「おい、屑共。場所を変える、ついてこい」

「あぁ!?てめー!なんつった!?」

「君……死にたいのかな~?」

「なんだ?怖いのか?なら、ついてこなくていい。俺らは帰るだけだ」

「き、貴様……!」

「哲也、落ち着け。良いよ~、ついて行こうじゃないか」

「と、冬馬……お前……」

「アキ、安心しろ。誰も信じなくても、俺だけはお前を信じる」

「ッーー!!ウゥ……」

「おら!行くんじゃねえのか!?」

「あれ~?泣いてるのー?まだ、早くない?」

「ほら、行くぞ」

「あ、ああ……ありがとな……」

 ……よし、ひとまず挑発には成功した。

 あとは、あそこに連れて行けば……。

 覚悟しろよ……俺の親友を恐喝したことを後悔させてやる……!
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