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部活やアルバイト
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結局、お昼ご飯を食べた後も、俺は満腹からかうとうとしてしまった。
辛うじて居眠りは避けたが、午後の授業内容は全く覚えていない。
結局、今日は何しにきたのかわからん。
「どうしてこうなった!?」
「おっ、元気になったな?」
「放課後だけ元気になってもなぁ。俺は部活やバイトもしてないし」
どこの世界でも学生というのは変わらないらしい。
あるものは部活に励み、あるものはバイトをする。
というか、本当に日常生活に支障がない……変な話だが、考えても仕方ないか。
多分だが、種族と精霊術以外は変わり……いや、鉱石があるか。
「もったいない話だよなー」
「だって面倒だし。トールはこれから部活?」
「おう、今日もバニーちゃんと走ってくるぜ」
「相変わらず、馬が好きなこと」
トールの部活は乗馬部だ。
基本的に、前の世界にありそうな部活はほとんどある。
その他には、実際の武器を扱う部活がいくつかあったり。
あとは変わり種の部活があるくらいか。
ちなみに、俺は部活には入っていない……ダラダラしたかったから。
「ああ、好きだぜ。ったく、お前も誘ったのによ……今からでもやるか? どうやら、心境の変化があるみたいだが?」
「うーん……まあ、そうだね。一応、考えておくよ」
すると、隣で帰り支度をしていたメルルが視線を向けてくる。
「メルル、どうかした?」
「あ、あの! 僕も、部活に入った方がいいですか?」
「あぁー、その辺はどうなんだ?」
「そうだね……」
最近まで、人族は他種族との交流は断交していた。
お互いが、あまり良い感情を持っていなかったから。
交流が再開されたのも、今の国王陛下の代からだし。
何人かの獣人族が我が国にきたが、王都にある学園においてメルルは唯一の獣人族だ。
そして、その役目は人族の暮らしを知ることらしい。
「な、何かまずいですか?」
「いや、それ自体はいいと思う。ただ……悲しいことに、受け入れてくれるところがあるか」
「あっ……そ、そうですよね。僕、獣人ですもんね」
「まだみんな慣れてないからね。俺達は立場上、見たことあるから平気だけど」
「パーティー会場なんかでは、たまに獣人のお偉いさんが来たりするしな」
王族や高位貴族の子息なら、多分触れる機会はあるはず。
まあ……それと好きか嫌いは別問題だけど。
「じゃあ、やめた方が良いですか?」
「いや、入りたいなら良いと思う。ただ、急ぐ必要はないかなって。別にアルバイトとかでもいいし」
「アルバイト……お金を稼ぐってことですか?」
「うん、そういうこと。多分、人族を知るなら勉強になると思う」
「確かにそうですね……はい、少し考えてみます」
すると、他の生徒に挨拶を終えたセレナが近づいてきた。
「聞いてたわよ! なら、私と同じ部活に入ると良いわ! なんなら、アレクも入って良いわよ!?」
「入らないし。というか、声がでかい」
「むぅ……入ってくれたっていいじゃない……メルルはどう? 別に毎日じゃないし、アルバイトもできるわよ?」
「えっと、あの……」
「あんな陽キャラだらけのところに行けるか。ちなみに、こいつの部活はテニス部だよ。ラケットを持って、ボールを相手に打ち返す競技だね」
所属している人間は、間違いなくカースト上位勢。
ウェーイ系が集まる、陰キャラの敵だ。
おのれ……昔は卓球部と仲のいい陰キャラ寄りのスポーツだったのに!
剣道部だった俺らとも仲が良かったのに! いつのまにかお洒落スポーツになりおって!
「陽キャラ? なんのことよ?」
「あっ……明るい奴らのことだよ。俺みたいな暗くて地味な人間には合わない場所だ」
「いやいや、王位継承権第二位が地味とかないから。お前の黒髪黒目は、この世界で数人しかいないんだからな?」
「そうよ。というか……それだと、私と合わないってことにならない?」
「そうだが?」
「どういうことよ!?」
「揺らすなって!」
お前が俺を揺らすと、目の前でお前のおっぱいが揺れるんだよ!
おぉぉぉー! すげぇ~! ……じゃねえし!
「えへへ、でも楽しそうです。僕、身体を動かすのは好きだから」
「あら? なら、お試しでやってみる? アレク、あんたも付き合いなさいよ」
「えぇ~俺は用事あるから良いや」
心を入れ替えると決めた俺だが、それとこれとは話が別である。
ダラダラしたいのは、未だに変わっていないし。
あくまでも、周りから責められない程度にやることをやるだけだ。
「部活もアルバイトもないアンタに用なんかあるの? というか、トール以外に友達もいないのに?」
「ぐぬぬっ……あっ、そうだった! トールの乗馬部を見にいこうと——いないし!」
「あ、あの……トール君なら、今さっき教室から出て行きましたよ? なんか、さらば親友よとか言ってました」
あの裏切り者めぇぇ! ぼっちの俺を置いていきやがった!
「はい、決まりね。じゃあ、早速いくわよ。体力がないって言ってたし、ちょうど良い機会じゃないの」
「待て待て! 引っ張るなっ!」
「そもそも、アンタは世話役でしょ? メルルが見学するなら、ついてこないとダメじゃない」
「あぁー……それは確かに」
「ぼ、僕は別に、平気ですから。そりゃ……ついてきてくれたら嬉しいですけど」
「……わかったよ、ついていくよ。メルルのためじゃ仕方ない」
「わぁ……ありがとうございます!」
「むぅ……扱いに差があるわ」
「当たり前だろ。ほら、行くなら行こう」
はぁ……部活かぁ。
しかし、体力不足なのは確かだ。
とりあえず、やるだけやってみますか。
辛うじて居眠りは避けたが、午後の授業内容は全く覚えていない。
結局、今日は何しにきたのかわからん。
「どうしてこうなった!?」
「おっ、元気になったな?」
「放課後だけ元気になってもなぁ。俺は部活やバイトもしてないし」
どこの世界でも学生というのは変わらないらしい。
あるものは部活に励み、あるものはバイトをする。
というか、本当に日常生活に支障がない……変な話だが、考えても仕方ないか。
多分だが、種族と精霊術以外は変わり……いや、鉱石があるか。
「もったいない話だよなー」
「だって面倒だし。トールはこれから部活?」
「おう、今日もバニーちゃんと走ってくるぜ」
「相変わらず、馬が好きなこと」
トールの部活は乗馬部だ。
基本的に、前の世界にありそうな部活はほとんどある。
その他には、実際の武器を扱う部活がいくつかあったり。
あとは変わり種の部活があるくらいか。
ちなみに、俺は部活には入っていない……ダラダラしたかったから。
「ああ、好きだぜ。ったく、お前も誘ったのによ……今からでもやるか? どうやら、心境の変化があるみたいだが?」
「うーん……まあ、そうだね。一応、考えておくよ」
すると、隣で帰り支度をしていたメルルが視線を向けてくる。
「メルル、どうかした?」
「あ、あの! 僕も、部活に入った方がいいですか?」
「あぁー、その辺はどうなんだ?」
「そうだね……」
最近まで、人族は他種族との交流は断交していた。
お互いが、あまり良い感情を持っていなかったから。
交流が再開されたのも、今の国王陛下の代からだし。
何人かの獣人族が我が国にきたが、王都にある学園においてメルルは唯一の獣人族だ。
そして、その役目は人族の暮らしを知ることらしい。
「な、何かまずいですか?」
「いや、それ自体はいいと思う。ただ……悲しいことに、受け入れてくれるところがあるか」
「あっ……そ、そうですよね。僕、獣人ですもんね」
「まだみんな慣れてないからね。俺達は立場上、見たことあるから平気だけど」
「パーティー会場なんかでは、たまに獣人のお偉いさんが来たりするしな」
王族や高位貴族の子息なら、多分触れる機会はあるはず。
まあ……それと好きか嫌いは別問題だけど。
「じゃあ、やめた方が良いですか?」
「いや、入りたいなら良いと思う。ただ、急ぐ必要はないかなって。別にアルバイトとかでもいいし」
「アルバイト……お金を稼ぐってことですか?」
「うん、そういうこと。多分、人族を知るなら勉強になると思う」
「確かにそうですね……はい、少し考えてみます」
すると、他の生徒に挨拶を終えたセレナが近づいてきた。
「聞いてたわよ! なら、私と同じ部活に入ると良いわ! なんなら、アレクも入って良いわよ!?」
「入らないし。というか、声がでかい」
「むぅ……入ってくれたっていいじゃない……メルルはどう? 別に毎日じゃないし、アルバイトもできるわよ?」
「えっと、あの……」
「あんな陽キャラだらけのところに行けるか。ちなみに、こいつの部活はテニス部だよ。ラケットを持って、ボールを相手に打ち返す競技だね」
所属している人間は、間違いなくカースト上位勢。
ウェーイ系が集まる、陰キャラの敵だ。
おのれ……昔は卓球部と仲のいい陰キャラ寄りのスポーツだったのに!
剣道部だった俺らとも仲が良かったのに! いつのまにかお洒落スポーツになりおって!
「陽キャラ? なんのことよ?」
「あっ……明るい奴らのことだよ。俺みたいな暗くて地味な人間には合わない場所だ」
「いやいや、王位継承権第二位が地味とかないから。お前の黒髪黒目は、この世界で数人しかいないんだからな?」
「そうよ。というか……それだと、私と合わないってことにならない?」
「そうだが?」
「どういうことよ!?」
「揺らすなって!」
お前が俺を揺らすと、目の前でお前のおっぱいが揺れるんだよ!
おぉぉぉー! すげぇ~! ……じゃねえし!
「えへへ、でも楽しそうです。僕、身体を動かすのは好きだから」
「あら? なら、お試しでやってみる? アレク、あんたも付き合いなさいよ」
「えぇ~俺は用事あるから良いや」
心を入れ替えると決めた俺だが、それとこれとは話が別である。
ダラダラしたいのは、未だに変わっていないし。
あくまでも、周りから責められない程度にやることをやるだけだ。
「部活もアルバイトもないアンタに用なんかあるの? というか、トール以外に友達もいないのに?」
「ぐぬぬっ……あっ、そうだった! トールの乗馬部を見にいこうと——いないし!」
「あ、あの……トール君なら、今さっき教室から出て行きましたよ? なんか、さらば親友よとか言ってました」
あの裏切り者めぇぇ! ぼっちの俺を置いていきやがった!
「はい、決まりね。じゃあ、早速いくわよ。体力がないって言ってたし、ちょうど良い機会じゃないの」
「待て待て! 引っ張るなっ!」
「そもそも、アンタは世話役でしょ? メルルが見学するなら、ついてこないとダメじゃない」
「あぁー……それは確かに」
「ぼ、僕は別に、平気ですから。そりゃ……ついてきてくれたら嬉しいですけど」
「……わかったよ、ついていくよ。メルルのためじゃ仕方ない」
「わぁ……ありがとうございます!」
「むぅ……扱いに差があるわ」
「当たり前だろ。ほら、行くなら行こう」
はぁ……部活かぁ。
しかし、体力不足なのは確かだ。
とりあえず、やるだけやってみますか。
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