71 / 185
冬馬君は友達のために
冬馬君は尾行する
しおりを挟む
その日は、とりあえず解散となった。
綾には、森川が家にいるかを確認してもらった。
さらには、次のデート日の約束を聞き出してもらった。
そして……その日が訪れた。
土曜日の午後に綾を迎えに行き、2人で所沢駅に向かう。
そして、森川が待ち合わせと言っていた場所の近くで待機する。
そこにはお洒落をした森川がいて、嬉しそうな表情をしている。
「交番の目の前だね?やっぱり、悪い人じゃないのかな?加奈も電話で言ってたんだ……口は悪いけど、優しくてカッコいい彼氏だって……」
「まあ、交番の前で待ち合わせするからって良い奴とは限らんさ。もちろん、良い奴ならそれはそれで良いけどな」
「う、うん、そうだね……わ、私の格好平気かな?」
今日の綾は、長い髪を後ろでまとめ、キャップを被っている。
さらには伊達眼鏡をし、洋服も地味な感じにしている。
「どうする……?これはこれで可愛いな……!」
「ふえっ!?バレないかどうか聞いたんだけど……で、でも嬉しい……冬馬君もかっこいいよ?懐かしい感じ……えへへ」
……もう、尾行なんてしないでどっか個室入りたい。
……おっといかんいかん!俺としたことが……!
「そうだな、眼鏡も久しぶりだ」
俺の格好も、以前のような地味な感じにしている。
これなら近づきさえしなければ、そうそうバレることはないだろう。
「あっ……きたよ?」
永倉慎吾が森川と合流した。
「よし……では、腕を組んでいくぞ?」
「う、うん!」
柔らかなものが、俺の腕に当たる……。
いやいや、今はそんな場合ではない……!
2人で適度な距離を保ち、後をつけていく……。
……そして、時間が経った。
カフェにいったり、ウインドウショッピングしたり。
ゲーセンで音ゲーや、UFOキャッチャーしたり。
その後、2人は別々の道に別れていった。
……そして、2人して思った。
「なんか……普通だね?」
「だな……普通のカップルに見えるな」
「悪いことはしてるかもたけど、それと愛子は別ってことかな?」
「あー……その線もあるのか。確かに、そういう場合もあるか……」
人を不幸にする奴でも、自分の家族や恋人は大事って奴はいるもんな。
「むー……わかんない……でも、愛子は楽しそう……それに好きだって気持ちが、ここからでもわかる……」
「綾……」
「もしこれで悪い人だったら……愛子が傷ついちゃう……どうしたら良いのかな?」
「もっと詳しく調べる必要があるな……やはり、面と向かって話す必要があるかもしれない」
「え?い、今から話しかけにいくの?」
「いや、それは不自然だ。俺らの格好もな。森川にダブルデートの提案をしてみてくれ」
「あっ!なるほど!それなら変じゃないね!」
「あとは、その男が受けるかどうかだけどな」
「でも試す価値はあるよね!やっぱり、冬馬君は頼りになるね!えへへ、ありがとう!」
そう言い、俺の頬にキスをする……。
……さて、尾行がないなら……。
……俺は、綾とイチャイチャしたいのだ。
……だが、そうは問屋がおろさないようだ。
「ね、ねえ?今、裏の路地に入っていったの……」
「……アキだな。しかも、ガラの悪そうな奴と一緒にな……」
「ど、どうしよう?」
「悪いが、様子を見て良いか?」
「う、うん……愛子はもう家に帰っただろうし」
2人で慎重に後を追う。
そして……ビルとビルの間の、狭い空間にたどり着く。
大柄な男とヒョロイ男の2人によって、アキがビルの壁際に追い詰められている。
「綾、ストップ。そして、何が起きても声を上げるなよ?」
「う、うん、わかった……」
俺たちはドラム缶の後ろに隠れて、静かに様子を伺う。
すると……大柄な男がアキに詰め寄る。
「おい!持ってきたんだろうな!?」
「……いや、持ってきてない」
「あぁ!?ナメてんのか!?」
「金持ってこいって言ったよねー?」
「うちのボスの女に手を出したんだ。きっちり落とし前はつけてもらわねえとな?」
「俺はそんなことはしていない!」
「こっちには証拠があるんだぜ?写真という確かな証拠がな」
「良いのかなー?今ならまだ、これくらいで許してやるぞ?もし断ったら……寝とったってことにしちゃおうかなー?そして噂を流したり、親に送ろうかなー?」
「なーー!?俺がそんなことをするわけがない!!」
「どうかなー?君、遊び人でしょ?男友達もいないみたいだし、信じてくれる人なんかいるのかなー?」
「っーー!!そ、それは……」
「可哀想な奴!ハッ!顔がいいからって調子に乗ってるからだよ!」
「ガハッ!?」
「おいおいー、殴っちゃダメだよー」
「すいやせん、つい……」
「ク、カハッ……」
「仕方ないなー、もう一回チャンスを上げるよ。次はお金持ってきてね?君なら簡単でしょ?ホストするなり、女の子から金を貰うことなんかさ」
「良かったな?良い顔に生まれて!ハハハ!!」
そう言い、その2人は去っていった。
アキも起き上がり、その場を離れていった。
……俺のはらわたは煮えくりかえっていた……!
よくも、俺の親友をあんな目に……!
「と、冬馬君?助けなくて良かったの?」
「助けたかったに決まってる!!」
「きゃっ!?ご、ごめんなさい!」
「す、すまん!これは俺が悪い!」
「ううん……あっ、冬馬君血が出てる……」
気がつくと、俺の掌から血が流れていた。
無意識のうちに爪が食い込んでいたようだ。
「そうだよね、何が理由があるんだよね?」
俺の掌を消毒し、絆創膏を貼りながら、綾がそう聞いてきた。
「ああ……アキは俺にはバレたくないはずだ。そして、問い詰めたとしても言わないだろう。俺に迷惑をかけたくないと思ってな……」
……あと綾がいるからな。
2人相手に守りきれるかわからない。
「そっか……どうするの?」
「もちろん、アキを助ける。アキには色々と助けられた。ならば、今度は俺の番だ。対等でないなら、親友とは言えない……!何より……俺の矜持が許さない……!」
「冬馬君……」
「綾、安心してくれ。もちろん、森川のことも手伝うからな」
「う、うん……無理だけはしないでね……?」
「ああ、わかった。約束しよう」
……だが、あのヒョロイ男に見覚えがある気がする……。
どこだ?いつだ?……クソ!出てこねえ!
だが、覚悟しろ……!
俺の親友に手を出したこと、必ず後悔させてやる……!
綾には、森川が家にいるかを確認してもらった。
さらには、次のデート日の約束を聞き出してもらった。
そして……その日が訪れた。
土曜日の午後に綾を迎えに行き、2人で所沢駅に向かう。
そして、森川が待ち合わせと言っていた場所の近くで待機する。
そこにはお洒落をした森川がいて、嬉しそうな表情をしている。
「交番の目の前だね?やっぱり、悪い人じゃないのかな?加奈も電話で言ってたんだ……口は悪いけど、優しくてカッコいい彼氏だって……」
「まあ、交番の前で待ち合わせするからって良い奴とは限らんさ。もちろん、良い奴ならそれはそれで良いけどな」
「う、うん、そうだね……わ、私の格好平気かな?」
今日の綾は、長い髪を後ろでまとめ、キャップを被っている。
さらには伊達眼鏡をし、洋服も地味な感じにしている。
「どうする……?これはこれで可愛いな……!」
「ふえっ!?バレないかどうか聞いたんだけど……で、でも嬉しい……冬馬君もかっこいいよ?懐かしい感じ……えへへ」
……もう、尾行なんてしないでどっか個室入りたい。
……おっといかんいかん!俺としたことが……!
「そうだな、眼鏡も久しぶりだ」
俺の格好も、以前のような地味な感じにしている。
これなら近づきさえしなければ、そうそうバレることはないだろう。
「あっ……きたよ?」
永倉慎吾が森川と合流した。
「よし……では、腕を組んでいくぞ?」
「う、うん!」
柔らかなものが、俺の腕に当たる……。
いやいや、今はそんな場合ではない……!
2人で適度な距離を保ち、後をつけていく……。
……そして、時間が経った。
カフェにいったり、ウインドウショッピングしたり。
ゲーセンで音ゲーや、UFOキャッチャーしたり。
その後、2人は別々の道に別れていった。
……そして、2人して思った。
「なんか……普通だね?」
「だな……普通のカップルに見えるな」
「悪いことはしてるかもたけど、それと愛子は別ってことかな?」
「あー……その線もあるのか。確かに、そういう場合もあるか……」
人を不幸にする奴でも、自分の家族や恋人は大事って奴はいるもんな。
「むー……わかんない……でも、愛子は楽しそう……それに好きだって気持ちが、ここからでもわかる……」
「綾……」
「もしこれで悪い人だったら……愛子が傷ついちゃう……どうしたら良いのかな?」
「もっと詳しく調べる必要があるな……やはり、面と向かって話す必要があるかもしれない」
「え?い、今から話しかけにいくの?」
「いや、それは不自然だ。俺らの格好もな。森川にダブルデートの提案をしてみてくれ」
「あっ!なるほど!それなら変じゃないね!」
「あとは、その男が受けるかどうかだけどな」
「でも試す価値はあるよね!やっぱり、冬馬君は頼りになるね!えへへ、ありがとう!」
そう言い、俺の頬にキスをする……。
……さて、尾行がないなら……。
……俺は、綾とイチャイチャしたいのだ。
……だが、そうは問屋がおろさないようだ。
「ね、ねえ?今、裏の路地に入っていったの……」
「……アキだな。しかも、ガラの悪そうな奴と一緒にな……」
「ど、どうしよう?」
「悪いが、様子を見て良いか?」
「う、うん……愛子はもう家に帰っただろうし」
2人で慎重に後を追う。
そして……ビルとビルの間の、狭い空間にたどり着く。
大柄な男とヒョロイ男の2人によって、アキがビルの壁際に追い詰められている。
「綾、ストップ。そして、何が起きても声を上げるなよ?」
「う、うん、わかった……」
俺たちはドラム缶の後ろに隠れて、静かに様子を伺う。
すると……大柄な男がアキに詰め寄る。
「おい!持ってきたんだろうな!?」
「……いや、持ってきてない」
「あぁ!?ナメてんのか!?」
「金持ってこいって言ったよねー?」
「うちのボスの女に手を出したんだ。きっちり落とし前はつけてもらわねえとな?」
「俺はそんなことはしていない!」
「こっちには証拠があるんだぜ?写真という確かな証拠がな」
「良いのかなー?今ならまだ、これくらいで許してやるぞ?もし断ったら……寝とったってことにしちゃおうかなー?そして噂を流したり、親に送ろうかなー?」
「なーー!?俺がそんなことをするわけがない!!」
「どうかなー?君、遊び人でしょ?男友達もいないみたいだし、信じてくれる人なんかいるのかなー?」
「っーー!!そ、それは……」
「可哀想な奴!ハッ!顔がいいからって調子に乗ってるからだよ!」
「ガハッ!?」
「おいおいー、殴っちゃダメだよー」
