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1巻
1-3
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◆ ◆ ◆
執務室の椅子に腰かけながら私は、自分の選択が正しかったのか自問していた。
「……ふむ、あれでよかったのか」
第二王子であるクレスを追放することにしてしまったが。
自分で提案したとはいえ、まさか王太子や周りの貴族達まで賛成するとは思っていなかった。
護衛も置いて行ってしまったが、無事に着いただろうか?
「アレックスの兄貴、邪魔するぜ」
私が思案を巡らせていると、一人の男が入室してきた。
男の名前は、オルランド・ティルナグ。前王の弟が王室から離れて開いたティルナグ公爵家現当主。私にとっては従弟にあたり、可愛い弟のような存在だ。彼には軍事の才能があり、今は国内外の対抗する勢力への対応を任せている。
「オルランドか。クレスは旅立ってしまったよ。お主の言う通りにしたが、これでよかったのか?」
クレスのことについては、王太子や貴族達からはいい加減、どうにかしてくれとずっと言われていた。
しかし追放する決め手となったのは、従弟であるオルランドの進言だ。
「ああ、いいと思うぜ。兄貴はクレスに甘すぎだ。あれ以上いると、いろいろなところから反発が起きるだろうよ。王太子であるロナードもいい気がしないだろう。今回、兄貴が決めたことで皆の溜飲が下がったと思うぜ」
「ふむ、私がクレスに甘いのは確かだ。唯一惚れた女性、アメリアの忘れ形見であるしな」
「だから今は亡き第一王妃や、王位を継承する王太子が不安に思ったんだろうが」
「ぐぬぬ……すまぬ」
そう、それもこれも私の不徳の致すところだ。
クレスと他の兄弟の関係が良好ではないことも。
アメリアそっくりなクレスをどうしていいか分からず、結局甘やかして放置してしまったことも。
あの子の顔を見ると、辛くなってしまう情けない自分がいる。
「まあ、兄貴はよくやってるし、それくらいは仕方がないだろうよ。親父達を含む王族達が流行り病で亡くなって、若いうちから王位に就いてすぐに子供を作ることを要求されて大変だったしな。兄貴以外に残っていたのは、まだ十歳の俺だけだったし」
「本当なら、お主の方が国王に向いていたに違いない。私は力もないし威厳もないからな。お主がもう少し早く生まれていたら……」
「俺はそういう柄じゃない、戦っている方が性に合ってるよ。兄貴には国のことをどうにかしてもらわないとな」
「分かっておる。王太子も婚約したし、これで一安心だ。少しずつ、この国を立て直していこう。その間すまないが、国境の守りは引き続きお主に任せたい」
我が国の問題は多い。
流行り病や食料難、そして暑さによる人口の減少。
山に囲まれた資源や食料の乏しい東の隣国、レナス帝国との関係。
南に位置するドワーフの王国との関係。
国内の獣人に対する扱いや意識。
我々と絶縁した、エルフ族との関係。
「ったく、人族で争ってる場合じゃないっての。帝国の連中は、何度言っても理解しねえ。うちだって、分け与えるような余裕はないってことを」
「ふむ、帝国からしたら我が国が豊かに見えるのだろう。使者を呼んで食料不足だと伝えたが、どこかに隠していると言って信じてもらえなかった」
「結局、人は見たいものしか見ようとしないからな。もっと、分かりやすいものを用意するしかあるまい。それに、あいつらにはうちが貧しいとか関係ない。あっちからすれば、自国の命運がかかってるんだ」
「うむ、それもそうだな。しかし、我々とて国民を守らねばならん……きちんとできていないのが歯がゆいが」
「……それに関しては俺も同じだ。なんだかんだ言って、俺は戦うしか能のない男だ」
国を豊かにし、国民が飢えで苦しむことのないようにしたいと思いつつも、なかなか打開策が見つからない。
食料は年々厳しさを増す暑さによって減っていく。
そうなると戦える者も減ってきて、食料である魔獣を倒せる者も減ってくる。
魔物が増えると、畑が荒らされまた食料の供給が少なくなる。
「何か、一つでも突破口が見つかれば……」
「そのためにクレスを送ったんだろ?」
「まあ、その通りだが……確かに、いい加減辺境をどうにかしないといけない。しかし、クレスにできるだろうか?」
「そういうことさ。まあ、兄貴に代わってクレスの面倒は見てきたし……確かに能力は低いが、優しい子だ。そして、人を惹きつける何かがある。なんだかんだで、面白いことになる気がするぜ」
「確かに、あの子は優しい。偉ぶった姿は見たことないし、獣人であるクオンを最初から奴隷扱いしなかった。しかし、あの厳しい土地で平気だろうか?」
「クオンは俺が育てた弟子だ。たとえどんな環境だろうと、クレスを守り抜くだろうよ」
クオンが大きくなってから分かったが、彼女は黒狼族という最強の獣人の血を引いている。
その才能を、我が国最強の剣士オルランドが育て上げた。
まだ若いとはいえ、そこらの魔物には負けないのは確かだろう。
「ふむ、それはそうだな。ひとまず今は、目の前の問題を片付けていくか」
「ああ、それがいいぜ。安心しな、魔物も落ち着く時期だ。少ししたら、俺が様子を見に行ってくる」
「すまんがよろしく頼む」
「おうよ、兄貴もほどほどにな。それに、辺境をまとめている領主だって無能ではないだろう?」
「気は弱いが、民の気持ちが分かる者だったと記憶している。あの地を任せてしまって申し訳ないと思っている」
「なら、クレスを任せても平気そうだな。領主となるあいつの補助をしてくれるだろうよ。クク、あいつの驚く顔が目に浮かぶぜ」
「うむ、その辺りは心配しておらん」
……クレスよ、不甲斐ない父ですまない。
事情がどうであれ、追放という形で辛い土地に追いやってしまった。
元気でやってくれればいいのだが……
◇ ◆ ◇
その後、途中にある村を経由しつつ、旅を続けていく俺とクオン。
次第に村の数は減ってきて、気温が段々と上がってくる。
そして俺達が王都を出て一週間後……ようやく、目的地であるナバールの領都に到着する。
「へっぷし!」
「平気ですか? 魔法が使えるからって冷やしすぎたのでは?」
俺は今、氷魔法を使い、体の周りに冷気をまとわせている。
俺のくしゃみを聞いて、クオンが心配そうに尋ねてきた。
「誰かが噂してるのかも。うーん、確かにやりすぎはよくないね……いやー、それにしても暑い」
「ほんとですね。なんだかんだで主人殿の魔法がなかったら、かなりきつかったかと。川もないので、水魔法と氷魔法には助けられました」
「いやいや、それはお互い様だよ。クオンの剣の腕と五感の鋭さがなかったら、魔物や魔獣にやられてたし」
ここに来るまでは結構大変だった。
ここら一帯は、温暖化の影響から十年以上も放置された場所だ。
水が枯れ、作物が育たなくなってしまっている。
討伐する人が減り、魔物や魔獣が増えた。
クオンがいなければ、とてもじゃないが到着できなかっただろう。
「それにしても、寂れてますね。街の体をなしてないです。あちこちの壁もボロボロになってます」
「まあ、無理もないさ。通称、見捨てられた地って言われるくらいだ」
賢い者や動ける者は、まだ涼しくて緑がある東の方に移り住んだ。
ここに残っているのは自ら望んだ者か、動けなかった者達だろう。
父上だって助けたかっただろうが、隣国との争いとかでこの辺境を顧みる暇もなかったし。
「原因は気温の上昇と、それにともなう水不足や食料難ですね」
「そうそう。昔は緑が豊かな土地だったらしいんだけど、次第に資源がなくなって廃れていったとか」
「この暑さでは、最悪死人が出ますしね」
「だからここから別の土地へ移り住む人が増え、こうして寂れちゃったってわけ……おっ、誰か来たね」
門の向こうから、槍を構えた兵士二人がやってくる。
一人は若くて新人っぽい青年で、もう一人はきちんと鎧を着た男性だ。
「だ、誰だ!?」
「ま、待てっ! 立派な服を着ている……」
新人が慌てた様子で話しかけてきたが、鎧の方が止める。
「初めまして、俺の名前はクレス・シュバルツといいます。ここの責任者の方に会いたいんだけど……話は伝わってないよね?」
「ほ、本当に来た? この辺境の地に王族の方が……」
「し、知らせは来ております! すぐに領主の館にご案内いたします!」
「うん、よろしくね」
若い兵士が先に走って戻って行ったので、俺達はもう一人の男性のあとをついて行く。
街の中は活気がなく、生気のない人々の視線が突き刺さる。
この顔を俺はよく知ってる……前世の俺にそっくりだ。
転生前、鏡を見ると、いつもこんな生気のない顔をしていた。
「皆、元気がありませんね」
「うん、これは思った以上だ。王都から離れているから仕方がないとはいえ……それに、父上には辺境を顧みる余裕もなかっただろうね」
「そうですね……敵国との戦いや魔物達との戦いもありますから」
「あとは、中央の大臣は実際にこの状況を目にしてないから実感がないのかもね」
かといって行きに一週間もかかる道を、国王が直に見るわけにはいかないし。傲慢な貴族達が、こんなところに来るわけないし、まともな貴族は国を動かすのに必死だし……うん、詰んでるね。
「なるほど、確かにそうかもしれないです」
「情報伝達をしっかりしないとだめだね。中継地点を確保しつつ、もっと早く移動できる方法を見つけて情報を持っていく優秀な人材を育てることから始めよう」
「……いつの間に、そんな勉強を? 政治についての授業はずっとサボっていたのに」
「はは……これは発想というか、先人達の知恵ってやつさ」
そんな会話をしていると、街にある周りの平屋に比べて、少し大きな古ぼけた建物に到着する。
二階建ての建物で、敷地面積も大きい……まるでお金持ちの別荘のようだ。
「さあ、ここが領主の館です」
「案内をありがとね」
俺がお礼を言うと、鎧の男は恐縮していた。
「い、いえ……」
「あっ、誰か出てきますね」
クオンがそう言ったので家の方に目を向けると、扉が開き、先ほどの若い兵士と、四十代くらいの気弱そうな男性がやってくる。
身長はクオンと同じくらいで、ロマンスグレーをオールバックにしていた。
その人は俺に近づくなり、土下座をしてきた!
「いらっしゃいませ! クレス殿下!」
「ちょっ!? 土下座はやめてぇぇ! ねっ!? お願い!」
自分の前世でやってたスライディング土下座を思い出しちゃうから!
見てるだけで心が痛くなっちゃうよっ!
俺は膝を折り、慌てて目線を合わせる。
「な、なんと……私のような者に優しくしてくれるとは」
「いや、普通だから。それで、あなたが領主さんかな?」
「はっ、国王陛下よりこの地を預かっているマイル子爵と申します」
子爵っていうと、上から四番目の爵位か。
我が国での爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番だった。
「マイルさんね。知ってると思うけど、俺の名前はクレス・シュバルツ。こっちは従者のクオンだ。ちなみに、奴隷ではないからよろしく」
「奴隷ではなく従者であると? ……よかった、この方なら安心して任せられます!」
マイルさんはホッとした表情を浮かべるが、俺にはなんのことだか分からないので質問する。
「ん? なんの話?」
「これより私は領主の座をお譲りいたします」
「……はい? どういうこと?」
「その……国王陛下からの手紙には、領主としてクレス殿下を送るので領主にふさわしいか判断をしてくれと書かれていました」
「ホワッツ?」
なんで、俺が領主に? そんな立場では、のんびりと過ごす時間が。
「手紙には最終的な判断は私に任せるとも書かれていました。今、獣人を奴隷ではなく従者として扱うとおっしゃられました。その精神に私は感服いたしました。クレス様、あなたであればこの地を任せても大丈夫でしょう。ぜひ、お願いします」
……どうやら、のんびりと過ごすというわけにはいかないみたいです。
でも、考えようによってはいいことかも。
これで、俺が好きなように過ごせる場所を作れるってことだ。
疑問はたくさんあるけど、このままでは暑くてかなわないので、ひとまず陽射しを防ぐため、館の中に入る。
外の見た目は少し古ぼけていたが、内装はそこそこ綺麗だ。
玄関脇はラウンジになっていて、誰でも自由に使えるようだ。
玄関のすぐ側にある螺旋階段を上っていく。
パッと見、一階は食堂や会議室、応接室があるようだ。二階に上るとそこは住居で部屋がいくつかあった。
「そういえば、あまり使用人を見かけないね?」
「も、申し訳ありません。大勢の人を雇う余裕もなくて……メイドや調理人はいますが、最悪屋敷の掃除なども私がやってる始末でして」
「あっ、そうなんだ。いやいや、仕方ないよ。ただ国からの物資やお金はどうしたの? 父上なら、放置ということはないと思うけど」
「はい、定期的に送られてきます。しかしおそらく、中抜きされていて、手元には少ししか残らず……あとは、住民達に配ったりするとすぐになくなってしまいます。陛下への訴えも、途中で握り潰されているようでして……」
「……あぁ~そういうことね」
物資やお金がここに届く前に、中継地点の人達や馬鹿な貴族達が減らしたりするのか。
貴族達はともかく、中継地点の貧しい村々を責めることはできない。
彼らだって、生きるのに必死だろうから。
「あっ! 決して足りないという苦情では……」
「分かってるから大丈夫だよ。それはこちらの責任だし。というか、もっと気楽にしていいからね」
「ありがとうございます! ですが、あなた様は第二王子ですから」
……どうやら、この遠い辺境までは俺のだめさは轟いてないのかな?
のんびりしすぎて追放された王子じゃなく普通の王子が来たって感覚なのかもしれない。
「あんまり堅苦しいのは好きじゃないんだ」
俺が改めて気楽に接するよう伝えると、クオンが口を挟んできた。
「主人殿はちゃらんぽらんですからね」
「ちゃらんぽらんなんて言わないでよ」
「でしたら、しっかり振る舞ってくれないと」
「ぐぬぬ……」
「なるほど……やはりよき方のようだ」
何をどう思ったかは分からないが、どうやらマイルさんの肩の力が抜けたらしい。
そして、階段を上り切って一際目立つ扉に入る。
その部屋の奥には執務用と見える椅子と机があり、手前にはソファーとテーブルが置いてあった。
「それで、俺が領主ってどういうこと?」
「私がいただいたお手紙にはそのように……こちらになります」
「ありがとう、どれどれ……うげぇ、ほんとだ。しかも、従叔父上の推薦状まであるし」
そこには王族である俺を領主に推薦し、マイル子爵はその補佐をするようにと書かれていた。
ご丁寧にも、父上の従弟でもあるオルランドおじさんの名前まである。
……これ、兄上は知らなそうだなぁ。
「これって断るのは」
「主人殿、無理です」
「ですよねー」
「なにせ、言うなれば勅命ですからね」
「……はぁ」
だめだ、どう考えても逃げられる気がしない。
いくら王子とはいえ、逆らったら罰が下るだろう。
この追放自体が罰だと思ってたけど、考えが甘かったなぁ。
「私からもお願いします!」
マイルさんはそう言って頭を下げた。
「……分かりました。とりあえず、ここが仕事場かな?」
「ありがとうございます! はい、ここがそうでございます」
「ふんふん、なるほどなるほど……って、領主って何をすればいいの?」
「えっと……私がしていたのは住民の管理や税金管理、都市の整備に、冒険者ギルドとの調整など……ほとんどの業務を一人で行っていました」
「うげぇ……」
なに、そのめんどくさそうな仕事は……俺にそんなことができるわけないじゃん!
こちとら、前世から事務作業系は苦手だったし!
「主人殿、顔に出すぎです」
「ぐぬぬ……」
「はは……平気ですよ、その辺りのことは引き続き私がやりますので。クレス殿下には、責任者になっていただければ幸いです。あと、納税のお声がけなどをしてくれると……流石に、私の身分と力では弱いので」
「なるほど、俺は身分だけはありますからね。幸い、剥奪はされてないですし。では、マイルさんには補佐をお願いします」
「はっ、かしこまりました。ではまずは、この地の説明をしてまいります」
するとマイルさんが、右側にある黒板に描き込み始める。
完成したのは、大まかな地図だった。
この国は大陸の中央付近に位置しており、その東に敵国のレナス帝国がある。
南側にはドワーフの国ガルディアが、南西には不可侵条約を結んでいる騎士の国エトラスがある。
他にもいくつか小国はあるけど、大まかに言うとそんな感じだ。
その中で、このナバール領はガルディアとエトラスと接しているが、交流自体はほとんどない。
「ふんふん、なるほどなるほど」
「獣人などはちりぢりになって生活しているか、奴隷になってる者などがいます。この辺境にも、獣人は少数ですが住んでいます。エルフ族は人と関わるのを嫌がり、どこかに消えてしまいましたね」
「エルフ族は仕方がないよね。それは、人族側が悪いんだし」
「ええ、忠告を無視して森を切り拓いたのですから。そもそも、ここら辺一帯は数百年前までは彼らの住処だったとも言われています」
どこの世界でも同じだ。自然を破壊しすぎてしまったら、その弊害が出てくる。
温暖化も、その弊害の一つだろうし。
「そうだね。でも、獣人の国っていうのはないんだよなぁー。あったら行ってみたいのに」
「ふふ、そうですね。いっそのこと、ここに獣人の拠点を作ったらいかがです? 主人殿はもふもふが好きですから。いつも、私の尻尾を触りたそうにしてますし」
「……バレてたの?」
「はい、バレバレです」
「うぉぉぉ……」
穴があったら入りたいとはこのことか! だって気になるじゃん!
もふもふしたいじゃん! だけど無理にはできないじゃん!
「別に触ってもよかったのですが……」
「へっ? なんて言ったの?」
クオンが小声で何か言っているのが聞こえて、俺は聞き返した。
「なんでもありません! ……それで、どうします? 言い方はあれですが、これなら拠点作りも夢ではありませんよ」
「なるほど、領主権限ってことか。うん、それはいいかも」
「なんと……! 是非、お願いします! 何はなくとも、まずは人がいなくては話にならないので」
「分かったよ。それじゃ、まずはそこからやってみるかな」
もふもふは大事だ。なんて言ったってスローライフといえばもふもふだからね!
その後、マイルさんの説明を聞いてひとまず分かったことは……やることが山積みということだった。
ほとんどをマイルさんに任せたとはいえ、俺自身もやることが多い。
執務室の椅子に腰かけながら私は、自分の選択が正しかったのか自問していた。
「……ふむ、あれでよかったのか」
第二王子であるクレスを追放することにしてしまったが。
自分で提案したとはいえ、まさか王太子や周りの貴族達まで賛成するとは思っていなかった。
護衛も置いて行ってしまったが、無事に着いただろうか?
「アレックスの兄貴、邪魔するぜ」
私が思案を巡らせていると、一人の男が入室してきた。
男の名前は、オルランド・ティルナグ。前王の弟が王室から離れて開いたティルナグ公爵家現当主。私にとっては従弟にあたり、可愛い弟のような存在だ。彼には軍事の才能があり、今は国内外の対抗する勢力への対応を任せている。
「オルランドか。クレスは旅立ってしまったよ。お主の言う通りにしたが、これでよかったのか?」
クレスのことについては、王太子や貴族達からはいい加減、どうにかしてくれとずっと言われていた。
しかし追放する決め手となったのは、従弟であるオルランドの進言だ。
「ああ、いいと思うぜ。兄貴はクレスに甘すぎだ。あれ以上いると、いろいろなところから反発が起きるだろうよ。王太子であるロナードもいい気がしないだろう。今回、兄貴が決めたことで皆の溜飲が下がったと思うぜ」
「ふむ、私がクレスに甘いのは確かだ。唯一惚れた女性、アメリアの忘れ形見であるしな」
「だから今は亡き第一王妃や、王位を継承する王太子が不安に思ったんだろうが」
「ぐぬぬ……すまぬ」
そう、それもこれも私の不徳の致すところだ。
クレスと他の兄弟の関係が良好ではないことも。
アメリアそっくりなクレスをどうしていいか分からず、結局甘やかして放置してしまったことも。
あの子の顔を見ると、辛くなってしまう情けない自分がいる。
「まあ、兄貴はよくやってるし、それくらいは仕方がないだろうよ。親父達を含む王族達が流行り病で亡くなって、若いうちから王位に就いてすぐに子供を作ることを要求されて大変だったしな。兄貴以外に残っていたのは、まだ十歳の俺だけだったし」
「本当なら、お主の方が国王に向いていたに違いない。私は力もないし威厳もないからな。お主がもう少し早く生まれていたら……」
「俺はそういう柄じゃない、戦っている方が性に合ってるよ。兄貴には国のことをどうにかしてもらわないとな」
「分かっておる。王太子も婚約したし、これで一安心だ。少しずつ、この国を立て直していこう。その間すまないが、国境の守りは引き続きお主に任せたい」
我が国の問題は多い。
流行り病や食料難、そして暑さによる人口の減少。
山に囲まれた資源や食料の乏しい東の隣国、レナス帝国との関係。
南に位置するドワーフの王国との関係。
国内の獣人に対する扱いや意識。
我々と絶縁した、エルフ族との関係。
「ったく、人族で争ってる場合じゃないっての。帝国の連中は、何度言っても理解しねえ。うちだって、分け与えるような余裕はないってことを」
「ふむ、帝国からしたら我が国が豊かに見えるのだろう。使者を呼んで食料不足だと伝えたが、どこかに隠していると言って信じてもらえなかった」
「結局、人は見たいものしか見ようとしないからな。もっと、分かりやすいものを用意するしかあるまい。それに、あいつらにはうちが貧しいとか関係ない。あっちからすれば、自国の命運がかかってるんだ」
「うむ、それもそうだな。しかし、我々とて国民を守らねばならん……きちんとできていないのが歯がゆいが」
「……それに関しては俺も同じだ。なんだかんだ言って、俺は戦うしか能のない男だ」
国を豊かにし、国民が飢えで苦しむことのないようにしたいと思いつつも、なかなか打開策が見つからない。
食料は年々厳しさを増す暑さによって減っていく。
そうなると戦える者も減ってきて、食料である魔獣を倒せる者も減ってくる。
魔物が増えると、畑が荒らされまた食料の供給が少なくなる。
「何か、一つでも突破口が見つかれば……」
「そのためにクレスを送ったんだろ?」
「まあ、その通りだが……確かに、いい加減辺境をどうにかしないといけない。しかし、クレスにできるだろうか?」
「そういうことさ。まあ、兄貴に代わってクレスの面倒は見てきたし……確かに能力は低いが、優しい子だ。そして、人を惹きつける何かがある。なんだかんだで、面白いことになる気がするぜ」
「確かに、あの子は優しい。偉ぶった姿は見たことないし、獣人であるクオンを最初から奴隷扱いしなかった。しかし、あの厳しい土地で平気だろうか?」
「クオンは俺が育てた弟子だ。たとえどんな環境だろうと、クレスを守り抜くだろうよ」
クオンが大きくなってから分かったが、彼女は黒狼族という最強の獣人の血を引いている。
その才能を、我が国最強の剣士オルランドが育て上げた。
まだ若いとはいえ、そこらの魔物には負けないのは確かだろう。
「ふむ、それはそうだな。ひとまず今は、目の前の問題を片付けていくか」
「ああ、それがいいぜ。安心しな、魔物も落ち着く時期だ。少ししたら、俺が様子を見に行ってくる」
「すまんがよろしく頼む」
「おうよ、兄貴もほどほどにな。それに、辺境をまとめている領主だって無能ではないだろう?」
「気は弱いが、民の気持ちが分かる者だったと記憶している。あの地を任せてしまって申し訳ないと思っている」
「なら、クレスを任せても平気そうだな。領主となるあいつの補助をしてくれるだろうよ。クク、あいつの驚く顔が目に浮かぶぜ」
「うむ、その辺りは心配しておらん」
……クレスよ、不甲斐ない父ですまない。
事情がどうであれ、追放という形で辛い土地に追いやってしまった。
元気でやってくれればいいのだが……
◇ ◆ ◇
その後、途中にある村を経由しつつ、旅を続けていく俺とクオン。
次第に村の数は減ってきて、気温が段々と上がってくる。
そして俺達が王都を出て一週間後……ようやく、目的地であるナバールの領都に到着する。
「へっぷし!」
「平気ですか? 魔法が使えるからって冷やしすぎたのでは?」
俺は今、氷魔法を使い、体の周りに冷気をまとわせている。
俺のくしゃみを聞いて、クオンが心配そうに尋ねてきた。
「誰かが噂してるのかも。うーん、確かにやりすぎはよくないね……いやー、それにしても暑い」
「ほんとですね。なんだかんだで主人殿の魔法がなかったら、かなりきつかったかと。川もないので、水魔法と氷魔法には助けられました」
「いやいや、それはお互い様だよ。クオンの剣の腕と五感の鋭さがなかったら、魔物や魔獣にやられてたし」
ここに来るまでは結構大変だった。
ここら一帯は、温暖化の影響から十年以上も放置された場所だ。
水が枯れ、作物が育たなくなってしまっている。
討伐する人が減り、魔物や魔獣が増えた。
クオンがいなければ、とてもじゃないが到着できなかっただろう。
「それにしても、寂れてますね。街の体をなしてないです。あちこちの壁もボロボロになってます」
「まあ、無理もないさ。通称、見捨てられた地って言われるくらいだ」
賢い者や動ける者は、まだ涼しくて緑がある東の方に移り住んだ。
ここに残っているのは自ら望んだ者か、動けなかった者達だろう。
父上だって助けたかっただろうが、隣国との争いとかでこの辺境を顧みる暇もなかったし。
「原因は気温の上昇と、それにともなう水不足や食料難ですね」
「そうそう。昔は緑が豊かな土地だったらしいんだけど、次第に資源がなくなって廃れていったとか」
「この暑さでは、最悪死人が出ますしね」
「だからここから別の土地へ移り住む人が増え、こうして寂れちゃったってわけ……おっ、誰か来たね」
門の向こうから、槍を構えた兵士二人がやってくる。
一人は若くて新人っぽい青年で、もう一人はきちんと鎧を着た男性だ。
「だ、誰だ!?」
「ま、待てっ! 立派な服を着ている……」
新人が慌てた様子で話しかけてきたが、鎧の方が止める。
「初めまして、俺の名前はクレス・シュバルツといいます。ここの責任者の方に会いたいんだけど……話は伝わってないよね?」
「ほ、本当に来た? この辺境の地に王族の方が……」
「し、知らせは来ております! すぐに領主の館にご案内いたします!」
「うん、よろしくね」
若い兵士が先に走って戻って行ったので、俺達はもう一人の男性のあとをついて行く。
街の中は活気がなく、生気のない人々の視線が突き刺さる。
この顔を俺はよく知ってる……前世の俺にそっくりだ。
転生前、鏡を見ると、いつもこんな生気のない顔をしていた。
「皆、元気がありませんね」
「うん、これは思った以上だ。王都から離れているから仕方がないとはいえ……それに、父上には辺境を顧みる余裕もなかっただろうね」
「そうですね……敵国との戦いや魔物達との戦いもありますから」
「あとは、中央の大臣は実際にこの状況を目にしてないから実感がないのかもね」
かといって行きに一週間もかかる道を、国王が直に見るわけにはいかないし。傲慢な貴族達が、こんなところに来るわけないし、まともな貴族は国を動かすのに必死だし……うん、詰んでるね。
「なるほど、確かにそうかもしれないです」
「情報伝達をしっかりしないとだめだね。中継地点を確保しつつ、もっと早く移動できる方法を見つけて情報を持っていく優秀な人材を育てることから始めよう」
「……いつの間に、そんな勉強を? 政治についての授業はずっとサボっていたのに」
「はは……これは発想というか、先人達の知恵ってやつさ」
そんな会話をしていると、街にある周りの平屋に比べて、少し大きな古ぼけた建物に到着する。
二階建ての建物で、敷地面積も大きい……まるでお金持ちの別荘のようだ。
「さあ、ここが領主の館です」
「案内をありがとね」
俺がお礼を言うと、鎧の男は恐縮していた。
「い、いえ……」
「あっ、誰か出てきますね」
クオンがそう言ったので家の方に目を向けると、扉が開き、先ほどの若い兵士と、四十代くらいの気弱そうな男性がやってくる。
身長はクオンと同じくらいで、ロマンスグレーをオールバックにしていた。
その人は俺に近づくなり、土下座をしてきた!
「いらっしゃいませ! クレス殿下!」
「ちょっ!? 土下座はやめてぇぇ! ねっ!? お願い!」
自分の前世でやってたスライディング土下座を思い出しちゃうから!
見てるだけで心が痛くなっちゃうよっ!
俺は膝を折り、慌てて目線を合わせる。
「な、なんと……私のような者に優しくしてくれるとは」
「いや、普通だから。それで、あなたが領主さんかな?」
「はっ、国王陛下よりこの地を預かっているマイル子爵と申します」
子爵っていうと、上から四番目の爵位か。
我が国での爵位は公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番だった。
「マイルさんね。知ってると思うけど、俺の名前はクレス・シュバルツ。こっちは従者のクオンだ。ちなみに、奴隷ではないからよろしく」
「奴隷ではなく従者であると? ……よかった、この方なら安心して任せられます!」
マイルさんはホッとした表情を浮かべるが、俺にはなんのことだか分からないので質問する。
「ん? なんの話?」
「これより私は領主の座をお譲りいたします」
「……はい? どういうこと?」
「その……国王陛下からの手紙には、領主としてクレス殿下を送るので領主にふさわしいか判断をしてくれと書かれていました」
「ホワッツ?」
なんで、俺が領主に? そんな立場では、のんびりと過ごす時間が。
「手紙には最終的な判断は私に任せるとも書かれていました。今、獣人を奴隷ではなく従者として扱うとおっしゃられました。その精神に私は感服いたしました。クレス様、あなたであればこの地を任せても大丈夫でしょう。ぜひ、お願いします」
……どうやら、のんびりと過ごすというわけにはいかないみたいです。
でも、考えようによってはいいことかも。
これで、俺が好きなように過ごせる場所を作れるってことだ。
疑問はたくさんあるけど、このままでは暑くてかなわないので、ひとまず陽射しを防ぐため、館の中に入る。
外の見た目は少し古ぼけていたが、内装はそこそこ綺麗だ。
玄関脇はラウンジになっていて、誰でも自由に使えるようだ。
玄関のすぐ側にある螺旋階段を上っていく。
パッと見、一階は食堂や会議室、応接室があるようだ。二階に上るとそこは住居で部屋がいくつかあった。
「そういえば、あまり使用人を見かけないね?」
「も、申し訳ありません。大勢の人を雇う余裕もなくて……メイドや調理人はいますが、最悪屋敷の掃除なども私がやってる始末でして」
「あっ、そうなんだ。いやいや、仕方ないよ。ただ国からの物資やお金はどうしたの? 父上なら、放置ということはないと思うけど」
「はい、定期的に送られてきます。しかしおそらく、中抜きされていて、手元には少ししか残らず……あとは、住民達に配ったりするとすぐになくなってしまいます。陛下への訴えも、途中で握り潰されているようでして……」
「……あぁ~そういうことね」
物資やお金がここに届く前に、中継地点の人達や馬鹿な貴族達が減らしたりするのか。
貴族達はともかく、中継地点の貧しい村々を責めることはできない。
彼らだって、生きるのに必死だろうから。
「あっ! 決して足りないという苦情では……」
「分かってるから大丈夫だよ。それはこちらの責任だし。というか、もっと気楽にしていいからね」
「ありがとうございます! ですが、あなた様は第二王子ですから」
……どうやら、この遠い辺境までは俺のだめさは轟いてないのかな?
のんびりしすぎて追放された王子じゃなく普通の王子が来たって感覚なのかもしれない。
「あんまり堅苦しいのは好きじゃないんだ」
俺が改めて気楽に接するよう伝えると、クオンが口を挟んできた。
「主人殿はちゃらんぽらんですからね」
「ちゃらんぽらんなんて言わないでよ」
「でしたら、しっかり振る舞ってくれないと」
「ぐぬぬ……」
「なるほど……やはりよき方のようだ」
何をどう思ったかは分からないが、どうやらマイルさんの肩の力が抜けたらしい。
そして、階段を上り切って一際目立つ扉に入る。
その部屋の奥には執務用と見える椅子と机があり、手前にはソファーとテーブルが置いてあった。
「それで、俺が領主ってどういうこと?」
「私がいただいたお手紙にはそのように……こちらになります」
「ありがとう、どれどれ……うげぇ、ほんとだ。しかも、従叔父上の推薦状まであるし」
そこには王族である俺を領主に推薦し、マイル子爵はその補佐をするようにと書かれていた。
ご丁寧にも、父上の従弟でもあるオルランドおじさんの名前まである。
……これ、兄上は知らなそうだなぁ。
「これって断るのは」
「主人殿、無理です」
「ですよねー」
「なにせ、言うなれば勅命ですからね」
「……はぁ」
だめだ、どう考えても逃げられる気がしない。
いくら王子とはいえ、逆らったら罰が下るだろう。
この追放自体が罰だと思ってたけど、考えが甘かったなぁ。
「私からもお願いします!」
マイルさんはそう言って頭を下げた。
「……分かりました。とりあえず、ここが仕事場かな?」
「ありがとうございます! はい、ここがそうでございます」
「ふんふん、なるほどなるほど……って、領主って何をすればいいの?」
「えっと……私がしていたのは住民の管理や税金管理、都市の整備に、冒険者ギルドとの調整など……ほとんどの業務を一人で行っていました」
「うげぇ……」
なに、そのめんどくさそうな仕事は……俺にそんなことができるわけないじゃん!
こちとら、前世から事務作業系は苦手だったし!
「主人殿、顔に出すぎです」
「ぐぬぬ……」
「はは……平気ですよ、その辺りのことは引き続き私がやりますので。クレス殿下には、責任者になっていただければ幸いです。あと、納税のお声がけなどをしてくれると……流石に、私の身分と力では弱いので」
「なるほど、俺は身分だけはありますからね。幸い、剥奪はされてないですし。では、マイルさんには補佐をお願いします」
「はっ、かしこまりました。ではまずは、この地の説明をしてまいります」
するとマイルさんが、右側にある黒板に描き込み始める。
完成したのは、大まかな地図だった。
この国は大陸の中央付近に位置しており、その東に敵国のレナス帝国がある。
南側にはドワーフの国ガルディアが、南西には不可侵条約を結んでいる騎士の国エトラスがある。
他にもいくつか小国はあるけど、大まかに言うとそんな感じだ。
その中で、このナバール領はガルディアとエトラスと接しているが、交流自体はほとんどない。
「ふんふん、なるほどなるほど」
「獣人などはちりぢりになって生活しているか、奴隷になってる者などがいます。この辺境にも、獣人は少数ですが住んでいます。エルフ族は人と関わるのを嫌がり、どこかに消えてしまいましたね」
「エルフ族は仕方がないよね。それは、人族側が悪いんだし」
「ええ、忠告を無視して森を切り拓いたのですから。そもそも、ここら辺一帯は数百年前までは彼らの住処だったとも言われています」
どこの世界でも同じだ。自然を破壊しすぎてしまったら、その弊害が出てくる。
温暖化も、その弊害の一つだろうし。
「そうだね。でも、獣人の国っていうのはないんだよなぁー。あったら行ってみたいのに」
「ふふ、そうですね。いっそのこと、ここに獣人の拠点を作ったらいかがです? 主人殿はもふもふが好きですから。いつも、私の尻尾を触りたそうにしてますし」
「……バレてたの?」
「はい、バレバレです」
「うぉぉぉ……」
穴があったら入りたいとはこのことか! だって気になるじゃん!
もふもふしたいじゃん! だけど無理にはできないじゃん!
「別に触ってもよかったのですが……」
「へっ? なんて言ったの?」
クオンが小声で何か言っているのが聞こえて、俺は聞き返した。
「なんでもありません! ……それで、どうします? 言い方はあれですが、これなら拠点作りも夢ではありませんよ」
「なるほど、領主権限ってことか。うん、それはいいかも」
「なんと……! 是非、お願いします! 何はなくとも、まずは人がいなくては話にならないので」
「分かったよ。それじゃ、まずはそこからやってみるかな」
もふもふは大事だ。なんて言ったってスローライフといえばもふもふだからね!
その後、マイルさんの説明を聞いてひとまず分かったことは……やることが山積みということだった。
ほとんどをマイルさんに任せたとはいえ、俺自身もやることが多い。
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