42 / 53
カイル王子
しおりを挟む
数日経ったけど、結局部活が決まらない。
槍とか斧もやったけど、相手よりうまく扱ってしまい戦意喪失をさせてしまった。
文化系にいったは良いけど、基本的にのんびりは好きでもじっとしてるのは苦手だ。
このままだと、俺は放課後暇になってしまう。
「はぁ……どうしよう?」
「まだ時間あるから平気よ」
「セリスは返事したの?」
「ええ、校外学習が終わったら正式に入らせて頂くと」
「そっか……おっと、先生来たね」
そして、朝のホームルームが始まる。
そして、一頻り話が済んだ後……。
「みなさーん! 既に知ってる方もいると思いますが、来週から校外学習が始まります! 明日までに四人一組になって班を作ってくださいね!」
「おっと、来たね」
「ええ、そうね。カレン、予定通りに貴女も一緒でいいかしら?」
「はいっ、嬉しいです」
「ふふ、私もよ」
この二人は中々一緒にいる時間が取れない。
方や貴族達に人気者のセリスと、方や平民や獣人から好かれてきたカレン。
まだ派閥こそないけど、全員一緒に仲良くってわけにはいかないみたい。
だから、今回みたいのは貴重な時間だ。
二人が楽しめるように、俺も頑張らないとね。
「それで、後の一人はどうするの? 貴方が選ぶって言ってたけど」
「レオンに頼んでおいたよ。セリスは、あまり関わってないし」
「わかったわ。それじゃ、その四人で決まりね」
話し合いが終わり、そこでホームルームも終わる。
その後、いつも通りに講義の授業を受け……昼休みを迎える。
そして昼食を食べているが、最近は慣れ親しんだメンバーに新たに一人が加わった。
「そう! 男友達のレオンです!」
「えへへ、念願でしたもんね」
「これで、僕の肩の荷も降りたよ。ずっと、男友達と思われてたし」
「それについてはごめんって。レオン、助かったよ。おかげで、女の子だらけにならずにすんだ」
下手すると、校外学習の班も男一人で過ごすところだった。
そもそも、女の子の扱いを良くわかってないから難しい。
……近くにいた女性達はまともじゃなかったし。
「お、おう? いや、自分で言うのもあれだが、俺と友達だと男友達も出来にくいぞ?」
「そんなことで嫌がるような友達はいらないよ」
「……そ、そうか……」
「あっ、出ましたよ。これが、ユウマさんの天然タラシですね」
「ほんとですっ」
「我はたらされてなどいない!」
そんな会話をしていると、カイル様が近づいてくる。
その目は真剣で、真っ直ぐに俺を見つめていた。
これは、ただ事じゃないな。
「ユウマ殿、少し良いか?」
「ええ、構いませんよ。どうやら、場所を変えた方が良さそうですね」
まだ昼休みが終わるまで時間があるので、そのまま中庭に行く。
ひと気がないのを確認して、風の結界を張る。
「これで、外には漏れません」
「なんと……このような魔法まで。俺を殺すつもりならすぐに出来るというわけだ」
「そんなことしませんって。それで、話はなんでしょうか?」
「セリス殿のことだ……お主は彼女とどういう関係なのだ?」
「どういう関係ですか……幼馴染の女の子で、大事な女の子でもあります」
しばらくは会ってなかったし、男の子だと思ってた。
それでも、幼き頃の思い出に偽りはない。
共に剣を振り、遊び、食べ、一緒に過ごしてきた。
たとえ女の子であろうが、大事な幼馴染であることに間違いはない。
「本人にも聞いたが、別に婚約者ではないと?」
「ええ、そうですね。カイル様は、彼女を婚約者にしたいのですか?」
「ああ、俺は強くならねばならない。だから、そのためには力がいる」
「なるほど……つまり、彼女を好きとかではないと」
「我々貴族は、好きとか嫌いとかでは結婚できない。それは、我が父が証明している。父には妻が二人いるが、別に恋愛結婚というわけではない」
「それはそうですね」
貴族に生まれたからには、相手を選べない。
ただ、個人的な感情で言えば……セリスには幸せな結婚をしてほしいかな。
「そういうお主は、セリス殿を好きではないのか?」
「好きですか……好きって何ですかね?」
「……いや、俺も分からん」
「「………」」
俺たちの間に、虚しい沈黙が漂う。
成人もしたというのに、何と情けないことだろう。
いや、可愛いとかドキドキとかはわかるんだけど。
「それってどうなんです?」
「う、うるさい! お主こそどうなのだ!」
「いや、俺は同じ年くらいの女の子が近くにいませんでしたし……セリスは男の子だと思ってましたし」
「俺とて、幼き頃より女性とは遠ざけられてきた」
「あぁー、そうですよね」
下手な女性と仲良くなると、その後が大変そうだ。
何より、王位争いに関係してくるし。
「と、とにかく! ……俺は俺の目的のために、彼女を利用する。お主には言っておこうと思ってな」
「それ自体は否定しませんが……個人的には、セリスを守れないような男にはやれません。あの子は、ああ見えて無茶をしますから」
「ほほう……ならば、俺は尚のこと戦果を上げねばなるまい」
「戦果ですか?」
「いや、何でもない。言いたいことはそれだけだ……ではな」
そして、足早に去って行った。
やっぱり、何か焦ってるような感じがする。
……一応、気にかけておきますか。
槍とか斧もやったけど、相手よりうまく扱ってしまい戦意喪失をさせてしまった。
文化系にいったは良いけど、基本的にのんびりは好きでもじっとしてるのは苦手だ。
このままだと、俺は放課後暇になってしまう。
「はぁ……どうしよう?」
「まだ時間あるから平気よ」
「セリスは返事したの?」
「ええ、校外学習が終わったら正式に入らせて頂くと」
「そっか……おっと、先生来たね」
そして、朝のホームルームが始まる。
そして、一頻り話が済んだ後……。
「みなさーん! 既に知ってる方もいると思いますが、来週から校外学習が始まります! 明日までに四人一組になって班を作ってくださいね!」
「おっと、来たね」
「ええ、そうね。カレン、予定通りに貴女も一緒でいいかしら?」
「はいっ、嬉しいです」
「ふふ、私もよ」
この二人は中々一緒にいる時間が取れない。
方や貴族達に人気者のセリスと、方や平民や獣人から好かれてきたカレン。
まだ派閥こそないけど、全員一緒に仲良くってわけにはいかないみたい。
だから、今回みたいのは貴重な時間だ。
二人が楽しめるように、俺も頑張らないとね。
「それで、後の一人はどうするの? 貴方が選ぶって言ってたけど」
「レオンに頼んでおいたよ。セリスは、あまり関わってないし」
「わかったわ。それじゃ、その四人で決まりね」
話し合いが終わり、そこでホームルームも終わる。
その後、いつも通りに講義の授業を受け……昼休みを迎える。
そして昼食を食べているが、最近は慣れ親しんだメンバーに新たに一人が加わった。
「そう! 男友達のレオンです!」
「えへへ、念願でしたもんね」
「これで、僕の肩の荷も降りたよ。ずっと、男友達と思われてたし」
「それについてはごめんって。レオン、助かったよ。おかげで、女の子だらけにならずにすんだ」
下手すると、校外学習の班も男一人で過ごすところだった。
そもそも、女の子の扱いを良くわかってないから難しい。
……近くにいた女性達はまともじゃなかったし。
「お、おう? いや、自分で言うのもあれだが、俺と友達だと男友達も出来にくいぞ?」
「そんなことで嫌がるような友達はいらないよ」
「……そ、そうか……」
「あっ、出ましたよ。これが、ユウマさんの天然タラシですね」
「ほんとですっ」
「我はたらされてなどいない!」
そんな会話をしていると、カイル様が近づいてくる。
その目は真剣で、真っ直ぐに俺を見つめていた。
これは、ただ事じゃないな。
「ユウマ殿、少し良いか?」
「ええ、構いませんよ。どうやら、場所を変えた方が良さそうですね」
まだ昼休みが終わるまで時間があるので、そのまま中庭に行く。
ひと気がないのを確認して、風の結界を張る。
「これで、外には漏れません」
「なんと……このような魔法まで。俺を殺すつもりならすぐに出来るというわけだ」
「そんなことしませんって。それで、話はなんでしょうか?」
「セリス殿のことだ……お主は彼女とどういう関係なのだ?」
「どういう関係ですか……幼馴染の女の子で、大事な女の子でもあります」
しばらくは会ってなかったし、男の子だと思ってた。
それでも、幼き頃の思い出に偽りはない。
共に剣を振り、遊び、食べ、一緒に過ごしてきた。
たとえ女の子であろうが、大事な幼馴染であることに間違いはない。
「本人にも聞いたが、別に婚約者ではないと?」
「ええ、そうですね。カイル様は、彼女を婚約者にしたいのですか?」
「ああ、俺は強くならねばならない。だから、そのためには力がいる」
「なるほど……つまり、彼女を好きとかではないと」
「我々貴族は、好きとか嫌いとかでは結婚できない。それは、我が父が証明している。父には妻が二人いるが、別に恋愛結婚というわけではない」
「それはそうですね」
貴族に生まれたからには、相手を選べない。
ただ、個人的な感情で言えば……セリスには幸せな結婚をしてほしいかな。
「そういうお主は、セリス殿を好きではないのか?」
「好きですか……好きって何ですかね?」
「……いや、俺も分からん」
「「………」」
俺たちの間に、虚しい沈黙が漂う。
成人もしたというのに、何と情けないことだろう。
いや、可愛いとかドキドキとかはわかるんだけど。
「それってどうなんです?」
「う、うるさい! お主こそどうなのだ!」
「いや、俺は同じ年くらいの女の子が近くにいませんでしたし……セリスは男の子だと思ってましたし」
「俺とて、幼き頃より女性とは遠ざけられてきた」
「あぁー、そうですよね」
下手な女性と仲良くなると、その後が大変そうだ。
何より、王位争いに関係してくるし。
「と、とにかく! ……俺は俺の目的のために、彼女を利用する。お主には言っておこうと思ってな」
「それ自体は否定しませんが……個人的には、セリスを守れないような男にはやれません。あの子は、ああ見えて無茶をしますから」
「ほほう……ならば、俺は尚のこと戦果を上げねばなるまい」
「戦果ですか?」
「いや、何でもない。言いたいことはそれだけだ……ではな」
そして、足早に去って行った。
やっぱり、何か焦ってるような感じがする。
……一応、気にかけておきますか。
282
お気に入りに追加
846
あなたにおすすめの小説
神々に育てられた人の子は最強です
Solar
ファンタジー
突如現れた赤ん坊は多くの神様に育てられた。
その神様たちは自分たちの力を受け継ぐようその赤ん
坊に修行をつけ、世界の常識を教えた。
何故なら神様たちは人の闇を知っていたから、この子にはその闇で死んで欲しくないと思い、普通に生きてほしいと思い育てた。
その赤ん坊はすくすく育ち地上の学校に行った。
そして十八歳になった時、高校生の修学旅行に行く際異世界に召喚された。
その世界で主人公が楽しく冒険し、異種族達と仲良くし、無双するお話です
初めてですので余り期待しないでください。
小説家になろう、にも登録しています。そちらもよろしくお願いします。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる