上 下
45 / 68

狙われる?

しおりを挟む
翌日の朝、俺は再び貞操の危機を迎えていた。

昨夜親父にコテンパンにされた俺は、当然ながら全身が筋肉痛である。

何せチャクラを全力で使わないと、親父とまともに戦うことなどできないから。

しかし、その結果……カエラに寝起きを襲われています!

「ぐぬぬっ……!  脱がせてたまるか!」

「むむっ! 意外と体力残ってますね! せっかく旦那様から、もし組み伏せることが出来たら貞操を奪っても良いと許可をとったのに……」

「……何を許可してんだあのクソ親父は!? 俺の貞操をメイドに売りやがった!? 公爵家嫡男がそれで良いのか!?」

「ふふ、そこは私に対する信頼感かと。あと、私なら子供はできないでしょうし。それに、貴族の子息はメイドでお試しで筆を下ろすのが普通ですよ?」

確かに、そういうことはあるらしい。
当然、この世界にはそういう動画などはない。
なのでいざ本番となった時に、相手の女性に恥ずかしい思いをさせないようにメイドで経験をしとくとか。
そして、その相手はバレてはいけないので信頼できる者に限るってわけだ。

「だが……俺には必要ない!」

「きゃっ!? むぅ……意外と手こずりそうですね」

「ふっ、まだまだだな。というか、朝くらいはゆっくり寝させてくれない?」

「クスクス、嫌ですよー」

「……はぁ、そうですか」

どうにか、押しのけてベッドから降りる。
当然……手を出したくないと言ったら嘘になる。
めちゃくちゃ美人だし、スタイルも抜群だし、いい匂いするし……メイド服だし。
しかし手を出したら最後、一生頭が上がらない気がする。
えっ? 今と変わらないって? ……ほっとけ!






そして、朝ご飯の時間となるが……急いで食べ終えた俺は、クレームを入れる。

「父上、百歩譲って昨日の夜は良い。ですが、今朝のはどういう了見ですかね?」

「ん? ああ、カエラの件か。なに、カエラが言った通りじゃ。お主も成人したので、そういう経験もしとかんと」

「有り難いですが、俺には必要ないです」

なにせ、こちとら元アラフォーである。
前世では流石に未経験ではなかったし、やり方くらいは心得てる。
……上手いかどうかは別として。

「うむ……まあ、それならそれでいい。カエラの誘いに耐えられるなら、そこらの令嬢の誘いには乗らないか」

「なんの話です?」

「お主は、これから令嬢達に狙われることになるからのう」

「……はい? なんでそうなるんです?」

「お主は、自分の生まれを少しは考えろ。公爵家嫡男にして第二王子、そして今は婚約者なし。何より黒髪の持ち主じゃ。まだ王太子も定まっておらんし、狙ってくる令嬢は増えていくだろう」

「げげっ……」

気分は良くないが、確かに文字だけ並べると希少価値が高い。
セレナと婚約解消した今、そこを狙ってくる家があるってことか。
……くそめんどい。

「という訳で、常在戦場の気持ちでいると良い。いつ襲われてもいいように」

「やだよ! そんな常在戦場はっ! 普通の戦いも嫌だけど!」

「仕方あるまいて。それが嫌なら、早く相手を作るが良い。もしくは、カモフラージュでも用意するんじゃな」

「カモフラージュですか……なるほど」

相手が近づいてこないように、女の子をそばに置いておくってことか。
うーん、それはそれで相手に悪いなぁ。

「なるほど、だからこのタイミングでしたの」

「マリア?」

「お兄様、来週末から林間学校ですわ。つまりはお泊り……夜になったら男女の逢い引きがあるとかないとか……きゃー」

「マリアにはまた早いが、そういうことじゃ。開放的な空間になったことで、寄ってこようとする輩もいるはずじゃ。まあ、お主は誰に頭を下げればいいか……わかっておるな?」

「……ああ、もちろん」

俺が頼めて女性が近づきにくい相手……気分は乗らないが、頼むだけ頼むとしよう。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが…… アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。 そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。  実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。  剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。  アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

授かったスキルが【草】だったので家を勘当されたから悲しくてスキルに不満をぶつけたら国に恐怖が訪れて草

ラララキヲ
ファンタジー
(※[両性向け]と言いたい...)  10歳のグランは家族の見守る中でスキル鑑定を行った。グランのスキルは【草】。草一本だけを生やすスキルに親は失望しグランの為だと言ってグランを捨てた。  親を恨んだグランはどこにもぶつける事の出来ない気持ちを全て自分のスキルにぶつけた。  同時刻、グランを捨てた家族の居る王都では『謎の笑い声』が響き渡った。その笑い声に人々は恐怖し、グランを捨てた家族は……── ※確認していないので二番煎じだったらごめんなさい。急に思いついたので書きました! ※「妻」に対する暴言があります。嫌な方は御注意下さい※ ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げています。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

晴れて国外追放にされたので魅了を解除してあげてから出て行きました [完]

ラララキヲ
ファンタジー
卒業式にて婚約者の王子に婚約破棄され義妹を殺そうとしたとして国外追放にされた公爵令嬢のリネットは一人残された国境にて微笑む。 「さようなら、私が産まれた国。  私を自由にしてくれたお礼に『魅了』が今後この国には効かないようにしてあげるね」 リネットが居なくなった国でリネットを追い出した者たちは国王の前に頭を垂れる── ◇婚約破棄の“後”の話です。 ◇転生チート。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。 ◇人によっては最後「胸糞」らしいです。ごめんね;^^ ◇なので感想欄閉じます(笑)

処理中です...