17 / 68
やらかす?
しおりを挟む
その後、仕方ないので更衣室に入り着替える。
当然、カエラが一緒に入ろうとしたので止めた。
「それにしても、何もみんな出ていかなくてもなぁ」
男子更衣室には何人かの生徒がいたが、俺を見るなり慌てて逃げていった。
いや、俺が嫌われてるとかいう話では…ないよね? 大丈夫だよね?
せっかく変わろうとしたんだから、普通の男友達とか欲しいんですけど。
「それは仕方ないかと」
「……ねえ? どうしているんだい?」
振り返ると、澄ました顔でカエラが立っていた。
「いえ、着替え終わったので」
「うん、それを知ってる時点でおかしいと思うんだけど」
「お気になさらないでください」
「いや、それは君が言うセリフじゃないよ!?」
「まあまあ、落ち着いて」
……だめだ、これは怒ったら負けな気がする。
ほんと、良い性格になったもんだ。
「はぁ……んで、どういう意味?」
「御主人様は公爵家嫡男にして王位継承権二位の方ですから」
「まあ、近づき難くはあるよね。でも、逃げ出すほどではなかったような……」
言い方はアレだけど、俺が何か言えば退学くらいにはできる。
だけど権力者として寄るには、王太子と敵対ということになり……。
だから、今までも人が近づいてこなかったんだけど。
「多分、ご主人様が変わったというのが広まったのでしょう。そのことで、皆が様子を見ているというか……下手に近づいて火傷するのを恐れているのかと」
「あぁー……俺が権力者として動こうとしてるとか?」
「それもなくはないですが、単純に動きが読めないから怖いのかと。こればっかりは、これからの行動で示すしかないですね」
「まじか……じゃあ、友達を作るには時間がかかるなぁ。俺としては権力が欲しいわけじゃないから、大胆な動きをするのも嫌だし……まあ、仕方ないか」
「……知らぬは本人ばかりですね」
「ん? なんて言った?」
「いえいえ~さあ、お二人が待ってますよ」
「んじゃ、そのためにも部活でもやってみますか」
他にも友達とか作って普通の学園生活を送りたかったけど、それで派閥を作ってるとか思われるのも嫌だし。
ひとまずは、地道にコツコツとやっていきますか。
準備を済ませて、外に出ると……さっきよりも人集りが出来ていた。
なるほど、これが様子を見てるってことか。
「アレク! 遅いわよっ!」
「アレク君、似合ってますねっ」
すると、テニスウェアに着替えた二人がやってくる。
全体的にすらっとしたメルルだが、その生足も脚線美で素晴らしい。
セレナの方はいい感じむっちりしるので、これまた素晴らしい。
うむ……前言撤回だ、テニスも良いかもしれん。
「ちょ、何見てるのよ?」
「あ、あのぅ? 変ですか?」
「いや、すまん。二人共、よく似合ってると思って」
何だかんだ言って、二人とも美少女だし。
というか、前世では関わることがなかった部類の……やめやめ!
みんなも己の黒歴史を思い出すのはやめようねっ!
「あ、ありがとぅ……な、なんか、素直に言われると照れるわね」
「えへへ、そうですね」
「別に俺は、思ったことしか言ってないが」
しかし、思ったことを言わない場合もある。
例えば……セレナが身をよじった時の谷間がすごいとか。
それをいえば、どうなるくらいはわかってるのです。
「わ、わかったから! それじゃあ、始めましょ!」
「は、はいっ!」
「まずは、どうするんだ?」
「アレクはルールくらいわかるでしょ?」
「まあ、そうだな」
アレクの記憶にはあまりないが、前世の俺の記憶にはばっちり入っている。
剣道場の隣がテニス部だったので、よく遊んでいたし。
「じゃあ、私とアレクでお手本を見せるわ。メルルは、それを見ておいて」
「わかりましたっ」
「カエラ、メルルのことを頼む。俺の言いたいことはわかるな?」
「はい、お任せを。ご主人様好みの女に仕上げます」
「何もわかってなくない? 誰がそんなこと言ったよ? 俺は、ルール説明をしてくれって意味で言ったんだが。見てるだけじゃ、わからないこともあるし」
「あら、紛らわしい言い方するからです」
「なに? 俺が悪いの?」
「ちょっと! イチャイチャしてないでやるわよっ!」
「お前も何処を見てんの!? ……はぁ、疲れた。とりあえず、やるとするか」
きりがないので、ひとまずセレナとは反対のコートに立つ。
このラケットの感じ……うん、懐かしいな。
結局、高校生の時の影響で大学のサークルでもやってたし。
……えっ? テニスサークルは女の子と遊んでるって?
いえいえ、そういうのには呼ばれてないので……やめやめ!
「それじゃあ……行くわよ!」
「よしきた!」
かなり早いスピードで来た球を反射的に打ち返す!
「……へっ?」
「ありゃ? ……入ってるな」
俺の打ち返した球は、セレナの位置とは逆方向のコートに入った。
多分、リターンエースってやつだ。
飲み会にも合コンにも呼ばれないから、すっかり上手くなってしまったんだよなぁ。
「な、な……あんた、ほとんど初心者だったわよね?」
「まあ、そうだな」
あくまでも、この世界ではだけど。
うん、嘘は言ってないはず。
「ま、まぐれよねっ! もう一度やるわよっ!」
「ああ、いいぞ」
「今度こそ……それっ!」
「よっと」
打ってきたサーブを再び、リターンエースで決める。
よし、体の感覚が掴めてきたぞ。
「お、おい? ……セレナ様は、女子とはいえ大会常連の方だぞ?」
「それを、いとも簡単に打ち返した……?」
「男子でも、中々取れないのに……」
「そ、そんな……私の玉が……」
静けさの中、男子のそんな声と、セレナの驚く声だけが響く。
あれ? なにやらまずいことをしたかもしれない……。
当然、カエラが一緒に入ろうとしたので止めた。
「それにしても、何もみんな出ていかなくてもなぁ」
男子更衣室には何人かの生徒がいたが、俺を見るなり慌てて逃げていった。
いや、俺が嫌われてるとかいう話では…ないよね? 大丈夫だよね?
せっかく変わろうとしたんだから、普通の男友達とか欲しいんですけど。
「それは仕方ないかと」
「……ねえ? どうしているんだい?」
振り返ると、澄ました顔でカエラが立っていた。
「いえ、着替え終わったので」
「うん、それを知ってる時点でおかしいと思うんだけど」
「お気になさらないでください」
「いや、それは君が言うセリフじゃないよ!?」
「まあまあ、落ち着いて」
……だめだ、これは怒ったら負けな気がする。
ほんと、良い性格になったもんだ。
「はぁ……んで、どういう意味?」
「御主人様は公爵家嫡男にして王位継承権二位の方ですから」
「まあ、近づき難くはあるよね。でも、逃げ出すほどではなかったような……」
言い方はアレだけど、俺が何か言えば退学くらいにはできる。
だけど権力者として寄るには、王太子と敵対ということになり……。
だから、今までも人が近づいてこなかったんだけど。
「多分、ご主人様が変わったというのが広まったのでしょう。そのことで、皆が様子を見ているというか……下手に近づいて火傷するのを恐れているのかと」
「あぁー……俺が権力者として動こうとしてるとか?」
「それもなくはないですが、単純に動きが読めないから怖いのかと。こればっかりは、これからの行動で示すしかないですね」
「まじか……じゃあ、友達を作るには時間がかかるなぁ。俺としては権力が欲しいわけじゃないから、大胆な動きをするのも嫌だし……まあ、仕方ないか」
「……知らぬは本人ばかりですね」
「ん? なんて言った?」
「いえいえ~さあ、お二人が待ってますよ」
「んじゃ、そのためにも部活でもやってみますか」
他にも友達とか作って普通の学園生活を送りたかったけど、それで派閥を作ってるとか思われるのも嫌だし。
ひとまずは、地道にコツコツとやっていきますか。
準備を済ませて、外に出ると……さっきよりも人集りが出来ていた。
なるほど、これが様子を見てるってことか。
「アレク! 遅いわよっ!」
「アレク君、似合ってますねっ」
すると、テニスウェアに着替えた二人がやってくる。
全体的にすらっとしたメルルだが、その生足も脚線美で素晴らしい。
セレナの方はいい感じむっちりしるので、これまた素晴らしい。
うむ……前言撤回だ、テニスも良いかもしれん。
「ちょ、何見てるのよ?」
「あ、あのぅ? 変ですか?」
「いや、すまん。二人共、よく似合ってると思って」
何だかんだ言って、二人とも美少女だし。
というか、前世では関わることがなかった部類の……やめやめ!
