田舎貴族の学園無双~普通にしてるだけなのに、次々と慕われることに~

おとら@ 書籍発売中

文字の大きさ
51 / 60

和気あいあい

しおりを挟む
ひとまず、これで昼飯も確保できたので、昼食の準備を始める。

すでに下準備は出来ているので、あとは作って行くだけだ。

道中で手に入れた山菜やキノコなどもあるし。

「そういや、火属性を使える人はいないんだったね。いつもは魔石があるから忘れてたけど」

「今回は魔石も使っちゃいけないし、人の手でやるしかないわ」

「えっと、確か木の摩擦とかでやるって授業で言ってましたよね?」

「くく、ようやく我の出番というわけだ。そこで見ているが良い」

そう言い、レオンが数ある中から木を選び、ナイフを使ってサクサクと工作を行う。
そして木の棒を穴に入れて、レオンが勢いよく回すと……すぐに煙が出てくる。

「ウォォォォォォ!」

「おおっ! 流石は獣人の力!」

「よし、これで……ふぅー」

種火を用意していた場所に移し、息を吹きかけて行くと……火が燃え上がった。

「わぁ……早いです!」

「レオン、感謝するわ」

「ふんっ、我にかかればこんなものよ。ユウマにばかり良い格好はさせん」

「ぐぬぬ……流石に力では負けちゃうしなぁ」

「ふふ、どっちも凄いで良いじゃない。全く、これだから男の人は」

「えへへ、男の子ってそういうところありますよねっ」

俺とレオンは顔を見合わせて……少し気不味くなる。
そういや、こういう感じも俺にとっては初めてのことだ。
なるほど、友達っていうのも悪くないね。

「と、とりあえず、焼いていこうか」

「では、真ん中の火で野菜やキノコを炒めるわよ」

「魚は塩を振ったら串に刺して、周りを囲むようにしましょう」

そして、四人で協力してぱぱっと準備を済ませる。
炒め物はすぐに出来たので、後は魚が焼きあがるのを待つだけだ。

「では、今のうちに作戦会議でもするかしら?」

「後は、反省点とか」

「わたしは少し動きが硬いので、午後はそれをなくしたいです。ずっと怖くて……臆病でごめんなさい」

「それは私もよ。ようやく、力が抜けてきたけど」

「カレンはともかく、セリスの心配はいらなそうだね。大分、肩の力が抜けてきたし。カレンにしても、そもそも後衛だから臆病なことは悪いことじゃない」

どう考えても、猪突猛進だけのパーティーなんて怖すぎる。
一人が突出したなら、それを冷静に見れる人物も必要だと思う。

「そうなんですか?」

「そうそう。体が硬いのはともかく、恐れる人がいるのも大事だって教わったよ。そもそも、言い換えれば慎重って意味でもあるし」

「うむ、我も同意見だ。何より……パーティーを組んでいるのだから、そこは補えば良いのではないか」

「二人とも……えへへ、ありがとうございます。そっか、直したほうがいいけど無理することはないんですね」

「そういうこと。レオン、良いこと言うじゃん」

「う、うるさい!」

「そうよね、パーティーなんだから頼れば良いのね……よく覚えておくわ」

そんな会話をしてると、パチパチと良い音と香ばしい香りがしてくる。
それは、もうすぐ出来るという合図に間違いなかった。

「おっ、良い感じだね。レオン、食えそう?」

「ふむ……後、数分といったところか」

「それじゃあ、先に山菜とキノコ炒めを食べましょう」

皿に取り分けて、先に炒め物を食べる。
醤油を垂らしただけだが、キノコの味が出て美味い。
こういう探索では、上等な食事だ。

「……よし、良いだろう。もう、焼けたから食べて良いはずだ」

「やったぁ! 俺、これが良いかな!」

「むっ! 我が狙っていた物を!」 

「ふふ、早い者勝ちなのだよ」

「ぐぬぬっ」

すると、二人から呆れた視線を向けられる。

「またやってるわよ」

「懲りない二人です」

「まあ、ユウマが獲ったから良しとしましょう」

「えへへ、でもこういうのって楽しいですね」

「ふふ、確かに。普段食べる時とは、また違ったものがあるわ」

「「……食べるか」」

そんな仲の良い二人を見て、俺達も言い争いを止めて食べ始める。

ちなみに、魚はほくほくでめちゃくちゃ美味しい。

きっとそれは味だけでなくて、この場所や食べる相手がいるからなんだと思った。

こういう感じなら、冒険者生活も悪くなさそうだね。







しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】  最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。  戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。  目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。  ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!  彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...