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対談
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突然だが、我が国の王族は色々と複雑だ。
普通なら、国王の直径である男子が王位を継ぐものだ。
しかし、我が国は公爵家の男子にも継承権が与えられる。
無論、その場合は本家の王女か王子を両親に持つ場合に限る。
つまり、俺の場合は先代国王の従兄弟である父親が公爵家当主。
そして本家から先代国王の妹であり、俺の母親でもある王女様が嫁いできたって感じだ。
故に、俺には王位継承権がある。
ちなみに、現国王は先代国王の実子である。
「以上が説明になります。いや、俺も良くわかってないけど。とりあえず、俺は王位継承権を持ってるってわけ。それだけわかっていれば、後のことは気にしないで良いです」
「アレク、さっきから誰に言ってるの?」
「なんでもない、少し整理がしたくてね。うちの王位とか王族とか複雑すぎるんだよ」
「はは、すまないねぇ。だが、気持ちはわかるよ」
俺の目の前にいる、飄々とした男性が国王陛下であるオラン様だ。
穏やかで理知的な瞳に、柔らかい雰囲気を持った気の良いおじさんって感じだ。
見た目もイケメンという訳でもないし、体型も膨よかで親しみが持てる。
無論……それが表向きの姿でしかないことは明白である。
じゃなきゃ、あの親父が一目置くわけがない。
「うんうん、そうですよね。ほんと、お互いに苦労します」
「いやはや、全くだよ」
「ちょ、ちょっと? まだ挨拶もしてないのに……」
「堅苦しいこと言うなよ」
「そうだよ、セレナ」
「も、もう! 知らないっ!」
そう言い、子供みたいにそっぽを向く。
そして、席を立って窓から外を眺めてる。
その姿は可愛らしくて新鮮だが、確かにふざけてばかりもいられないか。
「では、改めてまして……オラン様、ご無沙汰しております。本日は、お招きいただきありがとうございます」
「ああ、本当に久しぶりだ。こちらこそ、急にきてもらって悪かったね」
「いえいえ、俺も用事があったので。とりあえず、父上がご迷惑をおかけしました。なんでも、飲みに連れ回したとか……」
「ははっ、シグルド殿のことなら気にすることはないよ。私自身も堅苦しい日々なので、ああいったことは気晴らしになる。何より、彼がいれば護衛はいらないからね」
「そう言ってくれると助かります。羨ましいですよ、俺はアレに付き合うのがしんどくて」
「まあまあ、シグルド殿はお主のことが可愛くて仕方がないのだから」
うちの親父と国王陛下は、結構仲がいいらしい。
タイプは大分違うけど、二人共堅苦しいのは好きじゃないところが気があうのかも。
まあ、自分の父親の親友だからっていうのもあるだろうけど。
それに、噂では国王陛下が王位を継ぐのを親父が後押ししたとかしないとか。
「うげぇ……嫌ですね」
「ははっ! さて、それで本題だが……うちの娘を家に呼びたいとか?」
「ええ、そうですね。マリアが会いたがっているので」
「なるほど、マリア殿か……アイカ叔母様に似てきたそうだな」
「ええ、日に日に似てきますね。本人には、その自覚はないですが……見た目以外まで似なくてもいいのに」
マリアも母上と同じく、生まれつき身体が弱い。
どうやら、黒髪の女性はそういった傾向があるらしい。
故に貴重だし、大事に育てられてきたとか。
「そうしてあげたいのは山々だが、うちの娘とは婚約解消をした身だ。変な噂が立ったら、どうしてくれるのかな? うちの娘を欲しがる家は多いのだが?」
「お、お父様!」
「お前は黙ってなさい。これは、私とアレク君の話だ」
「っ……!」
そして、先程とは違う顔を見せる。
冷たい瞳に、一回り大きく見える威圧感……まあ、これくらいは予想の範囲内だ。
むしろ、好都合といったところかな。
「別にどうもしませんよ。最悪、俺が責任を取れば良いだけですから」
「ほう?」
「ア……アレク、それって……」
「いき遅れたら、セレナの相手は俺が見つけるだけです」
「……はっ?」
「……ははっ!」
すると、セレナが俺の両肩を掴んで揺らす!
相変わらずの馬鹿力であり、素晴らしいおっぱいである。
「ちょっと!? そこは俺が責任を取るでしょ!?」
「いやだよっ! 俺は王位を継ぐ気はないんだから!」
「セレナ、落ち着きなさい。元気なのは良いが、淑女たるものそれではいけないよ?」
「は、はぃ……むぅ」
見る見るうちに顔が真っ赤になり、ソファーに座り込む。
どうやら、父親の前では見せない顔らしい。
つまりは俺だけ……おいおい、何を喜んでいるだか。
「なるほど……王位を継ぐ気はないけど、うちの娘と今後も仲良くしたいということで良いかな?」
「はい、その認識で良いかと。どうせ、王太子が王位を継承するまではセレナも結婚できないでしょうし。相手によっては、刺激を与えることになりかねないので」
「まあ、それはそうだね」
「という訳で、その間は俺が預かるという形でどうですかね? 別に利用してもらっても構いませんし」
「ふむふむ……良いでしょう。匂わせておけば、変なのも寄ってこないかな」
「では、決まりですね」
どうやら、上手く説得はできたらしい。
もっと手こずるかと思ったけど、意外とあっさりすんだな。
普通なら、国王の直径である男子が王位を継ぐものだ。
しかし、我が国は公爵家の男子にも継承権が与えられる。
無論、その場合は本家の王女か王子を両親に持つ場合に限る。
つまり、俺の場合は先代国王の従兄弟である父親が公爵家当主。
そして本家から先代国王の妹であり、俺の母親でもある王女様が嫁いできたって感じだ。
故に、俺には王位継承権がある。
ちなみに、現国王は先代国王の実子である。
「以上が説明になります。いや、俺も良くわかってないけど。とりあえず、俺は王位継承権を持ってるってわけ。それだけわかっていれば、後のことは気にしないで良いです」
「アレク、さっきから誰に言ってるの?」
「なんでもない、少し整理がしたくてね。うちの王位とか王族とか複雑すぎるんだよ」
「はは、すまないねぇ。だが、気持ちはわかるよ」
俺の目の前にいる、飄々とした男性が国王陛下であるオラン様だ。
穏やかで理知的な瞳に、柔らかい雰囲気を持った気の良いおじさんって感じだ。
見た目もイケメンという訳でもないし、体型も膨よかで親しみが持てる。
無論……それが表向きの姿でしかないことは明白である。
じゃなきゃ、あの親父が一目置くわけがない。
「うんうん、そうですよね。ほんと、お互いに苦労します」
「いやはや、全くだよ」
「ちょ、ちょっと? まだ挨拶もしてないのに……」
「堅苦しいこと言うなよ」
「そうだよ、セレナ」
「も、もう! 知らないっ!」
そう言い、子供みたいにそっぽを向く。
そして、席を立って窓から外を眺めてる。
その姿は可愛らしくて新鮮だが、確かにふざけてばかりもいられないか。
「では、改めてまして……オラン様、ご無沙汰しております。本日は、お招きいただきありがとうございます」
「ああ、本当に久しぶりだ。こちらこそ、急にきてもらって悪かったね」
「いえいえ、俺も用事があったので。とりあえず、父上がご迷惑をおかけしました。なんでも、飲みに連れ回したとか……」
「ははっ、シグルド殿のことなら気にすることはないよ。私自身も堅苦しい日々なので、ああいったことは気晴らしになる。何より、彼がいれば護衛はいらないからね」
「そう言ってくれると助かります。羨ましいですよ、俺はアレに付き合うのがしんどくて」
「まあまあ、シグルド殿はお主のことが可愛くて仕方がないのだから」
うちの親父と国王陛下は、結構仲がいいらしい。
タイプは大分違うけど、二人共堅苦しいのは好きじゃないところが気があうのかも。
まあ、自分の父親の親友だからっていうのもあるだろうけど。
それに、噂では国王陛下が王位を継ぐのを親父が後押ししたとかしないとか。
「うげぇ……嫌ですね」
「ははっ! さて、それで本題だが……うちの娘を家に呼びたいとか?」
「ええ、そうですね。マリアが会いたがっているので」
「なるほど、マリア殿か……アイカ叔母様に似てきたそうだな」
「ええ、日に日に似てきますね。本人には、その自覚はないですが……見た目以外まで似なくてもいいのに」
マリアも母上と同じく、生まれつき身体が弱い。
どうやら、黒髪の女性はそういった傾向があるらしい。
故に貴重だし、大事に育てられてきたとか。
「そうしてあげたいのは山々だが、うちの娘とは婚約解消をした身だ。変な噂が立ったら、どうしてくれるのかな? うちの娘を欲しがる家は多いのだが?」
「お、お父様!」
「お前は黙ってなさい。これは、私とアレク君の話だ」
「っ……!」
そして、先程とは違う顔を見せる。
冷たい瞳に、一回り大きく見える威圧感……まあ、これくらいは予想の範囲内だ。
むしろ、好都合といったところかな。
「別にどうもしませんよ。最悪、俺が責任を取れば良いだけですから」
「ほう?」
「ア……アレク、それって……」
「いき遅れたら、セレナの相手は俺が見つけるだけです」
「……はっ?」
「……ははっ!」
すると、セレナが俺の両肩を掴んで揺らす!
相変わらずの馬鹿力であり、素晴らしいおっぱいである。
「ちょっと!? そこは俺が責任を取るでしょ!?」
「いやだよっ! 俺は王位を継ぐ気はないんだから!」
「セレナ、落ち着きなさい。元気なのは良いが、淑女たるものそれではいけないよ?」
「は、はぃ……むぅ」
見る見るうちに顔が真っ赤になり、ソファーに座り込む。
どうやら、父親の前では見せない顔らしい。
つまりは俺だけ……おいおい、何を喜んでいるだか。
「なるほど……王位を継ぐ気はないけど、うちの娘と今後も仲良くしたいということで良いかな?」
「はい、その認識で良いかと。どうせ、王太子が王位を継承するまではセレナも結婚できないでしょうし。相手によっては、刺激を与えることになりかねないので」
「まあ、それはそうだね」
「という訳で、その間は俺が預かるという形でどうですかね? 別に利用してもらっても構いませんし」
「ふむふむ……良いでしょう。匂わせておけば、変なのも寄ってこないかな」
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