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到着

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この大陸はかなりの広さがある。

おそらく、ヨーロッパ大陸くらいはあるんじゃないだろうか? 知らんけど。

ちなみに、この大陸の他には大陸は残っていないらしい。

というのも、神話時代においてこの大陸以外は水没してしまったと。

その生き残りが、全てこの大陸に逃げ込んで今に至ると歴史ではなっている。

その真実はわからない。

ただ船を作って探したりもしたが、未だに見つかっていないのは事実である。

「とまあ、そんな世界観です。試験には出ないので、みんなは覚えなくて良いからねっ!」

「何を言ってるの? これは普通にテストに出るわよ。というか、定期試験の勉強はしてるのかしら?」

「いや、してないけど?」

「そんなキリッとした顔で言うんじゃないわよ!」

「待て待てっ! 馬車の中ではやめろって!」

目の前座っているセレナが、俺の両肩を掴んで揺らしてくる!
みんなお待ちかね『おっぱいぶるんぶるん』のお時間です!
俺ですか!? 俺は揺らされていて見る余裕がありません!
というか、酔いで吐きそうです!

「おいおい、着く前から体力を使うなよ。セレナ様も、少しは落ち着いてくださいって」

「うぇ……俺は何も悪いことしてないぞ」

「だ、だって、みんなで進級したいじゃない……アレクは、ただでさえ単位が危ないのに」

「まあ、それはそうっすね。なら、セレナ様が教えてあげれば良いんじゃないですか? それこそ、アレクの部屋でとか」

「ア、アレクの部屋で……?」

「おい! 親友! そんなのは嫌だっ! というか、 俺を売るとは何事だっ!」

「どういう意味よっ!?」

「そういう意味だよっ!」

こんなのが近くにいたんじゃ集中できん!
俺が何かの間違いで手を出してしまったらどうするんだ!
こちとら思春期の肉体を持て余しているというのに!

「クスクス……」

「メルル、どうしたの?」

「何をニコニコと……まさか、俺が虐められてるのが楽しいかい?」

「ち、違うんです! ……楽しいなって。こうして四人で過ごすのは久しぶりだったので……と言っても、まだ入学してから一ヶ月くらいしか経ってないんですけど」

「まあ、メルルは人気者だからね。いや、俺以外はといったほうが正しいか」

最初は面倒を見ていたメルルだけど、すぐにその必要はなくなった。
確かに、未だに獣人ということで、あーだこーだいう奴はいる。
でも、メルルは良い子だし、それも徐々に減っていくと思う。
……むしろ、俺といない方がいいのでは?

「それな」

「そうね」

「ひどくね?」

「え、えっと……アレク君は良い人ですっ」

「メルル! ありがとう! ウンウン、きみは良い子だ」

「あはは……」

「気を遣わせるんじゃないわよ」

「全くだな」

「リア充の二人は黙ってなさい」

……と言いつつ、俺もなんだかんだで楽しんでいる。

これが遅れてきた青春って感じかな。





そして休憩や食事を挟みつつ……お昼過ぎに、目的地に到着する。

そこは柵に囲まれた広い場所で、真ん中には小さな砦が立っている。

生徒である俺たちは、その柵の中でテントを張り、そこで寝泊りをして校外学習をする流れだ。

「くぅー……疲れたぁ……!」

「こ、腰が痛いわ……」

とりあえず、俺達も準備をするため馬車から降りたが……すでに満身創痍である。
慣れない馬車での長時間移動、ガタガタと揺れる道は中々にキツイ。

「おいおい、まだ着いたばかりだろうが……まあ、無理もないか」

「トール君は平気そうですね? 獣人の僕は、何ともないですけど」

「ほら、俺は馬術部だからな。馬に揺れるのも慣れてるし、そもそもこいつらと違って引きこもりじゃないし」

「「引きこもりいうなし!」」

「箱入りお嬢様と一緒にすんな!」

「何よ! そっちは正真正銘の引きこもりじゃない!」

「「ぐぬぬっ……!!」」

すると、見かねたノイス先生がやってくる。

「はい、そこまでですよ。仲が良いのは結構ですが、これは授業の一環でもあります。きちんと遊ぶ時間や休憩時間はあるので、まずは作業をしてください……わかりましたね? あなた方は王族なのですよ? 生徒達の見本になって頂かないといけません」

「「……はぃ、すみません」」

その言葉に、流石の俺達も……ぐうの音も出ないのだった。





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