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メルル視点
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……どうしよう?
学校に慣れてきたのは良かったし、友達みたいな人も増えてきた。
一緒に部活をやったりご飯を食べたり、放課後に遊んだり……それは良いんだけど。
その代わりに、アレク君と過ごす時間が減っちゃった。
私の本来の目的は、人族の生活を知ること。
だから、これで間違ってはいないはず。
アレク君達は、どうやら偉い身分の方々らしい。
そういう人ばかりではなく、一般の人族の方々の生活や考えを知らないといけない。
それがガイア王国王女として、僕に与えられた役目だから。
……決して、周りの人にアレク君達とは釣り合わないからやめなさいって言われたからじゃないもん。
「……なのに、この胸の痛みはなんだろ?」
「よう、メルルちゃん」
「あっ、トール君……」
「どうした? もうホームルームはとっくに終わってるぜ?」
「えっ? ……ほんとだ」
ふと周りを見ると、教室に残っているのは僕とトール君だった。
どうやら、随分とぼけっとしてたみたいです。
「今日は暇なのか? 確か、セレナ様とアレクは王城に行っているし」う
「そ、そうみたいですね……だから、部活もどうしようかなって」
あれ? どうして、今……胸がチクってしたんだろう?
アレク君とセレナちゃんは幼馴染だし、仲が良いのは当たり前なのに。
でも、元婚約者だったって話だけど……。
「でも、大分慣れてきたんじゃないか? あの二人がいなくても、普通に話せるようになってきたし。というか、俺ともこうして話してるしな」
「ううん、まだまだって感じです。それに、トール君だってセレナちゃんとアレク君と変わらないですよ」
「おっ、そいつは嬉しいね。まあ、少しずつ慣れていくしかないか」
「はい、そう思ってます……あの、僕はアレク君に避けられてますか?」
「ん? どうしてそう思うんだ?」
その時、トール君の空気が変わった気がした。
何かまずいことを聞いたかな?
……でも、ここまできたら聞いてみたい。
「その、最近……敢えてあっちに行けって言われてる気がして」
「ああ、そういうこと。でも、そうしないと友達できないぜ? アレクとセレナ様は、うちの国では特殊な立場だし。付き合いの長い俺からすると、アレクなりの気遣いってやつかと思うが」
「わ、わかってはいるんです。アレク君が、僕のことを考えて言ってくれているのは……ただ、元々押し付けられただけだから面倒くさいのかなって」
「アレクがそう言ったのか?」
「い、いえ! そんなことはないんです! ただ……」
周りの人と話していると、そういったことを言われてたりする。
釣り合わないとか、もっと遠慮したらとか。
「言いたい奴には言わせとけば良いさ。メルルちゃんがどうしたいかと、アレクがどうするかだけの話だ」
「僕がどうしたい……アレク君と、もっとお話しがしたいです」
「ほほう? なら簡単だな。アレクに、そう伝えれば良いさ。グータラ王子だが、それを無下にするような奴じゃないのは親友である俺が保障する」
「えへへ、それは心強いです。ただ、どうして僕にそこまで気を遣ってくれるんですか?」
「こう見えて、俺も色々と面倒な立場でね」
「そうなんですか?」
「まあ、気にしなくて良い。俺は俺の利益があってやってることだし」
トール君は不思議な人です。
あのお二人と仲は良いけど、いつも俯瞰して見てるというか見守っているというか。
ただ、二人を大事に思っているのは本当だと思います。
「それならいいんですけど……」
「そうそう、気にしない気にしない。へへ……こいつは面白いことになってきたな」
後半聞こえるか聞こえないくらいの声で、トール君がボソッと呟いた。
流した方が良いかと思ったけど、聞こえてしまった。
「面白いですか?」
「おっと耳がいい、流石は獣人さんだ。まあ、気にしないでくれ。さて……今度班決めがあるから、その時にでも自分から声をかけてみたらどうだ?」
「そ、そうですね……頑張ってみますっ!」
そうだ、もうそろそろ林間学校という行事があるみたい。
そこでアレス君と班を組めるように頑張らないとっ。
学校に慣れてきたのは良かったし、友達みたいな人も増えてきた。
一緒に部活をやったりご飯を食べたり、放課後に遊んだり……それは良いんだけど。
その代わりに、アレク君と過ごす時間が減っちゃった。
私の本来の目的は、人族の生活を知ること。
だから、これで間違ってはいないはず。
アレク君達は、どうやら偉い身分の方々らしい。
そういう人ばかりではなく、一般の人族の方々の生活や考えを知らないといけない。
それがガイア王国王女として、僕に与えられた役目だから。
……決して、周りの人にアレク君達とは釣り合わないからやめなさいって言われたからじゃないもん。
「……なのに、この胸の痛みはなんだろ?」
「よう、メルルちゃん」
「あっ、トール君……」
「どうした? もうホームルームはとっくに終わってるぜ?」
「えっ? ……ほんとだ」
ふと周りを見ると、教室に残っているのは僕とトール君だった。
どうやら、随分とぼけっとしてたみたいです。
「今日は暇なのか? 確か、セレナ様とアレクは王城に行っているし」う
「そ、そうみたいですね……だから、部活もどうしようかなって」
あれ? どうして、今……胸がチクってしたんだろう?
アレク君とセレナちゃんは幼馴染だし、仲が良いのは当たり前なのに。
でも、元婚約者だったって話だけど……。
「でも、大分慣れてきたんじゃないか? あの二人がいなくても、普通に話せるようになってきたし。というか、俺ともこうして話してるしな」
「ううん、まだまだって感じです。それに、トール君だってセレナちゃんとアレク君と変わらないですよ」
「おっ、そいつは嬉しいね。まあ、少しずつ慣れていくしかないか」
「はい、そう思ってます……あの、僕はアレク君に避けられてますか?」
「ん? どうしてそう思うんだ?」
その時、トール君の空気が変わった気がした。
何かまずいことを聞いたかな?
……でも、ここまできたら聞いてみたい。
「その、最近……敢えてあっちに行けって言われてる気がして」
「ああ、そういうこと。でも、そうしないと友達できないぜ? アレクとセレナ様は、うちの国では特殊な立場だし。付き合いの長い俺からすると、アレクなりの気遣いってやつかと思うが」
「わ、わかってはいるんです。アレク君が、僕のことを考えて言ってくれているのは……ただ、元々押し付けられただけだから面倒くさいのかなって」
「アレクがそう言ったのか?」
「い、いえ! そんなことはないんです! ただ……」
周りの人と話していると、そういったことを言われてたりする。
釣り合わないとか、もっと遠慮したらとか。
「言いたい奴には言わせとけば良いさ。メルルちゃんがどうしたいかと、アレクがどうするかだけの話だ」
「僕がどうしたい……アレク君と、もっとお話しがしたいです」
「ほほう? なら簡単だな。アレクに、そう伝えれば良いさ。グータラ王子だが、それを無下にするような奴じゃないのは親友である俺が保障する」
「えへへ、それは心強いです。ただ、どうして僕にそこまで気を遣ってくれるんですか?」
「こう見えて、俺も色々と面倒な立場でね」
「そうなんですか?」
「まあ、気にしなくて良い。俺は俺の利益があってやってることだし」
トール君は不思議な人です。
あのお二人と仲は良いけど、いつも俯瞰して見てるというか見守っているというか。
ただ、二人を大事に思っているのは本当だと思います。
「それならいいんですけど……」
「そうそう、気にしない気にしない。へへ……こいつは面白いことになってきたな」
後半聞こえるか聞こえないくらいの声で、トール君がボソッと呟いた。
流した方が良いかと思ったけど、聞こえてしまった。
「面白いですか?」
「おっと耳がいい、流石は獣人さんだ。まあ、気にしないでくれ。さて……今度班決めがあるから、その時にでも自分から声をかけてみたらどうだ?」
「そ、そうですね……頑張ってみますっ!」
そうだ、もうそろそろ林間学校という行事があるみたい。
そこでアレス君と班を組めるように頑張らないとっ。
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