23 / 69
料理人、異世界生活を始める
食事の準備
しおりを挟む
全速力で走り抜けた結果、三十分くらいで都市に到着する。
体力もまだまだ残っているし、やはり尋常じゃない体になったらしい。
ただし、ハクは言うと……途中からこの状態である。
「プスー……ピスピス……」
「あらら、可愛らしく寝てるわな」
寝ているハクを抱いたまま。門の人にギルドカードを見せ、そのままアリアさんがいるという兵舎に向かう。
すると、槍を持った兵士達に止められる。
「何者ですか?」
「俺の名前はタツマと申します。申し訳ありませんが、アリアさんに取次をお願いできますか?」
「狼を連れた男……タツマ殿……確かに聞いています! 少々お待ちください!」
「はい、わかりました」
そのままハクの頭を撫でて待っていると……奥の扉からアリアさんが駆けてくる。
「タツマ殿! どうしたのだ? 何か問題があったか?」
「問題ですか?」
「違うのか? お主は意外と喧嘩っ早いところがありそうだからな」
「……はは」
どうしよう? 否定はできない自分がいる。
基本的には自分から売ることはないが、降りかかる火の粉は払うタイプではある。
そうしないと、舐められて次も襲われる場合があるからだ。
「それで、どうしたのだ?」
「実は、釣りをしてクリーンニジマスを取ってきまして……」
「……はっ?」
「それで、ついでに果物なんかも採りまして。これが、中々に使えそうな素材なんですよ」
「待て待て! どういう意味だっ!?」
すると!アリアさんが両手で俺の肩を掴んで揺らす!
その度にふわふわと髪が舞い、良い香りがする。
「い。いや、そのままの意味ですけど……!」
「こ、ここからあそこに行くには数時間かかるんだぞ? それを釣りをして探索をして、夜になる前に帰ってくるとは……本当に規格外の男だな」
「す、すみません。かなり急いでいきましたから。その、食べたいって言ってたので」
「私のためにか……か、感謝する」
「いえいえ、俺が勝手にやってることですから」
すると再び奥の扉が開き、今度はカレンさんがやってくる。
「アリア様、話は聞こえてました。それでは、本日の夕食はタツマ殿とご一緒ということでよろしいですか?」
「わ、私は構わないが」
「では、決まりですね」
「あの、よろしければカレンさんも如何ですか?」
「……私もご一緒して良いと?」
「ええ、もちろんですよ」
「……それでは、有り難くご相伴にあずかりましょう」
すると、二人が顔を見合わせて笑う。
「ふふ、良き御仁だな?」
「ええ、全くです。偏見がないというのも久々ですし」
「何の話ですか?」
「いや、気にしなくて良い」
「はぁ……後、ドワーフのノイスさんをお呼びしたいんです」
「早速のお礼をしたいってことか。うむ、私達は一緒で構わない」
「ありがとうございます。ただ、料理をする場所をどうしようかと……」
宿で好き勝手やるわけにいかないし、まだ自分の店は持ってないし。
かと言って、わざわざ外にまで出させてキャンプさせるのもアレだし。
「それなら、良い場所がありますね。あそこなら、外でも問題ないですし」
「うん? ……ああ、そういうことか。確かに説明も出来て楽かもしれない」
「何やら思い当たる場所があるのですね?」
「ああ、そこなら人数がいても問題ない。カレン、悪いが手配を頼む」
「はい、かしこまりました」
そう言い、カレンさんが人混みに消えていった。
俺はアリアさんと一緒に、ノイス殿の店を訪ねる。
「なんじゃ、また来たのか」
「その、お礼をしようと思いまして……もしよろしければ、食事でもご馳走させてください」
「ほう? 随分と早いのう……その心意気は気に入った。わかった、頂くとしよう」
「ありがとうございます」
ノイス殿も合流し、アリアさんについていくと……建物がない広い空間に出る。
そこには都市の中だというのに、あちこちに出店があって、人々が食べて飲んで騒いでいる。
「ここはなんですか?」
「中央広場といってな、ここでは好きに出店をしても良い。そして、その場で食べて飲むことを許可している」
「なるほど……」
「ふんっ、相変わらず騒がしいわい」
「ノイス殿は嫌いですか?」
「……別に嫌いとは言っとらん」
……どうやら、天邪鬼というか照れ屋さんなのかもしれない。
騒ぐ人々を眺めつつ、カレンさんの元に行くと……そこには簡易キッチンが用意がされていた。
コンロが二口あるので、これならやりやすい。
「あっ、きましたね。すでに下準備は済んでいるので、後はご自由にお使いください」
「ありがとうございます。それじゃあ、早速……」
「ちょっとちょっと! 何を楽しそうなことをやってるのよ!?」
「へっ? ……確か、カルラさんでしたっけ?」
ふと振り返ると、そこにはハイエルフのカルラさんが立っていた。
相変わらず気配を感じないので、索敵とかに適してそうだ。
「さっきぶりね、タツマ。というか、カルラで良いわよ。あと、口調が堅苦しすぎるわ」
「そ、そうですか……いや……わかったよ、カルラ」
正直言って、出会ったばかりの女性に対して呼び捨ては抵抗がある。
しかし、相手が求めているならば仕方ない。
それに気さくな人みたいだし、俺もそういう感じで接した方が良さそうだ。
「ふふ、それで良いわ。それで、何をしてたの? アリアもこんばんはー」
「おいおい、順番がめちゃくちゃだぞ。今から、タツマ殿が料理をご馳走してくれるのだ」
「ふーん、そうなんだ? ……あっ、アンタもいたのね? 小さくて見えなかったわ」
「ふんっ、相変わらず煩いババアじゃわい」
「誰がババアよっ! まだハイエルフじゃ若いんだから! このヒゲジジイ!」
「なんじゃと!? 何百年も生きとるくせにいつまでも若ぶりおって!」
「「ぐぬぬっ……!」」
……なんだか、カオスになってきたな。
というか、この二人は仲が悪いのだろうか?
「あぁー、あの二人は放っておいて良い。基本的にエルフとドワーフは仲が悪いというか……あの二人でもマシな方なのだ。一応、そういうものだと覚えておくと良い」
「そ、そうなんですね……カルラさんの分も用意した方が良いですよね?」
「いや、エルフは肉類を食えないのだ。食べるのは野菜や果物、あとは豆類などか」
「へぇ……種族ごとに違うのか」
「ああ、ドワーフは肉好きの酒好きで、竜人は甘いものが好きとかな」
「ちなみに、獣人である私は辛いものが好きですね」
「なるほど、色々とあるのですね」
料理屋をやるなら、今後はそういうことも考えていかないとか。
種族の好みに合わせて調理する……うん、なんだか楽しそうだ。
異種族レストランとかも良いかもしれない。
「ではハク君は私が預かっておくので、そろそろ準備をお願いします」
「はい、お願いします」
俺は寝ているハクをカレンさんに預け、作業を始める。
まずは、すでに川で処理をしていたクリーンニジマスを取り出す。
さらには、ハクに凍らせてもらったぶとうをコップに入れて常温に戻しておく。
「タツマ殿、それはなんだ?」
「これはぶどうを凍らせたものですよ」
「なに? 凍らせてどうするのだ?」
「凍らすと、味が変化するんですよ」
「なんと……そうだったのか」
「えっ? 知らなかったのですか?」
「うむ……普段はそのまま飲むか、煮詰めてワインを作るくらいだ」
……保存ができる魔法のツボがある世界だ。
氷魔法は珍しいというし、凍らすという発想がなかったのかも。
「そうですか……それなら、色々と試せそうです」
「ふふ、お主と会ってから驚いてばかりだ。それより、あの森で採ってきたのか?」
