3 / 68
今の家族
しおりを挟む
ドライヤーで髪を乾かし、改めて鏡を見てみる。
そこには黒髪黒目の、少し気だるげそうな美少年がいた。
身長170くらいで、細身の体型をしている。
「我ながら美少年だな……やべぇ、腹も出てないし違和感しかない。まあ、容姿も日本人に近いし、黒髪なのは助かったけど」
確か初代国王は異国から来たらしく、黒髪黒目だったとか。
今では血は薄れ、黒髪黒目はこの国において珍しい。
王家の者が、必ずしも黒髪というわけではないし。
故に、黒髪の人は特別視されたりする。
俺の場合は、先祖返りってやつだ。
たまに市政に生まれたりするけど、その場合は国が引き取ることになっている。
「それにしてもドライヤーかぁ……魔法もないし、あんまり異世界っぽくない。いや、記憶を思い出したから現代に近いのは助かるか」
この世界には精霊術や気といった現象はあるが、よく小説で見ていた魔法というものはない。
それに、精霊術を使えるのはエルフ族だけだ。
人族の国は、俺の知ってる現代に近い生活をしている。
普通に電気やガスに水道はあるし、少しは娯楽施設なんかもある。
「流石にゲーム機やスマホとかはないけど。まあ、贅沢は言えないね。とりあえず、日本人としての記憶を取り戻したから、その辺はめちゃくちゃありがたい」
他の種族は原始的な生活をしているらしいが、俺は人族に生まれて良かった。
とりあえず言えることは、そこまで日本人として暮らしてきた日々と変わりはなさそうだ。
「違うのは、人族以外の種族がいることか」
エルフ族、獣人族、竜人族、人族の四種類。
それぞれ国や領土を持ち、全く違う生活をしているとか。
そのために、色々と問題も多いらしい。
「……まあ、良いや。おいおい、記憶を擦り合わせていくか」
「本当に大丈夫ですか? さっきからブツブツ言ってますけど」
振り返ると、そこにはカエラがいた。
今更ながら、その姿をまじまじと眺める。
身長170に、足が長く見えるすらっとした体型……よくあるぺったんこタイプではない、ちょうど良いサイズ感のおっぱい。
見た目はキリッとした美女タイプなので、メイド服姿とのギャップが良い。
「……可愛いな」
「……ふぇ?」
「あれ? 声に出てた? まあ、良いや」
「ど、ど、どうしたんですか!? 本当に大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だって!」
あんまり近づかないでぇぇ! こちとら、女子に耐性がないんだから!
可愛いし、良い匂いするし……前の俺は、よくも平静でいられたもんだ。
「今まで、そんなこと言ったことなかったのに……は、鼻血出そうです」
「出すなし。というか、腹減ったから朝ご飯食べようよ」
「私にします?」
「しないよ!」
「あら、残念です。せっかく、その気になったかと思ったのに」
「へいへい。ほら、ささっと行こう」
カエラを伴い、俺は部屋のドアを開けて、食事をとる部屋に向かう。
すると、その部屋の中で妹であるマリアと目が合う。
俺と同じく黒髪黒目で、烏の濡れ羽色の長い髪はとても綺麗だ。
身長は小さく体も細いので、まるでお人形さんみたいに可愛らしい。
年齢は十三歳で、中等部に通っているんだっけ。
「……じ、事件ですの」
「へっ?」
「お、お兄様が、ご自分で起きて……いつも二度寝してお昼まで寝てるのに。しかも、着替えてらっしゃいますわ! セバス! これは夢かしら!?」
「はい、お嬢様。きっと夢でございましょう」
セバスは、この屋敷を取り仕切る執事長だ。
ここにはいない父上に代わって、幼い頃から俺達の面倒を見ている。
故に、俺達は頭が上がらない。
「いやいや、待て待て。マリアはともかく、セバスは酷くない?」
「おや、夢ではないと……お嬢様、事件ですね」
「やっぱり、そう思いますよねー」
三人が『うんうん』と頷きあっている。
使用人の態度とは思えないが、これがうちの家族の日常だ。
母親はマリアを生んですぐに亡くなっているし、父親は忙しくて中々帰ってこない。
他にもメイドや執事はいるが、基本的に屋敷で接するのはこの三人が多い。
「はいはい、俺が悪かったよ。カエラにも言ったけど、成人したし少しはね」
「まあ! お兄様が……お父様にお知らせを!」
「だ、旦那様に手紙を書かなくては!」
「良いから! ほら、お腹減ったから食べよ」
はぁ……以前の俺は、どれだけグータラしてたんだか。
周りの反応を見れば、一目瞭然である。
……これ、どこに行っても言われるんじゃね?
そこには黒髪黒目の、少し気だるげそうな美少年がいた。
身長170くらいで、細身の体型をしている。
「我ながら美少年だな……やべぇ、腹も出てないし違和感しかない。まあ、容姿も日本人に近いし、黒髪なのは助かったけど」
確か初代国王は異国から来たらしく、黒髪黒目だったとか。
今では血は薄れ、黒髪黒目はこの国において珍しい。
王家の者が、必ずしも黒髪というわけではないし。
故に、黒髪の人は特別視されたりする。
俺の場合は、先祖返りってやつだ。
たまに市政に生まれたりするけど、その場合は国が引き取ることになっている。
「それにしてもドライヤーかぁ……魔法もないし、あんまり異世界っぽくない。いや、記憶を思い出したから現代に近いのは助かるか」
この世界には精霊術や気といった現象はあるが、よく小説で見ていた魔法というものはない。
それに、精霊術を使えるのはエルフ族だけだ。
人族の国は、俺の知ってる現代に近い生活をしている。
普通に電気やガスに水道はあるし、少しは娯楽施設なんかもある。
「流石にゲーム機やスマホとかはないけど。まあ、贅沢は言えないね。とりあえず、日本人としての記憶を取り戻したから、その辺はめちゃくちゃありがたい」
他の種族は原始的な生活をしているらしいが、俺は人族に生まれて良かった。
とりあえず言えることは、そこまで日本人として暮らしてきた日々と変わりはなさそうだ。
「違うのは、人族以外の種族がいることか」
エルフ族、獣人族、竜人族、人族の四種類。
それぞれ国や領土を持ち、全く違う生活をしているとか。
そのために、色々と問題も多いらしい。
「……まあ、良いや。おいおい、記憶を擦り合わせていくか」
「本当に大丈夫ですか? さっきからブツブツ言ってますけど」
振り返ると、そこにはカエラがいた。
今更ながら、その姿をまじまじと眺める。
身長170に、足が長く見えるすらっとした体型……よくあるぺったんこタイプではない、ちょうど良いサイズ感のおっぱい。
見た目はキリッとした美女タイプなので、メイド服姿とのギャップが良い。
「……可愛いな」
「……ふぇ?」
「あれ? 声に出てた? まあ、良いや」
「ど、ど、どうしたんですか!? 本当に大丈夫ですか!?」
「だ、大丈夫だって!」
あんまり近づかないでぇぇ! こちとら、女子に耐性がないんだから!
可愛いし、良い匂いするし……前の俺は、よくも平静でいられたもんだ。
「今まで、そんなこと言ったことなかったのに……は、鼻血出そうです」
「出すなし。というか、腹減ったから朝ご飯食べようよ」
「私にします?」
「しないよ!」
「あら、残念です。せっかく、その気になったかと思ったのに」
「へいへい。ほら、ささっと行こう」
カエラを伴い、俺は部屋のドアを開けて、食事をとる部屋に向かう。
すると、その部屋の中で妹であるマリアと目が合う。
俺と同じく黒髪黒目で、烏の濡れ羽色の長い髪はとても綺麗だ。
身長は小さく体も細いので、まるでお人形さんみたいに可愛らしい。
年齢は十三歳で、中等部に通っているんだっけ。
「……じ、事件ですの」
「へっ?」
「お、お兄様が、ご自分で起きて……いつも二度寝してお昼まで寝てるのに。しかも、着替えてらっしゃいますわ! セバス! これは夢かしら!?」
「はい、お嬢様。きっと夢でございましょう」
セバスは、この屋敷を取り仕切る執事長だ。
ここにはいない父上に代わって、幼い頃から俺達の面倒を見ている。
故に、俺達は頭が上がらない。
「いやいや、待て待て。マリアはともかく、セバスは酷くない?」
「おや、夢ではないと……お嬢様、事件ですね」
「やっぱり、そう思いますよねー」
三人が『うんうん』と頷きあっている。
使用人の態度とは思えないが、これがうちの家族の日常だ。
母親はマリアを生んですぐに亡くなっているし、父親は忙しくて中々帰ってこない。
他にもメイドや執事はいるが、基本的に屋敷で接するのはこの三人が多い。
「はいはい、俺が悪かったよ。カエラにも言ったけど、成人したし少しはね」
「まあ! お兄様が……お父様にお知らせを!」
「だ、旦那様に手紙を書かなくては!」
「良いから! ほら、お腹減ったから食べよ」
はぁ……以前の俺は、どれだけグータラしてたんだか。
周りの反応を見れば、一目瞭然である。
……これ、どこに行っても言われるんじゃね?
854
お気に入りに追加
1,489
あなたにおすすめの小説
悪役貴族の四男に転生した俺は、怠惰で自由な生活がしたいので、自由気ままな冒険者生活(スローライフ)を始めたかった。
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
俺は何もしてないのに兄達のせいで悪役貴族扱いされているんだが……
アーノルドは名門貴族クローリー家の四男に転生した。家の掲げる独立独行の家訓のため、剣技に魔術果ては鍛冶師の技術を身に着けた。
そして15歳となった現在。アーノルドは、魔剣士を育成する教育機関に入学するのだが、親戚や上の兄達のせいで悪役扱いをされ、付いた渾名は【悪役公子】。
実家ではやりたくもない【付与魔術】をやらされ、学園に通っていても心の無い言葉を投げかけられる日々に嫌気がさした俺は、自由を求めて冒険者になる事にした。
剣術ではなく刀を打ち刀を使う彼は、憧れの自由と、美味いメシとスローライフを求めて、時に戦い。時にメシを食らい、時に剣を打つ。
アーノルドの第二の人生が幕を開ける。しかし、同級生で仲の悪いメイザース家の娘ミナに学園での態度が演技だと知られてしまい。アーノルドの理想の生活は、ハチャメチャなものになって行く。
異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい
増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。
目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた
3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ
いくらなんでもこれはおかしいだろ!
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
嫌われ者の悪役令息に転生したのに、なぜか周りが放っておいてくれない
AteRa
ファンタジー
エロゲの太ったかませ役に転生した。
かませ役――クラウスには処刑される未来が待っている。
俺は死にたくないので、痩せて死亡フラグを回避する。
*書籍化に際してタイトルを変更いたしました!
フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
妾の子だった転生勇者~魔力ゼロだと冷遇され悪役貴族の兄弟から虐められたので前世の知識を活かして努力していたら、回復魔術がぶっ壊れ性能になった
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
◆2024/05/31 HOTランキングで2位 ファンタジーランキング4位になりました! 第四回ファンタジーカップで21位になりました。皆様の応援のおかげです!ありがとうございます!!
『公爵の子供なのに魔力なし』
『正妻や兄弟姉妹からも虐められる出来損ない』
『公爵になれない無能』
公爵と平民の間に生まれた主人公は、魔力がゼロだからという理由で無能と呼ばれ冷遇される。
だが実は子供の中身は転生者それもこの世界を救った勇者であり、自分と母親の身を守るために、主人公は魔法と剣術を極めることに。
『魔力ゼロのハズなのになぜ魔法を!?』
『ただの剣で魔法を斬っただと!?』
『どうやってあの年齢であの強さを手に入れたんだ……?』
『あいつを無能と呼んだ奴の目は節穴か?』
やがて周囲を畏怖させるほどの貴公子として成長していく……元勇者の物語。
裏庭にダンジョン出来たら借金一億❗❓病気の妹を治すためダンジョンに潜る事にしたパッシブスキル【禍転じて福と為す】のせいでハードモードなんだが
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
もはや現代のゴールドラッシュ、世界中に現れたダンジョンから持ち帰られた品により、これまでの常識は一変した。
ダンジョンから与えられる新たな能力『ステータス』により人類は新たな可能性がうまれる。
そのため優遇されたステータスを持つ一部の探索者は
羨望の眼差しを受ける事となる……
そんな世界でどこにでも良そうな男子高校生、加藤光太郎は祖父の悲鳴で目が覚めた。確認すると裏庭にダンジョンが出現していた。
光太郎は、ダンジョンに入る事を猛反対されるが、病気の妹を癒す薬を取りにいくため、探索者となる事を決意する。
しかし、光太郎が手にしたスキルは、常時発動型のデメリット付きのスキル【禍転じて福と為す】だった。
効果は、全てのモンスターが強化され、障碍と呼ばれるボスモンスターが出現する代わりに、ドロップアイテムや経験値が向上し、『ステータス』の上限を突破させ、追加『ステータス』幸運を表示するというものだった。
「ソロ冒険者確定かよ❗❓」
果たして光太郎は、一人だけヘルモードなダンジョンを生き抜いて妹の病を癒す薬を手に入れられるのか!?
※パーティーメンバーやダンジョン内に同行する女の子が登場するのは第一章中盤37話からの本格登場です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる