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校外学習16

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 温かい食べ物を食べてると、頭が徐々に回ってくる。

 身体も心なしか、元気になってきた気がした。

 ただし、相変わらず身体は軋んでいる。

 これもチャクラの使い過ぎによる弊害だろう。

「だが……なんとか動けるか。多分、明日の朝は酷いことになるが」

「はは、そいつは仕方ないさ。というより、俺だって明日はこえぇ……絶対に筋肉痛になってるわ」

「僕とセレナさんはともかく、お二人は大変でしたからね。もっとお手伝いできたら良かったんですけど」

「いやいや、ただの役割分担の話だよ。セレナの守りを気にしていたら、俺は攻撃に徹せないし」

「ふふ、やっぱり大事な女の子なんですね?」

「ひゅー、こいつは熱いぜ」

「ちょっと? 二人してからかわないでよ……まあ、大事な幼馴染に変わりはないけど」

 そんな会話をしていると、ドンドンと太鼓の叩く音がする。
 どうやら、校外学習の締めがキャンプファイヤーが行われるようだ。

「おっ、やるんだ?」

「ノイス先生も迷ったみたいだけど、ここはやった方が色々と払拭出来ていいかなって。幸いにも、犠牲者が出なかったこともありますし」

「それに生徒達の自信にもなったらしい。まあ、騎士団の連中にはお灸をすえるとは言ってたが」

「まあ、それは当然だろうね。というか、うちの親父がキレそうだ……」

「……間違いねえ」

 おそらく、死人……が出てもおかしくない。
 というか親父の言う通り、騎士団は随分と怠慢だね。
 仮にも第二王子と第一王女が遠征する場所で手を抜くとか……まさかね。

「アレク君? どうしました?」

「いや、何でもない。んじゃ、俺もいきますか」

「平気か?」

「きついが……あの跳ねっ返り娘を一人すんのは可哀想だし」

「えへへ、優しいですっ」

「それは言えてるな」

「はいはい、わかりましたよ」

 照れ臭くなり、俺はテントを抜けてセレナを探す。
 幸い、あいつは目立つのですぐに見つかる。
 というより、何やら男達に囲まれているな。

「セレナ様! どうか僕と踊ってください!」

「いや、俺と! あの戦場での振る舞い素晴らしかったです!」

「婚約破棄されたなら、我々にもチャンスを!」

「み、みなさん! 落ち着いてくださいませ!」

 普段のツンツン具合は何処へやら、珍しくオロオロとしている。
 そういや、こいつって基本的には男子が苦手だったんだっけ?
 同世代だと、俺とトール以外とは話したことほとんどないし。
 そもそも、第一王女が男とばかり話してたら問題だが。
 普段はあんなだけど、意外と箱入り娘なんだよなぁ。

「はいはい、そこまでだ。悪いが、そいつには先約があるんですね」

「ア、アレク王子?」

「お、お目覚めになられたのですね!」

「ですが、婚約破棄をしたとか」

「アレク!」

 すると、セレナが俺の後ろに隠れる。
 そして、俺の服を握りしめた。

「悪いが、そいつは誤解だ。この通り、こいつは俺に夢中なんでな。無論、俺もだ」

「っ~!?  あぅぅ……」

「そ、そうだったのですか……」

「これは失礼いたしました……」

「あんなに強いし仕方がないよなぁ」

 そう言い、男達が去っていく。
 
 あ、危なかった……テントを出てから、ずっと見られてたし。
 多分、目覚めた俺を誘おうと牽制しあっていたのだろう。

「ほら、もう平気だよ。ったく、普段の気の強さはどこ行ったんだ?」

「う、うるさいわねっ! それより……どういう意味よ?」

「いや、ああ言っておけば面倒ないだろ? というか、打ち合わせしたじゃんか」

「わ、わかってるわよ……仕方ないじゃない、それでも嬉しかったんだから」

「何をぶつぶつ言ってるんだ? ほら、ささっと行こう」

「きゃっ!? ま、待って……!」

 俺はセレナの手を取り、キャンプファイアーの前に行く。

 そして、顔を真っ赤にしたセレナとダンスを踊る。

   これで作戦通り、今後は変な輩も寄ってこないだろう。






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