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料理人、異世界生活を始める
都市レガリア
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……ん? なんだ? 息ができない……!
「プハッ!? ……犯人はお前か、ハク」
どうやら、俺の顔の上に乗っていたらしい。
夢じゃなかった……そうか、俺は異世界に来たのか。
昨日の今頃は、まだあっちの世界にいたんだよなぁ……めちゃくちゃ濃い一日だった。
「クゥン?」
「いや、『どうしたのー?』じゃないから。それはこっちのセリフだよ」
「おや、起きたようだな」
「あれ? アリアさん?」
借りていたテントから、アリアさんが顔をのぞかせる。
どうやら、すでに朝の時間らしい。
「おはよう、ハクにタツマ殿」
「キャン!」
「おはようございます。ハクも起こしてくれてありがとな」
「ワフッ」
その後、昨日の残りにパンを浸して食べる。
これはこれで、なかなか美味い。
食べ終わったら、ささっと片付けて馬に乗る。
「さて、準備はいいか?」
「ええ、平気です」
「キャン!」
「よし……皆の者! 都市レガリアに帰還するぞ!」
アリスさんの号令により、馬に乗った兵士達が動き出す。
俺もハクを乗せて後を追う。
「うむ、平気そうだな」
「ええ、この子がいい子ですから」
実は、乗馬経験はあるから乗ることはできる。
親父さんには、本当に色々なことを仕込まれた。
罠の仕掛け方、猟銃の扱い、乗馬などの遊び、剣道、そして料理……あげればきりがない。
今後、俺が一人でも生きていけるように色々と教えてくれたのだろう。
俺を引き取ったとき、すでに親父さんは還暦を過ぎていたし。
「これなら心配はいらないな。ここから都市レガリアまでは数時間で着く。昨日寝る前に言ったが、お主の具体的な処遇は着いてから決めるとしよう」
「ええ、それで構いません」
「昨日街道沿いの魔物は駆逐したから、そうそう出会うことはないと思うが……って、言ってるそばから来たのか。森の主を倒した影響かもしれない」
アリアさんの視線の先を見ると、何やら緑色の皮膚をした化け物が走ってくる。
俺の知る知識でいう、ゴブリンに間違いなかった。
◇
【ゴブリン】
最下級の魔物だが、徒党を組んでやってくる。
繁殖率が高く、見つけ次第排除を推奨。
◇
「ケケー!」
「グカカー!」
「なるほど、あれが魔物と」
「魔物の特徴は二足歩行で人類に近い構造をしていること、倒すと魔石になるということだ」
「ふむふむ、わかりやすくて良いですね。それで、俺はどうしますか?」
「ゴブリン程度なら、タツマ殿が出るまでもない」
その言葉通り、兵士の方々があっさりと片付ける。
どうやら、見た目通り強くはないようだ。
そして、アリアさんが魔石を見せてくれる。
それは宝石のようなものだった。
「これには魔法を込めることができる。火、水、風、土、闇、光などを。それや魔獣を使役して、この世界の人々は生活を送っている」
「へぇ……といっても実感が湧かないですが」
「それはそうだろう。都市に行ったら、案内しよう」
「ありがとうございます」
そうして走り続けること、数時間後……大きな壁が見えてくる。
そのまま進み門の前に到着すると、銀色の鎧を着た男性が駆けてくる。
細くて金髪のイケメンで、まるで俺とは正反対の容姿だ。
「これはアリア様! ご無事でなによりです!」
「ローレンスか、心配をかけた。とある旅人に助けられな。身の保証は私がするので、悪いが中に入れて欲しい」
「ふむ……身体検査と身分を確かめないので?」
「ああ、私の一存で決めた」
「………なるほど、畏まりました」
そうして、あっという間に手続きが済んで門の中に通される。
どうやら本人が言っていた通り、それなりに偉い立場らしい。
それ目当てで助けたわけじゃないが、有難いことには違いない。
門をくぐったら、すぐに馬を預けて……都市の中を眺めると、そこには知らない世界が広がっていた。
「おおっ……!」
「ふふ、珍しいか?」
「ええっ! それはもう!」
道行く人は西洋系が多いが、俺みたいのもチラホラいる。
カレンさんのような人、獣の顔に人の体を持っている人もいた。
身長の小さいずんぐりしたおじさんもいる。
それらが一堂に会し、話をしたり商売をしていた。
まさしく、異世界という感じだ。
「まずは落ち着いて話せる場所が必要か……よし、すぐ横に部屋があるから借りよう」
「はい、わかりました」
ハクを抱っこしたまま、アリアさんとカレンさんについていき、門の横にある建物に入る。
中は十畳ほどの広さで、机と椅子がいくつかある簡易的な部屋だった。
そこから奥に行き、扉をあけて狭い部屋に通される。
イメージは尋問室や面会室に近い感じだ。
「よし、これでひとまず安心だな。ここは音が漏れない作りになってるから平気だ」
「ええ、そうですね。タツマ殿にアレをしますか?」
「ああ、持ってきてくれ」
「アレですか?」
「まあ、まずは席についてくれ」
「は、はぁ」
とりあえず言われた通りに、指定された椅子に座る。
そして対面にはアリアさんが座った。
すぐにカレンさんが水晶?を持ってきて、俺の前に置く。
「では、これに手を置いてくれ」
「わかりました」
俺は動揺しつつも、大人しく手を置く。
すると、水晶の真上に映像が浮かび上がる。
「うお!? びっくりした……」
「……やはり、尋常じゃない強さか」
「え、ええ、フレイムベアーを倒せるわけですね」
そこには、何やら文字やローマ字が書いてある。
◇
真田 辰馬 35歳 人族
体力 A + 魔力 C+
筋力 A 知力 C+
速力 B+ 技力 B+
【ギフト】 環境適応 言語理解 食眼
◇
なんだか、ステータスみたいなものか?
アリアさんに説明を求めようと振り返ると……固まっていた。
俺は仕方ないので、そのまま待つことにする。
ちなみに、ハクは腕の中でスヤスヤ寝ています。
時折、プープーと鼻を鳴らしながら……うちの子が可愛いんですけど?
「す、すまない、予想以上だったものでな」
「そうなんですか?」
「まずは、そこから説明をしないといけないか。簡単に言えば、この世界においてお主を倒せる者は少ないというレベルだ。ほとんど最強クラスと言って良い」
「……なるほど」
「そうだな……不公平なので、私のも見せるとしよう」
するとアリアさんが俺の横に立って、水晶に手を置く。
その際に銀髪が俺の頬にあたり、その香りに年甲斐もなく動揺してしまう。
……いかんいかん、今は説明に集中だ。
◇
アリア-テスタロッサ 26歳
体力 C 魔力C
筋力 C知力 C+
速力 C+技力 C+
◇
こうしてみると、俺とはだいぶ違うのがわかる。
というか、二十六歳なのか……十歳差はなくてよかった。
いや、だからどうしたって話なのだが……。
「ふむふむ、これでどれくらいの強さなんですか?」
「これでも、この世界では強い部類だ。そうだな……説明しよう」
そしてアリアさんの説明をきく。
まとめるとこんな感じだ。
◇
上から順に、S+,S,A+,A,B+,B,C+,C,D+,D,E+,Eの12段階。
普通の一般人が、E~E+。
街の一般兵士などが、D。
戦いを生業にできるのが、D+。
一人前と言われるのが、C。
一人前の壁を越えたのが、C+。
ベテランと言われるのが、B。
一流と言われるのが、B+~A。
超一流と言われるのが、A+。
人外と言われるのが、S。
前人未到と言われるのが、S+。
◇
こんな感じらしい。
いわゆる、英雄と呼ばれる人でもB+~A+。
能力値には個人差があり、ほとんどの人はB以上にはいけないと。
「ふんふん、俺はA+~B+が半分以上あるから相当高いですね」
「高いなんてものじゃないさ……全く、次にステータスの説明をしよう」
次にステータスの効果の説明を受ける。
◇
体力……スタミナや、強健さを表している。
魔力……魔法を使う際のスタミナや、魔力に対しての頑丈さを表している。
筋力……単純な力と頑丈さを表している。
知力……賢さと知識量を表している。
速力……素早さを表している。
技力……器用さを表している。
◇
俺が息がきれなかったり、突然目が良くなった理由がわかった。
足も速いし、力も増している。
「それにステータスは魔物を倒すことで上がっていく。魔獣を倒しても上がらない。あとは人によって上限があるくらいか」
「わかりやすい説明ありがとうございます。それで、このギフトとは?」
「それこそがお主が迷い人の証拠だ。ギフトは神の祝福といい、与えられる者は限られる」
「なるほど、大体わかりました」
俺がパニックを起こしていない理由は環境適応。
異世界なのに言葉を理解しているのが言語理解。
あの鑑定みたいな能力が食眼ってわけだ。
「さて、こんなものでいいかな?」
「ええ、ありがとうございました」
「ふふ、それを聞いても変わらないか」
「はい? どういうことですか?」
「実感が湧かないだろうから言っておくと、あのレッドベアーを倒せるのは一握りしかいない。それくらい強い魔獣を、お主は倒したということだ」
「……とりあえず、受け入れます」
まるで実感はないが、自分の体が以前とは違うのはわかりきっている。
アリアさんが言うなら、そういうことなのだろう。
「カレン、私がいった通りだろ?」
「ええ、そうですね。どうやら、立派な御仁のようです」
「えっと?」
「すまない、タツマ殿。カレンがお主を試したいというので……」
「当たり前です。自分の強さを知った瞬間に変わる者はいますから……とはいえ、申し訳ありませんでした」
「い、いえいえ! ……その、当然のことだと思いますから」
「寛大な心に感謝いたします」
「ふふ、私の目に狂いはなかったな」
自分が怪しい存在なのは重々承知の上だ。
突然現れた謎の強いおっさん……改めて考えても怪しさ満載である。
出会ったのがアリアさんじゃなかったら、こうはいかなかったかもしれない。
こればかりは神様ではなく、アリアさん自身に感謝をしなくてはいけないな。
「プハッ!? ……犯人はお前か、ハク」
どうやら、俺の顔の上に乗っていたらしい。
夢じゃなかった……そうか、俺は異世界に来たのか。
昨日の今頃は、まだあっちの世界にいたんだよなぁ……めちゃくちゃ濃い一日だった。
「クゥン?」
「いや、『どうしたのー?』じゃないから。それはこっちのセリフだよ」
「おや、起きたようだな」
「あれ? アリアさん?」
借りていたテントから、アリアさんが顔をのぞかせる。
どうやら、すでに朝の時間らしい。
「おはよう、ハクにタツマ殿」
「キャン!」
「おはようございます。ハクも起こしてくれてありがとな」
「ワフッ」
その後、昨日の残りにパンを浸して食べる。
これはこれで、なかなか美味い。
食べ終わったら、ささっと片付けて馬に乗る。
「さて、準備はいいか?」
「ええ、平気です」
「キャン!」
「よし……皆の者! 都市レガリアに帰還するぞ!」
アリスさんの号令により、馬に乗った兵士達が動き出す。
俺もハクを乗せて後を追う。
「うむ、平気そうだな」
「ええ、この子がいい子ですから」
実は、乗馬経験はあるから乗ることはできる。
親父さんには、本当に色々なことを仕込まれた。
罠の仕掛け方、猟銃の扱い、乗馬などの遊び、剣道、そして料理……あげればきりがない。
今後、俺が一人でも生きていけるように色々と教えてくれたのだろう。
俺を引き取ったとき、すでに親父さんは還暦を過ぎていたし。
「これなら心配はいらないな。ここから都市レガリアまでは数時間で着く。昨日寝る前に言ったが、お主の具体的な処遇は着いてから決めるとしよう」
「ええ、それで構いません」
「昨日街道沿いの魔物は駆逐したから、そうそう出会うことはないと思うが……って、言ってるそばから来たのか。森の主を倒した影響かもしれない」
アリアさんの視線の先を見ると、何やら緑色の皮膚をした化け物が走ってくる。
俺の知る知識でいう、ゴブリンに間違いなかった。
◇
【ゴブリン】
最下級の魔物だが、徒党を組んでやってくる。
繁殖率が高く、見つけ次第排除を推奨。
◇
「ケケー!」
「グカカー!」
「なるほど、あれが魔物と」
「魔物の特徴は二足歩行で人類に近い構造をしていること、倒すと魔石になるということだ」
「ふむふむ、わかりやすくて良いですね。それで、俺はどうしますか?」
「ゴブリン程度なら、タツマ殿が出るまでもない」
その言葉通り、兵士の方々があっさりと片付ける。
どうやら、見た目通り強くはないようだ。
そして、アリアさんが魔石を見せてくれる。
それは宝石のようなものだった。
「これには魔法を込めることができる。火、水、風、土、闇、光などを。それや魔獣を使役して、この世界の人々は生活を送っている」
「へぇ……といっても実感が湧かないですが」
「それはそうだろう。都市に行ったら、案内しよう」
「ありがとうございます」
そうして走り続けること、数時間後……大きな壁が見えてくる。
そのまま進み門の前に到着すると、銀色の鎧を着た男性が駆けてくる。
細くて金髪のイケメンで、まるで俺とは正反対の容姿だ。
「これはアリア様! ご無事でなによりです!」
「ローレンスか、心配をかけた。とある旅人に助けられな。身の保証は私がするので、悪いが中に入れて欲しい」
「ふむ……身体検査と身分を確かめないので?」
「ああ、私の一存で決めた」
「………なるほど、畏まりました」
そうして、あっという間に手続きが済んで門の中に通される。
どうやら本人が言っていた通り、それなりに偉い立場らしい。
それ目当てで助けたわけじゃないが、有難いことには違いない。
門をくぐったら、すぐに馬を預けて……都市の中を眺めると、そこには知らない世界が広がっていた。
「おおっ……!」
「ふふ、珍しいか?」
「ええっ! それはもう!」
道行く人は西洋系が多いが、俺みたいのもチラホラいる。
カレンさんのような人、獣の顔に人の体を持っている人もいた。
身長の小さいずんぐりしたおじさんもいる。
それらが一堂に会し、話をしたり商売をしていた。
まさしく、異世界という感じだ。
「まずは落ち着いて話せる場所が必要か……よし、すぐ横に部屋があるから借りよう」
「はい、わかりました」
ハクを抱っこしたまま、アリアさんとカレンさんについていき、門の横にある建物に入る。
中は十畳ほどの広さで、机と椅子がいくつかある簡易的な部屋だった。
そこから奥に行き、扉をあけて狭い部屋に通される。
イメージは尋問室や面会室に近い感じだ。
「よし、これでひとまず安心だな。ここは音が漏れない作りになってるから平気だ」
「ええ、そうですね。タツマ殿にアレをしますか?」
「ああ、持ってきてくれ」
「アレですか?」
「まあ、まずは席についてくれ」
「は、はぁ」
とりあえず言われた通りに、指定された椅子に座る。
そして対面にはアリアさんが座った。
すぐにカレンさんが水晶?を持ってきて、俺の前に置く。
「では、これに手を置いてくれ」
「わかりました」
俺は動揺しつつも、大人しく手を置く。
すると、水晶の真上に映像が浮かび上がる。
「うお!? びっくりした……」
「……やはり、尋常じゃない強さか」
「え、ええ、フレイムベアーを倒せるわけですね」
そこには、何やら文字やローマ字が書いてある。
◇
真田 辰馬 35歳 人族
体力 A + 魔力 C+
筋力 A 知力 C+
速力 B+ 技力 B+
【ギフト】 環境適応 言語理解 食眼
◇
なんだか、ステータスみたいなものか?
アリアさんに説明を求めようと振り返ると……固まっていた。
俺は仕方ないので、そのまま待つことにする。
ちなみに、ハクは腕の中でスヤスヤ寝ています。
時折、プープーと鼻を鳴らしながら……うちの子が可愛いんですけど?
「す、すまない、予想以上だったものでな」
「そうなんですか?」
「まずは、そこから説明をしないといけないか。簡単に言えば、この世界においてお主を倒せる者は少ないというレベルだ。ほとんど最強クラスと言って良い」
「……なるほど」
「そうだな……不公平なので、私のも見せるとしよう」
するとアリアさんが俺の横に立って、水晶に手を置く。
その際に銀髪が俺の頬にあたり、その香りに年甲斐もなく動揺してしまう。
……いかんいかん、今は説明に集中だ。
◇
アリア-テスタロッサ 26歳
体力 C 魔力C
筋力 C知力 C+
速力 C+技力 C+
◇
こうしてみると、俺とはだいぶ違うのがわかる。
というか、二十六歳なのか……十歳差はなくてよかった。
いや、だからどうしたって話なのだが……。
「ふむふむ、これでどれくらいの強さなんですか?」
「これでも、この世界では強い部類だ。そうだな……説明しよう」
そしてアリアさんの説明をきく。
まとめるとこんな感じだ。
◇
上から順に、S+,S,A+,A,B+,B,C+,C,D+,D,E+,Eの12段階。
普通の一般人が、E~E+。
街の一般兵士などが、D。
戦いを生業にできるのが、D+。
一人前と言われるのが、C。
一人前の壁を越えたのが、C+。
ベテランと言われるのが、B。
一流と言われるのが、B+~A。
超一流と言われるのが、A+。
人外と言われるのが、S。
前人未到と言われるのが、S+。
◇
こんな感じらしい。
いわゆる、英雄と呼ばれる人でもB+~A+。
能力値には個人差があり、ほとんどの人はB以上にはいけないと。
「ふんふん、俺はA+~B+が半分以上あるから相当高いですね」
「高いなんてものじゃないさ……全く、次にステータスの説明をしよう」
次にステータスの効果の説明を受ける。
◇
体力……スタミナや、強健さを表している。
魔力……魔法を使う際のスタミナや、魔力に対しての頑丈さを表している。
筋力……単純な力と頑丈さを表している。
知力……賢さと知識量を表している。
速力……素早さを表している。
技力……器用さを表している。
◇
俺が息がきれなかったり、突然目が良くなった理由がわかった。
足も速いし、力も増している。
「それにステータスは魔物を倒すことで上がっていく。魔獣を倒しても上がらない。あとは人によって上限があるくらいか」
「わかりやすい説明ありがとうございます。それで、このギフトとは?」
「それこそがお主が迷い人の証拠だ。ギフトは神の祝福といい、与えられる者は限られる」
「なるほど、大体わかりました」
俺がパニックを起こしていない理由は環境適応。
異世界なのに言葉を理解しているのが言語理解。
あの鑑定みたいな能力が食眼ってわけだ。
「さて、こんなものでいいかな?」
「ええ、ありがとうございました」
「ふふ、それを聞いても変わらないか」
「はい? どういうことですか?」
「実感が湧かないだろうから言っておくと、あのレッドベアーを倒せるのは一握りしかいない。それくらい強い魔獣を、お主は倒したということだ」
「……とりあえず、受け入れます」
まるで実感はないが、自分の体が以前とは違うのはわかりきっている。
アリアさんが言うなら、そういうことなのだろう。
「カレン、私がいった通りだろ?」
「ええ、そうですね。どうやら、立派な御仁のようです」
「えっと?」
「すまない、タツマ殿。カレンがお主を試したいというので……」
「当たり前です。自分の強さを知った瞬間に変わる者はいますから……とはいえ、申し訳ありませんでした」
「い、いえいえ! ……その、当然のことだと思いますから」
「寛大な心に感謝いたします」
「ふふ、私の目に狂いはなかったな」
自分が怪しい存在なのは重々承知の上だ。
突然現れた謎の強いおっさん……改めて考えても怪しさ満載である。
出会ったのがアリアさんじゃなかったら、こうはいかなかったかもしれない。
こればかりは神様ではなく、アリアさん自身に感謝をしなくてはいけないな。
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