「ええ、そうですよ。あれ? もしかして不味かったですか?」
「いや、そういうわけではない。ただ、見つけるのも一苦労だし、迷子になることもあるからな。実際にハンターが取りにいって、帰ってこなかったことなどざらにある。まあ、レッドベアーの縄張りてもあるしな」
「へぇ、そうなんですね。特に問題はなかったですよ」
話をしつつも、作業を進めていく。
でかいフライパンの中央に魚、周りにきのこやトマト、にんにくやパプリカを置く。
白ぶどうを別のフライパンでささっと熱し、それを魚にかけていく。
熱したことでワインになり、芳醇な香りがツンと鼻を刺す。
そこに水を足して、蓋をしたら弱火でじっくり煮ていく。
「まあ、レッドベアーを倒せるお主なら問題はないか」
「とりあえず、魔物は片っ端から片付けておきました」
「それは助かるな。あそこは巡回コースなのだ」
「それにしても便利な食材がありますね。使い方で味が変わるなんて」
魔物とかよりも、個人的にはこっちの方が驚きである。
ワインをこんな手軽に作れるなんて。
今だって、フライパンに赤ぶどうを入れて火にかけるだけで完成だ。
「ん? そういうのはなかったのか?」
「ええ、普通は手間がかかるんですよ」
「まあ、そもそも手間はかかってるというか、あそこまで行けるハンターも珍しい」
「そういう見方もありますか」
「えいっ!」
話をしていると、突然カルラさんが背中にのしかかってきた。
その柔らかい感触と、ふわりと香る香料の匂いに戸惑う。
「ちょっ!? な、何を?」
「ねー、なんか私でも食べられるものないのー? 付け合わせは食べるけど、魚自体はたべられないし。何より、ドワーフばっかりずるいわ」
「果物がいいんだよな……あっ、良いのがあった」
「ほんと?」
「ああ、なので大人しく待ってなさい」
「はーい」
そう言い、背中から離れる。
やれやれ、ドキッとしてしまうではないか。
「むぅ……」
「アリアさん? どうして膨れているのですか?」
「膨れてなどない!」
「そ、そうですか」
「タツマさん、すみませんね、うちの主人が」
「はぁ……良くわかりませんが」
良く良く考えてみたら、女性三人に囲まれているのか。
やはり、未だに女性というものはよくわからない。
……ノイス殿がいてくれて助かったな。
体力もまだまだ残っているし、やはり尋常じゃない体になったらしい。
ただし、ハクは言うと……途中からこの状態である。
「プスー……ピスピス……」
「あらら、可愛らしく寝てるわな」
寝ているハクを抱いたまま。門の人にギルドカードを見せ、そのままアリアさんがいるという兵舎に向かう。
すると、槍を持った兵士達に止められる。
「何者ですか?」
「俺の名前はタツマと申します。申し訳ありませんが、アリアさんに取次をお願いできますか?」
「狼を連れた男……タツマ殿……確かに聞いています! 少々お待ちください!」
「はい、わかりました」
そのままハクの頭を撫でて待っていると……奥の扉からアリアさんが駆けてくる。
「タツマ殿! どうしたのだ? 何か問題があったか?」
「問題ですか?」
「違うのか? お主は意外と喧嘩っ早いところがありそうだからな」
「……はは」
どうしよう? 否定はできない自分がいる。
基本的には自分から売ることはないが、降りかかる火の粉は払うタイプではある。
そうしないと、舐められて次も襲われる場合があるからだ。
「それで、どうしたのだ?」
「実は、釣りをしてクリーンニジマスを取ってきまして……」
「……はっ?」
「それで、ついでに果物なんかも採りまして。これが、中々に使えそうな素材なんですよ」
「待て待て! どういう意味だっ!?」
すると!アリアさんが両手で俺の肩を掴んで揺らす!
その度にふわふわと髪が舞い、良い香りがする。
「い。いや、そのままの意味ですけど……!」
「こ、ここからあそこに行くには数時間かかるんだぞ? それを釣りをして探索をして、夜になる前に帰ってくるとは……本当に規格外の男だな」
「す、すみません。かなり急いでいきましたから。その、食べたいって言ってたので」
「私のためにか……か、感謝する」
「いえいえ、俺が勝手にやってることですから」
すると再び奥の扉が開き、今度はカレンさんがやってくる。
「アリア様、話は聞こえてました。それでは、本日の夕食はタツマ殿とご一緒ということでよろしいですか?」
「わ、私は構わないが」
「では、決まりですね」
「あの、よろしければカレンさんも如何ですか?」
「……私もご一緒して良いと?」
「ええ、もちろんですよ」
「……それでは、有り難くご相伴にあずかりましょう」
すると、二人が顔を見合わせて笑う。
「ふふ、良き御仁だな?」
「ええ、全くです。偏見がないというのも久々ですし」
「何の話ですか?」
「いや、気にしなくて良い」
「はぁ……後、ドワーフのノイスさんをお呼びしたいんです」
「早速のお礼をしたいってことか。うむ、私達は一緒で構わない」
「ありがとうございます。ただ、料理をする場所をどうしようかと……」
宿で好き勝手やるわけにいかないし、まだ自分の店は持ってないし。
かと言って、わざわざ外にまで出させてキャンプさせるのもアレだし。
「それなら、良い場所がありますね。あそこなら、外でも問題ないですし」
「うん? ……ああ、そういうことか。確かに説明も出来て楽かもしれない」
「何やら思い当たる場所があるのですね?」
「ああ、そこなら人数がいても問題ない。カレン、悪いが手配を頼む」
「はい、かしこまりました」
そう言い、カレンさんが人混みに消えていった。
俺はアリアさんと一緒に、ノイス殿の店を訪ねる。
「なんじゃ、また来たのか」
「その、お礼をしようと思いまして……もしよろしければ、食事でもご馳走させてください」
「ほう? 随分と早いのう……その心意気は気に入った。わかった、頂くとしよう」
「ありがとうございます」
ノイス殿も合流し、アリアさんについていくと……建物がない広い空間に出る。
そこには都市の中だというのに、あちこちに出店があって、人々が食べて飲んで騒いでいる。
「ここはなんですか?」
「中央広場といってな、ここでは好きに出店をしても良い。そして、その場で食べて飲むことを許可している」
「なるほど……」
「ふんっ、相変わらず騒がしいわい」
「ノイス殿は嫌いですか?」
「……別に嫌いとは言っとらん」
……どうやら、天邪鬼というか照れ屋さんなのかもしれない。
騒ぐ人々を眺めつつ、カレンさんの元に行くと……そこには簡易キッチンが用意がされていた。
コンロが二口あるので、これならやりやすい。
「あっ、きましたね。すでに下準備は済んでいるので、後はご自由にお使いください」
「ありがとうございます。それじゃあ、早速……」
「ちょっとちょっと! 何を楽しそうなことをやってるのよ!?」
「へっ? ……確か、カルラさんでしたっけ?」
ふと振り返ると、そこにはハイエルフのカルラさんが立っていた。
相変わらず気配を感じないので、索敵とかに適してそうだ。
「さっきぶりね、タツマ。というか、カルラで良いわよ。あと、口調が堅苦しすぎるわ」
「そ、そうですか……いや……わかったよ、カルラ」
正直言って、出会ったばかりの女性に対して呼び捨ては抵抗がある。
しかし、相手が求めているならば仕方ない。
それに気さくな人みたいだし、俺もそういう感じで接した方が良さそうだ。
「ふふ、それで良いわ。それで、何をしてたの? アリアもこんばんはー」
「おいおい、順番がめちゃくちゃだぞ。今から、タツマ殿が料理をご馳走してくれるのだ」
「ふーん、そうなんだ? ……あっ、アンタもいたのね? 小さくて見えなかったわ」
「ふんっ、相変わらず煩いババアじゃわい」
「誰がババアよっ! まだハイエルフじゃ若いんだから! このヒゲジジイ!」
「なんじゃと!? 何百年も生きとるくせにいつまでも若ぶりおって!」
「「ぐぬぬっ……!」」
……なんだか、カオスになってきたな。
というか、この二人は仲が悪いのだろうか?
「あぁー、あの二人は放っておいて良い。基本的にエルフとドワーフは仲が悪いというか……あの二人でもマシな方なのだ。一応、そういうものだと覚えておくと良い」
「そ、そうなんですね……カルラさんの分も用意した方が良いですよね?」
「いや、エルフは肉類を食えないのだ。食べるのは野菜や果物、あとは豆類などか」
「へぇ……種族ごとに違うのか」
「ああ、ドワーフは肉好きの酒好きで、竜人は甘いものが好きとかな」
「ちなみに、獣人である私は辛いものが好きですね」
「なるほど、色々とあるのですね」
料理屋をやるなら、今後はそういうことも考えていかないとか。
種族の好みに合わせて調理する……うん、なんだか楽しそうだ。
異種族レストランとかも良いかもしれない。
「ではハク君は私が預かっておくので、そろそろ準備をお願いします」
「はい、お願いします」
俺は寝ているハクをカレンさんに預け、作業を始める。
まずは、すでに川で処理をしていたクリーンニジマスを取り出す。
さらには、ハクに凍らせてもらったぶとうをコップに入れて常温に戻しておく。
「タツマ殿、それはなんだ?」
「これはぶどうを凍らせたものですよ」
「なに? 凍らせてどうするのだ?」
「凍らすと、味が変化するんですよ」
「なんと……そうだったのか」
「えっ? 知らなかったのですか?」
「うむ……普段はそのまま飲むか、煮詰めてワインを作るくらいだ」
……保存ができる魔法のツボがある世界だ。
氷魔法は珍しいというし、凍らすという発想がなかったのかも。
「そうですか……それなら、色々と試せそうです」
「ふふ、お主と会ってから驚いてばかりだ。それより、あの森で採ってきたのか?」
「ええ、そうですよ。あれ? もしかして不味かったですか?」
「いや、そういうわけではない。ただ、見つけるのも一苦労だし、迷子になることもあるからな。実際にハンターが取りにいって、帰ってこなかったことなどざらにある。まあ、レッドベアーの縄張りてもあるしな」
「へぇ、そうなんですね。特に問題はなかったですよ」
話をしつつも、作業を進めていく。
でかいフライパンの中央に魚、周りにきのこやトマト、にんにくやパプリカを置く。
白ぶどうを別のフライパンでささっと熱し、それを魚にかけていく。
熱したことでワインになり、芳醇な香りがツンと鼻を刺す。
そこに水を足して、蓋をしたら弱火でじっくり煮ていく。
「まあ、レッドベアーを倒せるお主なら問題はないか」
「とりあえず、魔物は片っ端から片付けておきました」
「それは助かるな。あそこは巡回コースなのだ」
「それにしても便利な食材がありますね。使い方で味が変わるなんて」
魔物とかよりも、個人的にはこっちの方が驚きである。
ワインをこんな手軽に作れるなんて。
今だって、フライパンに赤ぶどうを入れて火にかけるだけで完成だ。
「ん? そういうのはなかったのか?」
「ええ、普通は手間がかかるんですよ」
「まあ、そもそも手間はかかってるというか、あそこまで行けるハンターも珍しい」
「そういう見方もありますか」
「えいっ!」
話をしていると、突然カルラさんが背中にのしかかってきた。
その柔らかい感触と、ふわりと香る香料の匂いに戸惑う。
「ちょっ!? な、何を?」
「ねー、なんか私でも食べられるものないのー? 付け合わせは食べるけど、魚自体はたべられないし。何より、ドワーフばっかりずるいわ」
「果物がいいんだよな……あっ、良いのがあった」
「ほんと?」
「ああ、なので大人しく待ってなさい」
「はーい」
そう言い、背中から離れる。
やれやれ、ドキッとしてしまうではないか。
「むぅ……」
「アリアさん? どうして膨れているのですか?」
「膨れてなどない!」
「そ、そうですか」
「タツマさん、すみませんね、うちの主人が」
「はぁ……良くわかりませんが」
良く良く考えてみたら、女性三人に囲まれているのか。
やはり、未だに女性というものはよくわからない。
……ノイス殿がいてくれて助かったな。
770
お気に入りに追加
2,969
あなたにおすすめの小説
異世界転移したけど、果物食い続けてたら無敵になってた
甘党羊
ファンタジー
唐突に異世界に飛ばされてしまった主人公。
降り立った場所は周囲に生物の居ない不思議な森の中、訳がわからない状況で自身の能力などを確認していく。
森の中で引きこもりながら自身の持っていた能力と、周囲の環境を上手く利用してどんどん成長していく。
その中で試した能力により出会った最愛のわんこと共に、周囲に他の人間が居ない自分の住みやすい地を求めてボヤきながら異世界を旅していく物語。
協力関係となった者とバカをやったり、敵には情け容赦なく立ち回ったり、飯や甘い物に並々ならぬ情熱を見せたりしながら、ゆっくり進んでいきます。
婚約破棄されて異世界トリップしたけど猫に囲まれてスローライフ満喫しています
葉柚
ファンタジー
婚約者の二股により婚約破棄をされた33才の真由は、突如異世界に飛ばされた。
そこはど田舎だった。
住む家と土地と可愛い3匹の猫をもらった真由は、猫たちに囲まれてストレスフリーなスローライフ生活を送る日常を送ることになった。
レコンティーニ王国は猫に優しい国です。
小説家になろう様にも掲載してます。
異世界ソロ暮らし 田舎の家ごと山奥に転生したので、自由気ままなスローライフ始めました。
長尾 隆生
ファンタジー
【書籍情報】書籍2巻発売中ですのでよろしくお願いします。
女神様の手違いにより現世の輪廻転生から外され異世界に転生させられた田中拓海。
お詫びに貰った生産型スキル『緑の手』と『野菜の種』で異世界スローライフを目指したが、お腹が空いて、なにげなく食べた『種』の力によって女神様も予想しなかった力を知らずに手に入れてしまう。
のんびりスローライフを目指していた拓海だったが、『その地には居るはずがない魔物』に襲われた少女を助けた事でその計画の歯車は狂っていく。
ドワーフ、エルフ、獣人、人間族……そして竜族。
拓海は立ちはだかるその壁を拳一つでぶち壊し、理想のスローライフを目指すのだった。
中二心溢れる剣と魔法の世界で、徒手空拳のみで戦う男の成り上がりファンタジー開幕。
旧題:チートの種~知らない間に異世界最強になってスローライフ~
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
追放された英雄の辺境生活~静かに暮らしたいのに周りが放ってくれない~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
自分の家族と民を守るために、戦い続けて戦争を終わらせた英雄アイク。
しかし、国に戻ると……褒賞として、彼は辺境で領主を命じられる。
そこは廃れた場所で田舎で何もなく、爵位はもらったが実質的に追放のような扱いだった。
彼は絶望するかと思ったが……「まあ、元々頭も良くないし、貴族のあれこれはわからん。とりあえず、田舎でのんびり過ごすかね」と。
しかし、そんな彼を周りが放っておくはずもなく……これは追放された英雄が繰り広げるスローライフ?物語である。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
辺境の街で雑貨店を営む錬金術士少女ノヴァ ~魔力0の捨てられ少女はかわいいモフモフ聖獣とともにこの地では珍しい錬金術で幸せをつかみ取ります~
あきさけ
ファンタジー
とある平民の少女は四歳のときに受けた魔力検査で魔力なしと判定されてしまう。
その結果、森の奥深くに捨てられてしまった少女だが、獣に襲われる寸前、聖獣フラッシュリンクスに助けられ一命を取り留める。
その後、フラッシュリンクスに引き取られた少女はノヴァと名付けられた。
さらに、幼いフラッシュリンクスの子と従魔契約を果たし、その眠っていた才能を開花させた。
様々な属性の魔法が使えるようになったノヴァだったが、その中でもとりわけ珍しかったのが、素材の声を聞き取り、それに応えて別のものに作り替える〝錬金術〟の素養。
ノヴァを助けたフラッシュリンクスは母となり、その才能を育て上げ、人の社会でも一人前になれるようノヴァを導きともに暮らしていく。
そして、旅立ちの日。
母フラッシュリンクスから一人前と見なされたノヴァは、姉妹のように育った末っ子のフラッシュリンクス『シシ』とともに新米錬金術士として辺境の街へと足を踏み入れることとなる。
まだ六歳という幼さで。
※この小説はカクヨム様、アルファポリス様で連載中です。
上記サイト以外では連載しておりません。
料理スキルで完璧な料理が作れるようになったから、異世界を満喫します
黒木 楓
恋愛
隣の部屋の住人というだけで、女子高生2人が行った異世界転移の儀式に私、アカネは巻き込まれてしまう。
どうやら儀式は成功したみたいで、女子高生2人は聖女や賢者といったスキルを手に入れたらしい。
巻き込まれた私のスキルは「料理」スキルだけど、それは手順を省略して完璧な料理が作れる凄いスキルだった。
転生者で1人だけ立場が悪かった私は、こき使われることを恐れてスキルの力を隠しながら過ごしていた。
そうしていたら「お前は不要だ」と言われて城から追い出されたけど――こうなったらもう、異世界を満喫するしかないでしょう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる