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盛大な勘違い
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はぁ、親父のせいで酷い目にあった。
折角の休日なのに、もう疲れてしまった。
というか、まだ起きたばっかりなんですけど?
仕方ないので、まずは一緒に昼食ということになった。
「えへへ、みんなで食事なんて久しぶりですの」
「うむ、遅くなってすまんな。セバスよ、苦労をかけた」
「いえ、旦那様。私など大したことはしておりません。アレク様が、色々と頑張ってくれてましたよ」
「ふむ……そうなのか」
「そうそう、父上。最近の俺は頑張ってるんですよ?」
そういえば、記憶を取り戻してから父親に会うのは初めてだ。
当たり前の話だが、普段は父上と呼んでいるし、言葉遣いも丁寧にしてる。
流石に、それくらいの分別はあるし。
それにしても父親かぁ……前世では記憶もないし、今世では親孝行しないとかも。
「ふむ、先程セバスから聞いたが……どういった心境の変化だ?」
「別に大したことないよ。ただ、成人もしたしね。少しはマシになろうかなと。その……これでも、英雄シグルドの息子だし」
「ほう? ……覚悟はあるのか?」
「うん? 覚悟?」
「いや、良い……それで、婚約解消をされたとか。儂の方にも、すまないと手紙が来たぞ」
「あぁー……実は、よくわかってないんだよね。相手の父親から、手紙が届いたくらいで」
突然手紙が来て、うちの娘との婚約はなしということにと。
そういや、一回も挨拶に行ってないや。
週明けにでも、セレナに聞いてみるか。
「普段のお主の生活を見てたら無理もあるまい。まったく、あんな家柄も良くて出来たお嬢さんを……いや、そういうことか?」
「ん? 今度はどうしたの?」
「お主は、セレナ様のことをどうするつもりじゃ? それに、メルル殿のことも」
「別にどうもしないよ。二人共、これまで通りにやるだけかな」
「なるほど……ふむ、儂は食べたら出かける」
おいおい、どんなバケモノだよ。
俺は一刻も早くお昼寝したいってのに。
俺もマリアも母親似だし、本当に親子とは思えん。
「えっ? お休みもしないのですか?」
「ああ、マリア。何より、本来ならいの一番に国王陛下に謁見するべきだしのう」
「……行ってないんですの?」
「あっ、いや、あんな小僧より可愛い娘に……」
「食べ終わったなら早く行ってください!」
「う、うむっ! では行ってくる!」
マリアに尻を叩かれ、急いで部屋から出て行く。
父親の威厳がまるでなしである。
……うん? 俺にそっくりじゃん。
◇
……儂としたことが、自分の息子を見誤るとは。
王城へと走りながら、そんなことを考える。
「てっきり、ただ怠けたいだけかと思っていたわい。それが、いつのまにかいっぱしの顔になりおって」
男子三日会わざれば刮目してみよとは言え、あの剣の腕前の変化は異常だ。
なにせ、アレは短期間で成せる技ではない。
何年も前から特訓をしてないと無理である。
「となると、元々上手く隠していたということに……やれやれ、父親失格だわい。まあ、元々家にいる時間が少ないこともあるが……」
もしかしたら、アレクなりに考えて隠していたのかもしれん。
英雄シグルドという儂の名前は、この国では強すぎる。
それ故に、その息子であるアレクには生まれた頃から期待がされていた。
「儂の期待を背負わせてしまった面もあるか……悪いことをしてしまったわい。アレクなりに、気を使って生きてきたのかもしれん」
もしアレクが優秀であれば、王太子になってもおかしくなかった。
いや、ここだけの話……当初はそう言われていたか。
だからこそ、第一王女であるセレナ様が婚約者になったわけだしのう。
「そうなると、国が割れていたかもしれんなぁ。あやつは、それを恐れたのか」
容姿や性格も母親に似て、優しい子ではあった。
むしろ、マリアは性格は儂に似てるか。
「儂としては、あのボンクラが王位を継ぐことに反対じゃった。しかし、アレクがやる気になったなら話は別じゃな」
無論、アレクに無理強いをするつもりはない。
ただ……どう転んでもいいようにしておくかのう。
折角の休日なのに、もう疲れてしまった。
というか、まだ起きたばっかりなんですけど?
仕方ないので、まずは一緒に昼食ということになった。
「えへへ、みんなで食事なんて久しぶりですの」
「うむ、遅くなってすまんな。セバスよ、苦労をかけた」
「いえ、旦那様。私など大したことはしておりません。アレク様が、色々と頑張ってくれてましたよ」
「ふむ……そうなのか」
「そうそう、父上。最近の俺は頑張ってるんですよ?」
そういえば、記憶を取り戻してから父親に会うのは初めてだ。
当たり前の話だが、普段は父上と呼んでいるし、言葉遣いも丁寧にしてる。
流石に、それくらいの分別はあるし。
それにしても父親かぁ……前世では記憶もないし、今世では親孝行しないとかも。
「ふむ、先程セバスから聞いたが……どういった心境の変化だ?」
「別に大したことないよ。ただ、成人もしたしね。少しはマシになろうかなと。その……これでも、英雄シグルドの息子だし」
「ほう? ……覚悟はあるのか?」
「うん? 覚悟?」
「いや、良い……それで、婚約解消をされたとか。儂の方にも、すまないと手紙が来たぞ」
「あぁー……実は、よくわかってないんだよね。相手の父親から、手紙が届いたくらいで」
突然手紙が来て、うちの娘との婚約はなしということにと。
そういや、一回も挨拶に行ってないや。
週明けにでも、セレナに聞いてみるか。
「普段のお主の生活を見てたら無理もあるまい。まったく、あんな家柄も良くて出来たお嬢さんを……いや、そういうことか?」
「ん? 今度はどうしたの?」
「お主は、セレナ様のことをどうするつもりじゃ? それに、メルル殿のことも」
「別にどうもしないよ。二人共、これまで通りにやるだけかな」
「なるほど……ふむ、儂は食べたら出かける」
おいおい、どんなバケモノだよ。
俺は一刻も早くお昼寝したいってのに。
俺もマリアも母親似だし、本当に親子とは思えん。
「えっ? お休みもしないのですか?」
「ああ、マリア。何より、本来ならいの一番に国王陛下に謁見するべきだしのう」
「……行ってないんですの?」
「あっ、いや、あんな小僧より可愛い娘に……」
「食べ終わったなら早く行ってください!」
「う、うむっ! では行ってくる!」
マリアに尻を叩かれ、急いで部屋から出て行く。
父親の威厳がまるでなしである。
……うん? 俺にそっくりじゃん。
◇
……儂としたことが、自分の息子を見誤るとは。
王城へと走りながら、そんなことを考える。
「てっきり、ただ怠けたいだけかと思っていたわい。それが、いつのまにかいっぱしの顔になりおって」
男子三日会わざれば刮目してみよとは言え、あの剣の腕前の変化は異常だ。
なにせ、アレは短期間で成せる技ではない。
何年も前から特訓をしてないと無理である。
「となると、元々上手く隠していたということに……やれやれ、父親失格だわい。まあ、元々家にいる時間が少ないこともあるが……」
もしかしたら、アレクなりに考えて隠していたのかもしれん。
英雄シグルドという儂の名前は、この国では強すぎる。
それ故に、その息子であるアレクには生まれた頃から期待がされていた。
「儂の期待を背負わせてしまった面もあるか……悪いことをしてしまったわい。アレクなりに、気を使って生きてきたのかもしれん」
もしアレクが優秀であれば、王太子になってもおかしくなかった。
いや、ここだけの話……当初はそう言われていたか。
だからこそ、第一王女であるセレナ様が婚約者になったわけだしのう。
「そうなると、国が割れていたかもしれんなぁ。あやつは、それを恐れたのか」
容姿や性格も母親に似て、優しい子ではあった。
むしろ、マリアは性格は儂に似てるか。
「儂としては、あのボンクラが王位を継ぐことに反対じゃった。しかし、アレクがやる気になったなら話は別じゃな」
無論、アレクに無理強いをするつもりはない。
ただ……どう転んでもいいようにしておくかのう。
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