「すいやせん、つい……」
「ク、カハッ……」
「仕方ないなー、もう一回チャンスを上げるよ。次はお金持ってきてね?君なら簡単でしょ?ホストするなり、女の子から金を貰うことなんかさ」
「良かったな?良い顔に生まれて!ハハハ!!」
そう言い、その2人は去っていった。
アキも起き上がり、その場を離れていった。
……俺のはらわたは煮えくりかえっていた……!
よくも、俺の親友をあんな目に……!
「と、冬馬君?助けなくて良かったの?」
「助けたかったに決まってる!!」
「きゃっ!?ご、ごめんなさい!」
「す、すまん!これは俺が悪い!」
「ううん……あっ、冬馬君血が出てる……」
気がつくと、俺の掌から血が流れていた。
無意識のうちに爪が食い込んでいたようだ。
「そうだよね、何が理由があるんだよね?」
俺の掌を消毒し、絆創膏を貼りながら、綾がそう聞いてきた。
「ああ……アキは俺にはバレたくないはずだ。そして、問い詰めたとしても言わないだろう。俺に迷惑をかけたくないと思ってな……」
……あと綾がいるからな。
2人相手に守りきれるかわからない。
「そっか……どうするの?」
「もちろん、アキを助ける。アキには色々と助けられた。ならば、今度は俺の番だ。対等でないなら、親友とは言えない……!何より……俺の矜持が許さない……!」
「冬馬君……」
「綾、安心してくれ。もちろん、森川のことも手伝うからな」
「う、うん……無理だけはしないでね……?」
「ああ、わかった。約束しよう」
……だが、あのヒョロイ男に見覚えがある気がする……。
どこだ?いつだ?……クソ!出てこねえ!
だが、覚悟しろ……!
俺の親友に手を出したこと、必ず後悔させてやる……!
1
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
かつて僕を振った幼馴染に、お月見をしながら「月が綺麗ですね」と言われた件。それって告白?
久野真一
青春
2021年5月26日。「スーパームーン」と呼ばれる、満月としては1年で最も地球に近づく日。
同時に皆既月食が重なった稀有な日でもある。
社会人一年目の僕、荒木遊真(あらきゆうま)は、
実家のマンションの屋上で物思いにふけっていた。
それもそのはず。かつて、僕を振った、一生の親友を、お月見に誘ってみたのだ。
「せっかくの夜だし、マンションの屋上で、思い出話でもしない?」って。
僕を振った一生の親友の名前は、矢崎久遠(やざきくおん)。
亡くなった彼女のお母さんが、つけた大切な名前。
あの時の告白は応えてもらえなかったけど、今なら、あるいは。
そんな思いを抱えつつ、久遠と共に、かつての僕らについて語りあうことに。
そして、皆既月食の中で、僕は彼女から言われた。「月が綺麗だね」と。
夏目漱石が、I love youの和訳として「月が綺麗ですね」と言ったという逸話は有名だ。
とにかく、月が見えないその中で彼女は僕にそう言ったのだった。
これは、家族愛が強すぎて、恋愛を諦めざるを得なかった、「一生の親友」な久遠。
そして、彼女と一緒に生きてきた僕の一夜の物語。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた
久野真一
青春
最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、
幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。
堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。
猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。
百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。
そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。
男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。
とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。
そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から
「修二は私と恋人になりたい?」
なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。
百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。
「なれたらいいと思ってる」
少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。
食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。
恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。
そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。
夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと
新婚生活も満喫中。
これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、
新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる