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冬馬君は自重……

冬馬君は騎馬戦で無双する

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 あれから数日が過ぎ、いよいよ体育祭の日を迎えた。

 まずは開会式にて、応援団の演舞を披露するらしい。

 チアガールは、午後の運動会に披露するようだ。

 俺は長ランに着替え、準備体操をする。

 すると……。

「冬馬君!カッコいい!」

「よう、綾。綾も可愛いぞ」

 綾もすでにチアガールの格好をし、上にジャージを着ていた。

 眩しい脚線美が、俺の目を釘付けにする……。

「は、恥ずかしいよ……」

「す、すまん!あまりに綺麗なものだったから……」

 いつ見ても綺麗で、慣れることなんかない。
 ……俺って、意外と脚フェチだったのかもな。

「ふぇっ!?え、あ、ありがとぅ……さ、触ってみる……?」

 グハッ!?な、なにぃーー!!??

「え、いや、そのだな……」

「ふふ、照れてるー」

「最近、それ好きだな」

「あっ、嫌だったかな……?」

「いんや。綾が笑顔になれるなら、俺はそれでいい」

「と、冬馬君……よし!私!気合い入れて!」

「ど、どうした?急に……」

「と、冬馬君が運動会で活躍したら……脚を触ってもいいです!」

「……なんだと……?」

「と、冬馬君……?顔、怖いよ……?」

「綾、お前は今、言ってはならないことを言った」

「ご、ごめんなさい!そ、そうだよね!そんな賭けみたいなことで決めちゃダメだよね……ただ、何か口実が欲しかっただけなの……」

「いや、そうじゃない。俺は、今ならなんでもできる気がする。今なら異世界転移して、英雄や勇者にもなれるだろう」

 俺の中の闘志がメラメラと燃えている……!
 ドンドンと燃料が投下されていく……!

「はい?と、冬馬君……?何か、言動が変だよ……?」

「綾、一度だけ聞く……触っていいんだな?」

「う、うん……あ、脚だけなら……」

「もう、訂正は聞かないからな。覚悟しろ、綾。俺の本気を見せてやる……!」

「……少し、やり方間違ったかな……?」

「よし!では、行ってくる!」

 俺は応援団の元へ行く。





 そして、開会式が始まる。

 意味のない校長の話が終わり、いよいよ俺らの出番である。

 剛真が前に立ち、号令をかける。

「いくぞーー!!」

 そして、音楽が流れ始める。

「1、2、右!左!後ろ!」

 合図に合わせ、拳や脚を繰り出す。

「冬馬君ーー!!カッコいいよーー!!」

 ウォォォーーー!!!
 燃料が補給されてくぜーー!!

 俺はその後、全力で応援団の演舞をするのであった。



 そして、いよいよ競技が始まる。

 午前中は騎馬戦と、400メートルリレーに参加する。

 今まさに、騎馬戦の開始時刻となった。

 俺が上となり、下にはクラスメイトがいる。

 田中君、バスケ部の中野、陸上部の加藤の3人だ。

「田中君!君には酷な頼みかもしれない!だが、頼む!俺が男になるために協力してくれ!」

「う、うん!よくわかんないけど、僕も頑張るよ!と、友達のためだもんね!」

「中野、加藤……いいか?退くな!前へ出ろ!俺が蹴散らす!」

「へへ、熱いじゃねえか!良いぜ!吉野!やろうぜ!」

「ほんと、損したな。もっと早く知りたかったよ。そしたら、バスケもできたのに。こんなに面白い人だったなんて」

 そして、騎馬戦が始まる……!

「いけぇーー!!殺せーー!!」

「あいつだ!あいつを狙え!」

「あの野郎!俺らのマドンナとイチャイチャしやがって……!」

「あの子の笑顔のために我慢してきたが……!」

「ここなら、問答無用でやれる!清水さんの前で恥をかかせてやるーー!!」

「「「ウォォーー!!」」」

「ハッ!!いいだろう!雑兵共よ!かかってこい!蹴散らしてくれる!」

 右から左から、敵の騎馬隊が押し寄せてくる!

「とった!」

「あめぇ!」

 突き出された手を右手で弾き、左手で相手の帽子を奪う!

「隙あり!」

「隙なんかねぇよ!」

 身体だけを反転し、手を弾く!

「中野!!加藤!!田中君は無理するな!」

「おうよ!」

「はいよ!」

「うん!」
 
 騎馬も動き出す。

 そして……俺による蹂躙が始まる……!

「ギャーー!!」

「や、やめろーー!!」

「こ、こいつ、何者だーー!?」

 次々と帽子を奪っていく……!

「フハハ!今の俺に敵などいない!」

 だが……そんな俺の前に、最強の敵が現れた!

「ガハハ!冬馬!その感じ!懐かしいな!」

「チィッ!剛真か!だが、今の俺に勝てると思うなよ!?」

「よいな!皆の者!手を出すな!俺が相手をする!」

「おお!剛真なら!」

「やっちゃってください!」

「モテない男子のために!」

「行くぞ!剛真!」

「やるか!冬馬!」

 俺と奴の騎馬隊が激突する!

 そして、馬上で組みあいになる……!

「ぐぉぉぉーーー!!!相変わらず、馬鹿力めぇ……!」

「ガァァァーーー!!!お主こそ、その体格でその力……!」

 お互いに全く微動だにせず、膠着状態となる。

「あ、あいつ!剛真さんと互角だぞ!?」

「嘘だろ!?あの人、インターハイ準優勝した人だぞ!?」

 ……クソ!流石につえぇ!きちんと鍛え続けた奴には、やはり勝てないか……!
 こんなことなら、しっかり鍛えておくんだったな!

「ガハハ!もう疲れたか!では……」

「冬馬君ーー!!負けないでーー!!」

「吉野ーー!!今なら、綾のおっぱいも触って良いからーー!!」

「ちょっと!?愛子ーー!?」

 おっぱいだと……!?
 おっぱい、おっぱい、おっぱい……。

「う、うおおおーーー!!!」

「な、なに!?押し負ける?俺が?」

「剛真!!覚悟しろ!!今の俺に敵はいない!!」

「グッ!?お、押し返してやる!」

「今だ!!」

 押し込んだ右手を、スッと力を抜く。

「なぁ!?」

 剛真の体勢が前に出る。

 つまり……。

「とった!!」

「ま、負けたか……ガハハ!楽しくなってきたな!また、冬馬と遊べるとは!」

 そして、終了の笛が鳴る。

 俺達のクラスの勝ちだ!

 ……おっぱいと言われて、張り切ってしまった。

 まあ、冷静に考えれば、ただの冗談なんだろうけどな。

 いやはや、俺も意外と単純なんだな……。
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