上 下
1 / 185
冬馬君は静かに過ごしたい

プロローグ

しおりを挟む
 俺の名前は、吉野冬馬。

 桜田高校に通う、17歳の高校2年生だ。

 身長175センチ、体重65キロ。

 中肉中背で、容姿は至って平凡……自分ではそう思っている。

    黒の長髪を、無造作の状態にしている。

 特徴といえば、運動神経が良いくらいだ。

 普段は、野暮ったい眼鏡をかけている。

 そして自他共に認める、ぼっちである。

    ただし、生来的なものではない、とある事情からこうなったのだ。

 1年の時は上手くいき、ぼっちであることを確立した。

 虐められもしない、弄られもしない、もちろん人気者でもない。
  
 所謂、空気的存在だ。

 ああ、そんな奴もいたっけな……と言われる、絶妙なポジションだ。

 今の学校には、暗黙の了解としてカースト制というものがある。

 リア充グループ、非リア充グループ、普通グループ、などがあるらしい。

 その中にも天然リア充、努力型リア充、キョロ充などがあるらしいが、よくわからん。

 俺は、そのどれにも属していない。

 所謂、世間一般で言われる非リア充グループと同じような趣味は持っている。

 漫画、ゲーム、ラノベなどだ。

 俺自身は認めていないが、大多数の人がオタクと蔑むものだな。

 だが、俺はそこにも属していない。

 理由は簡単だ。

 誰かと共有する気がないからだ。

 俺個人としては、趣味とは1人で楽しむものだと思っている。

 カラオケ行けば、ある程度は相手に合わせないといけないし。
 好きに歌わせろや!いいじゃんか!男が、女性アニソン歌っても!

 ゲームだったらネタバレされたり、自分のオススメは~とか言われる。
 ふざけんなよ!?殺すぞ!?オススメだと!?そんなのは、自分で決める!
 
 漫画やラノベでも、次はこいつが~とか、この伏線が~とか言われる。
 あぁ!?舐めてんのか!?埋めるぞ!?それを楽しみに生きてんだよ!


 フゥ……つい、暑くなってしまったな。

 まあ、そもそもリア充の定義からして疑問なのだがな……。
 リア充友達が沢山いれば、リア充?
 容姿の良い恋人がいたら、リア充?
 人気ある部活やってたら、リア充?
 お洒落なバイトしてたら、リア充?
 他の友達より金持ちなら、リア充?
 みんなより勉強できたら、リア充?

 容姿の良い恋人がいなかったら、非リア充?
 リア充の友達沢山いなかったら、非リア充?
 人気ある部活やってなかったら、非リア充?
 お洒落なバイトしてなかったら、非リア充?
 他の友達より金持ちじゃないと、非リア充?
 みんなより勉強できなかったら、非リア充?


 まあ、色々とあるだろう。
 だが、俺は言いたい。
 そんなの知るかーーー!!!
 人にどう思われるかじゃない!!
 自分がリア充だと思ったなら、それが真のリア充だ!!
 他人の価値観で決められた定義など、知ったことかーー!!

 フゥ……また、熱くなってしまった。
 矛盾しているように聞こえるかもしれないが、別にリア充を否定しているわけではない。
 ただ、そっちもリア充。こっちもリア充。それでよくないかと思うわけさ。
 人それぞれ好きなことや、得意なことは違うのだから……。
 何故趣味や得意なもので、差別される?

 ……まあ、何が言いたいかというと、幸せの形は人それぞれという事だ。
 彼氏彼女作ってイチャイチャしたい奴もいるだろう。
 部活に汗を流したい奴だっているだろう。
 漫画やゲームをするのが一番という奴もいるだろう。
 人それぞれでいいじゃないか。
    何故優劣をつけるのか、常々疑問に思う。

 長々と話してしまったが、大事なことなのだ。
 ここで、俺が幸せを感じるリア充生活を教えよう。

 まずは、1人でいること。
 誰にも邪魔をされずに、ゲームをする。
 静かな喫茶店などで、漫画やラノベを読むこと。
 1人カラオケで、アニソンや、ジャニー◯などを歌うこと。
 学校の休み時間に、携帯小説を読むこと。
 家に帰り、ポテチを食べながら、ネトゲをすること。
  まあ、まだまだあるが、とりあえずはこんな感じだな。

 ただ、勘違いをしないで欲しい。
 俺だって、彼女や友達が欲しくないわけではない。
 イチャイチャだって、健康な高校生男子ですから、できることならしたいさ。

 ……なんだ、こいつ?言ってること違くね?
 今、貴方はそう思ったかもしれない。
 だが、違くないのだ。
 今から、大事なことを言おう……。
 彼女や友達は欲しい……

 つまりだ……友達や彼女などがいると、時間をとられるわけだ。
 その分、自分の趣味の時間が減る……俺は、それが嫌なのだ。
 只でさえ、趣味のためにバイトしたり……。
 父親にゲームばっかりしてるからだと言われぬように、勉強もしているというのに……!
 これ以上の時間を割けるかーー!!

 フゥ……いかんいかん。
 つい、熱い想いが溢れ出てしまったな……。
 まあ、そんなわけなので、俺は好きでぼっちをしているのだ。



 だが、そんな俺は……今、最大のピンチを迎えている……!

 俺は今、学校の教室で自分の席に座り、携帯小説を見ている。

 そんな俺に、さっきから話しかける人がいる。

「あの……吉野君、聞いてるかな……?」

 彼女の名は、清水綾。

 身長は165センチほどで、スタイル抜群。

 お尻はぷりっと、胸もDはあるらしい。

 手足は長く、容姿端麗だ。

 鼻筋がとおり、くりっとした大きい眼。

 はちも小さく、顔も小さい。

 口元も整っており、片えくぼがある。

 傷みなど一切ない、綺麗なロングの黒髪。

 性格も明るく、優しくてみんなの人気者だ。

 なので、彼女は県内でも有名な美少女だ。

 告られたり、スカウトされた数は数えきれない。

 俺は今、その美少女に付きまとわれている……。

 俺は、周りの男子からの射殺すような視線を感じながら思う……。

 どうして、こうなった?

 ……いや、原因はわかっているんだ……。

 さて、どこから話せばいいだろうか……。

   あれは、この間の土曜日のことだった……。




















しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~

蒼田
青春
 人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。  目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。  しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。  事故から助けることで始まる活発少女との関係。  愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。  愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。  故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。 *本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。

スタジオ.T
青春
 幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。  そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。    ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...