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セレナ視点

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 ……もう、なんなのよ、一体……。

 いきなり婚約解消されて、アレクの様子が変だから様子を見たりしてたけど……。

 部活を通して昔みたいに遊んでくれたり、昔の思い出を話してくれたり……。

 さっきなんか、あんな風に庇ってくれたり……かっこよかったなぁ。

 たった今、私の心の中はアレクでいっぱいだった。

「うぅ~あんなことされたらもっと好きになるに決まってるじゃない……アレクは、どういうつもりなのかな?」

「あら~どうしたの?」

「お、お母様!? いつからそこに?」

「もっと好きになる辺りかしら?」

「っ~!? いるなら声をかけてください!」

 は、恥ずかしぃ……聞かれちゃったわ。
 まあ……お母様には、アレクを大好きなことはバレちゃってるんだけど。
 さっきは口止めしたけど、昔から『アレクのお嫁さんになる!』って言ってたし。
 嬉しかったんだよね……アレクだけが、私と対等に接してくれたから。
 さっきみたいに同じ王族からは絡まれるし、下の人達は敬遠されちゃうから。

「ちゃんとノックはしたわよ~? それより、今日は災難だったみたいね? 詳しいことはわからないけど、衛兵の方に聞いたわ」

「……まあ、いつものことだけどね」

「あの方も仕方ないわね~。私に直接言ってくればいいのに」

「流石に、それはまずいってわかってるんだと思うわ」

 元侯爵令嬢にして、第一王妃なのでお母様の方が立場は上だ。
 しかも、お父様の愛情を受けてますし。
 ……それがまた、気にくわないのだと思うけど。
 だから代わりに私のことをいびったり、妹のルナに言ったりしていた。
 それもあって、妹のルナは留学させたんだけどね。

「そうよね~。だから、私のいないところで言うんでしょうけど……そろそろ面倒だわ」

「だ、大丈夫だから! だから、何もしなくて良いから!」

 普段はのほほんとしてるお母様だけど、その処世術は凄まじい。
 社交界での顔も広いし、その気になれば第二王妃を孤立させることもできるかも。

「そう? でも、可愛い娘を虐められてお母さんは怒ってます」

「……ふふ、ありがとう。でも、本当に大丈夫」

「あら~その顔は……なんか、良いことがあったのね?」

「べ、別に! 大したことじゃないもん!」

 だって、アレクが助けてくれたもん。
 いつもと違って堂々していて、横顔が物凄くかっこよかった。
 もう、あんな顔もできるんじゃない……普段からしてれば良いのに。
 ……それはそれで、なんだか寂しいかも。

「ふふ、アレク君にはお礼を言わないといけないわね~。それにしても……どういうつもりなのかしら? さっきも、陛下とお話しをしたのだけれど」

「アレクのこと?」

「ええ、そうよ。実際会ってわかったけど、確かに変化があったわ。こう、大人びたというか、達観したというか……言葉にするのは難しいのだけれど、急に歳を重ねた感じかしら?」

「そ、そう! そうなの! アレクったら、いつもみたいに巫山戯てるかと思ったら……急に大人っぽくなったりして」

「ふふ、それでドキドキしちゃったのね~?」

「っ~!? し、してないもん!」

 嘘だ……物凄くドキドキして心臓が飛び出るかと思った。
 手を繋がれた時も力強くて、ずっとドキドキしていた。
 私からは引っ張ったことはあったけど、ああいう風に引っ張って貰ったことはなかったし。
 その意外と……アレクも、男の人なんだなって。

「いいじゃない~貴女は、もう少し素直にならないと駄目よ? アレク君とまた復縁したいならね」

「うっ……わかってるもん」

「とりあえず、そろそろ林間学校もあるし……まずは、班でも組みなさいね~。あとは、お色気で攻めても良いわ~……既成事実さえあれば、どうとでもなるから」

「お、お色気……既成事実……はぅ」

「あら~まだ早かったかしら? でも、ライバルも多いから早くしないと取られちゃうわよ?」

「……うん、それはわかってる」

 そうだ、カエラはもちろんメルルだって。

 それにアレクが気づいてないだけで、意外と女子生徒からの人気は高い。

 基本的に人を見下さないし、偉ぶらないから。

 最近では心を入れ替えたと評判になってきてるし……。

 このままではまずいわ……よ、よーし! 私も頑張らないとっ!
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