みんなも己の黒歴史を思い出すのはやめようねっ!
「あ、ありがとぅ……な、なんか、素直に言われると照れるわね」
「えへへ、そうですね」
「別に俺は、思ったことしか言ってないが」
しかし、思ったことを言わない場合もある。
例えば……セレナが身をよじった時の谷間がすごいとか。
それをいえば、どうなるくらいはわかってるのです。
「わ、わかったから! それじゃあ、始めましょ!」
「は、はいっ!」
「まずは、どうするんだ?」
「アレクはルールくらいわかるでしょ?」
「まあ、そうだな」
アレクの記憶にはあまりないが、前世の俺の記憶にはばっちり入っている。
剣道場の隣がテニス部だったので、よく遊んでいたし。
「じゃあ、私とアレクでお手本を見せるわ。メルルは、それを見ておいて」
「わかりましたっ」
「カエラ、メルルのことを頼む。俺の言いたいことはわかるな?」
「はい、お任せを。ご主人様好みの女に仕上げます」
「何もわかってなくない? 誰がそんなこと言ったよ? 俺は、ルール説明をしてくれって意味で言ったんだが。見てるだけじゃ、わからないこともあるし」
「あら、紛らわしい言い方するからです」
「なに? 俺が悪いの?」
「ちょっと! イチャイチャしてないでやるわよっ!」
「お前も何処を見てんの!? ……はぁ、疲れた。とりあえず、やるとするか」
きりがないので、ひとまずセレナとは反対のコートに立つ。
このラケットの感じ……うん、懐かしいな。
結局、高校生の時の影響で大学のサークルでもやってたし。
……えっ? テニスサークルは女の子と遊んでるって?
いえいえ、そういうのには呼ばれてないので……やめやめ!
「それじゃあ……行くわよ!」
「よしきた!」
かなり早いスピードで来た球を反射的に打ち返す!
「……へっ?」
「ありゃ? ……入ってるな」
俺の打ち返した球は、セレナの位置とは逆方向のコートに入った。
多分、リターンエースってやつだ。
飲み会にも合コンにも呼ばれないから、すっかり上手くなってしまったんだよなぁ。
「な、な……あんた、ほとんど初心者だったわよね?」
「まあ、そうだな」
あくまでも、この世界ではだけど。
うん、嘘は言ってないはず。
「ま、まぐれよねっ! もう一度やるわよっ!」
「ああ、いいぞ」
「今度こそ……それっ!」
「よっと」
打ってきたサーブを再び、リターンエースで決める。
よし、体の感覚が掴めてきたぞ。
「お、おい? ……セレナ様は、女子とはいえ大会常連の方だぞ?」
「それを、いとも簡単に打ち返した……?」
「男子でも、中々取れないのに……」
「そ、そんな……私の玉が……」
静けさの中、男子のそんな声と、セレナの驚く声だけが響く。
あれ? なにやらまずいことをしたかもしれない……。
551
お気に入りに追加
1,482
あなたにおすすめの小説
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺若葉
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう!〜公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ〜
西園寺若葉
ファンタジー
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる