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冬馬君は彼女のために……

冬馬君は全力を尽くす

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 さて……いよいよ中間テストの日を迎えた。

 いつもは、学年で50位前後だからな。

 できれば、最低でも30番以内には入りたい。

 それと……テストの結果発表日にも備えなくてはな。






 いつもの車両で、綾と一緒になる。

「冬馬君!おはよう!」

「おう、綾。おはよう」

「今日からテストだね……わ、私……」

「綾、一応言っておく。わざと、点数を下げるようなことはするなよ?」

「と、冬馬君……」

「その顔は……少し考えたな?」

「は、はい……ごめんなさい……」

「いや、謝るのは俺のほうだ。綾、全力でいい。自分を落とすな。俺が、綾のところまで駆け上がってやる。あまり、俺を舐めるなよ?なにせ、俺は綾の彼氏なんだぜ?」

「冬馬君……うん!わかった!全力でやるね!自分にも、周りにも失礼だもんね!」

「そういうことだ。よし、何か問題出してくれるか?」

「うん!じゃあね……」

 結局、教室に入るまで、二人で問題を出し合うのだった……。





 教壇の前で、真司さんが言う。

「さて、お前ら。今日からテストだ。これが終われば、次は体育祭。そして、文化祭。最後には、修学旅行がある」

「「「ウォォォーーー!!!」」」

 一部の男子が叫ぶ!

「「「キャーーー!!!」」」

 一部の女子が叫ぶ!

「静かに!!だが、それもテストが終わった後だ。俺が担任になったからには、体育祭は優勝を目指す!追試になったら、練習時間も減る。追試になった奴は……わかっているな?」

「「「は、はいーーー!!!」」」

 ……さすが、鬼の真司。
 ひと睨みしただけで、震え上がったぞ。
 そして、相変わらずの負けず嫌いだな。

「冬馬君、先生気合い入ってるね?」

「多分、教師で賭け事でもしてるんだろ?」

「えぇ!?いいの……?」

「まあ、昼飯とかそんなんだろ」

「あっ、そういうことかぁ」

 そして、いよいよテストが始まる……。




 よし……これも解ける。

 俺は得意である、国語のテストをスラスラと解いていく……。

 これなら、いけるはず……!

 そして、1日目が終わる。





 そして、2日目。

 よし!苦手な英語も、綾のお陰でわかる!

 他のも、いつもより感触が良い!






 そして、最終日の金曜日を迎える……。

「と、冬馬君?大丈夫?」

「ああ、大丈夫だ。綾、今日のテスト終わったら頼みがある。聞いてくれるか?」

「え?うん、私に出来ることなら……その、なんでもとはいかないけど……あっ!嫌とかじゃなくてね!……あぅぅ……!」

「おい?綾?教室だからね?みんな見てるからね?いや、俺が頼むのも、ある意味見られるんだけどね?」

 男子からは射殺すような視線が……。
 女子からは、微笑ましい視線が……。

「ほら!冬馬!イチャついてないで、テスト始めるぞ!」

「はいはい、わかりましたよ」

 もう、俺と仲良いの隠す気ないな……この人。
 まあ、バレたところで、もう大した問題はないしな。




 そして、最後のテストが始まる……。

 最後のテストは、暗記問題である世界史だ。

 これは……昨日見た!!よし!!運も良い!!

 これは……今朝、綾と出し合ったぞ!幸運の女神か!!

 見直してみる……よし、全てを出し切った……。

 あとは、平均点がどうなるかだな……。

 結果を待つとしよう……。

「冬馬君!お疲れ!」

「綾こそな、助かったよ」

「ん?私、何かしたっけ?」

「綾と一緒に、勉強したところが出たよ。それに、英語を教えてくれたしな」

「あっ!そうだね!私も、冬馬君のお陰で国語解けたよ!」

「じゃあ、お互い様だな。じゃあ、行こうか」

「うん!」

 俺は綾を連れ、中庭に行く。

「あれ?冬馬君、帰らないの?」

「ああ、そこのベンチに座ってくれ」

「う、うん……」

 綾は大人しくベンチに座る。

「では、失礼します」

 隣に座り、綾の膝の上に頭を乗せる。

「ひゃん!?」

「おっと、悪い。大丈夫か?」

「う、うん……びっくりしたぁ……人前だけど、良いの?」

「綾は嫌か?俺とのこと見られるのは……」

「ううん!私は、そんなことないよ!う、嬉しいくらいです……」

「そうか、良かった……綾、これからは気にしなくていい。俺に気遣う必要はない。俺が嫌になることはありえない。綾の思うとおりにすると良い」

「冬馬君……エヘヘ、髪触っても良い……?」

「ああ、どうぞ」

「うわー、長いねぇー。量も多いし、大変そう」
 
 ……あっ、これ想像以上に気持ちいいな……眠くなる。

「まあな……綾は、長い髪のが好きか?」

「え?……うーん……冬馬君とか関係ないなら、短いのはあんまりかなぁ。長すぎず、それでいてさっぱりした感じ?かな」

「そうか……すまん、少し寝て良いか?」

「うん、良いよ。私……冬馬君の寝顔好きだもん」

「そ・う・か………」

 意識が遠のいていく……。

「冬馬君……ありがとう、私のためだよね……?大好きだよ……」






 次に目を覚ますと、30分ほど寝てしまっていた。

 今日は疲れたということで、真っ直ぐに家に帰る。



 そして次の日の土曜日は、綾が家の用事なので会わなかった。

 日曜日に『会えるかな?』と誘われたが、断腸の思いで断った。

 ゲームの発売日だと、嘘をついてまで……。

 さらには、徹夜するから、月曜の朝は先に行っててくれと。

 少し寂しそうにされてしまったが、致し方ない。

 あとで、土下座でもなんでもするとしよう。

 だが、俺にだって覚悟がいる……。

 なにせ、久々すぎるからな……。




 そして日曜日に、俺はとあるところに行き、あることを済ませる。

 そして、家に帰ると……。

「えぇーー!?お兄!?どうしたの!?カッコいいんだけど!?」

「麻里奈!?どうした!?冬馬に何か……おお!!見違えたな!」

 妙に照れくさいな……それに、スースーする。

 さて……明日はテストの順位発表だ。

 色々な意味で、気合いを入れて行こう。
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