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野営地にて

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 今回は少し西に行ったところにある、国が管理している野営地に向かう。

 近くに森があるが簡易的な建物もあり、冒険者や旅人の休憩地にもなってるとか。

「今回は冒険者の方もいるみたいよ」

「おおっ、是非とも話を聞きたいね」

「ただ、基本的には関わらないようにするって話ね。そもそも、あっちが嫌がるだろうし」

「そうなの?」

「彼らにとって、貴族の印象はあまり良くないのよ。無茶な依頼をしてきたり、不都合なことをもみ消したりするから」

「あぁー……なるほど。じゃあ、尚更のこと俺達が頑張らないとね」

「……ふふ、そうね。相変わらず、ユウマは前向きだわ」

 そして休憩を挟みつつ、十六時頃……野営地に到着した。

 建物がいくつかあり、テントとかも張ってある。

 高さ二メートルくらいの柵があり、あれなら小型の静物なら簡単に入ってこれないだろう。

「おおっ、割ときちんとしてるね」

「一応、国が管理してる場所だもの」

「ふむ、我々が住んでいる環境に近いな」

「そうなの?」

「ああ、我々は草原のど真ん中に小さいな家を作って暮らしている。それらが集まって一つの集落となっているのだ。ドワーフ達はきちんとした建物に住んでいるので、人族に近い生活をしているが」

 そんな会話しつつ、生徒達の列に並んていく。
 すると、ノルン先生が生徒達の前に立つ。

「みなさん、お疲れ様でした! 今日から二泊三日でこちらの施設にお世話になります! 今日は日が暮れ初めていますし、みなさんお疲れですね! 休憩をしたのち、夕飯の準備をしてもらいます!」

「別に疲れてないけど」

「あなたと一緒にしちゃダメよ」

「そうなの? でも、レオンとか……あれ?」

 何やらプルプルしているレオンがいた。
 そういえば、馬車から降りる時ふらついてたような。

「ふむ……足が痺れて尻が痛い。馬車など乗り慣れていないのでな」

「わ、わたしもお尻が痛いです……」

「ちなみに、私も痩せ我慢してるだけだから」

「……回復魔法をかけようか?」

「我はお願いしよう」

「了解。それで二人は?」

「「結構です(わ)っ!!」」

 険しい目つきで二人に睨まれてしまった。
 なんとまあ、息がぴったりでしょうか。

「今のはお主が悪い」

「えぇ……別に触るわけじゃないのに」

「ユウマ? 貴方には女性の扱いを教えるべきですわね?」

「もう、ほんとですっ」

 すると、左右からほっぺを引っ張られる。

「あひゃい……二人してほっぺを引っ張らないでよ」

「全く、仕方ないんだから」

「そもそも、わたしにもできますから。セリスさん、後でやりますね」

「ええ、お願いするわ」

 その後、それぞれに回復魔法をかけ終えたら、まずは野営の準備をする。
 俺とレオンはテントの準備、セリスとカレンは食事の準備をしていた。

「それにしても、お主の体は頑丈だな? ずっと座りっぱなしだったというのに」

「うーん、一日中座らされたりしたからなぁ。しかも、重石付きで」

「なっ……そんな激しい鍛錬をしてきたのか。道理で、我と生身で渡り合えるわけだ」

「体幹訓練とか、忍耐力を鍛えるためとか言ってたね」

 今思うと、アレは異常だった。
 魔物や魔獣がいる森に放置されるは、敵陣のど真ん中に放りだすし。
 あの時の俺は母上が死んだことを考えたくなくて、とにかくがむしゃらに鍛錬してたっけ。
 あとは、母上の願いである誰かを守れるような男になって欲しいって。

「……ふむ、我も負けていられないな。今度、一緒に鍛錬をしても良いか?」

「うん、もちろん」

「それと、お主は婚約者とかはいるのか? あのセリス殿とカレン殿とは、どういう関係なのだ?」

「急にどうしたの? あっ、もしかしてセリスとかカレンに興味あるの? うんうん、良い子だもんね」

 すると、レオンが目を見開いて固まる。

「……お主は一回殴られた方がいいかも知れん。いいか、絶対に二人にはそんなこと言うなよ?」

「はい?」

「いいからわかったといえ」

「わ、わかった」

 あまりの威圧感に俺は頷くしかない。

「全く、なんで我が心配を……でも今のでわかった。つまり、特定の相手はいないということだ」

「まあ、そうなるね」

「そして、お主は貴族……ふむふむ、何人いても良いわけか」

「ねえねえ、さっきから話が見えないんだけど……」

「気にせんで良い。ほれ、さっさとテントを設営するぞ」

 そして、日が暮れる前にどうにかテントを設営するのだった。










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