23 / 53
それぞれの会話
しおりを挟む
幸い、カレン達には気づかれずに済んだ。
ただ、俺の尊厳が少し減っただけで……グスン。
「お兄ちゃん、便所長かったぜ!」
「ほんとだ~! うん○じゃね!?」
「そんな奴にお姉ちゃんは渡せない!」
「も、もう! やめなさいって! それに、この方は……」
「ふはは! そんなことでは我はへこたれん! カレン姫を守りたければ俺を倒すが良い!」
「なにを~!」
「甘いっ!」
俺は迫り来る少年を、ベッドの上に向けてぶん投げる。
当然万が一にも飛びてて怪我がないように、ベッドの周りを風の結界で覆っている。
「うわ~!?」
「楽しそー! 俺も!」
「わたしも!」
「良いだろう、どんどんかかってるが良い!」
そして、彼らが満足するまで相手をしたけど……流石に疲れた。
子供っていうのは、本当に元気だね。
でも、それが一番だ。
その後、外に出て木陰のベンチで休憩する。
子供達は相変わらず元気で、外を走り回っていた。
「ふぅ、子供の体力は凄いや」
「ユウマさんって、子供の相手も上手なんですね?」
「まあ、下に二人いるからね。それに領内の子供達の相手もしてたし」
「えへへ、今の見てたら想像つきました。貴族の方なのに、そういうことするんですね。平民ならまだしも、ここにいる子達は……」
「前も言ったけど関係ないよ。貴族だろうが市民だろうが、俺は同じ人間だと思ってるし。もちろん立場とか場面においては、そういったものも必要だけどね。ただ、少なくとも……子供達には関係ない話だ」
そもそも、俺にとっては守るべき民だ。
バルムンク家はこういう子供達の未来を守るために、ずっと国境を守り続けているのだから。
「ユウマさん……初めて王都で友達になった貴族が貴方で良かったです」
「そう? それなら良かったよ」
「その、何かお礼をさせてください!」
「それは前にも言ったけどいらないよ」
「でも、わたしの気が済みません! 今回だって、わたしが騙したようなのに……」
なるほど、そのことを気にしてるのか。
俺が気にしてなくても、根が優しいから気になるんだね。
そうなると……アレでもしてもらおうっかな。
「ふふふ、そこまでいうなら覚悟はいいかな?」
「は、はいっ、どんどこいですっ」
「それじゃ、失礼しましてっと……うむ、極楽だね」
俺はそのまま、横に座っているカレンの膝に頭を乗せて寝転がる。
風が吹き、上に見える木々が揺れる。
良き太ももの感触もあり、とても安らぐ。
「ひゃう!? あ、あのぅ? 何を……」
「何をって膝枕だよ。可愛い女の子の膝枕、それは全男の子の夢だよ?」
「も、もう、ユウマさんってば!」
「いやいや、嘘じゃないって。本当に気持ちいいや」
「な、なら良いですけど……」
そうして、子供達を見守りながら穏やかな時間を過ごす。
とりあえず、カレンには何も知られずに済んで良かったね。
◇
……肩がこるわ。
先程から、自分の話ばかり。
かといって、話を聞かないわけにはいかないし。
なにせ、話してる内容が内容だったから。
「兄上は優しいが、家臣の言いなりになってばかりだ。あれでは、強き王などにはなれない。というわけで……俺としては、自分が王位を継ぎたいと思ってる」
「そうなのですね。私は第一王子様をあまり知らないので、なんとも言えないですが」
「兄上はいつも他人の目を気にしてる。あれでは、王になど向かない。そこでだ、色々と功績を立てたいと思っている。それこそ、君の家との関係も含めて」
「それは、父上や母上と話し合いをしないことには返事できませんわ」
私とて侯爵令嬢として生まれたからには、ある程度の覚悟はできてる。
いずれは、王族やそれに連なる方に嫁ぐことを。
この方も悪い方ではないのですが、やはり他者を尊重する意識が欠けてますし。
それに、何か焦ってる感じがする。
「それは……うむ、そうだろうな。それより、一緒の部活をやらないか?」
「部活ですか? 私は、今のところ入る予定はないのです。実は、生徒会に誘われてまして……」
「そ、そうか、あの従姉妹殿に……」
「はい、先日お話しする機会がありまして」
ミレーユ様は国王陛下の姪っ子なので、この方の従姉妹でもある。
噂では小さい頃から頭が上がらないとか。
そして昨日、生徒会に誘われたのは事実だ。
受けるとかどうかは、まだ決めてないけど。
「う、うむ……ところで、最近魔物が増えていることは知っているか?」
「そうなのですか? 確かに、ここに来る際にも襲われましたが……」
あの時のユウマはカッコよかった。
私を気遣ってくれたし、兵士達が死なないように立ち回ってくれた。
「なんと? それは無事で何よりだ。他にも、そういう報告がいくつか来てるらしい。俺はそれを調べて、功績を立てたいと思っている」
「そ、それは危険では? 私達は、まだ冒険者登録もしていないですし」
「冒険者程度が倒せるなら問題あるまい。俺は兵を率いて、近いうちに調査に出るつもりだ。そうだ、君も来るといい」
「そもそも、許可が出ないと思うのですが……」
「そこが問題だ……どうするか」
まだ卒業まで時間があるから、焦ることはないのに。
でも、それを私の立場では言えない。
女性は殿方にそういうことを言ってはいけないらしい。
ユウマだったら、軽く笑ってくれると思うけど。
あの二人、今頃一緒にいるのかな? ……いいなぁ。
ただ、俺の尊厳が少し減っただけで……グスン。
「お兄ちゃん、便所長かったぜ!」
「ほんとだ~! うん○じゃね!?」
「そんな奴にお姉ちゃんは渡せない!」
「も、もう! やめなさいって! それに、この方は……」
「ふはは! そんなことでは我はへこたれん! カレン姫を守りたければ俺を倒すが良い!」
「なにを~!」
「甘いっ!」
俺は迫り来る少年を、ベッドの上に向けてぶん投げる。
当然万が一にも飛びてて怪我がないように、ベッドの周りを風の結界で覆っている。
「うわ~!?」
「楽しそー! 俺も!」
「わたしも!」
「良いだろう、どんどんかかってるが良い!」
そして、彼らが満足するまで相手をしたけど……流石に疲れた。
子供っていうのは、本当に元気だね。
でも、それが一番だ。
その後、外に出て木陰のベンチで休憩する。
子供達は相変わらず元気で、外を走り回っていた。
「ふぅ、子供の体力は凄いや」
「ユウマさんって、子供の相手も上手なんですね?」
「まあ、下に二人いるからね。それに領内の子供達の相手もしてたし」
「えへへ、今の見てたら想像つきました。貴族の方なのに、そういうことするんですね。平民ならまだしも、ここにいる子達は……」
「前も言ったけど関係ないよ。貴族だろうが市民だろうが、俺は同じ人間だと思ってるし。もちろん立場とか場面においては、そういったものも必要だけどね。ただ、少なくとも……子供達には関係ない話だ」
そもそも、俺にとっては守るべき民だ。
バルムンク家はこういう子供達の未来を守るために、ずっと国境を守り続けているのだから。
「ユウマさん……初めて王都で友達になった貴族が貴方で良かったです」
「そう? それなら良かったよ」
「その、何かお礼をさせてください!」
「それは前にも言ったけどいらないよ」
「でも、わたしの気が済みません! 今回だって、わたしが騙したようなのに……」
なるほど、そのことを気にしてるのか。
俺が気にしてなくても、根が優しいから気になるんだね。
そうなると……アレでもしてもらおうっかな。
「ふふふ、そこまでいうなら覚悟はいいかな?」
「は、はいっ、どんどこいですっ」
「それじゃ、失礼しましてっと……うむ、極楽だね」
俺はそのまま、横に座っているカレンの膝に頭を乗せて寝転がる。
風が吹き、上に見える木々が揺れる。
良き太ももの感触もあり、とても安らぐ。
「ひゃう!? あ、あのぅ? 何を……」
「何をって膝枕だよ。可愛い女の子の膝枕、それは全男の子の夢だよ?」
「も、もう、ユウマさんってば!」
「いやいや、嘘じゃないって。本当に気持ちいいや」
「な、なら良いですけど……」
そうして、子供達を見守りながら穏やかな時間を過ごす。
とりあえず、カレンには何も知られずに済んで良かったね。
◇
……肩がこるわ。
先程から、自分の話ばかり。
かといって、話を聞かないわけにはいかないし。
なにせ、話してる内容が内容だったから。
「兄上は優しいが、家臣の言いなりになってばかりだ。あれでは、強き王などにはなれない。というわけで……俺としては、自分が王位を継ぎたいと思ってる」
「そうなのですね。私は第一王子様をあまり知らないので、なんとも言えないですが」
「兄上はいつも他人の目を気にしてる。あれでは、王になど向かない。そこでだ、色々と功績を立てたいと思っている。それこそ、君の家との関係も含めて」
「それは、父上や母上と話し合いをしないことには返事できませんわ」
私とて侯爵令嬢として生まれたからには、ある程度の覚悟はできてる。
いずれは、王族やそれに連なる方に嫁ぐことを。
この方も悪い方ではないのですが、やはり他者を尊重する意識が欠けてますし。
それに、何か焦ってる感じがする。
「それは……うむ、そうだろうな。それより、一緒の部活をやらないか?」
「部活ですか? 私は、今のところ入る予定はないのです。実は、生徒会に誘われてまして……」
「そ、そうか、あの従姉妹殿に……」
「はい、先日お話しする機会がありまして」
ミレーユ様は国王陛下の姪っ子なので、この方の従姉妹でもある。
噂では小さい頃から頭が上がらないとか。
そして昨日、生徒会に誘われたのは事実だ。
受けるとかどうかは、まだ決めてないけど。
「う、うむ……ところで、最近魔物が増えていることは知っているか?」
「そうなのですか? 確かに、ここに来る際にも襲われましたが……」
あの時のユウマはカッコよかった。
私を気遣ってくれたし、兵士達が死なないように立ち回ってくれた。
「なんと? それは無事で何よりだ。他にも、そういう報告がいくつか来てるらしい。俺はそれを調べて、功績を立てたいと思っている」
「そ、それは危険では? 私達は、まだ冒険者登録もしていないですし」
「冒険者程度が倒せるなら問題あるまい。俺は兵を率いて、近いうちに調査に出るつもりだ。そうだ、君も来るといい」
「そもそも、許可が出ないと思うのですが……」
「そこが問題だ……どうするか」
まだ卒業まで時間があるから、焦ることはないのに。
でも、それを私の立場では言えない。
女性は殿方にそういうことを言ってはいけないらしい。
ユウマだったら、軽く笑ってくれると思うけど。
あの二人、今頃一緒にいるのかな? ……いいなぁ。
333
お気に入りに追加
846
あなたにおすすめの小説
神々に育てられた人の子は最強です
Solar
ファンタジー
突如現れた赤ん坊は多くの神様に育てられた。
その神様たちは自分たちの力を受け継ぐようその赤ん
坊に修行をつけ、世界の常識を教えた。
何故なら神様たちは人の闇を知っていたから、この子にはその闇で死んで欲しくないと思い、普通に生きてほしいと思い育てた。
その赤ん坊はすくすく育ち地上の学校に行った。
そして十八歳になった時、高校生の修学旅行に行く際異世界に召喚された。
その世界で主人公が楽しく冒険し、異種族達と仲良くし、無双するお話です
初めてですので余り期待しないでください。
小説家になろう、にも登録しています。そちらもよろしくお願いします。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)
いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。
全く親父の奴!勝手に消えやがって!
親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。
俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。
母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。
なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな?
なら、出ていくよ!
俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ!
これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。
カクヨム様にて先行掲載中です。
不定期更新です。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
勇者パーティーを追放されました。国から莫大な契約違反金を請求されると思いますが、払えますよね?
猿喰 森繁
ファンタジー
「パーティーを抜けてほしい」
「え?なんて?」
私がパーティーメンバーにいることが国の条件のはず。
彼らは、そんなことも忘れてしまったようだ。
私が聖女であることが、どれほど重要なことか。
聖女という存在が、どれほど多くの国にとって貴重なものか。
―まぁ、賠償金を支払う羽目になっても、私には関係ないんだけど…。
前の話はテンポが悪かったので、全文書き直しました。
投獄された聖女は祈るのをやめ、自由を満喫している。
七辻ゆゆ
ファンタジー
「偽聖女リーリエ、おまえとの婚約を破棄する。衛兵、偽聖女を地下牢に入れよ!」
リーリエは喜んだ。
「じゆ……、じゆう……自由だわ……!」
もう教会で一日中祈り続けなくてもいいのだ。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる